注意すべき不動産会社の見極め方:トラブル回避のためのチェックポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/24

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注意すべき不動産会社の見極め方:トラブル回避のためのチェックポイント

不動産取引は人生で最も大きな金額の決断の一つです。「危ない不動産会社に騙されたらどうしよう」「信頼できる会社をどう見分ければいいのか」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、問題のある不動産会社を見極めるためのチェックポイント、公的機関が提供する確認ツールの使い方、トラブル回避の実践的な方法を解説します。国土交通省が提供する公式の検索システムや、業界団体の情報を活用することで、自分自身で安全性を確認できるようになります。

この記事のポイント

  • 公式の「危ない不動産会社リスト」は存在しないが、国土交通省の検索システムで行政処分歴を確認できる
  • 契約を急がせる、おとり物件を使う、仲介手数料が不透明など、悪質な業者には共通の特徴がある
  • 複数の不動産会社から査定を取り、契約内容を書面で確認することでトラブルを防げる
  • 宅建業免許の確認、経営実績の調査、担当者の対応チェックで信頼できる会社を選べる
  • トラブル発生時は宅地建物取引業協会や消費生活センターに相談できる

1. なぜ不動産会社選びが重要なのか:トラブル急増の実態

(1) 不動産会社の倒産件数が過去最多:2023年の統計

2023年の不動産会社の倒産件数は120件と過去最多を記録し、2022年比で74%増加しました。2024年も不動産会社の倒産リスクが高まっており、特に東京・大阪などの都市部に集中しています。

倒産リスクが高まっている主な要因は以下の通りです。

要因 内容
金利上昇 住宅ローン金利の上昇により、不動産取引が減少
建築コスト増 資材価格・人件費の高騰により、利益率が低下
競争激化 大手ポータルサイトの台頭により、中小業者の経営が圧迫

不動産取引の途中で会社が倒産すると、契約が履行されない、預けた手付金が返ってこないなどの重大なトラブルに発展する可能性があります。

(2) 悪質な手口による消費者被害の実態

不動産取引では、以下のような悪質な手口による消費者被害が報告されています。

  • おとり物件: 実際には取引できない魅力的な条件の物件を広告に掲載し、顧客を集める手法
  • 誇大広告: 「駅徒歩3分」が実際は10分以上、「リフォーム済み」が軽微な補修のみ
  • 契約の圧力: 「今日中に決めないと他の人に取られる」と不安を煽る
  • 仲介手数料の不当請求: 法定上限(物件価格の3%+6万円+消費税)を超える請求

これらの被害を防ぐためには、公的機関が提供する情報を活用し、自分自身で不動産会社の信頼性を確認することが重要です。

2. 危ない不動産会社の確認方法:公的機関の活用

(1) 国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」の使い方

国土交通省は、行政処分を受けた宅地建物取引業者を検索できる公式システムを提供しています。

検索できる情報:

  • 過去5年分の行政処分情報
  • 免許取消、業務停止、指示などの処分内容
  • 処分理由(宅建業法違反の内容)

使い方:

  1. 国土交通省のネガティブ情報等検索サイトにアクセス
  2. 「事業分野」で「宅地建物取引業」を選択
  3. 会社名・免許番号・所在地で検索
  4. 処分履歴がある場合は、処分内容と理由を確認

注意点:

  • 過去5年分のみ公開されており、それ以前の処分は確認できません
  • 処分履歴がない=100%安全ではありません(未発覚の違反の可能性もあるため)

(2) 宅地建物取引業者名簿の閲覧方法

宅地建物取引業者名簿は、国土交通省または各都道府県が管理する公式データベースです。宅建業免許を持つ全業者の情報が記載されており、無免許業者の判別に使用できます。

閲覧できる情報:

  • 免許番号(更新回数から営業年数を推測可能)
  • 会社の所在地・代表者名
  • 営業実績(取引件数、営業年数)
  • 過去の行政処分歴

閲覧方法:

  • 国土交通大臣免許の業者:各地方整備局で閲覧
  • 都道府県知事免許の業者:各都道府県庁で閲覧

免許番号の見方:

  • 「東京都知事(5)第〇〇号」の(5)は更新回数
  • 免許は5年ごとに更新されるため、(5)=約25年以上の営業実績

(3) 不動産ジャパンの行政処分情報

不動産ジャパンは、不動産会社選定時の参考情報として行政処分情報を提供しています。各都道府県のウェブサイトからも処分情報を閲覧可能です。

3. 悪質な不動産会社の特徴と見分け方

(1) 契約を急がせる・圧力をかける業者

「今日中に決めないと他の人に取られる」「このチャンスを逃すと二度と良い物件は出ない」など、契約を急がせてくる業者は要注意です。

なぜ危険か:

  • 契約内容を十分に確認する時間を与えない
  • 冷静な判断を妨げる
  • 不利な条件を見落とさせる意図がある可能性

対処法:

  • 「家族と相談したい」「専門家に確認したい」と断る
  • 一度冷静になる時間を確保する
  • 複数の業者と比較検討する

(2) おとり物件や誇大広告を使用する手口

おとり物件とは、実際には取引できない魅力的な条件の物件を広告に掲載し、顧客を集める悪質な手法です。

見分け方:

  • 相場より大幅に安い物件(周辺相場の8割以下など)
  • 問い合わせ後に「既に成約済み」「別の物件を紹介したい」と言われる
  • 広告の物件情報(駅徒歩、築年数等)が曖昧または実際と異なる

確認方法:

  • 広告を見たらすぐに電話で「その物件は今も取引可能か」を確認
  • 取引可能と回答された場合、日時を指定して内覧を申し込む
  • 内覧できない理由が曖昧な場合は要注意

(3) 仲介手数料が不透明または高額な業者

宅地建物取引業法により、仲介手数料の上限は物件価格の3%+6万円+消費税と定められています。

物件価格 仲介手数料の上限(税込)
3,000万円 105.6万円
5,000万円 171.6万円
8,000万円 277.2万円

注意すべきケース:

  • 上限を超える請求(宅建業法違反)
  • 「調査費」「広告費」など名目を変えた追加請求
  • 契約前に明確な金額を提示しない

対処法:

  • 契約前に仲介手数料の金額を書面で確認
  • 不明な費用がある場合は内訳を説明してもらう
  • 上限を超える場合は支払いを拒否し、宅建協会に相談

(4) 会社情報が曖昧・無免許の可能性

以下のような会社は、無免許営業の可能性があります。

チェックポイント:

  • 会社の住所・連絡先が曖昧または非公開
  • 宅建業免許番号が明記されていない
  • 免許番号を確認しても、国土交通省のデータベースに登録がない
  • 事務所が存在しない(バーチャルオフィス等)

確認方法:

  • 名刺・広告・ウェブサイトで免許番号を確認
  • 国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」で免許番号を検索
  • 無免許営業は宅建業法違反であり、重大な犯罪

4. 不動産会社とのトラブル回避方法

(1) 複数の不動産会社から査定を取って比較する

1社だけに依頼すると、その会社の提示額が適正かどうか判断できません。最低3社以上から査定を取ることで、以下のメリットがあります。

メリット 内容
適正価格の把握 複数の査定額を比較することで、相場を理解できる
対応の質を比較 担当者の専門性、レスポンス速度を確認できる
交渉力の向上 複数の選択肢があることで、有利な条件を引き出せる

比較のポイント:

  • 査定額だけでなく、査定根拠を確認
  • 担当者の説明がわかりやすいか
  • 質問に対する回答が的確か

(2) 契約内容の慎重な確認と書面の重要性

不動産取引では、「言った言わない」のトラブルが非常に多く発生します。口頭での約束は必ず書面に残すことが重要です。

書面で確認すべき事項:

  • 物件の詳細(所在地、面積、築年数、設備等)
  • 契約条件(価格、支払方法、引渡時期)
  • 仲介手数料の金額と支払時期
  • 契約解除の条件と違約金
  • 瑕疵担保責任の範囲と期間

注意点:

  • 契約書を読む時間を十分に確保する
  • 不明点は必ず質問し、理解できるまで署名しない
  • 契約書の控えを必ず保管する

(3) 口コミ・評判の適切な活用方法

Googleクチコミやレビューサイトで具体的な評判を確認することも有効ですが、以下の点に注意が必要です。

注意点:

  • 極端に良い評価・悪い評価は疑う(サクラ・競合による誹謗中傷の可能性)
  • 具体的な体験談が書かれているものを重視
  • 複数のサイトで横断的に確認

信頼性の高い情報源:

  • 宅地建物取引業協会の会員情報
  • 不動産ジャパンの行政処分情報
  • 国土交通省のネガティブ情報検索サイト

5. 信頼できる不動産会社の選び方

(1) 5年以上の経営実績と宅建業免許の確認

経営実績が豊富な会社ほど、ノウハウが蓄積されており、トラブル対応も的確です。

確認方法:

  • 宅建業免許番号の更新回数を確認((3)以上=15年以上の実績)
  • 会社の設立年を確認
  • 取引実績(年間取引件数)を質問

目安:

  • 5年以上の経営実績がある会社は実績が豊富
  • 更新回数が多いほど、業界での信頼性が高い

(2) 担当者の対応速度と専門性

担当者の質は、不動産会社選びの最も重要な要素です。

チェックポイント:

  • 質問に対する回答が早い(24時間以内)
  • 専門用語をわかりやすく説明してくれる
  • メリットだけでなくデメリットも説明する
  • 強引な営業をしない

専門性の確認:

  • 宅地建物取引士の資格を持っているか
  • 担当エリアの市場動向に詳しいか
  • 税金・法律の知識があるか

(3) 媒介契約の種類と選択基準

媒介契約には以下の3種類があります。

種類 特徴 メリット デメリット
専属専任媒介 1社のみ依頼、自己発見取引も不可 積極的な営業活動が期待できる 他社と比較できない
専任媒介 1社のみ依頼、自己発見取引は可 優先的に営業してもらえる 他社と比較できない
一般媒介 複数社に依頼可能 複数社と比較できる 積極的な営業が期待しにくい

選び方:

  • 信頼できる会社が見つかった場合:専任媒介
  • 複数社と比較したい場合:一般媒介
  • 契約期間(3ヶ月が一般的)を確認し、更新の可否を確認

6. まとめ:自己防衛のための実践的チェックリスト

不動産会社選びで失敗しないためには、公的機関が提供する情報を活用し、自分自身で安全性を確認することが重要です。

以下のチェックリストを活用してください。

事前確認(契約前):

  • 国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」で行政処分歴を確認
  • 宅建業免許番号を確認し、更新回数(営業年数)をチェック
  • 複数の不動産会社(最低3社以上)から査定を取得
  • 担当者の対応速度・専門性を比較

契約時確認:

  • 契約内容を書面で確認(口頭の約束は無効)
  • 仲介手数料が法定上限以内か確認(物件価格の3%+6万円+消費税)
  • 契約解除の条件と違約金を確認
  • 不明点を全て質問し、理解できるまで署名しない

トラブル発生時:

  • 宅地建物取引業協会に相談
  • 消費生活センターに相談
  • 弁護士への相談を検討

信頼できる不動産会社を選ぶことで、安心して不動産取引を進めることができます。時間をかけて慎重に選定しましょう。

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よくある質問

Q1危ない不動産会社のブラックリストは公式に存在しますか?

A1公式の「ブラックリスト」は存在しませんが、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で過去5年分の行政処分歴を確認できます。免許取消・業務停止・指示などの処分内容を個別に検索可能です。会社名・免許番号・所在地で検索でき、処分理由(宅建業法違反の内容)も確認できます。ただし、過去5年分のみ公開されており、それ以前の処分は確認できない点に注意が必要です。

Q2行政処分を受けた不動産会社はどこで確認できますか?

A2国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」と不動産ジャパン「行政処分情報」で確認可能です。各都道府県のウェブサイトでも処分情報を閲覧できます。国土交通省のサイトでは過去5年分の処分情報が検索でき、免許取消、業務停止、指示などの内容と理由を確認できます。不動産ジャパンは業界団体が提供する参考情報として活用できます。

Q3仲介手数料の上限額はいくらですか?

A3物件価格の3%+6万円+消費税が法定上限です。例えば3,000万円の物件なら105.6万円、5,000万円なら171.6万円が上限となります。これを超える請求は宅建業法違反の可能性があり、支払いを拒否できます。また、「調査費」「広告費」など名目を変えた追加請求にも注意が必要です。契約前に仲介手数料の金額を書面で確認し、不明な費用がある場合は内訳を説明してもらいましょう。

Q4不動産会社とトラブルになった場合、どこに相談すればいいですか?

A4各都道府県の宅地建物取引業協会、国民生活センター、消費生活センターへの相談を推奨します。宅建協会は業界団体として専門的なアドバイスを提供でき、消費生活センターは消費者トラブル全般の相談窓口です。契約内容によっては弁護士への相談も検討してください。トラブルの証拠(契約書、メール、録音等)を保管しておくと、相談時にスムーズに対応してもらえます。

Q5「おとり物件」とは何ですか?見分け方は?

A5実際には取引できない魅力的な条件の物件を広告に掲載し、顧客を集める悪質な手法です。相場より大幅に安い物件(周辺相場の8割以下など)や、問い合わせ後に「既に成約済み」「別の物件を紹介したい」と言われる場合は要注意です。見分け方としては、広告を見たらすぐに電話で「その物件は今も取引可能か」を確認し、取引可能と回答された場合は日時を指定して内覧を申し込むことが有効です。内覧できない理由が曖昧な場合は、おとり物件の可能性が高いと言えます。

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Room Match編集部

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