戸建て査定とは?なぜ重要なのか
戸建ての売却を検討する際、「査定とはどういうものか」「どこに依頼すればいいのか」「査定額を高くするにはどうすればいいか」という疑問が浮かびます。
戸建て査定とは、不動産会社が物件の売却予想価格を算出するプロセスです。査定額は売却価格の目安となり、複数社に依頼することで数百万円の差が出ることもあります。
この記事では、戸建て査定の基礎知識(種類・流れ・費用)、査定額の決まり方、高額査定を得るためのコツ、査定業者の選び方を、国土交通省や国税庁の公式データを元に解説します。
初めて戸建てを売却する方でも、査定の仕組みから業者選びまで、全体像を把握できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建て査定は複数社(3社以上)に依頼することで数百万円の差が出ることがある
- 査定方法には机上査定(簡易)と訪問査定(詳細)の2種類がある
- 査定額は立地・築年数・建物状態・相場動向で決まる
- 木造戸建ては築10年で建物価値が約半分、築20年で約1割、築22年超で「古家付き土地」として評価される傾向
- 2025年の戸建て相場は上昇傾向、国土交通省の不動産価格指数は144.1(2010年=100基準)
戸建て査定の基礎知識(種類・流れ・費用)
(1) 机上査定と訪問査定の違い
戸建て査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定(詳細査定)の2種類があります。
| 項目 | 机上査定 | 訪問査定 |
|---|---|---|
| 方法 | 物件情報(立地・築年数・面積等)のみで算出 | 不動産会社が実際に現地を確認 |
| 期間 | 即日〜数日 | 1週間程度 |
| 精度 | 概算(相場の目安) | より正確 |
| 用途 | 売却検討の初期段階 | 本格的な売却準備 |
売却を迷っている段階では机上査定、売却を決めた段階では訪問査定を選ぶのが一般的です。
(2) 査定の流れと必要な期間
戸建て査定の基本的な流れは以下の通りです。
- 査定依頼: 不動産会社または一括査定サイトに依頼
- 机上査定(即日〜数日): 物件情報をもとに概算価格を算出
- 訪問査定(1週間程度): 実際に物件を訪問し、詳細な査定
- 査定書の提出: 査定額と根拠を記載した書面を受領
- 媒介契約(任意): 売却を依頼する場合は契約を締結
複数社に依頼する場合は、同時期に依頼して比較するとスムーズです。
(3) 査定費用はかかるのか
ほとんどの不動産会社で査定は無料です。机上査定・訪問査定いずれも無料で依頼できるのが一般的です。
ただし、媒介契約を結んで実際に売却が成立した場合は、仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税が上限)が発生します。
査定額はどうやって決まるのか
(1) 査定で見られるポイント(立地・築年数・建物状態)
戸建ての査定では、以下のポイントが評価されます。
立地条件:
- 駅からの距離(徒歩10分以内が有利)
- 周辺環境(スーパー・学校・病院等の施設)
- 治安・騒音・日当たり
築年数:
- 木造戸建ては築年数で大きく価値が下がる
- 築10年:建物価値が約半分
- 築20年:建物価値が約1割
- 築22年超:「古家付き土地」として評価される傾向
建物状態:
- 外壁・屋根の劣化状況
- 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の状態
- リフォーム・修繕履歴
- 間取り・設備の機能性
(2) 原価法と取引事例比較法
戸建ての査定では、以下の2つの方法が併用されることが多いです。
原価法:
- 建物を新築した場合の費用から築年数による減価を差し引いて算出
- 木造戸建ては耐用年数22年で計算されることが多い
取引事例比較法:
- 類似物件の成約事例と比較して査定価格を算出
- 同じエリア・同じ築年数・同じ広さの物件の取引価格を参考にする
(3) 築年数による価格下落の目安
木造戸建ては築年数により、以下のように建物価値が下落する傾向があります。
| 築年数 | 建物価値の目安 |
|---|---|
| 築0〜10年 | 新築価格の50〜100% |
| 築10〜20年 | 新築価格の10〜50% |
| 築20年以上 | 新築価格の約1割 |
| 築22年超 | ほぼゼロ(土地価格のみ) |
ただし、リフォームやメンテナンスの状態により、この限りではありません。
(4) 2025年の戸建て相場動向
国土交通省の不動産価格指数によると、2025年の戸建て相場は上昇傾向にあり、指数は144.1(2010年=100基準)で右肩上がりに推移しています。
これは、金融緩和による住宅ローン金利の低水準、リモートワークの普及による郊外住宅の需要増などが影響していると考えられます。
高額査定を得るためのコツ
(1) 複数社(3社以上)に査定依頼する
戸建て査定は複数社(3社以上)に依頼することで、数百万円の差が出ることがあります。不動産会社により査定基準や得意エリアが異なるため、複数社の査定額を比較することが重要です。
一括査定サイトを活用すると、1回の入力で複数社に依頼でき、効率的です。
(2) セールスポイントを明確に伝える
査定時には、物件のセールスポイントを積極的に伝えることが有効です。
伝えるべきポイント:
- リフォーム・修繕の履歴(外壁塗装、水回り改修等)
- 設備の特徴(床暖房、太陽光発電、耐震補強等)
- 周辺環境の魅力(公園が近い、学区が良い、閑静な住宅街等)
- 駐車場の有無、庭の広さ
これらを明確に伝えることで、査定額が上がる可能性があります。
(3) 修繕履歴をまとめておく
修繕履歴をまとめておくと、査定額が上がる可能性があります。特に、外壁塗装・屋根修理・水回り改修・耐震補強などの大規模修繕は、査定で評価される傾向があります。
修繕の領収書や工事内容をまとめた書類を準備しておくと、査定がスムーズに進みます。
(4) 売却タイミングを見極める
戸建ての売却タイミングは、相場動向や季節により異なります。
売却に適した時期:
- 春(2〜3月): 新年度に向けて引っ越しが多い時期
- 秋(9〜10月): 転勤・転職シーズンで需要が高まる
- 相場が上昇傾向の時: 2025年現在は上昇傾向
ただし、「相場が最高値のときに売る」ことは困難です。売却を決めたら早めに行動することを推奨します。
査定業者の選び方と注意点
(1) 大手と地域密着型の違い
不動産会社には、大手と地域密着型の2種類があります。
| 項目 | 大手不動産会社 | 地域密着型 |
|---|---|---|
| 強み | ブランド力、広告力、全国ネットワーク | 地域の相場に詳しい、柔軟な対応 |
| 買い手の範囲 | 全国・広域 | 地域内中心 |
| 対応 | システマティック | 担当者との距離が近い |
大手と地域密着型を含め、複数社に依頼することで、それぞれのメリットを活かせます。
(2) 極端に高い査定額には要注意
相場より極端に高い査定額を提示する不動産会社には注意が必要です。これは、媒介契約を取るための手口の可能性があります。
契約後に「この価格では売れない」と値下げを提案されるケースもあるため、査定額の根拠をしっかり確認しましょう。
(3) 媒介契約の種類と特徴
売却を依頼する際は、媒介契約を結びます。媒介契約には以下の3種類があります。
| 契約種類 | 複数社契約 | 自己発見取引 | レインズ登録 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | ❌ 不可 | ❌ 不可 | ✅ 必須(5日以内) |
| 専任媒介 | ❌ 不可 | ✅ 可能 | ✅ 必須(7日以内) |
| 一般媒介 | ✅ 可能 | ✅ 可能 | 任意 |
専属専任媒介・専任媒介は1社のみに依頼するため、担当者の熱意が高い傾向があります。一般媒介は複数社に依頼できますが、広告力が分散する可能性があります。
(4) 一括査定サイトの活用と注意点
一括査定サイトを活用すると、1回の入力で複数社に査定依頼でき、効率的です。ただし、以下の点に注意が必要です。
注意点:
- 複数社から電話がかかってくる可能性があり、対応の準備が必要
- 査定額の根拠をしっかり確認する(極端に高い査定額には要注意)
- 個人情報が複数社に渡るため、信頼できるサイトを選ぶ
まとめ:戸建て査定を成功させるために
戸建て査定は、売却を成功させるための第一歩です。複数社(3社以上)に査定依頼することで、数百万円の差が出ることもあるため、必ず複数社を比較しましょう。
査定額は、立地・築年数・建物状態・相場動向で決まります。木造戸建ては築10年で建物価値が約半分、築20年で約1割、築22年超で「古家付き土地」として評価される傾向がありますが、リフォーム・修繕履歴により価値が上がる可能性があります。
査定時には、セールスポイントを明確に伝え、修繕履歴をまとめておくことが有効です。また、極端に高い査定額を提示する不動産会社には注意が必要です。査定額の根拠をしっかり確認し、信頼できる業者を選びましょう。
査定価格はあくまで予想価格であり、実際の売却価格と異なる場合があります。売却時の税金計算や契約手続きについては、宅建士や税理士などの専門家に相談することを推奨します。
