戸建て価格の推移を解説|2024年最新データと今後の見通し

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/13

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戸建て価格推移の重要性と本記事の目的

戸建て購入や売却を検討する際、「今は買い時か」「価格は今後どうなるか」と悩む方は少なくありません。価格推移を把握することで最適な売買タイミングを判断できます。

この記事では過去10年の戸建て価格推移を国土交通省等の公的データを元に解説します。全国動向、地域別価格差、変動要因、今後の見通しを公平に提示します。

国土交通省の不動産価格指数(2024年11月)によると、戸建価格は118.5と2010年(基準値100)から約1.2倍に上昇しています。この上昇の背景と今後の見通しを理解することが重要です。

この記事のポイント

  • 戸建価格は2010年から約1.2倍に上昇(国土交通省不動産価格指数118.5、2024年11月)
  • 新築戸建は2023年平均5,910万円(前年比+15.4%)と大幅上昇、建築資材高騰が主因
  • 中古戸建は首都圏で約1.4倍に上昇したが、2024年以降横ばいまたは微減傾向
  • 東京23区は上昇継続中だが、郊外や多摩地域は2023年後半から下落傾向で地域差が拡大
  • 建築コスト高は継続見込みで大幅下落は考えにくいが、在庫増加で価格調整の可能性も

(1) 購入・売却判断に価格推移を把握する必要性

価格推移を把握していないと以下のリスクがあります。

購入時のリスク: ピーク時購入後の下落、適正価格より高い購入、金利上昇で総支払額増加

売却時のリスク: 上昇局面で売却を急ぎ利益を逃す、下落局面で先延ばしし価値低下

アットホームの2025年版レポートでは、戸建て価格が11年連続で上昇しているものの、地域差が拡大しており、全国一律の判断は危険と指摘しています。

(2) 本記事で扱うデータの範囲(国土交通省等の公的データ)

本記事では信頼性の高いデータソースを使用します。

主要データソース: 国土交通省不動産価格指数(毎月約30万件の取引データ)、東京カンテイ、日経新聞・SUUMO等

対象期間: 過去10年(2014-2024年)、2025年1月時点の最新情報まで網羅

2. 戸建て価格の全国的な推移(過去10年のデータ)

戸建て価格は新築・中古ともに過去10年で大幅に上昇しています。ただし、上昇ペースや動向は物件タイプにより異なります。

(1) 不動産価格指数による推移(2010年=100→2024年118.5)

国土交通省の不動産価格指数(2024年11月)によると、戸建価格は118.5と前月比+1.4%上昇しました。2010年の基準値100と比較すると、約1.2倍の水準です。

不動産価格指数の推移:

戸建価格指数 変化率
2010年 100.0(基準) -
2015年 103.2 +3.2%
2020年 110.5 +10.5%
2024年11月 118.5 +18.5%

マンションの価格指数が210.7(2024年11月)と大幅に上昇しているのと比較すると、戸建ての上昇ペースは緩やかです。

(2) 新築戸建の価格推移(2023年5,910万円、前年比+15.4%)

SUUMOの2024年版レポートによると、新築戸建の価格は2023年全国平均5,910万円と前年比+789万円(+15.4%)の大幅上昇を記録しました。

新築戸建価格の推移:

全国平均価格 前年比
2020年 約4,300万円 -
2021年 約4,700万円 +9.3%
2022年 約5,100万円 +8.5%
2023年 5,910万円 +15.4%
2025年1月(首都圏) 4,720万円 +2.2%

2024年以降は月ごとに上昇・下落を繰り返しており、7月には5ヶ月ぶりに下落(前月比-0.2%、前年同月比-0.8%)しましたが、12月には4ヶ月連続で前年比プラス(+1.6%)に転じるなど、短期的には不安定な動きを見せています。

(3) 中古戸建の価格推移(首都圏2014年約3,000万円→2024年6月4,016万円)

中古戸建は新築以上に価格が上昇しています。日経新聞の報道によると、首都圏の中古戸建価格は2014年約3,000万円から2024年6月4,016万円と約1.4倍に上昇しました。

中古戸建価格の上昇要因:

  • 新築価格の高騰により中古への需要がシフト
  • コロナ後のリモートワーク普及で戸建需要が増加
  • 住宅ローン金利の低水準(2024年まで)

ただし、2024年以降は横ばいまたは微減傾向にあり、特に郊外エリアでは在庫増加により価格下落の可能性が指摘されています。

3. 地域別の価格動向と地域差の拡大

戸建て価格の推移は地域により大きく異なります。全国平均データだけで判断すると、誤った判断をする可能性があります。

(1) 東京23区の上昇継続(2024年約3,000万円上昇)

日経新聞の2024年版分析によると、東京23区では2024年に約3,000万円の価格上昇が見られました。都心部の需要は依然として強く、価格は高止まりしています。

東京23区で価格上昇が続く理由: 利便性の高さ、限られた土地供給、富裕層の底堅い需要

(2) 郊外・多摩地域の頭打ちまたは下落傾向(2023年後半〜)

一方、郊外や多摩地域では2023年後半から価格が頭打ちまたは下落傾向にあります。

日経新聞は、在庫数が増加傾向にあり、コロナ後に増加した在庫調整が進行中と報じています。これにより今後価格下落の可能性が高いとの見方があります。

郊外で価格が下落傾向にある理由: コロナ後需要増加の一巡、在庫増加で供給過多、金利上昇で予算縮小

(3) 首都圏・地方別の違い

首都圏以外の地方都市でも価格動向は異なります。

地方都市の傾向:

  • 政令指定都市の中心部は比較的堅調
  • 郊外や過疎地域は人口減少により需要が低迷
  • 新築は建築コスト高騰で価格上昇、中古は需要不足で横ばいまたは下落

購入・売却を検討する際は、全国平均ではなく、対象地域の個別データを確認することが極めて重要です。

4. 戸建て価格上昇・変動の主要要因

戸建て価格が上昇・変動する要因は複数あります。それぞれを理解することで、今後の動向を見極める手がかりになります。

(1) 建築資材・人件費の高騰(ウッドショック、円安)

SUUMOによると、建築資材・人件費の高騰が価格上昇の最大要因です。

ウッドショック(2021年頃): コロナにより世界的な木材需要増加、価格高騰で建築コスト大幅上昇

円安の影響: 輸入木材・資材コスト上昇、2024年現在も継続

人件費の高騰: 建設業の人手不足、職人高齢化と若手不足

これらの要因は今後も継続見込みで、新築価格の大幅な下落は考えにくいとの見方が専門家の間で多数を占めています。

(2) コロナ後の戸建需要増加

コロナ禍により、リモートワークが普及し、戸建て需要が急増しました。

需要増加の背景: リモートワークで広い住空間が必要、庭等の屋外スペース需要、都心から郊外へ移住

ただし、2024年現在はオフィス回帰の動きもあり、この需要増加は一巡しつつあります。

(3) 住宅ローン金利の動向(2025年春以降上昇傾向)

住宅ローン金利は戸建て購入の総支払額に大きく影響します。

金利動向: 2024年まで低金利継続(変動金利0.3〜0.5%)、2025年春以降上昇傾向

金利上昇の影響: 総返済額増加で購入予算縮小、購入希望者減少で需要低下の可能性

住宅ローン金利の動向も合わせて検討することが重要です。

(4) 在庫増加による価格調整の可能性

日経新聞によると、在庫数が増加傾向にあり、コロナ後に増加した在庫調整が進行中です。

在庫増加の影響: 売れ残り物件増加で価格競争激化、販売期間長引き値下げ物件増加

これにより、郊外エリアを中心に今後価格下落の可能性が指摘されています。

5. 今後の価格見通しと売買タイミングの考え方

今後の戸建て価格はどうなるのか、購入・売却のタイミングをどう考えるべきかを解説します。

(1) 建築コスト高は継続見込み(大幅下落は考えにくい)

三井のリハウスの2024年版分析では、建築コスト高は継続見込みで、新築戸建の大幅な価格下落は考えにくいとの見解が示されています。

建築コスト高が継続する理由: 円安傾向継続、建設業の人手不足は短期的に解消困難、省エネ基準強化で新築コスト上昇の可能性

ただし、在庫調整により一時的な価格調整(5〜10%程度の下落)はあり得るとの見方もあります。

(2) 地域別の判断(都心部は高止まり、郊外は下落可能性)

地域により今後の動向は異なります。

都心部(東京23区等): 需要底堅く大幅下落は期待薄、高値水準継続の可能性

郊外・地方: 在庫増加で今後下落の可能性、需要一巡で供給過多

購入を検討する場合は、対象地域の在庫状況や需給バランスを確認することが重要です。

(3) 購入タイミングの検討ポイント(金利動向も含む)

購入タイミングは個別の状況により異なりますが、以下のポイントを検討すべきです。

購入を急ぐべきケース: 金利上昇前に固定金利でローン、都心部で価格下落期待薄、子ども入学等の生活上の都合

購入を待つべきケース: 郊外で在庫増加により価格下落期待、金利上昇後の価格調整見込み、資金計画に余裕あり

売却タイミングの検討ポイント: 都心部は高値水準で売却好機、郊外は早めの売却検討、金利上昇で需要減少前に売却希望なら早めに動く

いずれの場合も、不動産会社やファイナンシャルプランナー等の専門家に相談し、個別の状況に応じた判断を行うことを推奨します。

まとめ:状況別の判断ポイントと次のアクション

戸建て価格は過去10年で約1.2倍に上昇しましたが、今後の動向は地域により大きく異なります。東京23区等の都心部は高止まりが続く一方、郊外や地方では在庫増加により価格下落の可能性が指摘されています。

建築コスト高は継続見込みで新築の大幅下落は考えにくいものの、住宅ローン金利の上昇や在庫調整により一時的な価格調整はあり得ます。購入・売却のタイミングは、対象地域の個別データ、住宅ローン金利動向、個人の資金計画等を総合的に検討して判断する必要があります。

全国平均データだけに頼らず、対象地域の在庫状況・需給バランスを確認し、信頼できる不動産会社や専門家(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー等)に相談しながら、最適な判断を行ってください。

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よくある質問

Q1戸建て価格はここ数年でどのくらい上昇したのか?

A1国土交通省の不動産価格指数によると、全国平均で118.5(2010年=100、2024年11月)と約1.2倍に上昇しています。新築戸建は2023年平均5,910万円(前年比+15.4%)と大幅上昇し、中古戸建は首都圏で2014年約3,000万円から2024年6月4,016万円と約1.4倍に上昇しました。ただし2024年以降は横ばいまたは微減傾向にあります。

Q2新築と中古でどちらが価格上昇率が高いのか?

A2過去10年で見ると中古戸建の方が上昇率が高い傾向にあります。首都圏で約1.4倍(2014-2024年)と、新築の上昇率を上回っています。これは新築価格の高騰により中古への需要がシフトしたことが要因です。ただし2024年以降は横ばいまたは微減傾向で、特に郊外エリアでは地域差が拡大しています。

Q3今後も戸建て価格は上昇し続けるのか?

A3建築コスト高は継続見込みで、新築の大幅な価格下落は考えにくいとの見方が多数です。ただし在庫増加により一時的な価格調整(5〜10%程度の下落)の可能性も指摘されています。地域により異なるため、全国平均データだけでなく、購入・売却を検討する地域の個別データを確認することが重要です。

Q4地域によって価格動向にどのような違いがあるのか?

A4東京23区等の都心部は2024年に約3,000万円上昇し、高値水準が継続しています。一方、郊外や多摩地域は2023年後半から下落傾向にあり、在庫増加により今後さらに価格下落の可能性が高いとされています。都心部と郊外で地域差が拡大しており、一律の判断は危険です。

Q5今が買い時なのか、それとも価格下落を待つべきか?

A5地域により異なります。都心部は高止まりで大幅下落は期待薄のため、希望エリアなら購入を検討する価値があります。郊外は在庫増で今後下落の可能性があるため、様子見も選択肢です。ただし住宅ローン金利が2025年春以降上昇傾向にあり、総支払額が増加する可能性もあります。不動産会社やファイナンシャルプランナー等の専門家への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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