司法書士に法人登記を依頼する理由
法人設立や会社変更の登記を自分で行うか、司法書士に依頼するかで迷う方は少なくありません。
この記事では、司法書士に法人登記を依頼した場合の費用相場(報酬・登録免許税等の内訳)、登記種別ごとの具体的な金額、自分で登記する場合との比較を、日本司法書士会連合会のデータや法務局の公式情報を元に解説します。
初めて法人登記をされる方でも、適正な予算計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 株式会社設立の司法書士報酬は6-10万円が相場で、登録免許税15万円と合わせて総額21-25万円程度
- 合同会社設立の司法書士報酬は5-9万円が相場で、登録免許税6万円と合わせて総額11-15万円程度
- 司法書士報酬は2003年以降自由化されており、事務所により異なるため複数見積もりが推奨される
- 電子定款に対応している司法書士に依頼すれば印紙代4万円を節約できる
- 自分で登記することも可能だが、書類不備による補正・却下のリスクがある
司法書士の法人登記とは?基本的な仕組み
(1) 法人登記の代理申請は司法書士の独占業務
法人登記の代理申請は、司法書士(および弁護士)の独占業務です。
行政書士は定款作成はできますが、登記申請の代理はできません。税理士も税務の専門家であり、登記申請の代理はできません。
法人設立や変更登記を専門家に依頼する場合は、司法書士に依頼することになります。
(2) 司法書士と税理士・行政書士の違い
各専門家の業務範囲は以下の通りです。
| 専門家 | 主な業務範囲 | 登記代理 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 登記・法律書類作成・簡易裁判代理 | ○ |
| 税理士 | 税務申告・会計指導 | × |
| 行政書士 | 許認可申請・定款作成 | × |
| 社労士 | 労務管理・社会保険手続き | × |
法人設立時には、司法書士(登記)、税理士(税務)、社労士(労務)が連携してサポートする場合が多くあります。
(3) 司法書士報酬は2003年以降自由化
2003年以降、司法書士報酬は自由化されており、各事務所が自由に報酬を設定できるようになりました。
以前は報酬規程がありましたが廃止されたため、同じ業務でも事務所によって費用が大きく異なる可能性があります。
複数の司法書士事務所から見積もりを取り、内容と費用を比較することが推奨されます。
法人登記費用の内訳(司法書士報酬と法定費用)
(1) 司法書士報酬(事務所により異なる)
司法書士報酬は、登記の種類や会社形態により異なります。
GVA法人登記によると、日本司法書士会連合会の調査データに基づく主要な登記の平均報酬は以下の通りです。
- 法人設立登記:平均約10万円(株式会社6-10万円、合同会社5-9万円)
- 役員変更登記:平均約3万円(1-3万円)
- 本店移転登記:平均約4万円(3-6万円)
報酬には、書類作成費用、申請代行費用、相談費用等が含まれます。
(2) 登録免許税(法定費用)
登録免許税は、登記手続きを行う際に国に納める税金です。
株式会社と合同会社で金額が異なります。
| 会社形態 | 登録免許税 |
|---|---|
| 株式会社 | 15万円(または資本金×0.7%の高い方) |
| 合同会社 | 6万円(または資本金×0.7%の高い方) |
資本金が2,142万円を超える場合、資本金×0.7%が適用されます。
(3) 定款認証手数料(株式会社のみ)
株式会社設立時には、公証役場で定款の内容を公的に認証してもらう手続きが必要です。
定款認証手数料は約5万円(資本金により変動)で、合同会社は定款認証が不要です。
(4) 収入印紙代(電子定款なら不要)
紙の定款で会社を設立する場合、収入印紙代4万円がかかります。
ただし、電子定款で作成する場合は印紙代が不要になるため、総コストを4万円節約できます。
電子定款に対応している司法書士に依頼することで、この費用を節約することができます。
登記種別ごとの司法書士報酬相場
主要な登記種別ごとの司法書士報酬相場は以下の通りです。
(1) 法人設立登記:6-10万円
株式会社設立の司法書士報酬は6-10万円が相場です。
電子定款に対応している司法書士に依頼すれば、印紙代4万円を節約できます。
(2) 役員変更登記:1-3万円
取締役・代表取締役の変更登記の報酬相場は1-3万円です。
役員の任期満了による再任の場合も、登記が必要です。
(3) 本店移転登記:3-6万円
本店所在地を変更する場合の報酬相場は3-6万円です。
同じ法務局管轄内の移転(管轄内移転)と、別の法務局管轄への移転(管轄外移転)で、登録免許税が異なります。
(4) 増資登記:3-5万円
資本金を増加する場合の報酬相場は3-5万円です。
登録免許税は増加資本金×0.7%(最低3万円)がかかります。
(5) 解散・清算登記:5-10万円
会社を解散し清算する場合の報酬相場は5-10万円です。
解散登記と清算結了登記の2段階の手続きが必要で、それぞれ登録免許税がかかります。
株式会社と合同会社の登記費用の違い
(1) 株式会社設立:司法書士報酬6-10万円 + 法定費用約20万円
株式会社設立の総額は約26-30万円です。
内訳は以下の通りです。
- 司法書士報酬:6-10万円
- 登録免許税:15万円
- 定款認証手数料:約5万円
- 収入印紙代:4万円(電子定款なら不要)
電子定款に対応している司法書士に依頼すれば、総額22-26万円に抑えられます。
(2) 合同会社設立:司法書士報酬5-9万円 + 法定費用約6-10万円
合同会社設立の総額は約11-15万円です。
内訳は以下の通りです。
- 司法書士報酬:5-9万円
- 登録免許税:6万円
- 収入印紙代:4万円(電子定款なら不要)
合同会社は定款認証が不要なため、株式会社より手続きがシンプルで費用も安い傾向にあります。
(3) 定款認証の有無(株式会社は必要、合同会社は不要)
株式会社は公証役場での定款認証が必要ですが、合同会社は不要です。
この違いにより、合同会社の方が約5万円のコストを削減できます。
(4) 登録免許税の違い(株式会社15万円、合同会社6万円)
登録免許税は株式会社15万円、合同会社6万円と大きな差があります。
初期費用を抑えたい場合は、合同会社設立を検討する価値があります。
(5) 電子定款で印紙代4万円を節約
電子定款に対応している司法書士に依頼することで、収入印紙代4万円を節約できます。
自分で電子定款を作成するには専用の機器・ソフトウェアが必要ですが、司法書士に依頼すれば追加費用なしで対応してもらえる場合が多いです。
自分で登記する場合との比較
(1) 自分で登記するメリット:司法書士報酬を節約できる
自分で登記申請することも可能で、司法書士報酬5-10万円を節約できます。
インターネットや書籍で手続き方法を調べ、法務局に相談しながら進めることができます。
(2) 自分で登記するデメリット:知識・時間が必要、書類不備リスク
自分で登記する場合のデメリットは以下の通りです。
- 法律知識と時間が必要(書類作成に数日~数週間)
- 書類不備による補正・却下のリスクがある
- 会社設立が遅れる可能性がある
- 電子定款を作成する場合、専用の機器・ソフトウェアが必要(初期費用数万円)
書類不備があると、法務局から補正指示があり、再提出が必要になります。
(3) 司法書士に依頼するメリット:書類不備リスク回避、電子定款対応
司法書士に依頼するメリットは以下の通りです。
- 書類不備リスクを回避し、スムーズに登記完了
- 電子定款対応で印紙代4万円を節約(実質的な報酬負担が1-6万円に)
- 法律相談・アドバイスを受けられる
- 本業に集中できる(時間の節約)
電子定款対応により、実質的な報酬負担は1-6万円程度になるため、費用対効果が高いといえます。
(4) 司法書士に依頼するデメリット:報酬がかかる
司法書士に依頼する唯一のデメリットは、報酬5-10万円がかかることです。
ただし、電子定款対応により印紙代4万円を節約できるため、実質的な負担は1-6万円程度です。
(5) 複数の司法書士から見積もりを取ることを推奨
司法書士報酬は事務所により異なるため、複数の司法書士から見積もりを取ることを推奨します。
見積もり時には以下の点を確認しましょう。
- 報酬の内訳(書類作成費用、申請代行費用、相談費用等)
- 電子定款対応の有無
- 追加費用の有無(交通費、郵送費等)
- 対応期間(申請までの日数)
まとめ:司法書士に依頼する際のポイント
司法書士に法人登記を依頼する場合の費用は、株式会社設立で総額22-26万円(電子定款対応)、合同会社設立で総額11-15万円が相場です。
司法書士報酬は2003年以降自由化されており、事務所により異なるため、複数の司法書士から見積もりを取ることが重要です。
電子定款に対応している司法書士に依頼すれば、印紙代4万円を節約でき、実質的な報酬負担を抑えられます。
自分で登記することも可能ですが、書類不備による会社設立の遅れリスクを考慮し、専門家への依頼を検討しましょう。


