不動産仲介会社の重要性
不動産の売却や購入を検討する際、どの仲介会社を選ぶかは、取引の成否を大きく左右します。大手から地域密着型まで多くの選択肢がある中で、「実績のある会社はどこか」「自分の物件に最適な会社はどれか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2025年の不動産仲介ランキング、主要企業の特徴、選び方のポイントを、不動産流通推進センターのデータや業界統計を元に解説します。
ランキング上位の会社を知るだけでなく、自分の物件に最適な仲介会社を見極めるための判断基準が得られます。
この記事のポイント
- 売買仲介では三井不動産リアルティ(三井のリハウス)が39年連続1位、賃貸仲介では大東建託グループが10年近く1位
- 上位3社(三井のリハウス、東急リバブル、住友不動産ステップ)で業界全体の売上・仲介件数の6割を占める
- 仲介会社は得意分野が異なるため、物件の種類・立地に応じた選択が重要
- 仲介手数料は法律で上限が定められており、400万円超の物件では「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限
- 複数社に査定依頼し、査定額の根拠を確認することが重要
2025年不動産仲介ランキング
(1) 売買仲介TOP10(仲介件数・店舗数比較)
2025年の売買仲介ランキングでは、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)が1986年から39年連続で1位を維持しています。
主要な売買仲介会社の特徴は以下の通りです。
| 会社名 | 特徴 |
|---|---|
| 三井不動産リアルティ(三井のリハウス) | 39年連続仲介件数1位、全国ネットワーク |
| 東急リバブル | 取扱高1兆円超え、都市部に強み |
| 住友不動産ステップ | 取扱高1兆円超え、マンション・戸建てに強み |
| 野村不動産ソリューションズ | 取扱高1兆円超え、高級物件に強み |
注意: ランキングデータは2024年4月~2025年3月の各社決算データを基にしています。最新の実績は各社公式サイトでご確認ください。
(2) 賃貸仲介TOP10
賃貸仲介では、大東建託グループが10年近く1位を維持しています。
賃貸仲介は売買仲介とは異なる強みが求められ、管理物件数や地域ネットワークが重要になります。
(3) 上位3社のシェア(業界の6割を占める)
売買仲介の上位3社(三井のリハウス、東急リバブル、住友不動産ステップ)は、業界全体の売上・仲介件数の6割を占めています。
これらの大手は、全国規模のネットワーク、豊富な物件情報、充実したサポート体制を持つという共通点があります。
(4) 上位4社の取扱高(1兆円超え)
東急リバブル、三井不動産リアルティ、住友不動産ステップ、野村不動産ソリューションズの上位4社は、取扱高が1兆円を超えています。
取扱高は不動産仲介会社が扱った物件の売買価格の合計額で、会社の規模と実績を示す指標の一つです。
主要企業の特徴と強み
(1) 三井不動産リアルティ(三井のリハウス)の実績(39年連続1位)
**三井不動産リアルティ(三井のリハウス)**は、売買仲介で39年連続1位の実績を持つ最大手です。
強み:
- 全国ネットワーク: 全国の店舗網により、広範囲の物件情報を提供
- 豊富な実績: 長年の実績により、信頼性が高い
- サポート体制: 売却後のアフターサービスも充実
(2) 東急リバブル・住友不動産ステップの特徴
東急リバブルと住友不動産ステップは、取扱高1兆円を超える大手仲介会社です。
東急リバブル:
- 都市部(特に東京・神奈川)に強み
- 東急沿線の物件情報が豊富
- デジタル化を推進(オンライン内見、電子契約等)
住友不動産ステップ:
- マンション・戸建ての売買に強み
- 住友不動産グループの物件情報を活用
- アフターサポートが充実
(3) 大東建託グループ(賃貸仲介10年近く1位)
大東建託グループは、賃貸仲介で10年近く1位を維持している会社です。
強み:
- 自社で管理する賃貸物件が多数
- 管理物件の詳細情報を持つ
- 賃貸経営のサポート体制が充実
(4) 総合仲介会社・管理会社系・デベロッパー系・ネット系の違い
不動産仲介会社は、以下のように分類できます。
| 分類 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| 総合仲介会社 | 物件情報が豊富、全国ネットワーク | 三井のリハウス、東急リバブル |
| 管理会社系 | 自社管理物件の詳細情報あり、アフターサポート充実 | 大東建託、住友不動産ステップ |
| デベロッパー系 | 新築物件に強み | 野村不動産ソリューションズ |
| ネット系 | 仲介手数料が低額または無料 | SRE不動産、REDS |
それぞれの分類で強み・弱みがあるため、自分の物件に合った分類の会社を選ぶことが重要です。
不動産仲介会社の選び方
(1) 得意分野の確認(投資用、商業地、住宅など)
不動産仲介業者は得意分野が異なるため、売りたい物件の種類に特化した業者を選ぶことが重要です。
物件種別と得意分野の例:
- 投資用物件: 投資物件に特化した会社(収益性の分析が得意)
- 商業地: 商業物件に強い会社(テナント探しのネットワークあり)
- 住宅(マンション・戸建て): 住宅売買に強い大手総合仲介会社
- 地域密着型: 地元に強い中小会社(地元ネットワークを活用)
各社の公式サイトで、得意分野を確認することができます。
(2) 営業マンとの相性・対応速度の確認
担当営業マンとの相性や対応の速さも重要です。
契約まで何度もやり取りするため、以下のポイントを確認しましょう。
- 連絡の速さ: 質問に迅速に回答してくれるか
- 説明の丁寧さ: 専門用語を分かりやすく説明してくれるか
- 提案力: 物件の強みを活かした販売戦略を提案してくれるか
最初の面談や査定時の対応を見て、信頼できる担当者かどうかを判断しましょう。
(3) 公式サイトでの強み・実績・得意エリア確認
各社の公式サイトでは、以下の情報を確認できます。
- 実績: 仲介件数、取扱高、顧客満足度
- 得意エリア: 強みを持つ地域
- サービス内容: 売却サポート、買取保証、リフォーム等
これらの情報を比較検討することで、自分の物件に最適な会社を見極めることができます。
(4) 複数社への査定依頼と根拠確認
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠を確認することが重要です。
注意点:
- 極端に高い査定額は要注意: 媒介契約を取るための「高値吊り上げ」の可能性がある
- 査定額の根拠を確認: 周辺の成約事例、物件の特徴、市場動向を基に説明してもらう
- 3社以上に依頼: 査定額の相場感を把握するため、複数社(3社以上推奨)に依頼
(5) 行政処分歴の確認(国土交通省ネガティブ情報検索サイト)
国土交通省の「ネガティブ情報検索サイト」で、不動産業者の行政処分歴を確認できます。
依頼前に必ず確認し、過去に重大な違反がないかチェックしましょう。
仲介手数料の仕組み
(1) 法定上限(400万円超:売買価格×3%+6万円+消費税)
仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められています。
400万円超の物件の場合:
仲介手数料 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
例: 3,000万円の物件を売却した場合
3,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 105.6万円(税込)
ほとんどの会社が、この上限を請求します。
(2) 低額物件の特例(800万円以下:30万円+税、2024年7月1日~)
2024年7月1日から、800万円以下の低額物件に対する特例が適用されました。
800万円以下の物件の場合:
- 仲介手数料の上限は30万円+税(売主・買主合計で60万円+税)
これにより、低額物件の仲介がしやすくなりました。
(3) 成功報酬型の仕組み
仲介手数料は成功報酬型です。
特徴:
- 契約が成立した場合のみ支払う
- 契約が不成立の場合は支払い不要
- ただし、契約後のキャンセルは違約金が発生する場合がある
(4) 仲介手数料の割引ケース
一部の会社では、仲介手数料の割引や無料サービスを提供しています。
注意点:
- 一般的に半額や無料は特定の物件種別や条件付きのことが多い
- サービス内容・対応範囲を確認する
- 極端に安い場合は理由を必ず確認する
仲介手数料が安いからといって必ずしもお得とは限らず、サービス品質とのバランスを見極めることが重要です。
まとめと注意点
(1) ランキング上位が必ずしも最適とは限らない
ランキング上位の大手だからといって、必ずしも自分の物件に最適とは限りません。
物件の種類・立地により得意不得意があるため、以下のポイントを確認しましょう。
- 得意分野が自分の物件と合致しているか
- 得意エリアが物件の立地と合致しているか
- サービス内容が自分のニーズに合っているか
(2) 高値吊り上げの見極め方
査定額が極端に高い場合は、媒介契約を取るための**「高値吊り上げ」**の可能性があります。
見極め方:
- 査定額の根拠を詳しく聞く(周辺の成約事例、物件の特徴、市場動向)
- 複数社の査定額を比較する
- 極端に高い査定額は疑う
(3) 媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)
不動産会社に売却を依頼する際は、媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あります。
| 契約種類 | 特徴 | REINS登録義務 |
|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 1社のみに依頼、自己発見取引も禁止 | 5日以内 |
| 専任媒介 | 1社のみに依頼、自己発見取引は可能 | 7日以内 |
| 一般媒介 | 複数社に同時依頼可能 | なし |
**REINS(レインズ)**は、国土交通大臣指定の不動産流通標準情報システムで、物件情報を共有するネットワークです。
それぞれの契約にメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った契約を選びましょう。
(4) 専門家への相談推奨
不動産仲介業者の選定には専門知識が必要な場合があります。
以下の専門家に相談することをおすすめします。
- 宅地建物取引士: 不動産取引の専門家
- ファイナンシャルプランナー: 資金計画の専門家
- 税理士: 税金(譲渡所得税等)の専門家
まとめ
不動産仲介会社の選定は、取引の成否を大きく左右します。2025年の売買仲介ランキングでは三井不動産リアルティ(三井のリハウス)が39年連続1位、賃貸仲介では大東建託グループが10年近く1位を維持しています。
上位3社(三井のリハウス、東急リバブル、住友不動産ステップ)で業界全体の売上・仲介件数の6割を占めていますが、ランキング上位が必ずしも最適とは限りません。
仲介会社は得意分野が異なるため、物件の種類・立地に応じた選択が重要です。得意分野の確認、営業マンとの相性、複数社への査定依頼、査定額の根拠確認、行政処分歴の確認を行い、総合的に判断しましょう。
仲介手数料は法律で上限が定められており、400万円超の物件では「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。800万円以下の低額物件は30万円+税が上限となりました(2024年7月1日~)。
信頼できる不動産仲介会社を選び、納得のいく取引を実現しましょう。
