固定資産税と都市計画税の基礎知識
不動産を所有していて、「固定資産税と都市計画税の違いがわからない」「なぜ2つの税金を払うのか」と疑問に感じていませんか?
この記事では、固定資産税と都市計画税の基本的な違い(課税対象、税率、使途)、計算方法、軽減措置の活用方法を、総務省・東京都主税局の公式情報を元に解説します。
納税通知書の内訳を正確に理解し、軽減措置を活用できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は全ての固定資産(土地・家屋・償却資産)が対象で標準税率1.4%、都市計画税は市街化区域内の土地・家屋のみが対象で税率0.3%以下
- 固定資産税は普通税(使途自由)、都市計画税は目的税(都市計画事業の財源として使途が特定)
- 計算方法は「評価額×税率」だが、住宅用地の特例(200㎡以下で固定資産税1/6・都市計画税1/3)により実際の税額は大幅に軽減される
- 新築住宅は一定期間(一戸建て3年、マンション5年)固定資産税が1/2に減額される(都市計画税には新築減額なし)
- 納付は年4回の分割払いまたは一括払いで、通知書は毎年4〜6月頃に届く
(1) 両税の位置づけと納税義務者
東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」によると、固定資産税と都市計画税はどちらも地方税(市町村税)で、毎年1月1日現在の固定資産所有者に課されます。
納税義務者は、原則として固定資産課税台帳に登録されている所有者です。
(2) 納付時期と方法
HOME'S「【基本を解説】固定資産税と都市計画税の違いと基礎知識」によると、納税通知書は毎年4〜6月頃に届き、年4回(6月・9月・12月・2月)の分割払いまたは一括払いが選択できます。
自治体により時期は異なる場合があるため、所在地の自治体の公式サイトで確認してください。
固定資産税とは|課税対象と税率
固定資産税の基本情報を解説します。
(1) 課税対象(土地・家屋・償却資産)
東京都主税局「固定資産税・都市計画税」によると、固定資産税の課税対象は以下の3種類です。
- 土地: 宅地、田、畑、山林等
- 家屋: 住宅、店舗、事務所、工場、倉庫等
- 償却資産: 事業用の機械・設備等
固定資産税は全ての固定資産が対象で、市街化区域外(市街化調整区域、非線引き区域等)の固定資産にも課税されます。
(2) 標準税率1.4%と普通税の性格
東京都主税局「固定資産税・都市計画税」によると、固定資産税の標準税率は1.4%です。
固定資産税は普通税で、税収の使途が特定されていません。市町村の一般財源として、道路・学校・福祉等の幅広い行政サービスに活用されます。
都市計画税とは|市街化区域の目的税
都市計画税の基本情報を解説します。
(1) 市街化区域内の土地・家屋が対象
総務省「地方税制度|都市計画税」によると、都市計画税の課税対象は、市街化区域内の土地・家屋のみです。
市街化区域とは:
- 都市計画法で定められた、既に市街地を形成している区域
- 概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域
非課税となる区域:
- 市街化調整区域(開発が抑制される区域)
- 非線引き区域(市街化区域・市街化調整区域の区分が定められていない区域)
自分の土地が市街化区域かどうかは、自治体の都市計画図で確認できます。
(2) 税率0.3%以下と使途(都市計画事業の財源)
総務省「都市計画税」によると、都市計画税の税率は0.3%以下で、各自治体が条例で定めます。
リクルート「都市計画税とはどんな税金?固定資産税との違いをあわせて解説」によると、都市計画税は目的税で、税収の使途が特定されています。
使途:
- 都市計画事業(道路・公園・下水道の整備等)
- 土地区画整理事業
これらの事業の財源として使われ、市街化区域の整備に貢献します。
固定資産税と都市計画税の違いを比較
両税の主な違いを比較します。
(1) 課税範囲の違い
| 項目 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 課税対象 | 全ての固定資産(土地・家屋・償却資産) | 市街化区域内の土地・家屋のみ |
| 市街化調整区域 | 課税される | 課税されない |
| 償却資産 | 課税される | 課税されない |
(2) 税率の違い
HOME'S「固定資産税と都市計画税の違い」によると、税率は以下の通りです。
| 税目 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 標準税率1.4% | 自治体により異なる場合がある |
| 都市計画税 | 0.3%以下 | 各自治体が条例で定める(上限0.3%) |
税率は自治体により異なる場合があるため、所在地の自治体の公式サイトで確認してください。
(3) 使途の違い(普通税 vs 目的税)
リクルート「都市計画税とはどんな税金?」によると、使途の違いは以下の通りです。
| 税目 | 性格 | 使途 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 普通税 | 使途は特定されず、市町村の一般財源(道路・学校・福祉等) |
| 都市計画税 | 目的税 | 都市計画事業・土地区画整理事業の財源として使途が特定 |
計算方法と軽減措置の活用
両税の計算方法と軽減措置を解説します。
(1) 固定資産税評価額の確認方法
スマイティ「固定資産税・都市計画税はいくら?簡単計算シミュレーション」によると、固定資産税評価額は以下の方法で確認できます。
- 納税通知書に記載されている評価額を確認
- 固定資産課税台帳の閲覧(自治体の窓口で申請)
- 固定資産評価証明書の取得
固定資産税評価額は、原則として3年に1度評価替えが行われます(2024年度が評価替え年度)。
(2) 計算式と具体例
東京都主税局「固定資産税・都市計画税」によると、基本的な計算式は以下の通りです。
計算式:
- 固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 1.4%
- 都市計画税 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 0.3%(上限)
計算例:
- 固定資産税評価額2000万円の土地・家屋(市街化区域内)の場合
- 固定資産税 = 2000万円 × 1.4% = 28万円
- 都市計画税 = 2000万円 × 0.3% = 6万円
- 合計 = 34万円/年
ただし、実際には軽減措置が適用されるため、税額は大幅に低くなります。
(3) 住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)
東京都主税局「住宅等に係る固定資産税・都市計画税の主な軽減制度一覧」によると、住宅が建っている土地には以下の軽減措置があります。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 評価額の1/6に軽減 | 評価額の1/3に軽減 |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 評価額の1/3に軽減 | 評価額の2/3に軽減 |
(出典: 東京都主税局)
例: 評価額2000万円の土地(200㎡以下)に住宅がある場合
- 固定資産税 = 2000万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.7万円
- 都市計画税 = 2000万円 × 1/3 × 0.3% = 約2万円
- 合計 = 約6.7万円/年(軽減なしの場合の約20%)
(4) 新築減額(一戸建て3年・マンション5年)
東京都主税局「軽減制度一覧」によると、一定要件を満たす新築住宅には、固定資産税の減額措置があります。
減額期間:
- 一戸建て(木造等): 3年間
- マンション(耐火・準耐火建築物): 5年間
減額内容:
- 固定資産税が1/2に減額(120㎡相当分まで)
注意: 都市計画税には新築減額はありません。
(5) その他の減額措置(耐震・省エネ改修等)
東京都主税局「軽減制度一覧」によると、以下の改修を行った場合、固定資産税・都市計画税の減額を受けられる場合があります。
- 耐震改修(昭和57年1月1日以前の住宅)
- 省エネ改修(窓の断熱改修等)
- バリアフリー改修(手すり設置、段差解消等)
軽減措置の適用要件は詳細があるため、自治体の窓口または税理士への相談を推奨します。
まとめ|納税通知書の見方と注意点
固定資産税と都市計画税は、課税対象(全固定資産 vs 市街化区域内のみ)、税率(1.4% vs 0.3%以下)、使途(普通税 vs 目的税)が異なります。
計算方法は「評価額×税率」ですが、住宅用地の特例(200㎡以下で固定資産税1/6・都市計画税1/3)により実際の税額は大幅に軽減されます。新築住宅は一定期間(一戸建て3年、マンション5年)固定資産税が1/2に減額されます。
納税通知書が届いたら、内訳(固定資産税・都市計画税の金額、軽減措置の適用状況)を確認しましょう。3年に1度の評価替えにより税額が変動する可能性があるため(2024年度が評価替え年度)、執筆時点(2025年)の情報であることを踏まえ、最新の税制は自治体の公式サイトまたは税理士に確認することを推奨します。
