不動産詐欺の深刻化:2025年の大阪ミナミ事件と若者を狙う手口
不動産取引を検討する際、「詐欺に遭わないか不安」「どうやって悪徳業者を見分けるのか」と心配に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産詐欺の主な手口、見分けるチェックポイント、被害に遭った場合の相談窓口を、不動産メディアの専門情報を元に解説します。
不動産取引の初心者でも、詐欺被害を防ぐための具体的なステップを理解できるようになります。
この記事のポイント
- 2025年6月に大阪ミナミで地面師詐欺(被害額約15億円)が発生
- 主な手口は地面師詐欺、手付金詐欺、原野商法、住宅ローン投資詐欺
- 免許番号・登記簿謄本・契約書を必ず確認することで詐欺を見分けられる
- 「必ず儲かる」「高利回り保証」等の断定的表現は詐欺の典型的サイン
- 被害に遭った場合は消費者ホットライン(188)、警察、弁護士に早急に相談
(1) 2025年6月の大阪ミナミ地面師事件(被害額約15億円)
健美家によると、2025年6月に大阪ミナミで地面師詐欺事件が発覚しました。被害額は約15億円に上り、大規模な不動産会社も被害に遭っています。
地面師詐欺の手口は、土地の所有者になりすまし、偽造書類(印鑑証明書、本人確認書類等)を使って不動産を売却するものです。大規模企業でも被害に遭う実態があり、個人が注意すべき手口と言えます。
(2) 2024年11月の住宅ローン投資詐欺(被害額約34億円、若者がターゲット)
ウチコミ!タイムズによると、2024年11月に住宅ローン投資詐欺で3名が逮捕されました。被害額は約34億円、12金融機関に及びます。
この詐欺は、若者をターゲットにして、住宅ローンを投資用物件の購入に悪用させるものです。被害者は「私は被害者」と言い逃れできず、契約違反・犯罪に加担したことになり、刑事責任を問われる可能性があります。
不動産詐欺の主な手口:地面師・手付金・原野商法・住宅ローン投資詐欺
不動産詐欺には、さまざまな手口があります。HOME'Sによると、以下の4つが代表的です。
(1) 地面師詐欺:所有者なりすまし・虚偽登記
地面師詐欺とは、土地の所有者になりすまし、偽造書類(印鑑証明書、本人確認書類等)で不動産を売却する手口です。
虚偽登記により一時的に登記簿上の所有者が変わるため、買主は騙されやすくなります。対策としては、法務局で登記簿謄本を取得し、所有権を必ず確認することが重要です。
(2) 手付金詐欺・二重譲渡:手付金受領後の連絡途絶
手付金詐欺は、手付金を受け取った後に連絡を絶ち、物件を引き渡さない手口です。
二重譲渡は、同じ物件を複数の買主に売却し、登記が早い方のみが所有権を得る詐欺です。どちらも、契約前に登記簿謄本で所有権を確認し、契約書に所有権移転時期を明記することで防げます。
(3) 原野商法・二次被害:価値のない土地の高額販売
原野商法は、価値のない原野を「将来開発される」「高速道路が通る」等と偽り高額で売りつける詐欺です。
オウチーノニュースによると、二次被害として、過去に原野を購入した人が再びターゲットにされ、「買い取ります」と称して手数料を騙し取られる事例も多発しています。
(4) 住宅ローン投資詐欺:ローンの不正利用で被害者が犯罪者に
住宅ローン投資詐欺は、住宅ローンを投資用物件の購入に悪用させる手口です。
ウチコミ!タイムズによると、若者が「簡単に儲かる」と誘われ、住宅ローンを申し込むよう指示されます。しかし、住宅ローンを投資目的で使用することは契約違反であり、刑事責任を問われる可能性があります。
詐欺を見分けるチェックポイント:免許番号・登記確認・契約書精査
不動産詐欺を防ぐには、以下のチェックポイントを必ず確認しましょう。
(1) 宅地建物取引業者の免許番号・行政処分歴の確認
武蔵コーポレーションによると、宅地建物取引業者は免許番号を掲示する義務があります。
免許番号の確認方法:
- 名刺・ホームページ・広告に記載されているか確認
- 免許行政庁(国土交通省または都道府県)で免許番号を照会
- 行政処分歴を確認(過去に行政処分を受けている業者は要注意)
免許番号がない、または照会できない業者は詐欺の可能性が高いため、取引を避けましょう。
(2) 法務局での登記簿謄本取得・所有権の確認
登記簿謄本を法務局で取得し、所有権を確認することで、地面師詐欺や二重譲渡を防げます。
確認すべき項目:
- 所有者の氏名・住所が取引相手と一致するか
- 抵当権・差押え等の権利が設定されていないか
- 登記日が最近でないか(虚偽登記の可能性)
登記簿謄本の取得費用は数百円程度です。必ず確認しましょう。
(3) 重要事項説明書・契約書の細部確認、専門家への相談
HOME'Sによると、重要事項説明書・契約書は細部まで読み込み、不明点は専門家(宅建士、弁護士等)に相談することが重要です。
確認すべき項目:
- 物件の所在地・面積・用途地域
- 売買代金・手付金・残代金の支払い時期
- 所有権移転時期・引渡し時期
- 契約解除の条件
契約を急がせる業者は詐欺の可能性が高いため、時間をかけて確認しましょう。
悪徳業者の特徴:強引な営業・断定的表現・相場から大きく外れた条件
悪徳業者には、以下の共通する特徴があります。
(1) 「必ず儲かる」「高利回り保証」等の断定的表現(宅建業法違反の可能性)
株式会社ベルテックスによると、「必ず儲かる」「高利回り保証」等の断定的表現は、**宅地建物取引業法(断定的判断の提供禁止)**違反の可能性があります。
不動産投資にはリスクが伴うため、こうした表現を使う業者は詐欺の可能性が高く、取引を避けるべきです。
(2) 契約を急がせる、深夜まで居座る等の強引な営業手法
強引な営業手法も悪徳業者の典型です。
具体例:
- 「今日中に契約しないと他の人に取られる」と契約を急がせる
- 深夜まで居座り、契約を迫る
- 断っても何度も訪問・電話する
こうした営業手法は、宅地建物取引業法の「迷惑行為の禁止」に該当する可能性があります。はっきりと断り、必要に応じて警察に相談しましょう。
(3) 相場から大きく外れた好条件・遠方物件ばかり勧める
相場から大きく外れた好条件(駅近・築浅なのに格安等)や、遠方の物件ばかり勧める業者も要注意です。
東京空き家相談協会によると、遠方の物件は現地確認が困難なため、詐欺に使われやすい傾向があります。必ず現地確認を行い、複数の不動産会社や専門家(弁護士、税理士等)から意見を聞きましょう。
被害に遭った場合の相談窓口:消費者ホットライン188・警察・弁護士
詐欺に遭った、または疑いがある場合は、早急に以下の窓口に相談しましょう。
(1) 消費者ホットライン(188)・国民生活センターへの相談
**消費者ホットライン(188)**は、全国統一の消費者相談窓口です。
株式会社ベルテックスによると、電話番号「188」にかけると、最寄りの消費生活センターにつながります。相談は無料で、専門の相談員が対応します。
国民生活センターも同様に、不動産詐欺の相談を受け付けています。
(2) 警察への被害届提出・弁護士への法的相談
詐欺の疑いがある場合は、警察に被害届を提出することも重要です。
被害発覚が早いほど、詐欺グループの検挙や被害金の回収ができる可能性が高くなります。また、弁護士に相談し、法的な対処方法(契約解除、損害賠償請求等)を検討しましょう。
(3) 各都道府県の不動産相談窓口(東京都住宅政策本部等)
各都道府県にも不動産相談窓口があります。
東京都住宅政策本部等の公式窓口では、行政による相談体制が整っており、信頼性が高いです。お住まいの自治体の相談窓口を確認しましょう。
まとめ:不動産取引で自衛するための5つのアクション
不動産詐欺は年々巧妙化していますが、以下の5つのアクションを実践することで被害を防げます。
1. 宅地建物取引業者の免許番号・行政処分歴を必ず確認
免許番号がない、または照会できない業者とは取引しない。
2. 法務局で登記簿謄本を取得し、所有権を確認
所有者の氏名・住所が取引相手と一致するか、抵当権・差押え等がないか確認。
3. 重要事項説明書・契約書を細部まで確認し、専門家に相談
不明点は宅建士や弁護士に相談。契約を急がせる業者は詐欺の可能性が高い。
4. 「必ず儲かる」「高利回り保証」等の断定的表現に警戒
こうした表現は宅建業法違反の可能性があり、詐欺の典型的サイン。
5. 詐欺の疑いがある場合は早急に消費者ホットライン(188)、警察、弁護士に相談
被害発覚が早いほど対処できる可能性が高い。
不動産取引は高額な取引です。信頼できる専門家に相談しながら、慎重に進めましょう。
