不動産一括査定のデメリットと賢い活用法【2025年版】
不動産売却を検討している方の中には、「一括査定サービスは便利そうだけれど、営業電話がすごいと聞いて不安」「査定額どおりに売れるのか」と悩んでいる方は少なくありません。
この記事では、不動産一括査定のデメリット、メリット、賢い活用法を、公式データと実例を元に解説します。一括査定は便利ですが、営業電話や査定額のばらつきなど複数のデメリットがあります。デメリットを理解した上で活用すれば、物件の適正価格を把握し、信頼できる不動産会社を見つけることができます。
初めて不動産売却をする方でも、一括査定のリスク・活用法・トラブル回避策を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 不動産一括査定は複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼できるサービスで、時間と手間を削減できる
- デメリットは営業電話の多さ、査定額のばらつき、個人情報の共有リスクなど
- 査定依頼は2-3社に絞ることで、営業電話の負担を軽減できる
- 査定額は売却価格ではなく予測値と理解し、根拠を必ず確認する
不動産一括査定とは
不動産一括査定は、複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼できるサービスです。
不動産一括査定の定義と仕組み
不動産一括査定は、物件情報(所在地、広さ、築年数等)を入力すると、提携している複数の不動産会社が査定を行うサービスです。
仕組み:
- 査定サイトに物件情報を入力
- サイトが提携している不動産会社に情報を送信
- 各社が査定を行い、結果を提示
- 複数社の査定を比較し、媒介契約を結ぶ会社を選択
無料で利用できる理由(不動産会社からの広告料)
一括査定サービスは、利用者は無料で利用できます。
無料の理由:
- 不動産会社がサイトに広告料を支払っている
- 査定依頼1件あたりで課金される仕組み
- 不動産会社は顧客獲得のための広告費として支払う
サイト運営会社は、不動産会社からの広告料で運営されています。
2024年の利用動向(SUUMOが利用率49.1%)
2024年の不動産一括査定サイトの利用動向では、以下の傾向が見られます。
- SUUMOが最も利用されている(49.1%の利用率)
- LIFULL HOME'Sが訪問査定率1位(34.2%)を4年連続で獲得
- 2024年10月頃から一括査定サイトからの紹介数が月約400件減少傾向
不動産一括査定の仕組みとメリット
一括査定のメリットを理解した上で、デメリットを検討することが重要です。
複数社への一括依頼が可能(時間と手間の削減)
メリット:
- 一度の入力で複数社に査定依頼できる
- 各社に個別に連絡する手間が省ける
- 時間を大幅に削減できる
従来の方法では、各社に個別に連絡し、物件情報を繰り返し説明する必要がありました。一括査定では、一度の入力で複数社に依頼できます。
適正価格の把握(複数社の査定を比較)
複数社の査定を比較することで、物件の適正価格を把握できます。
比較のメリット:
- 1社のみの査定では、査定額が適正かどうか判断できない
- 複数社の査定を比較することで、相場を把握できる
- 不当に高い・低い査定を見極められる
机上査定と訪問査定の選択
一括査定では、以下の2種類の査定方法を選択できます。
机上査定(簡易査定):
- 物件データのみで行う査定
- 訪問なしで数日以内に結果が出る
- 営業電話を避けたい場合に適している
訪問査定(詳細査定):
- 実際に物件を見て行う査定
- 1週間程度で結果が出る
- より正確な査定額が得られる
不動産一括査定のデメリット
一括査定には、以下のようなデメリットがあります。
頻繁な営業電話(6社依頼で週60件以上の着信も)
最大のデメリットは、複数社から頻繁な営業電話がかかってくることです。
実態:
- 6社に依頼した場合、週60件以上の着信があるケースも
- 査定依頼後、数分以内に電話がかかってくることが多い
- 断っても連絡が続くケースがある
営業電話が負担になり、一括査定を後悔する利用者も少なくありません。
査定額のばらつきと信憑性の問題
複数社の査定額にばらつきがあり、どれが正しいのか判断が難しいケースがあります。
問題点:
- 自社を選んでもらうため、不当に高い査定額を提示する会社がある
- 査定額の根拠が不明確な場合がある
- 査定額と実際の売却価格が異なり、資金計画が狂う可能性
査定額はあくまで「予測値」であり、実際の売却価格とは異なることを理解する必要があります。
個人情報の共有リスク
一括査定を利用すると、個人情報が複数の不動産会社に共有されます。
リスク:
- 氏名、住所、電話番号、物件情報が複数社に共有される
- 顧客リストに追加され、継続的な営業対象になる
- 第三者への情報提供のリスク(サイトのプライバシーポリシーを確認)
個人情報の取り扱いに関するサイトのセキュリティ対策を事前に確認することが重要です。
提携会社以外は選択肢に現れない
一括査定サイトでは、提携している不動産会社のみが選択肢に現れます。
問題点:
- 地域密着の優良業者が提携していない場合、選択肢に現れない
- 提携会社のみの比較となり、全体的な相場が把握しにくい
- サイトにより提携会社が異なる
地域密着の不動産会社を検討したい場合は、別途個別に査定を依頼する必要があります。
査定額と実際の売却価格の乖離
査定額と実際の売却価格が異なるケースが多くあります。
実態:
- 査定額は「売却可能価格の予測値」であり、保証されるものではない
- 実際の売却価格は、査定額より低いことが多い
- 市場の変動、買い手の有無により価格は変動する
査定額を過信し、資金計画を立てると、計画が狂うリスクがあります。
デメリットを回避する賢い活用法
デメリットを理解した上で、以下の方法で賢く活用できます。
査定依頼は2-3社に絞る
推奨方法:
- 査定依頼は2-3社に絞る
- 多すぎると営業電話が負担になる
- 少なすぎると適正価格の把握が難しい
2-3社の査定を比較することで、適正価格を把握しつつ、営業電話の負担を軽減できます。
査定額の根拠を必ず確認する
査定額を提示された際には、必ず根拠を確認しましょう。
確認すべき点:
- 周辺の取引事例
- 査定額の算出方法
- 市場の動向
根拠が不明確、または不当に高い査定を提示する会社は避けるべきです。
机上査定(訪問なし)を選択する
営業電話を避けたい場合は、机上査定(訪問なし)を選択しましょう。
メリット:
- 訪問査定に比べて営業圧力が少ない
- 数日以内に結果が出る
- 複数社の査定を比較しやすい
机上査定で大まかな相場を把握した後、興味のある1-2社に訪問査定を依頼する方法が推奨されます。
個人情報の取り扱いに関するセキュリティ対策を確認
一括査定サイトを利用する前に、個人情報の取り扱いに関するセキュリティ対策を確認しましょう。
確認すべき点:
- プライバシーポリシーの内容
- 第三者への情報提供の有無
- SSL暗号化通信の有無
信頼できるサイトを選ぶことが重要です。
よくあるトラブルと対処法
一括査定を利用した際のトラブルと対処法を解説します。
営業電話が止まらない場合の対処法
対処法:
- 明確に断る: 「売却の予定はありません」「他社に決めました」と明確に伝える
- 査定サイトに連絡停止を依頼: サイトの問い合わせ先に連絡停止を依頼
- 専門家への相談: それでも連絡が続く場合は、宅建士や弁護士に相談
不当に高い査定額を提示された場合
不当に高い査定額を提示された場合は、根拠を確認しましょう。
見極め方:
- 他社の査定額と大きく乖離している
- 根拠が不明確
- 「この価格で売れます」と断定的な表現
このような会社は、媒介契約を結んだ後に「売れないので値下げしましょう」と提案するケースがあります。
断っても連絡が続く場合の対応
対応方法:
- 書面で通知: 連絡停止を書面(メール・郵送)で通知
- 消費者センターに相談: 執拗な営業は特定商取引法違反の可能性
- 弁護士への相談: 法的措置を検討
まとめ:状況別の選び方
不動産一括査定は、複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼できる便利なサービスです。時間と手間を削減でき、適正価格を把握できます。
デメリット:
- 頻繁な営業電話(6社依頼で週60件以上の着信も)
- 査定額のばらつきと信憑性の問題
- 個人情報の共有リスク
- 提携会社以外は選択肢に現れない
- 査定額と実際の売却価格の乖離
賢い活用法:
- 査定依頼は2-3社に絞る
- 査定額の根拠を必ず確認する
- 机上査定(訪問なし)を選択する
- 個人情報の取り扱いに関するセキュリティ対策を確認
状況別の選び方:
- 時間がない、複数社を比較したい → 一括査定を利用
- 営業電話を避けたい → 机上査定を選択、または地域密着の1-2社に個別依頼
- じっくり検討したい → 一括査定で相場を把握後、1-2社に訪問査定を依頼
不動産売却は大きな決断です。一括査定のデメリットを理解した上で、信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、慎重に進めましょう。
