固定資産税課税台帳が重要な理由
固定資産税の課税内容を確認したい、相続登記で評価額を証明する書類が必要、といった場面で必要になるのが「固定資産税課税台帳」です。しかし、「課税台帳とは何か」「どこで閲覧できるのか」「課税明細書との違いは何か」と疑問に感じることもあるでしょう。
この記事では、固定資産税課税台帳の基礎知識、記載内容、閲覧方法、縦覧制度との違い、記載事項証明書の取得方法を、東京都主税局や八王子市などの公式情報を元に解説します。
40-60代で不動産を所有している方でも、固定資産税課税台帳の仕組みと活用方法を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税課税台帳は固定資産の評価額・課税標準額・税額を記載した市町村の帳簿
- 納税義務者・相続人・代理人・借地人等が閲覧可能(本人確認書類が必要)
- 縦覧期間(4月1日〜4月30日)は無料で他の物件と比較できる
- 記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)は相続登記や不動産売買時に必要
- 名寄帳を取得すれば所有する全不動産を一覧で確認できる
(1) 固定資産税の課税内容を確認できる唯一の公的資料
固定資産税課税台帳は、固定資産税の課税内容を確認できる唯一の公的資料です。
毎年4月〜6月頃に届く納税通知書にも課税内容が記載されていますが、詳細な情報は課税台帳に記録されています。特に以下のような場合に課税台帳の確認が必要です。
- 評価額が適正かどうかを確認したい
- 課税ミスがないかチェックしたい
- 複数の不動産を所有している場合、全物件の課税状況を一覧で確認したい
課税台帳は市区町村の税務担当部署で閲覧できます。
(2) 相続登記や不動産売買時に必要
固定資産税課税台帳の記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)は、以下の場面で必要です。
- 相続登記(登録免許税の計算に必要)
- 不動産売買(売買代金の決済時に必要)
- 住宅ローンの抵当権設定登記(登録免許税の計算に必要)
- 贈与税・相続税の申告(財産評価に必要)
記載事項証明書は、課税台帳の記載内容を証明する公的書類で、市区町村の税務担当部署で取得できます。
(3) 評価額が適正かどうかを確認できる
固定資産税課税台帳を閲覧することで、評価額が適正かどうかを確認できます。
特に、毎年4月1日〜4月30日の縦覧期間中は、他の物件と比較して自己の評価が適正かどうかを無料で確認できます。この制度を利用すると、以下のことが確認できます。
- 同じ地域の類似物件と比較して評価額が高すぎないか
- 土地の評価額が近隣の土地と大きく乖離していないか
- 建物の評価額が類似構造・築年数の建物と比較して妥当か
評価額に疑問がある場合は、市区町村の固定資産評価審査委員会に審査の申し出をすることができます。
固定資産税課税台帳の基礎知識(定義・法的根拠・記載内容)
(1) 固定資産税課税台帳とは(地方税法第380条第1項)
固定資産税課税台帳とは、固定資産税の課税対象となる土地・家屋・償却資産の情報を登録した市町村の帳簿です。
三菱UFJ不動産販売によると、固定資産税課税台帳は地方税法第380条第1項に基づき市町村長が作成します。
地方税法第380条第1項(抜粋): 「市町村長は、固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければならない。」
固定資産税課税台帳は、以下の3つの台帳で構成されています。
- 土地課税台帳(土地の情報を記載)
- 家屋課税台帳(家屋の情報を記載)
- 償却資産課税台帳(償却資産の情報を記載)
このうち、土地と家屋については、登記簿に登記されていない物件も補充課税台帳に記載されます。
(2) 記載内容(所在地、所有者、評価額、課税標準額、税額等)
固定資産税課税台帳には、以下の情報が記載されています。
土地課税台帳の記載内容:
- 所在地(地番)
- 地目(宅地、田、畑、山林等)
- 地積(土地の面積)
- 所有者の氏名・住所
- 固定資産税評価額
- 課税標準額(住宅用地の特例適用後の金額)
- 税額
家屋課税台帳の記載内容:
- 所在地(家屋番号)
- 種類(居宅、店舗、事務所等)
- 構造(木造、鉄筋コンクリート造等)
- 床面積
- 建築年(新築年月日)
- 所有者の氏名・住所
- 固定資産税評価額
- 課税標準額
- 税額
これらの情報は、固定資産税の課税根拠を明確にするために記録されています。
(3) 登記簿との違い(課税情報 vs 権利情報)
固定資産税課税台帳と登記簿は、以下のように目的が異なります。
| 項目 | 固定資産税課税台帳 | 登記簿 |
|---|---|---|
| 目的 | 課税情報の管理 | 権利関係の公示 |
| 管理機関 | 市区町村(税務担当部署) | 法務局 |
| 記載内容 | 評価額、課税標準額、税額 | 所有権、抵当権等の権利関係 |
| 所有者 | 1月1日時点の所有者 | 登記名義人 |
| 未登記物件 | 補充課税台帳に記載 | 記載なし |
特に注意すべき点は、固定資産税課税台帳の所有者は1月1日時点の所有者であることです。例えば、1月2日に不動産を売却した場合でも、その年度の固定資産税は1月1日時点の所有者(売主)に課税されます。
また、登記簿に登記されていない未登記物件も、固定資産税課税台帳(補充課税台帳)には記載されます。
(4) 補充課税台帳とは(未登記物件の記載)
補充課税台帳とは、登記簿に登記されていない土地・家屋について記載される台帳です。
未登記物件が発生する主なケースは以下の通りです。
- 未登記の建物(登記費用を節約するため登記しなかった建物)
- 相続未登記の土地(相続後に登記されていない土地)
- 増築部分(増築したが登記変更していない部分)
未登記物件でも固定資産税は課税されるため、補充課税台帳に記載され、課税対象となります。未登記物件を相続した場合、補充課税台帳を確認することで物件の存在を把握できます。
固定資産税課税台帳の閲覧方法と必要書類
(1) 誰が閲覧できるか(納税義務者、相続人、代理人、借地人・借家人)
東京都主税局によると、以下の人が固定資産税課税台帳を閲覧できます。
閲覧できる人:
- 納税義務者(固定資産税の納税義務がある人)
- 相続人(納税義務者が死亡した場合)
- 代理人(納税義務者から委任を受けた人)
- 借地人・借家人(自分が借りている物件に限る)
- 固定資産を処分する権利を有する一定の人(破産管財人、民事再生手続の管財人等)
特に、借地人・借家人も自分が借りている物件の課税台帳を閲覧できる点は重要です。これは、借地借家法で借地人・借家人の権利が保護されているためです。
(2) 閲覧場所(市区町村の税務担当部署)
固定資産税課税台帳の閲覧は、物件所在地の市区町村の税務担当部署で行います。
窓口の名称例:
- 固定資産税課
- 資産税課
- 税務課固定資産税係
- 課税課
東京23区の場合は、都税事務所で閲覧します。市区町村により窓口の名称が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
(3) 必要書類(本人確認書類、委任状等)
固定資産税課税台帳の閲覧には、以下の書類が必要です。
本人(納税義務者)が閲覧する場合:
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
代理人が閲覧する場合:
- 代理人の本人確認書類
- 委任状(納税義務者の自署・押印が必要)
相続人が閲覧する場合:
- 相続人の本人確認書類
- 戸籍謄本等(相続関係を証明する書類)
借地人・借家人が閲覧する場合:
- 本人確認書類
- 賃貸借契約書(借りていることを証明する書類)
委任状の書式は市区町村のホームページからダウンロードできることが多いです。
(4) 閲覧手数料(年間を通じて可能、種類ごとに300円程度)
固定資産税課税台帳の閲覧は年間を通じて可能ですが、縦覧期間外の閲覧は手数料がかかります。
手数料の目安:
- 土地課税台帳の閲覧:300円
- 家屋課税台帳の閲覧:300円
- 償却資産課税台帳の閲覧:300円
手数料は市区町村により異なります。一部の自治体では、縦覧期間中(4月1日〜4月30日)以外でも無料で閲覧できる場合があります。
縦覧制度と閲覧制度の違い
(1) 縦覧制度の目的(他の物件と比較して自己の評価が適正か確認)
縦覧制度とは、固定資産税の納税者が、他の物件と比較して自己の評価が適正かどうかを確認できる制度です。
縦覧制度では、以下の帳簿を閲覧できます。
- 土地価格等縦覧帳簿(土地の納税者が閲覧可能)
- 家屋価格等縦覧帳簿(家屋の納税者が閲覧可能)
縦覧帳簿には、市区町村内の全ての土地または家屋の所在地、評価額が記載されています。ただし、所有者の氏名・住所は記載されていません(個人情報保護のため)。
(2) 縦覧期間(4月1日〜4月30日、無料)
縦覧期間は、八王子市によると**4月1日〜4月30日(または5月31日まで)**です。
この期間中は無料で縦覧帳簿を閲覧できます。手数料を節約したい場合は、この期間を利用することをおすすめします。
縦覧期間中に評価額の不適正を発見した場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申し出をすることができます。審査の申し出期限は、納税通知書の交付を受けた日から3ヶ月以内です。
(3) 閲覧制度との違い(縦覧は他物件との比較、閲覧は自己物件の確認)
縦覧制度と閲覧制度の違いは以下の通りです。
| 項目 | 縦覧制度 | 閲覧制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 他の物件と比較して評価の適正性を確認 | 自己の物件の課税内容を確認 |
| 期間 | 4月1日〜4月30日(または5月31日まで) | 年間を通じて可能 |
| 対象 | 市区町村内の全ての土地または家屋 | 自己の物件のみ |
| 記載内容 | 所在地、評価額のみ | 所有者、評価額、課税標準額、税額等の詳細 |
| 手数料 | 無料 | 種類ごとに300円程度(自治体により異なる) |
| 閲覧できる人 | 固定資産税の納税者 | 納税義務者、相続人、代理人、借地人等 |
縦覧制度は他の物件と比較するための制度で、閲覧制度は自己の物件の詳細を確認するための制度です。両方を組み合わせて利用することで、課税内容を総合的に確認できます。
記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)の取得方法
(1) 評価証明書とは(評価額、納税者情報、登記簿表示部分)
評価証明書とは、固定資産税課税台帳の記載内容のうち、評価額、納税者情報、登記簿表示部分を証明する書類です。
評価証明書に記載される主な内容は以下の通りです。
- 所在地(地番、家屋番号)
- 地目、種類、構造
- 地積、床面積
- 所有者の氏名・住所
- 固定資産税評価額
評価証明書は、相続登記や不動産売買時の登録免許税計算に使用されます。登録免許税は固定資産税評価額を基準に計算されるため、評価証明書が必要です。
(2) 公課証明書とは(評価額 + 課税標準額、年税相当額)
公課証明書とは、評価証明書の記載内容に加えて、課税標準額、年税相当額(固定資産税額)を証明する書類です。
公課証明書に記載される主な内容は以下の通りです。
- 評価証明書の全ての記載内容
- 課税標準額(住宅用地の特例適用後の金額)
- 年税相当額(固定資産税額)
公課証明書は、不動産売買時の固定資産税の精算や、住宅ローンの審査などで使用されます。
市区町村により、「評価証明書」「公課証明書」の名称が異なる場合があります。また、両方の内容を含む「記載事項証明書」という名称の証明書を発行する自治体もあります。
(3) 証明書の用途(相続登記、不動産売買、登録免許税計算)
記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)は、以下の場面で必要です。
相続登記:
- 登録免許税の計算に評価証明書が必要
- 登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
不動産売買:
- 所有権移転登記の登録免許税計算に評価証明書が必要
- 固定資産税の精算に公課証明書が必要
- 登録免許税 = 固定資産税評価額 × 2%(土地1.5%、2026年3月31日まで)
住宅ローンの抵当権設定登記:
- 登録免許税の計算に評価証明書が必要
- 登録免許税 = 債権金額 × 0.4%(または0.1%、2027年3月31日まで)
贈与税・相続税の申告:
- 財産評価に固定資産税評価額を使用する場合がある
証明書の取得時は、用途に応じて「評価証明書」か「公課証明書」のどちらが必要か確認してください。
(4) 名寄帳とは(所有者ごとに固定資産をまとめた一覧表、相続時に有効)
名寄帳(なよせちょう)とは、所有者ごとに固定資産をまとめた一覧表です。
税理士法人チェスターによると、名寄帳は以下の場面で有効です。
- 相続時に被相続人の全不動産を把握する
- 複数の物件を一覧で確認する
- 固定資産税の課税状況を総合的に確認する
名寄帳には、所有者が所有する市区町村内の全ての土地・家屋が一覧で記載されます。複数の市区町村に不動産を所有している場合は、それぞれの市区町村で名寄帳を取得する必要があります。
名寄帳の取得方法は、固定資産税課税台帳の閲覧と同じです。市区町村の税務担当部署で、本人確認書類を提示して申請します。手数料は300円程度です。
まとめ:固定資産税課税台帳の活用方法
固定資産税課税台帳は、固定資産税の課税対象となる土地・家屋・償却資産の情報を登録した市町村の帳簿で、所有者の氏名・住所、評価額、課税標準額、税額が記載されています。
固定資産税課税台帳の活用方法は以下の通りです。
- 課税内容の確認:納税通知書の内容が正しいか確認する
- 評価額の適正性確認:縦覧制度(4月1日〜4月30日)を利用して他の物件と比較する
- 相続登記・不動産売買:記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)を取得する
- 相続時の財産把握:名寄帳を取得して被相続人の全不動産を確認する
固定資産税課税台帳の閲覧は、以下の手順で行います。
- 市区町村の税務担当部署に行く(物件所在地の市区町村)
- 本人確認書類を提示(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 閲覧申請書を記入(窓口で配布)
- 手数料を支払う(種類ごとに300円程度、縦覧期間中は無料)
- 課税台帳を閲覧する
記載事項証明書(評価証明書・公課証明書)が必要な場合は、同じ窓口で申請します。手数料は種類ごとに300円程度です。
固定資産税課税台帳の制度は市区町村により異なる場合があるため、詳細は管轄の税務担当部署に確認してください。また、評価額に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申し出をすることができます(納税通知書の交付を受けた日から3ヶ月以内)。


