不動産取得税の納付時期を知っておくべき理由
不動産を購入したあと、「不動産取得税はいつ払うのか」「通知書はいつ届くのか」と不安に感じる方は少なくありません。不動産取得税は購入時ではなく、取得後4〜6ヶ月後に届く納税通知書で支払うため、資金計画に影響します。
この記事では、不動産取得税の納付時期、納税通知書の見方、支払い方法、軽減措置の申請方法を解説します。総務省や各都道府県の公式情報を元に、納付忘れを防ぐポイントをお伝えします。
この記事のポイント
- 不動産取得税の納税通知書は取得後4〜6ヶ月後に届く
- 支払期限は通知書記載の日付まで(通常1ヶ月程度)
- 軽減措置の申請期限は取得後60日以内が一般的
- 支払いを忘れると延滞金が発生する(年7.3%〜14.6%)
- 2025年現在、住宅用土地・建物は税率3%(2027年3月31日まで)
不動産取得税の基礎知識(概要・計算方法)
不動産取得税とは
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に一度だけ課される都道府県税です。売買、贈与、交換、新築など取得方法を問わず課税されます。毎年課される固定資産税とは異なり、取得時の1回のみ納付します。
課税主体は都道府県であり、納税先は物件所在地の都道府県税事務所となります。
税率と課税標準額の計算方法
不動産取得税の計算式は以下の通りです。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率
| 区分 | 税率(2025年時点) | 備考 |
|---|---|---|
| 住宅用土地 | 3% | 本来4%だが特例で3%(2027年3月31日まで) |
| 住宅用建物 | 3% | 同上 |
| 非住宅用土地・建物 | 4% | 店舗、事務所等 |
固定資産税評価額は市町村が固定資産税の基準として定める評価額で、土地は市場価格の約70%、建物は約50〜60%が目安です。
住宅用土地については、課税標準額が評価額の1/2に軽減される特例もあります(2027年3月31日まで)。
納税通知書が届く時期と届くまでの流れ
取得後4〜6ヶ月が目安
不動産取得税の納税通知書は、取得後おおむね4〜6ヶ月後に届きます。都道府県により異なりますが、千葉県では「取得後おおむね6ヶ月以内」と案内しています。
取得から納税通知書到着までの流れは以下の通りです。
- 不動産を取得(売買契約・登記)
- 都道府県税事務所が登記情報を確認
- 固定資産税評価額を基に税額を計算
- 納税通知書を発送(取得後4〜6ヶ月後)
- 納税通知書が届く
- 支払期限までに納付(通常1ヶ月程度)
新築住宅は1年以上かかる場合も
新築住宅の場合、固定資産税評価額の決定に時間がかかるため、納税通知書の到着が1年以上遅れることがあります。新築賃貸アパートなど大規模な建物では特に時間がかかる傾向があります。
通知書が届く前に「不動産取得税について」などの事前通知が送られてくることもあります。半年以上経っても届かない場合は、都道府県税事務所に問い合わせることをおすすめします。
納税通知書の見方
納税通知書には以下の情報が記載されています。
- 課税標準額: 税額計算の基礎となる金額
- 税率: 3%または4%
- 税額: 実際に納付する金額
- 納期限: 支払いの期日
- 納付場所: 税事務所、金融機関、コンビニ等
東京都主税局では毎月7日頃に納税通知書を発送し、納期限は原則として発送月の月末としています。
不動産取得税の支払い方法
税事務所・金融機関での窓口支払い
納税通知書を持参して、以下の場所で支払いができます。
- 都道府県税事務所
- 銀行、信用金庫、郵便局などの金融機関
- 都道府県指定の収納代理金融機関
窓口での支払いは、現金または一部クレジットカードに対応しています。
コンビニ・スマホ決済・Pay-easy
近年は多様な支払い方法に対応しています。
| 支払い方法 | 対応状況 | 備考 |
|---|---|---|
| コンビニ支払い | ○ | バーコード付き納付書が必要 |
| スマホ決済アプリ | ○ | PayPay、LINE Pay等(都道府県により異なる) |
| Pay-easy(ペイジー) | ○ | ネットバンキング、ATMで支払い |
| クレジットカード | △ | 対応している都道府県に限る |
支払い方法は都道府県により異なるため、納税通知書に記載された案内を確認してください。
軽減措置の申請方法と適用要件
軽減措置の種類と要件
住宅・住宅用土地については、一定の要件を満たすと税額が軽減されます。
新築住宅の軽減措置
| 要件 | 控除額 |
|---|---|
| 床面積50㎡以上240㎡以下 | 固定資産税評価額から1,200万円を控除 |
| 認定長期優良住宅 | 固定資産税評価額から1,300万円を控除 |
中古住宅の軽減措置
| 要件 | 控除額 |
|---|---|
| 床面積50㎡以上240㎡以下 | 新築年月日に応じた控除額(最大1,200万円) |
| 新耐震基準を満たすこと | または既存住宅売買瑕疵保険に加入 |
住宅用土地の軽減措置
土地を取得後3年以内に住宅を新築した場合、土地の税額から一定額が控除されます。
申請期限(取得後60日以内)
軽減措置を受けるには、都道府県税事務所への申請が必要です。申請期限は取得後60日以内が一般的ですが、都道府県により異なります。
愛知県では申請に以下の書類が必要です。
- 不動産取得税申告書
- 売買契約書または登記事項証明書の写し
- 住民票の写し(住宅の場合)
重要: 軽減措置の申請を忘れると、通常の税額が課されます。取得後すみやかに申請することをおすすめします。
税額がゼロになるケース
新築住宅で軽減措置を適用すると、多くの場合で税額がゼロまたは大幅に減額されます。
計算例(新築マンション)
- 固定資産税評価額: 1,000万円
- 軽減控除: 1,200万円
- 課税標準額: 0円(1,000万円 - 1,200万円 < 0)
- 税額: 0円
このように、評価額が軽減控除額を下回る場合は税額がゼロになります。
まとめ:納付忘れを防ぐためのポイント
不動産取得税は、取得後4〜6ヶ月後に届く納税通知書で支払います。新築住宅は1年以上かかることもあるため、資金を確保しておくことが重要です。
納付忘れを防ぐポイントは以下の通りです。
- 資金確保: 取得後半年〜1年分の税額を準備しておく
- 軽減措置の申請: 取得後60日以内に都道府県税事務所へ申請
- 通知書の確認: 届いたら納期限をすぐに確認
- 問い合わせ: 半年以上届かなければ税事務所に確認
税制は改正される可能性があるため、最新情報は都道府県税事務所や税理士にご確認ください。軽減措置の適用要件は細かく定められているため、不明点は専門家への相談を推奨します。
