不動産詐欺の手口と対策【売買・投資で騙されないための完全ガイド】

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/26

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不動産詐欺の現状と被害の深刻さ

不動産の売買や投資は高額な取引であるため、詐欺被害のリスクが常に存在します。「どのような手口があるのか」「どうすれば見抜けるのか」と不安を感じる方は少なくありません。

この記事では、実際に発生している不動産詐欺の手口、見抜き方、被害防止策、相談先を、国土交通省の注意喚起等を元に解説します。

不動産取引で騙されないための知識を身につけ、安全に取引を進められるようになります。

この記事のポイント

  • 地面師詐欺では大手企業でも55億円の被害を受けた事例があり、手口が巧妙化している
  • かぼちゃの馬車事件では700人以上のオーナーが総額1,000億円の被害を受けた
  • 「絶対に儲かる」等の断定表現は宅地建物取引業法で禁止されており、詐欺の可能性が高い
  • 登記簿謄本での所有者確認、宅建業免許番号の確認が詐欺防止の基本
  • 被害に遭った場合は消費生活センター(188)、警察(#9110)等に相談

(1) 大手企業でも被害を受ける巧妙な手口

不動産詐欺は年々巧妙化しており、大手企業や不動産取引の経験者でも被害を受ける事例があります。

2017年、大手ハウスメーカーが地面師詐欺により約55億円の被害を受けた事例が報じられました。偽造書類や成りすましが非常に巧妙で、専門的な調査を行った企業でも見抜けないケースがありました。

不動産詐欺の手口は日々進化しており、「自分は大丈夫」と過信せず、基本的なチェックを徹底することが重要です。

(2) かぼちゃの馬車事件(総額1,000億円の被害)

かぼちゃの馬車事件は、サブリース契約を悪用した不動産投資詐欺の代表的な事例です。

「満室保証」を謳い、高額な家賃収入を約束していましたが、後に家賃の支払いを停止し、700人以上のオーナーが総額1,000億円の被害を受けました。

この事件は、「満室保証」や「高利回り保証」といった甘い言葉に潜むリスクを示す重要な教訓となっています。

(3) 2025年の最新事例(空室物件の悪用)

2025年10月、東京都内で空室の賃貸物件を特殊詐欺の受け子拠点として悪用する事件が発覚しました(日本経済新聞)。

不動産業者が犯罪集団に合鍵情報を提供していた疑いがあり、不動産業界内部の悪質な協力者が関与するケースも存在します。

不動産詐欺の手口は時代とともに変化しており、最新の事例にも注意を払う必要があります。

不動産詐欺の主な手口と事例

(1) 地面師詐欺(所有者偽装・決済後逃亡)

地面師詐欺は、所有者を偽装して不動産を売買し、決済後に逃亡する手口です。

手口の流れ

  1. 偽造書類(登記済証、印鑑証明書等)を用意
  2. 所有者に成りすまして買主と売買契約を締結
  3. 決済金を受け取った後、逃亡
  4. 買主は所有権を得られず、金銭のみを失う

偽造書類や成りすましが非常に巧妙で、専門家でも見抜くことが難しい場合があります。登記簿謄本での現所有者の確認が必須です。

(2) 二重譲渡(同じ不動産を複数の買主に売却)

二重譲渡は、同じ不動産を複数の買主に売却する行為です。

民法上、登記を先に完了した買主が所有権を得るため、後から契約した買主は所有権を失い、売主に対する損害賠償請求しかできなくなります。

防止策

  • 契約前に登記簿謄本で現所有者を確認
  • 契約後、速やかに所有権移転登記を完了
  • 司法書士に登記手続きを依頼し、確実に登記を完了させる

(3) 手付金詐欺(手付金持ち逃げ)

手付金詐欺は、不動産売買契約時に支払う手付金を持ち逃げし、その後連絡が取れなくなる詐欺です。

典型的なパターン

  1. 相場より極端に安い物件を提示
  2. 「早く決めないと他の人に取られる」と焦らせる
  3. 手付金を現金で受け取った後、連絡が取れなくなる

防止策

  • 手付金は銀行振込で支払う(振込記録を残す)
  • 宅地建物取引業の免許番号を確認
  • 契約書を必ず作成し、専門家(宅建士、弁護士等)に確認

(4) 原野商法の二次被害(過去の被害者を再度狙う)

原野商法の二次被害は、バブル時代に価値のない原野を購入した人を再度狙う詐欺です。

手口の例

  • 「過去に購入した原野を高値で買い取る」と持ちかけ、手数料や測量費用を請求
  • 「新たな開発計画がある」と別の原野を売りつける
  • 「管理費が発生している」と虚偽の請求

高齢者が狙われやすく、過去の被害者リストが利用されている可能性があります。不審な勧誘があった場合は、すぐに消費生活センター(188)に相談しましょう。

(5) 高齢者を狙った相続詐欺

高齢者の不動産所有者を狙い、「相続対策」「税金対策」を口実に不利な契約を結ばせる詐欺も存在します。

防止策

  • 家族や信頼できる専門家(弁護士、税理士等)に相談
  • 契約書を家族に確認してもらう
  • その場で契約せず、複数社の提案を比較

不動産投資詐欺の特徴と見抜き方

(1) サブリース詐欺(満室保証の罠)

サブリース詐欺は、「満室保証」を謳い高額な家賃収入を約束するが、後に家賃を減額したり支払いを停止したりする手口です。

サブリース契約のリスク

  • 契約書に「家賃減額条項」が含まれている場合がある
  • 経営悪化により突然支払いが停止される
  • 解約条件が厳しく、オーナーから解約できない

かぼちゃの馬車事件では、700人以上のオーナーが総額1,000億円の被害を受けました。

防止策

  • 契約書の家賃減額条項を必ず確認
  • サブリース会社の財務状況を調査
  • 弁護士や宅建士に契約書を確認してもらう

(2) 住宅ローンの不正利用(投資用を居住用と偽る)

住宅ローンの不正利用は、投資用不動産を購入する際に、居住用と偽って住宅ローンを不正に利用させる詐欺です。

リスク

  • 借主本人も共犯となり、詐欺罪に問われる可能性
  • 銀行にローンの一括返済を求められる
  • ローン残債を負ったまま不動産を失う

20~30代の若年層が被害に遭いやすく、「節税になる」「副収入が得られる」といった甘い言葉に注意が必要です。

(3) 満室偽装・相場より高額な物件販売

満室偽装は、空室が多い物件を満室と偽って販売する手口です。

手口

  • 一時的に知人等を入居させて満室に見せかける
  • 購入後、短期間で大量の退去が発生
  • 想定していた家賃収入が得られない

相場より高額な物件販売は、市場価格より大幅に高い価格で物件を販売する手口です。

防止策

  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な市場価格を把握
  • 周辺物件の取引価格を調査(国土交通省の「不動産取引価格情報検索」等を活用)
  • 入居者の契約書を確認(契約期間、更新の有無等)

(4) 疑うべき業者の特徴(「絶対に儲かる」等の断定表現)

以下の特徴を持つ業者は、詐欺の可能性が高いため警戒が必要です。

特徴 リスク
「絶対に儲かる」「必ず利益が出る」と断言 宅地建物取引業法で禁止されている断定的判断の提供
契約を急かす(「今日中に決めてください」等) 冷静な判断を妨げる狙い
契約書を十分に説明しない 不利な条項を隠している可能性
宅建業免許番号の掲示がない 無免許営業の可能性
相場より極端に安い物件・有利な条件 何らかの欠陥や問題がある可能性

宅地建物取引業法により、「絶対に儲かる」等の断定的判断の提供は禁止されています。このような表現を使う業者は詐欺の可能性が高いため、取引を避けるべきです。

詐欺被害を防ぐためのチェックポイント

(1) 登記簿謄本で現所有者を必ず確認

不動産取引を始める前に、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、現所有者を必ず確認しましょう。

確認方法

  • 法務局の窓口またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得
  • 所有者の氏名・住所が契約相手と一致しているか確認
  • 抵当権の設定状況も確認(多額の借入がある場合、注意が必要)

地面師詐欺や二重譲渡を防ぐための最も基本的なチェックです。

(2) 宅地建物取引業の免許番号を確認

不動産業者が宅地建物取引業の免許を持っているか確認しましょう。

確認方法

  • 国土交通省の「宅地建物取引業者検索システム」で免許番号を検索
  • 免許番号の表示がない業者は無免許営業の可能性
  • 免許の有効期限も確認

無免許営業の業者との取引は、トラブル時に保証協会の弁済制度を利用できないため、非常にリスクが高くなります。

(3) 複数社に査定依頼し、適正な市場価格を把握

不動産を購入する際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な市場価格を把握しましょう。

査定依頼の目安

  • 最低3社以上に依頼
  • 大手と地元密着型の会社を組み合わせる
  • 査定額の根拠を詳しく聞く

相場より極端に安い物件や高額な物件は、何らかの問題がある可能性があります。

(4) 契約書・重要事項説明書を専門家に確認

契約書や重要事項説明書は、専門家(宅建士、弁護士、税理士等)に確認してもらいましょう。

確認すべきポイント

  • 不利な条項が含まれていないか
  • 家賃減額条項、解約条件、違約金等
  • 税金・諸費用の負担が適切か

契約書を十分に読まずに署名・押印すると、後から不利な条項に気づいても取り消しが困難になります。

(5) 相場より極端に安い物件・有利な条件に注意

相場より極端に安い物件や、過度に有利な条件を提示される場合は、慎重に取引を進めましょう。

警戒すべきケース

  • 周辺相場の半額以下で販売されている
  • 「今日中に契約すれば特別価格」と焦らせる
  • 「必ず高値で売れる」「絶対に儲かる」と断言

こうした物件には、何らかの欠陥(事故物件、再建築不可、境界トラブル等)がある可能性があります。

詐欺被害に遭った場合の相談先と対応

(1) 消費生活センター(188)

消費生活センターは、消費者トラブルの相談窓口です。

  • 電話番号: 188(全国共通、最寄りのセンターにつながる)
  • 相談内容: 不動産詐欺、契約トラブル、悪質商法等
  • 費用: 無料

まずは消費生活センターに相談し、状況を説明して適切なアドバイスを受けましょう。

(2) 宅地建物取引業保証協会

宅地建物取引業保証協会は、不動産会社が加入する協会です。

  • 役割: 取引に関する苦情や相談に応じ、上限額まで弁済する業務も行う
  • 相談先: 全国宅地建物取引業保証協会、不動産保証協会

取引相手の不動産会社が保証協会に加入している場合、弁済制度を利用できる可能性があります。

(3) 法テラス(法的問題の相談)

法テラスは、法的問題全般の相談窓口です。

  • 電話番号: 0570-078374
  • 役割: 法制度に関する情報提供、相談機関の紹介
  • 費用: 無料(法律相談は条件により有料)

法的問題に発展した場合は、法テラスで弁護士の紹介を受けることもできます。

(4) 警察(#9110)

詐欺の疑いが強い場合は、警察に相談しましょう。

  • 電話番号: #9110(警察相談専用窓口)、110(緊急時)
  • 相談内容: 詐欺被害、犯罪の疑い

証拠(契約書、メール、録音等)を揃えて相談すると、スムーズに対応してもらえます。

まとめ:不動産取引で騙されないための心構え

不動産詐欺の手口は年々巧妙化しており、大手企業でも被害を受ける事例があります。地面師詐欺では約55億円、かぼちゃの馬車事件では総額1,000億円の被害が発生しました。

「絶対に儲かる」等の断定表現は宅地建物取引業法で禁止されており、詐欺の可能性が高い警告サインです。相場より極端に安い物件や過度に有利な条件にも注意が必要です。

詐欺被害を防ぐためには、登記簿謄本での所有者確認、宅建業免許番号の確認、複数社への査定依頼、契約書の専門家確認が基本です。

被害に遭った場合は、消費生活センター(188)、宅地建物取引業保証協会、法テラス、警察(#9110)に速やかに相談しましょう。

不動産取引は高額であるため、慎重に進めることが重要です。信頼できる専門家(宅建士、弁護士、税理士等)に相談しながら、安全に取引を完了させましょう。

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よくある質問

Q1不動産詐欺に遭った場合、どこに相談すればよい?

A1消費生活センター(188)、宅地建物取引業保証協会、法テラス(0570-078374)、警察(#9110)に相談してください。消費生活センターは全国共通の相談窓口で、無料で相談できます。法テラスは法的問題の情報提供や弁護士の紹介を行います。詐欺の疑いが強い場合は、証拠(契約書、メール、録音等)を揃えて警察に相談しましょう。

Q2「絶対に儲かる」と言う業者は詐欺?

A2宅地建物取引業法により断定的判断の提供は禁止されており、詐欺の可能性が高いと言えます。「必ず利益が出る」「確実に高値で売れる」等の表現も同様に警戒すべきです。不動産取引には必ずリスクが伴うため、断定表現を使う業者との取引は避けましょう。複数社に相談し、客観的な情報を得ることが重要です。

Q3地面師詐欺とは?

A3所有者を偽装して不動産を売買し、決済後に逃亡する手口です。偽造書類(登記済証、印鑑証明書等)や成りすましが非常に巧妙で、2017年に大手ハウスメーカーが約55億円の被害を受けた事例があります。防止策として、登記簿謄本で現所有者を必ず確認し、司法書士に登記手続きを依頼して確実に所有権移転登記を完了させることが重要です。

Q4サブリース契約の「満室保証」は安全?

A4「満室保証」でも家賃減額や支払停止のリスクがあります。かぼちゃの馬車事件では700人以上のオーナーが総額1,000億円の被害を受けました。契約書に「家賃減額条項」が含まれている場合があり、経営悪化により突然支払いが停止されるケースもあります。契約内容を弁護士や宅建士に確認し、サブリース会社の財務状況を調査した上で慎重に判断すべきです。

Q5詐欺を見抜くための基本的なチェックポイントは?

A5①登記簿謄本で現所有者を必ず確認、②宅地建物取引業の免許番号を確認(国土交通省の検索システムで検索)、③複数社(最低3社以上)に査定依頼し適正な市場価格を把握、④契約書・重要事項説明書を専門家(宅建士、弁護士、税理士等)に確認、⑤相場より極端に安い物件・過度に有利な条件に注意。これらを徹底すれば多くの詐欺を防げます。

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Room Match編集部

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