不動産一括査定を実際に使ってみた理由
不動産売却を検討している方の中には、「一括査定サービスに興味はあるが、営業電話が多いという噂や、実際にどんな流れになるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。不動産一括査定は、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できる便利なサービスですが、利用前に実態を理解しておくことが重要です。
この記事では、不動産一括査定を実際に使った体験をもとに、申込の流れ、業者からの連絡、査定結果の比較、メリット・デメリット、注意点を詳しく解説します。国土交通省の不動産取引価格情報などの公的データも参考にしながら、賢い使い方をお伝えします。
初めて一括査定を使う方でも、利用の流れと注意点を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 不動産一括査定は一度の入力で複数社(4-5社程度)に査定依頼でき、時間短縮になる
- 査定額は会社によって70万円~500万円程度の差が出ることがあり、複数社比較で適正価格を把握できる
- 申込後1時間以内に複数の不動産会社から電話がかかってくることが一般的
- 査定額は過去の取引事例や市場データに基づく推定値であり、実際の売却価格とは異なる可能性が高い
- 営業電話を減らすコツは、連絡方法・時間帯の指定や業者数の絞り込みが有効
(1) 複数社の査定額を比較したい
不動産売却を検討する際、「うちの物件はいくらで売れるのか?」という疑問は誰もが持つものです。しかし、1社だけの査定では、その金額が適正かどうか判断できません。
一括査定サービスを使うと、一度の入力で4-5社程度に査定を依頼でき、同じ条件で比較できるため、適正価格を把握しやすくなります。実際に利用者アンケートでは、査定額が会社によって70万円~500万円程度の差が出るケースが報告されています。
(2) 適正な売却価格を知りたい
不動産の売却価格は、過去の取引事例、市場動向、物件の状態などさまざまな要因で決まります。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、2025年3月時点で約547万件の取引価格データが公開されており、相場の目安を確認できます。
一括査定サービスを活用することで、複数社の査定額と公的データを照らし合わせ、適正な売却価格を見極めることができます。
不動産一括査定の仕組みと基本
不動産一括査定の仕組みと、机上査定・訪問査定の違いを理解しましょう。
(1) 一括査定サービスの仕組み
不動産一括査定サービスは、以下のような仕組みで運営されています。
仕組み
- 利用者が一括査定サイトに物件情報を入力
- サイトが提携している不動産会社に情報を提供
- 不動産会社が査定を実施し、利用者に連絡
- 利用者が査定結果を比較し、媒介契約を締結する会社を選定
一括査定サイトは、提携会社から紹介料を受け取るビジネスモデルのため、利用者は無料でサービスを利用できます。
(2) 机上査定と訪問査定の違い
不動産査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上査定と訪問査定の比較
| 項目 | 机上査定(簡易査定) | 訪問査定(詳細査定) |
|---|---|---|
| 査定方法 | 物件情報のみで概算査定 | 実際に物件を訪問して詳細査定 |
| 所要時間 | 当日~3日程度 | 約1週間 |
| 精度 | 概算(±10-20%程度) | 高精度 |
| 訪問の必要 | なし | あり |
机上査定は手軽ですが、実際の売却価格との差が大きくなる可能性があります。正確な査定額を知りたい場合は、訪問査定を依頼することを推奨します。
(3) 主要サービスの比較(提携会社数・対応エリア)
2025年時点の主要サービスは以下の通りです。
主要サービスの比較
| サービス名 | 提携会社数 | 同時査定数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| HOME'S | 約4,800社 | 最大10社 | 提携数最多 |
| すまいValue | 大手6社 | 最大6社 | 大手専門 |
| SUUMO | 約2,000社 | 最大10社 | 大手から地域密着まで幅広い |
サービスによって提携会社数や対応エリアが異なるため、自分の物件に合ったサービスを選ぶことが重要です。
実際の利用体験:申込から査定結果まで
実際の利用体験を時系列で詳しく解説します。
(1) 申込手順と個人情報の入力
一括査定サービスの申込手順は以下の通りです。
申込手順
- 一括査定サイトにアクセス
- 物件情報を入力(住所、種別、面積、築年数等)
- 個人情報を入力(名前、電話番号、メールアドレス等)
- 査定を依頼する会社を選択(サイトが推奨する会社から選ぶ)
- 申込完了
個人情報(名前、電話番号、住所等)の入力が必須であり、匿名査定はほとんどのサービスで対応していません。プライバシー保護のため、各サービスの個人情報取り扱い規約を確認してください。
(2) 業者からの連絡と営業電話の実態
申込後、複数の不動産会社から1時間以内に電話がかかってくることが一般的です。
営業電話の実態
- 申込後1時間以内に電話がかかってくる
- 机上査定を希望しても訪問査定を要求されるケースが多い
- 会社によって対応の質が異なる(丁寧な会社もあれば、しつこい会社もある)
営業電話を減らすコツとしては、以下の方法が有効です。
- 連絡方法を「メール希望」と事前に指定する
- 連絡可能な時間帯を指定する
- 依頼する会社数を3-4社程度に絞る
(3) 査定結果の受け取りと査定額の差異
机上査定の場合、当日~3日程度で査定結果がメールまたは電話で届きます。訪問査定の場合は、約1週間で結果が出ます。
査定額の差異の例
実際の利用者アンケートでは、以下のような査定額の差が報告されています。
- A社:2,500万円
- B社:2,650万円
- C社:2,800万円
- D社:3,000万円(最高額との差:500万円)
査定額の差は、会社の評価基準や市場の見方の違いによるものです。査定額が極端に高い場合は、契約目的の「高値査定」の可能性があるため、根拠を必ず確認してください。
一括査定のメリット・デメリット
一括査定のメリット・デメリットを見ていきましょう。
(1) メリット:時間短縮・適正価格把握・比較検討
メリット
- 時間短縮:一度の入力で複数社に依頼でき、個別に連絡する手間が省ける
- 適正価格把握:複数社の査定額を比較することで、相場を正確に把握できる
- 比較検討:各社の対応や査定内容を比較し、信頼できる会社を選べる
- 競争原理:複数社が競うことで、より良い条件を引き出せる可能性がある
(2) デメリット:営業電話・個人情報拡散・査定額のバラつき
デメリット
- 営業電話:申込後に複数の会社から電話がかかってくる
- 個人情報拡散:複数の会社に個人情報が渡る
- 査定額のバラつき:会社によって査定額が大きく異なり、判断が難しい
- しつこい営業:一部の会社はしつこく営業してくる可能性がある
(3) 実際の利用者の本音(アンケート結果より)
マイナビニュースの調査(利用者30人へのアンケート)では、以下のような本音が報告されています。
利用者の本音
- 「査定額の差に驚いた。複数社比較して良かった」(ポジティブ)
- 「営業電話が多くて疲れた。事前に心構えが必要」(ネガティブ)
- 「机上査定だけで済ませたかったが、訪問査定を強く勧められた」(ネガティブ)
- 「信頼できる会社を見つけられた。一括査定を使わなければ出会えなかった」(ポジティブ)
失敗しないための注意点とトラブル対処法
失敗しないための注意点とトラブル対処法を確認しておきましょう。
(1) 査定額の正しい見方(高値査定の罠)
査定額は過去の取引事例や市場データに基づく推定値であり、実際の売却価格とは異なる可能性が高いです。
高値査定の罠
一部の不動産会社は、契約を取るために意図的に高い査定額を提示することがあります。査定額が極端に高い場合は、以下の点を確認してください。
- 査定の根拠(取引事例、市場動向、物件特性)を説明してもらう
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで実際の取引価格を確認する
- 複数社の査定額を比較し、極端に高い会社は慎重に検討する
査定額の高さだけで業者を選ぶと、結果的に売れずに値下げを繰り返すリスクがあります。
(2) 営業電話を減らすコツ
営業電話を減らすコツは以下の通りです。
営業電話を減らすコツ
- 連絡方法を「メール希望」と事前に指定する
- 連絡可能な時間帯を指定する(平日18時以降、土日のみ等)
- 依頼する会社数を3-4社程度に絞る
- 机上査定のみを希望する旨を明記する
一部のサービスでは、連絡方法や時間帯を事前に指定できる機能があるため、活用を推奨します。
(3) しつこい営業への対処法と個人情報保護
しつこい営業への対処法は以下の通りです。
しつこい営業への対処法
- 断る意思を明確に伝える(「他社に決めました」等)
- 連絡を控えてほしい旨を伝える
- それでも連絡が続く場合は、消費者センターや宅建業法の監督官庁(都道府県庁)に相談
個人情報保護については、各サービスの個人情報取り扱い規約を確認し、不安がある場合は利用を控えることも選択肢の一つです。
まとめ:一括査定を賢く使うポイント
不動産一括査定は、一度の入力で複数社に査定を依頼でき、適正価格を把握できる便利なサービスです。査定額は会社によって70万円~500万円程度の差が出ることがあり、複数社比較が重要です。
一方で、申込後1時間以内に複数の会社から電話がかかってくることや、査定額は実際の売却価格とは異なる可能性があることを理解しておく必要があります。
一括査定を賢く使うためには、以下のポイントを確認してください。
確認ポイント
- 査定額の高さだけで業者を選ばず、根拠を必ず確認する
- 営業電話を減らすコツ(連絡方法・時間帯の指定、業者数の絞り込み)を活用する
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで実際の取引価格を確認する
- 個人情報の取り扱いやプライバシー保護を各サービスの規約で確認する
- しつこい営業には断る意思を明確に伝える
不動産売却は人生の大きな決断です。信頼できる不動産会社や専門家(宅地建物取引士)に相談しながら、無理のない計画を立てましょう。一括査定サービスを上手に活用し、適正価格での売却を実現してください。
