固定資産税の一括払いと分割払いの違い
固定資産税は年4回の分割払いが一般的ですが、一括払い(全期前納)も可能です。「一括払いの方が割引があるのか」「どちらがお得なのか」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、一括払いと分割払いのメリット・デメリット、割引の有無を解説します。
この記事のポイント
- 一括払いと分割払いで総支払額は同じ(割引や追加料金なし)
- 一括払いのメリットは納付忘れ防止と手間削減
- 一括払いのデメリットは一度に大きな支出が必要になること
- 過去の前納報奨金制度(割引制度)は令和3年度(2021年)から廃止
- お得に支払うにはクレジットカードやスマホ決済のポイント還元を活用
(1) 一括払い(全期前納)とは
一括払いは、固定資産税の年税額を第1期の納付期限内に一度に支払う方法です。納税通知書に同封されている第1期の納付書には「全期一括納付用」と記載されており、この納付書で年間の税額を一括納付できます。
一括払いの期限は、第1期の納付期限(自治体により異なりますが、通常4〜6月)までです。
(2) 分割払い(期別納付)とは
分割払いは、固定資産税を年4回(通常4月、7月、12月、2月頃)に分けて支払う方法です。各期の納付書が納税通知書に同封されており、納期限までに支払います。
分割払いは資金繰りが楽になるため、家計に余裕がない場合に適しています。
(3) 総支払額は同じ(割引や追加料金なし)
一括払いと分割払いで総支払額に差はありません。一括払いしても割引はなく、分割払いしても追加料金はかかりません。
年金や健康保険では一括払いで割引がある場合がありますが、固定資産税は総支払額が同じです。
(4) 一括払いの期限(第1期の納付期限内)
一括払いの期限は、第1期の納付期限内です。自治体により異なりますが、東京都23区では6月30日、横浜市では5月31日が第1期の納付期限となっています。
第1期の納付期限を過ぎると、一括払いができなくなり、残りの期を個別に納付する必要があります。
固定資産税の一括払いのメリット(払い忘れ防止・手間削減)
(1) 納付忘れを防げる
一括払いの最大のメリットは、納付忘れを防げることです。分割払いの場合、年4回の納付期限を覚えておく必要がありますが、一括払いなら1回で済みます。
納付忘れにより延滞料が課されるリスクを避けられるため、安心です。
(2) 一度納付すればその年分については以後一切の手続きが不要
一括払いすれば、その年分の固定資産税については以後一切の手続きが不要です。分割払いの場合、年4回の納付手続きが必要ですが、一括払いなら1回で完了します。
(3) 納付書の管理が楽になる
一括払いすれば、残りの期の納付書を保管しておく必要がありません。分割払いの場合、納付書を紛失しないよう管理する手間がかかります。
(4) 年4回の支払い手続きをする必要がない
一括払いすれば、年4回の支払い手続きをする必要がありません。コンビニや金融機関に何度も足を運ぶ手間が省けます。
固定資産税の一括払いのデメリット(資金繰りへの影響・延滞リスク)
(1) 一度に大きな支出が必要(十数万〜数十万円)
一括払いのデメリットは、一度に大きな支出が必要になることです。固定資産税の税額は評価額により異なりますが、戸建てやマンションの場合、十数万〜数十万円になることが一般的です。
4〜6月にまとまったお金を用意する必要があるため、家計への負担が大きくなります。
(2) 急な出費に対応できなくなるリスク
一括払いでまとまった資金を支払うと、急な出費(医療費、車の修理費等)に対応できなくなるリスクがあります。家計に余裕がない場合は、無理に一括払いせず分割払いを選択する方が安全です。
(3) 第1期の納付期限を過ぎると延滞料が発生する可能性
一括払いの期限(第1期の納付期限)を過ぎて支払った場合、延滞料が発生する可能性があります。延滞料は年14.6%(納期限の翌日から1か月以内は年7.3%)と高額です。
一括払いを選択する場合は、期限を厳守する必要があります。
(4) 家計に余裕がない場合は資金繰りが厳しくなる
家計に余裕がない場合、一括払いで資金繰りが厳しくなります。分割払いなら1回あたりの支払額が少なく、家計への負担が軽減されます。
固定資産税の一括払いに割引はあるのか(前納報奨金制度の廃止)
(1) 現在はほとんどの自治体で割引なし
現在、固定資産税の一括払いに割引はほとんどの自治体で提供されていません。一括払いしても総支払額は分割払いと同じです。
2025年度も、一括払いによる割引制度はありません。
(2) 前納報奨金制度とは(過去の割引制度)
前納報奨金制度は、過去に存在した一括払いに対する割引制度です。一括払いすると税額の一部が還元される仕組みでした。
例えば、固定資産税10万円を一括払いすると、1,000〜2,000円程度の報奨金が還付される自治体がありました。
(3) 令和3年度(2021年)から廃止された理由
前納報奨金制度は、令和3年度(2021年)から多くの自治体で廃止されました。廃止の理由は以下の通りです。
- 税の公平性の観点:一括払いできる人(資金に余裕がある人)のみが優遇される制度は不公平
- 財政負担の削減:自治体の財政負担を軽減するため
- 分割払いとの整合性:分割払いと総支払額に差を設けることが適切でないとの判断
(4) 一括払いと分割払いで総支払額に差はない
前納報奨金制度の廃止により、一括払いと分割払いで総支払額に差はなくなりました。どちらを選択しても同じ金額を納付することになります。
固定資産税をお得に支払う方法(ポイント還元の活用)
(1) クレジットカード納付(ポイント還元)
クレジットカード納付を導入している自治体では、インターネット経由で納付できます。クレジットカードのポイント還元(0.5%〜1.5%程度)を受けられるため、実質的な節約になります。
ただし、決済手数料がかかる場合があります(税額1万円ごとに73円程度)。ポイント還元率が決済手数料を上回る場合にお得です。
(2) スマホ決済(PayPay、LINE Pay等)
PayPay、LINE Pay、d払い等のスマホ決済アプリで納付できる自治体が増えています。スマホ決済のポイント還元(0.5%〜3%程度)を受けられるため、クレジットカードよりお得な場合があります。
スマホ決済は決済手数料がかからない自治体が多いため、純粋にポイント還元分が節約になります。
(3) ポイント還元率の比較(最大3%還元)
| 納付方法 | ポイント還元率 | 手数料 | 実質節約額(税額10万円の場合) |
|---|---|---|---|
| クレジットカード | 0.5%〜1.5% | 税額1万円ごとに73円程度 | 約-230円〜+770円 |
| PayPay | 0.5%〜3% | なし | +500円〜+3,000円 |
| LINE Pay | 0.5%〜1% | なし | +500円〜+1,000円 |
| d払い | 0.5%〜1% | なし | +500円〜+1,000円 |
※ポイント還元率はキャンペーンにより変動します。
スマホ決済のキャンペーン(最大3%還元)を活用すれば、税額10万円で最大3,000円の節約になります。
(4) 口座振替(納付忘れ防止)
口座振替を申し込めば、納期限に自動的に引き落とされます。ポイント還元はありませんが、納付忘れを防げるため最も確実な方法です。
(5) コンビニ・窓口納付
コンビニや市区町村の窓口で納付する場合、ポイント還元はありません。手軽に納付できますが、節約効果はありません。
まとめ:一括払いと分割払いはどちらがおすすめか
固定資産税の一括払いと分割払いは、総支払額が同じでどちらがお得ということはありません。選択の基準は以下の通りです。
一括払いがおすすめの人
- 家計に余裕があり、まとまった資金を用意できる人
- 納付忘れを防ぎたい人
- 年4回の支払い手続きを面倒に感じる人
分割払いがおすすめの人
- 家計に余裕がなく、一度に大きな支出が厳しい人
- 資金繰りを平準化したい人
- 急な出費に備えて手元資金を残しておきたい人
お得に支払うなら
クレジットカードやスマホ決済(PayPay、LINE Pay等)のポイント還元を活用すれば、実質的に節約できます。特にスマホ決済のキャンペーン(最大3%還元)を活用すれば、税額10万円で最大3,000円の節約になります。
一括払いと分割払いのどちらを選ぶかは、家計状況により判断してください。無理に一括払いせず、資金繰りに余裕がある範囲で選択することをお勧めします。


