不動産クラウドファンディングとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

不動産クラウドファンディングとは?少額から始められる不動産投資の新しい形

不動産投資を始めたいけれど、「まとまった資金がない」「リスクが怖い」と感じていませんか。

この記事では、少額から始められる不動産クラウドファンディングの仕組み、メリット・デメリット、サービスの選び方を、不動産競売流通協会の公平な比較や最新の市場データを元に解説します。

投資は自己責任ですが、この記事を読めば、リスクを正しく理解した上で判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産クラウドファンディングは、インターネットで投資家から資金を集め、不動産投資を行い、利益を分配する仕組み
  • 2025年の市場規模は募集金額2,000億円超え、国内に109サービスが存在する成長市場
  • 1万円から投資可能で、優先劣後出資制度により投資家の元本を一定範囲で保護する仕組みがある
  • 元本保証ではなく、中途解約ができないなどのデメリットやリスクがある
  • サービス選びでは、不動産特定共同事業法の許可、実績、優先劣後出資比率、物件情報の透明性を確認することが重要

不動産クラウドファンディングとは?少額から始められる不動産投資の新しい形

不動産クラウドファンディングは、従来の不動産投資とは異なる新しい投資手法です。

(1) 2025年の市場規模(募集金額2,000億円超え、109サービス)

クラファン比較ラボによると、2025年の不動産クラウドファンディング市場は、募集金額が2,000億円を超え、ファンド数は1,000件を超えて過去最高を記録しました。国内には計109サービスが存在し、競争が激化しています。

市場の拡大により、投資家にとって選択肢が増えた一方で、サービスの信頼性を見極めることが重要になっています。

(2) 1万円から始められる不動産投資

従来の不動産投資では、物件を購入するために数千万円の資金が必要でした。しかし、不動産クラウドファンディングでは、CREALなどのサービスを利用することで、1万円から投資を始めることができます。

少額から始められるため、初心者でも参入しやすく、複数のファンドに分散投資することでリスクを軽減できます。

不動産クラウドファンディングの仕組み:不動産特定共同事業法に基づく投資

不動産クラウドファンディングの仕組みと、他の不動産投資商品との違いを理解しましょう。

(1) インターネットで資金を集め、不動産投資を行い、利益を分配

CREALの解説によると、不動産クラウドファンディングは以下のような流れで進みます。

  1. 事業者が投資対象の不動産を選定し、ファンドを組成
  2. インターネットで投資家から資金を募集(1万円単位など少額から可能)
  3. 集めた資金で不動産を取得・運用(賃貸収入や売却益を得る)
  4. 運用益を投資家に分配(利回りは年利3-10%程度)
  5. 運用期間終了後、元本を返還(ただし元本保証ではない)

(2) REITやソーシャルレンディングとの違い

不動産クラウドファンディングは、REIT(不動産投資信託)やソーシャルレンディングと似ていますが、以下の点で異なります。

項目 不動産クラウドファンディング REIT ソーシャルレンディング
最低投資額 1万円〜 数万円〜 1万円〜
流動性 低い(中途解約不可) 高い(証券取引所で売買可能) 低い(中途解約不可)
投資対象 個別物件 複数の不動産に分散 企業への融資
法的根拠 不動産特定共同事業法 投資信託及び投資法人に関する法律 金融商品取引法

REITは証券取引所で売買できるため流動性が高い点が大きな違いです。一方、不動産クラウドファンディングは個別物件に投資するため、物件を選ぶ楽しさがあります。

(3) 不動産特定共同事業法に基づく許可が必要

不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法(不特法)に基づいて運営されます。この法律の許可を得た事業者のみがサービスを提供できるため、許可を得ていない事業者は避けるべきです。

事業者の公式サイトで「不動産特定共同事業法 第〇号」という許可番号を確認しましょう。

メリット:少額投資・分散投資・優先劣後出資制度による元本保護

不動産クラウドファンディングの主なメリットを整理します。

(1) 少額(1万円)から投資可能で初心者でも参入しやすい

従来の不動産投資では、物件購入に数千万円が必要でしたが、不動産クラウドファンディングでは1万円から投資できます。初心者でも気軽に始められ、投資経験を積むことができます。

(2) 複数のファンドに分散投資してリスクを軽減

少額から投資できるため、複数のファンドや事業者に分散投資することで、リスクを分散できます。例えば、10万円の資金があれば、5つのファンドに2万円ずつ投資することで、1つのファンドが失敗しても他でカバーできる可能性があります。

(3) 優先劣後出資制度で投資家の元本を優先的に保護

優先劣後出資制度とは、損失が発生した場合、まず事業者の劣後出資分から負担し、投資家の元本を優先的に保護する仕組みです。

例えば、劣後出資比率が30%のファンドの場合、不動産価格が30%下落しても、投資家の元本は保護されます。ただし、30%を超える損失が出た場合は、投資家も元本割れのリスクがあります。

(4) 平均利回り7.3%(年利3-10%)が期待できる

不動産競売流通協会によると、不動産クラウドファンディングの平均利回りは7.3%です。年利3-10%の範囲で設定されることが多く、銀行預金(年利0.001%程度)と比べて高いリターンが期待できます。

ただし、高利回りを謳う案件はリスクが高い可能性があるため、物件情報や事業者の実績を慎重に確認する必要があります。

デメリットとリスク:元本保証なし・流動性リスク・クリック合戦

メリットだけでなく、デメリットとリスクも正しく理解しましょう。

(1) 元本保証ではなく、元本割れの可能性がある

不動産クラウドファンディングは元本保証ではありません。プレサンスの解説によると、不動産価格の下落や空室リスクにより、元本割れの可能性があります。

優先劣後出資制度により一定範囲内の損失は事業者が負担しますが、それを超える損失が出た場合は、投資家も元本割れのリスクを負います。

(2) 中途解約ができず、資金が運用期間中拘束される

不動産クラウドファンディングは、原則として中途解約ができません。マイナビニュースによると、平均運用期間は360日(約1年)で、短期では3ヶ月〜1年の案件も多数存在します。

運用期間中は資金が拘束されるため、急に現金が必要になった場合に対応できないリスクがあります。生活防衛資金を確保した上で、余剰資金で投資することを推奨します。

(3) 人気ファンドはクリック合戦で投資できないことがある

人気ファンドは募集開始と同時に満額になる「クリック合戦」が発生することがあります。事前に会員登録を済ませ、募集開始時刻にスタンバイする必要があります。

投資機会を逃さないために、複数のサービスに登録しておくことをおすすめします。

(4) 事業者が倒産した場合のリスク

事業者が倒産した場合、投資資金を失うリスクがあります。実績豊富な大手サービスを選ぶことで、このリスクを軽減できます。

マイナビニュースによると、COZUCHIは累計投資額1,000億円を突破し、2025年10月時点で元本割れゼロの実績を維持しています。

(5) 高利回りを謳う案件はリスクが高い可能性

高利回りを謳う案件は、リスクが高い可能性があります。物件の立地、収支計画、事業者の実績を慎重に確認し、リスクに見合ったリターンかどうかを判断しましょう。

サービスの選び方と始め方:事業者の信頼性・物件情報の透明性

不動産クラウドファンディングのサービスを選ぶ際のポイントを紹介します。

(1) 不動産特定共同事業法の許可を得た事業者を選ぶ

まず、事業者が不動産特定共同事業法の許可を得ているかを確認しましょう。許可を得ていない事業者は避けるべきです。公式サイトの会社概要ページで「不動産特定共同事業法 第〇号」という許可番号を確認できます。

(2) 実績豊富な大手サービス(COZUCHI、CREAL等)から始める

初心者は、実績豊富な大手サービスから始めることをおすすめします。マイベストの2025年の比較では、COZUCHIとCREALが最大手として推奨されています。

サービス名 特徴 累計実績(2025年時点)
COZUCHI 累計投資額1,000億円超え、元本割れゼロ 高い
CREAL 1万円から投資可能、優先劣後出資制度採用 高い

(3) 優先劣後出資比率が高いサービスを選ぶ

優先劣後出資比率が高いほど、投資家の元本保護が厚くなります。劣後出資比率が30%以上のサービスを選ぶことをおすすめします。

(4) 物件情報の透明性(所在地、収支計画等)を確認する

物件情報が詳細に公開されているかを確認しましょう。所在地、収支計画、賃貸契約の状況などが透明に公開されているサービスは、信頼性が高いと判断できます。

情報が不足しているファンドは、リスクを正確に評価できないため避けるべきです。

まとめ:リスクを理解した上での投資判断と専門家への相談

不動産クラウドファンディングは、1万円から始められる少額投資で、優先劣後出資制度により投資家の元本を一定範囲で保護する仕組みがあります。2025年の市場規模は募集金額2,000億円を超え、成長を続けています。

メリットとして、少額投資可能、分散投資によるリスク軽減、平均利回り7.3%が期待できる点がありますが、元本保証ではなく、中途解約ができない、クリック合戦が発生するなどのデメリットやリスクもあります。

サービス選びでは、不動産特定共同事業法の許可、実績、優先劣後出資比率、物件情報の透明性を確認することが重要です。投資は自己責任ですので、リスクを正しく理解した上で判断し、不安な点はファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談することを推奨します。

少額から始められる不動産クラウドファンディングで、不動産投資の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

Q1不動産クラウドファンディングとREITの違いは何ですか?

A1REITは証券取引所で売買できるため流動性が高く、いつでも売却できます。一方、不動産クラウドファンディングは運用期間中の中途解約が原則できません。また、REITは複数の不動産に分散投資されるのに対し、不動産クラウドファンディングは個別物件に投資するため、物件を選ぶ楽しさがあります。法的根拠も、REITは投資信託及び投資法人に関する法律、不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法と異なります。

Q2元本保証はありますか?

A2元本保証ではありません。不動産価格の下落や空室リスクにより、元本割れの可能性があります。ただし、優先劣後出資制度により、一定範囲内の損失は事業者が負担する仕組みがあります。例えば、劣後出資比率が30%のファンドの場合、不動産価格が30%下落しても投資家の元本は保護されますが、それを超える損失が出た場合は投資家も元本割れのリスクを負います。投資は自己責任で行う必要があります。

Q3途中で解約できますか?

A3原則として中途解約はできません。運用期間(平均360日、短期では3ヶ月〜1年)中は資金が拘束されるため、急に現金が必要になった場合に対応できないリスクがあります。ただし、一部のサービスでは解約手数料を支払うことで解約できる場合があります。生活防衛資金を確保した上で、余剰資金で投資することを推奨します。投資前にサービスの利用規約で解約条件を確認しましょう。

Q4税金はどのように計算されますか?

A4不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得として総合課税の対象となり、給与所得等と合算して所得税・住民税が課税されます。年間20万円を超える利益がある場合は確定申告が必要です。税率は所得に応じて異なり、高所得者ほど税負担が重くなります。また、損失が出た場合でも他の所得との損益通算はできません。詳細な税務処理については、税理士に相談することを推奨します。

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Room Match編集部

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