不動産の変更登記費用完全ガイド:種類別の相場と手続き
住所変更・氏名変更などで変更登記が必要になったとき、「費用はいくらかかるのか?」「自分でできるのか?」「司法書士に依頼すべきか?」と疑問を感じる方は少なくありません。
この記事では、変更登記の種類別(不動産・法人)の費用相場、登録免許税と司法書士報酬の内訳、2025年4月に開始されたスマート変更登記制度を、法務省の公式情報を元に解説します。
変更登記が必要になった方でも、正確な費用を把握し、適切な手続き方法を選べるようになります。
この記事のポイント
- 不動産の住所変更登記は登録免許税1,000円/件+司法書士報酬10,000円~20,000円で合計12,000円~22,000円が目安
- 自分で手続きすれば2,000円~3,000円に抑えられるが、司法書士への依頼が安心
- 2025年4月21日開始のスマート変更登記制度を利用すれば、登録免許税・司法書士報酬ともに無料で住所変更登記ができる
- 2026年4月から不動産の住所変更登記が義務化され、2年以内に登記しないと5万円以下の過料が科される
1. 変更登記とは:どんな時に必要なのか
(1) 変更登記が必要になる5つの場面
変更登記とは、登記済みの事項に変更が生じた際に、法務局で登記内容を変更する手続きです。
以下の場面で必要になります。
| 場面 | 変更内容 |
|---|---|
| 引っ越し | 不動産所有者の住所変更 |
| 結婚・離婚 | 不動産所有者の氏名変更 |
| 法人の役員変更 | 取締役・代表取締役の変更 |
| 法人の本店移転 | 会社の本店所在地変更 |
| 事業目的変更 | 会社の事業内容の変更 |
変更登記を怠ると、売却時にトラブルが発生する可能性があります。
(2) 変更登記の期限と罰則
変更登記には期限があり、期限を過ぎると罰則が科されます。
| 変更登記の種類 | 期限 | 罰則 |
|---|---|---|
| 法人変更登記 | 変更日から2週間以内 | 100万円以下の過料 |
| 不動産の住所変更登記(2026年4月以降) | 変更日から2年以内 | 5万円以下の過料 |
2026年4月から不動産の住所変更登記が義務化されるため、早めの手続きを推奨します。
2. 変更登記の基礎知識:種類と費用の仕組み
(1) 登録免許税と司法書士報酬の違い
変更登記にかかる費用は、主に以下の2つです。
| 費用項目 | 内容 | 支払先 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 登記手続きの際に国に納める税金 | 法務局(国) |
| 司法書士報酬 | 司法書士に登記手続きを依頼する際の手数料 | 司法書士 |
自分で手続きすれば、司法書士報酬は不要です。
(2) 自分で手続きする場合と依頼する場合の費用差
| 手続き方法 | 費用 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 自分で手続き | 2,000円~3,000円(登録免許税のみ) | 費用が安い | 手間と時間がかかる、ミスのリスク |
| 司法書士に依頼 | 12,000円~22,000円(登録免許税+司法書士報酬) | 確実・迅速 | 費用が高い |
不動産の住所変更であれば、必要書類を揃えて法務局で手続きすれば自分でもできます。
(3) 費用が変動する要因
変更登記の費用は、以下の要因により変動します。
- 不動産の件数: 土地と建物それぞれに登録免許税がかかる(2件で2,000円)
- 案件の複雑さ: 複雑な案件は司法書士報酬が高くなる
- 法人の資本金額: 資本金1億円超の法人は登録免許税が高い
3. 不動産の変更登記費用:住所・氏名変更
(1) 登録免許税:不動産1件につき1,000円
不動産の住所変更・氏名変更登記にかかる登録免許税は、不動産1件につき1,000円です(2025年時点)。
例:
- 土地1件+建物1件の場合:1,000円×2件=2,000円
(2) 司法書士報酬:10,000円~20,000円が目安
司法書士に依頼する場合の報酬相場は、10,000円~20,000円程度です。
内訳:
- 登記申請書の作成:5,000円~10,000円
- 必要書類の取得代行:5,000円~10,000円
(3) 自分で手続きする場合の費用:2,000円~3,000円
自分で手続きする場合、以下の費用がかかります。
- 登録免許税: 2,000円(土地1件+建物1件)
- 必要書類の取得費用: 300円~1,000円(住民票、戸籍謄本等)
合計で2,000円~3,000円程度に抑えられます。
4. 法人の変更登記費用:役員・本店移転等
(1) 役員変更登記:登録免許税3万円(資本金1億円以下は1万円)
法人の役員変更登記にかかる登録免許税は、以下の通りです。
| 資本金 | 登録免許税 |
|---|---|
| 1億円超 | 3万円 |
| 1億円以下 | 1万円 |
司法書士報酬は2万円~5万円程度で、総費用は5万円以上が目安です。
(2) 本店移転登記:同一管轄3万円、管轄外6万円
法人の本店移転登記にかかる登録免許税は、以下の通りです。
| 移転先 | 登録免許税 |
|---|---|
| 同一管轄内(同じ法務局管轄) | 3万円 |
| 管轄外(異なる法務局管轄) | 6万円 |
司法書士報酬は3万円~10万円程度で、総費用は6万円以上が目安です。
(3) 事業目的変更登記:3万円
事業目的変更登記にかかる登録免許税は3万円です。
司法書士報酬は2万円~5万円程度で、総費用は5万円以上が目安です。
5. スマート変更登記で費用を削減する方法
(1) スマート変更登記とは:2025年4月開始
スマート変更登記とは、2025年4月21日から開始された制度で、事前に「検索用情報の申出」をしておけば、住所変更時に法務局が無料で住所変更登記を実施してくれます。
メリット:
- 登録免許税が無料: 通常1,000円/件かかる登録免許税が不要
- 司法書士報酬が無料: 手続きを法務局が行うため、司法書士への依頼が不要
- 手間が省ける: 住所変更時に自分で手続きする必要がない
(2) 利用方法:検索用情報の事前申出
スマート変更登記を利用するには、事前に「検索用情報の申出」が必要です。
手続き手順:
- 法務局に「検索用情報の申出書」を提出
- 住所変更時に市区町村が法務局に通知
- 法務局が自動的に住所変更登記を実施
事前申出は1回行えば、その後の住所変更時には自動で登記が行われます。
(3) 無料で住所変更登記ができる仕組み
スマート変更登記では、住所変更時に市区町村が法務局に通知し、法務局が自動的に住所変更登記を実施します。
2026年4月から住所変更登記が義務化されるため、早めに検索用情報の申出を行うことを推奨します。
6. まとめ:変更登記の費用を抑えるポイント
不動産の住所変更登記は、登録免許税1,000円/件+司法書士報酬10,000円~20,000円で合計12,000円~22,000円が目安です。自分で手続きすれば2,000円~3,000円に抑えられます。
2025年4月21日開始のスマート変更登記制度を利用すれば、登録免許税・司法書士報酬ともに無料で住所変更登記ができます。事前に「検索用情報の申出」を行いましょう。
2026年4月から不動産の住所変更登記が義務化され、2年以内に登記しないと5万円以下の過料が科されます。早めの手続きを推奨します。
司法書士に相談すれば、ご自身の状況に合った最適な手続き方法を提案してもらえます。
