不動産バブルはいつまで続くのか
不動産価格の高騰が続く中、「不動産バブルはいつまで続くのか」「今が買い時なのか、それとも価格下落を待つべきなのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不動産価格は2013年頃から上昇を続け、2024年時点で「最長・最大のバブル」と言われています。この記事では、国土交通省の不動産価格指数やSUUMOなどの公式データを元に、不動産バブルの現状と今後の見通しを解説します。
この記事を読むことで、現在の不動産バブルの特徴、戸建て市場の動向、専門家の見解、購入・売却の判断ポイントを具体的に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 不動産価格は2013年頃から上昇を続け、2024年時点で「最長・最大のバブル」
- 戸建ての不動産価格指数は115.6(2024年7月、2010年=100)で上昇傾向
- 専門家は「価格を下げる要素が見当たらない」と指摘し、高値傾向は数年継続する見込み
- 2025年問題による暴落は起こらず、市場の二極化が進行
- 購入判断は価格下落を待つよりも、現在の市場状況を見極めることが重要
現在の不動産バブルの特徴と要因
現在の不動産バブルは、複数の要因が重なり合って発生しています。
(1) 2012年からの金融緩和と価格上昇
日経BOOKプラスによると、現在の不動産バブルは2012年からの異次元金融緩和が引き金となっています。
金融緩和の影響:
- 日銀のマイナス金利政策(2016年〜2024年3月)により住宅ローン金利が低水準に維持
- 低金利により不動産への投資需要が増加
- 2024年3月にマイナス金利政策が解除されたが、価格上昇は継続
国土交通省の不動産価格指数によると、2024年7月時点での不動産価格指数は以下の通りです。
| 種別 | 価格指数(2010年=100) | 特徴 |
|---|---|---|
| 全体平均 | 約140 | 2010年比で40%上昇 |
| マンション | 202.2 | 2010年比で約2倍 |
| 戸建て | 115.6 | 2010年比で15.6%上昇 |
(出典: 国土交通省 不動産価格指数)
戸建てはマンションほどの急騰ではありませんが、着実に上昇傾向にあります。
(2) 建築資材高騰と供給不足
SUUMOによると、建築資材価格は2021年〜2024年の3年間で約30%上昇しています(日本建設業連合会調べ)。
建築コスト上昇の要因:
- ウッドショック(2021年頃からの木材価格急騰)
- 鋼材・セメント等の資材価格上昇
- 輸送コンテナ不足と運送費高騰
- 人件費の上昇
さらに、2025年4月からは全ての建築物に省エネ基準適合が義務化されるため、建築コストがさらに上昇する可能性があります。
戸建て市場の価格動向とマンションとの違い
戸建て市場はマンション市場と異なる特性を持っています。
(1) 不動産価格指数の推移比較
戸建てとマンションの価格上昇率を比較すると、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | 戸建て | マンション |
|---|---|---|
| 価格指数(2024年7月) | 115.6 | 202.2 |
| 2010年からの上昇率 | +15.6% | +102.2% |
| 価格上昇の傾向 | 緩やかな上昇 | 急激な上昇 |
戸建て市場は、マンション市場ほどの投機的な需要が少なく、実需(自宅として購入)が中心です。そのため、価格上昇は比較的緩やかです。
(2) 市場の二極化と地域差
さくら事務所によると、不動産市場では二極化が進行しています。
市場の二極化:
- 都心部・人気エリア: 価格上昇が継続(需要が供給を上回る)
- 郊外・地方部: 横ばい〜下落傾向(供給過多、人口減少の影響)
東急リバブルによると、地方都市(札幌・仙台・広島・福岡)の地価上昇率が三大都市圏を上回るケースも見られます。地域による差が大きいため、全国一律での判断は困難です。
専門家の見解と今後の見通し
専門家の見解を参考に、今後の不動産市場を予測します。
(1) 2025年問題と暴落の可能性
「2025年問題」とは、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になることで引き起こされる社会問題です。不動産市場への影響が懸念されていましたが、さくら事務所によると、2025年の不動産暴落は起こらず、むしろ上昇が継続しています。
2025年の実際の市場動向:
- 首都圏中古マンション成約平米単価:84.85万円/㎡(2025年8月)
- 前年同月比(2024年8月)で+13%上昇
- 戸建て市場も同様に緩やかな上昇を継続
専門家は「価格を下げる要素が見当たらない」と指摘しており、高値傾向は数年継続する見込みです。ただし、将来予測は不確実であり、経済情勢や金融政策により変動する可能性があります。
(2) 金利上昇の影響
日銀が2024年3月にマイナス金利政策を解除したことで、今後の金利上昇が懸念されています。
金利上昇の影響:
- 住宅ローン金利が上昇すると、購入者の負担が増える
- 金利1%上昇で、総返済額が数百万円増える可能性
- 購入需要が減少し、価格上昇が鈍化する可能性がある
ただし、日銀の利上げペースは緩やかと見られており、急激な金利上昇は予想されていません(2024年時点)。
バブル期に購入・売却を判断するポイント
不動産バブル期における購入・売却の判断ポイントを解説します。
(1) 購入タイミングの見極め方
価格下落を待つ戦略はリスクがあります。以下のポイントを確認しましょう。
購入を検討すべきケース:
- 自宅として長期的に住む予定がある
- 住宅ローン金利が低水準のうちに借り入れたい
- 家賃を払い続けるより、資産として残したい
購入前の確認事項:
- 年収に対する返済負担率(25〜30%以内が目安)
- 頭金・諸費用の準備(物件価格の10〜20%)
- 住宅ローン控除の要件(2024年以降は省エネ基準を満たす住宅が条件)
HOME'Sによると、「価格下落を待つ」よりも「現在の市場状況で購入タイミングを見極める」ことが重要と指摘されています。
(2) 売却を検討すべきケース
売却を検討すべきケース:
- 都心部・人気エリアの物件を所有している
- 転勤・ライフスタイル変化で住み替えを検討している
- 相続した物件で活用予定がない
売却前の確認事項:
- 複数の不動産会社に査定を依頼(3社以上推奨)
- 譲渡所得税の試算(保有期間5年超で長期譲渡所得として税率が下がる)
- 売却時期の選定(春・秋が比較的取引が活発)
まとめ:今後の不動産市場への向き合い方
不動産価格は2013年頃から上昇を続け、2024年時点で「最長・最大のバブル」と言われています。戸建ての不動産価格指数は115.6(2024年7月、2010年=100)で、マンション(202.2)ほどではありませんが上昇傾向にあります。
専門家は「価格を下げる要素が見当たらない」と指摘しており、高値傾向は数年継続する見込みです。2025年問題による暴落は起こらず、むしろ市場の二極化(都心上昇、郊外横ばい〜下落)が進行しています。
購入判断は価格下落を待つよりも、現在の市場状況を見極め、自身のライフプランと資金計画を明確にすることが重要です。金利上昇や経済情勢により市場は変動するため、最新情報の確認が必要です。
詳細は国土交通省やSUUMOで確認してください。不動産鑑定士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、最適な判断をしましょう。


