不動産番号とは?登記手続きで必須の識別番号
不動産の相続登記や確定申告、売買手続きを進める際に「不動産番号を記入してください」と言われ、どこで確認すればいいのか困っている方は少なくありません。
この記事では、不動産番号の調べ方を、オンライン・オフライン両方の方法を含めて網羅的に解説します。法務省や国税庁の公式情報を元に、状況別(急ぎ/費用重視/遠方)の最適な方法を提示します。
初めて不動産番号を調べる方でも、この記事を読めば迷わず手続きを進められるようになります。
この記事のポイント
- 不動産番号は13桁の識別番号で、土地・建物ごとに付与される全国で一意の番号
- 登記事項証明書や登記事項要約書を法務局で請求すれば確認できる(1通450円〜600円)
- インターネット登記情報提供サービスを使えば、自宅から確認可能(1件144円〜335円、平日8:30〜23:00)
- 所有者であれば、登記識別情報通知や登記完了証から無料で確認できる
- 不動産番号を使えば、地番や家屋番号を省略して登記証明書を取得できる
不動産番号の基礎知識|地番・家屋番号との違い
不動産番号の構成(13桁の識別番号、全国で一意)
不動産番号とは、一筆の土地または一個の建物ごとに付けられた13桁の識別番号です。全国で一意の番号であり、重複することはありません。
2004年の不動産登記法改正により導入され、登記手続きの簡素化に貢献しています。この番号を使えば、地番や家屋番号を入力しなくても登記情報を取得できるため、手続きが大幅に効率化されます。
地番・家屋番号との違い(住所との違いも解説)
不動産番号と混同されやすいのが「地番」「家屋番号」です。以下の表で違いを整理します。
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 不動産番号 | 全国で一意の13桁の識別番号 | 1234567890123 |
| 地番 | 土地の場所を特定する登記上の番号(住所とは異なる) | 〇〇市〇〇町123番4 |
| 家屋番号 | 建物の場所を特定する登記上の番号 | 〇〇市〇〇町123番地4 |
| 住所 | 郵便物を届けるための表示 | 〇〇市〇〇町1丁目2番3号 |
地番・家屋番号は登記上の番号であり、普段使っている住所とは異なる場合があります。一方、不動産番号は全国で一意のため、番号さえわかれば確実に不動産を特定できます。
いつから導入されたか(2004年の不動産登記法改正)
不動産番号は、2004年(平成16年)の不動産登記法改正により導入されました。それまでは地番や家屋番号を使って不動産を特定していましたが、入力ミスや検索の手間が課題でした。
不動産番号の導入により、登記手続きの正確性が向上し、確定申告や相続登記でも活用されるようになりました。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、不動産番号を入力すれば登記事項証明書の添付を省略できる仕組みも整備されています。
登記事項証明書・登記事項要約書で調べる方法
法務局窓口での請求手順
不動産番号を調べる最も確実な方法は、法務局で登記事項証明書または登記事項要約書を請求することです。
手順:
- 管轄の法務局を確認(法務局公式サイトで検索可能)
- 申請書に必要事項を記入(地番・家屋番号、物件の所在地)
- 手数料を支払い(登記事項証明書600円、登記事項要約書450円)
- 証明書・要約書を受け取る
- 右上の「不動産番号欄」を確認
法務局は平日8:30〜17:15の営業が一般的です。営業時間は地域により異なるため、事前に確認することをおすすめします。
登記事項証明書と登記事項要約書の違い(料金・証明力)
| 項目 | 登記事項証明書 | 登記事項要約書 |
|---|---|---|
| 料金 | 1通600円 | 1通450円 |
| 証明力 | あり(公的書類として使える) | なし(参考資料のみ) |
| 用途 | 登記申請、契約書添付 | 内容確認のみ |
| 不動産番号の記載 | あり | あり |
不動産番号を確認するだけであれば、登記事項要約書で十分です。一方、登記申請や金融機関への提出に使う場合は、登記事項証明書が必要です。
郵送請求の方法
法務局に行く時間がない場合は、郵送請求も可能です。
必要なもの:
- 登記事項証明書交付申請書(法務局サイトからダウンロード可能)
- 手数料分の収入印紙
- 返信用封筒(切手を貼付)
申請書に地番・家屋番号を記入し、収入印紙を貼付して郵送します。通常、1週間程度で返送されます。
オンラインで調べる|登記情報提供サービスの使い方
登記情報提供サービスとは(料金・利用時間)
登記情報提供サービスは、インターネットで登記情報を確認できる有料サービスです。自宅から24時間いつでもアクセスできるため、忙しい方や遠方の方に最適です。
サービス概要:
- 運営: 一般財団法人民事法務協会
- 公式サイト: 登記情報提供サービス
- 利用時間: 平日8:30〜23:00(土日祝は8:30〜18:00)
- 料金: 全部事項335円、所有者事項144円
- 支払方法: クレジットカード、Pay-easy
登記情報提供サービスで取得した情報は証明力がないため、登記申請には使えません。ただし、不動産番号の確認や内容確認には十分です。
不動産番号での検索手順
すでに不動産番号がわかっている場合、以下の手順で登記情報を取得できます。
手順:
- 登記情報提供サービスにアクセス
- 利用者登録(初回のみ)
- 「不動産番号指定」を選択
- 13桁の不動産番号を入力
- 請求内容を選択(全部事項または所有者事項)
- 手数料を支払い
- PDFで登記情報をダウンロード
不動産番号を使えば、地番・家屋番号を入力する手間が省けます。
地番・家屋番号から不動産番号を確認する方法
不動産番号がわからない場合でも、地番・家屋番号から検索できます。
手順:
- 登記情報提供サービスで「地番・家屋番号検索」を選択
- 物件の所在地、地番・家屋番号を入力
- 登記情報を取得
- 右上の「不動産番号欄」を確認
地番・家屋番号も不明な場合は、法務局に住所を伝えて調べることができます。
その他の確認方法|登記識別情報通知・登記完了証
登記識別情報通知(旧権利証)から確認
所有者であれば、登記識別情報通知(旧権利証)から不動産番号を確認できます。
登記識別情報通知は、不動産の登記手続き(売買、相続等)が完了した際に法務局から発行される書類です。この通知書に不動産番号が記載されています。
確認場所:
- 登記識別情報通知の上部「不動産の表示」欄
登記識別情報通知は再発行されないため、紛失しないよう大切に保管してください。
登記完了証から確認
登記手続きが完了した際に発行される登記完了証にも、不動産番号が記載されています。
登記完了証は、登記申請が完了したことを証明する書類で、登記識別情報通知とは別に発行されます。こちらも不動産番号の確認に使えます。
所有者でない場合の確認方法
所有者でない場合は、登記識別情報通知や登記完了証からは確認できません。この場合は、以下の方法を使います。
- 法務局で登記事項証明書・登記事項要約書を請求(誰でも請求可能)
- 登記情報提供サービスで検索(地番・家屋番号が必要)
不動産の地番・家屋番号がわからない場合は、住所を法務局に伝えれば調べてもらえます。
まとめ|状況別の最適な調べ方
不動産番号の調べ方は、状況によって最適な方法が異なります。以下の表で整理します。
| 状況 | 最適な方法 | 料金 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 所有者で書類が手元にある | 登記識別情報通知・登記完了証を確認 | 無料 | 即時 |
| 急ぎで確認したい | 登記情報提供サービス | 144円〜335円 | 即時 |
| 証明書が必要 | 法務局で登記事項証明書を請求 | 600円 | 窓口:即日、郵送:1週間 |
| 費用を抑えたい | 法務局で登記事項要約書を請求 | 450円 | 窓口:即日、郵送:1週間 |
不動産番号を使えば、確定申告で登記事項証明書の添付を省略できたり、登記手続きで地番・家屋番号の入力を省けたりと、様々な場面で手続きが簡素化されます。
初めて不動産番号を調べる方は、まず登記情報提供サービスで確認するのがおすすめです。証明書が必要な場合は、法務局に請求してください。
不動産番号の入力ミスは誤った登記情報の取得につながるため、不安な場合は司法書士等の専門家に相談することをおすすめします。
