海外不動産投資の基礎知識|メリット・リスクと主要国別の特徴比較

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/27

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海外不動産投資はなぜ注目されるのか

海外不動産投資に関心を持つ投資家が増えています。「日本国内だけでなく海外にも資産を分散したい」「高利回りを狙いたい」と考える方にとって、海外不動産は選択肢の一つです。

この記事では、海外不動産投資の基礎知識、主要国の市場特性、税制・法規制の注意点、メリット・リスクを詳しく解説します。初めて海外投資を検討する方が、判断材料を得られる内容になっています。

この記事のポイント

  • 2025年の日本企業・投資家による海外不動産投資残高は22.5兆円規模に達している
  • メリット:高利回り・資産分散・インフレヘッジ
  • デメリット:カントリーリスク・為替リスク・融資の難しさ・流動性リスク
  • 日本の居住者は全世界所得に対し課税される(不動産所得は総合課税、譲渡所得は分離課税)
  • 2021年度以降、海外不動産の減価償却費を用いた赤字申告は個人では使えなくなった

(1) 2025年の海外不動産投資市場の動向

2025年、日本企業・投資家による海外不動産投資残高は22.5兆円規模に達し、25年残高は26.7兆円に拡大すると予測されています(三井住友トラスト基礎研究所)。

世界的な不透明感が続く中でも、海外不動産投資は拡大傾向にあります。2025年はアジア太平洋地域の不動産投資市場が活発化すると見られ、特に産業およびオフィスセクターが投資家の最優先選択肢となっています(東急リバブル Lnote)。

また、2025年の特徴として、投資家向け物件から居住目的のエンドユーザーにフォーカスした傾向へ変化している点が挙げられます。

(2) 分散投資としての海外不動産の役割

海外不動産投資の主な目的の一つは、資産の分散です。日本国内の不動産だけに投資すると、国内市場の低迷や災害リスクの影響を受けやすくなります。

海外不動産を組み入れることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 地域リスクの分散:日本の経済・市場動向に依存しない資産形成
  • 通貨の分散:円安局面での為替差益の可能性
  • インフレヘッジ:インフレに強い不動産で資産価値を維持

ただし、分散投資としての効果を得るためには、カントリーリスクや為替リスクを十分に理解し、適切な投資先を選ぶことが重要です。

海外不動産投資の基礎知識

(1) 海外不動産投資の収益構造(キャピタルゲイン・インカムゲイン)

海外不動産投資の主な収益源は、**キャピタルゲイン(売却益)インカムゲイン(賃料収入)**の2種類です。

収益源 内容 リスク
キャピタルゲイン 不動産の売却益(購入価格と売却価格の差額) 売却時の市場動向、為替変動により利益が不確実
インカムゲイン 賃料収入(家賃収入) 空室リスク、賃料下落リスク、為替リスク

キャピタルゲイン狙いの投資はおすすめできないとされています。たとえ人口が増加している国でも、キャピタルゲインを獲得できないリスクが十分にあるためです(武蔵コーポレーション)。

インカムゲイン重視の長期投資が、リスクを抑えた現実的な戦略といえます。

(2) カントリーリスクと為替リスクの基本

海外不動産投資には、日本国内投資にはないカントリーリスク為替リスクが伴います。

カントリーリスク: その国特有のリスク(政権交代、内乱、戦争、法改正、急激なインフレ・デフレ、自然災害等)により、投資環境が急変する可能性があります。

為替リスク: 投資した国の通貨が日本円に対して変動することで、海外不動産投資で得られる利益が変動するリスクです。円高になった場合、現地通貨での収益が目減りします。

現地の法制度や税制が突然変更されるケースも多いため、投資前に慎重な確認が必要です。

(3) 外国人の不動産購入規制とは

海外不動産を購入する際、国によって外国人の不動産購入規制があるため確認が必要です。

購入規制がない国、または条件付きで購入可能な国があります。たとえば、マレーシア・ベトナム・フィリピン等では、一定の条件を満たせば外国人でも不動産を購入できます。

購入前に以下を確認しましょう。

  • 外国人の不動産購入が認められているか
  • 購入可能な物件の種類(コンドミニアムのみ可、土地は不可など)
  • 最低購入価格の制限
  • 所有権の制限(一定期間のみ所有可能など)

海外不動産投資のメリットとデメリット

(1) メリット:高利回り・資産分散・インフレヘッジ

海外不動産投資の主なメリットは以下の通りです。

高利回り: 日本国内の不動産よりも高い利回りが期待できる国・地域があります。特に東南アジア諸国では、人口増加と経済成長により賃料収入の伸びが期待されています。

資産分散: 日本国内の不動産だけに投資するリスクを分散できます。地域リスク、通貨リスクを分散することで、ポートフォリオ全体の安定性を高められる可能性があります。

インフレヘッジ: 不動産は実物資産のため、インフレに強いとされています。現地のインフレにより不動産価格や賃料が上昇すれば、資産価値を維持・増加させることができます。

(2) デメリット:カントリーリスク・為替リスク・流動性リスク

一方で、以下のデメリットも存在します。

カントリーリスク: 政権交代、内乱、戦争、法改正、急激なインフレ・デフレ、自然災害等により、投資環境が急変する可能性があります。

為替リスク: 為替変動により、投資利回りが大きく変動します。円高になった場合、現地通貨での収益が目減りするため、為替ヘッジ手段の検討や長期保有によるリスク分散が重要です。

流動性リスク: 海外不動産は日本国内の不動産よりも売却が難しく、換金までに時間がかかる場合があります。急な資金需要に対応しにくいため、余裕資金での投資が基本です。

言語・管理の難しさ: 現地の土地勘や法制度の把握が重要です。言語の壁がある場合は専門家のサポートが必須で、現地の管理会社への委託費用も発生します。

(3) 融資の難しさと自己資金の必要性

海外不動産投資は融資が困難なため、自己資金での購入が基本となります。

  • 日本の金融機関:海外不動産を融資対象としていないことが多い
  • 現地金融機関:融資を受けられる場合でも、物件価格の5割~6割程度が限度

送金手数料は送金額の1.0%程度かかるため、コスト計算に含める必要があります。

主要国別の市場特性と投資機会

(1) 東南アジア(マレーシア・ベトナム・フィリピン等)の特徴

東南アジア諸国は、海外不動産投資の人気投資先の一つです。

共通の特徴

  • 人口増加と経済成長による賃貸需要の拡大
  • 比較的低い物件価格で投資可能
  • 2025年は外国人投資家に対する不動産規制の緩和が進んでおり、投資機会が拡大している

国別の特徴

  • マレーシア:外国人向けコンドミニアムの最低購入価格制限あり。英語が通じやすい
  • ベトナム:経済成長が著しく、都市部の賃貸需要が高い。外国人は一定条件下で購入可能
  • フィリピン:人口増加が続き、賃貸市場が拡大。コンドミニアムは外国人も購入可能(土地は不可)

(2) アメリカ・オーストラリアの不動産市場

アメリカ

  • 不動産市場の透明性が高く、法制度が整備されている
  • 為替リスクは大きいが、流動性が高い
  • 州によって税制・規制が異なるため、事前確認が重要

オーストラリア

  • 外国人向けの購入規制がある(新築物件のみ購入可など)
  • 賃貸市場が安定しており、インカムゲイン重視の投資に適している
  • 為替リスクに注意

(3) 2025年のアジア太平洋地域への注目

2025年はアジア太平洋地域の不動産投資市場が活発化すると見られています。特に産業およびオフィスセクターが投資家の最優先選択肢となっています。

日本の不動産の魅力も高まっており、海外投資家からの注目が集まっています。日本の投資家にとっても、アジア太平洋地域全体を視野に入れた投資戦略が重要になります。

税制・法規制・購入手続きの注意点

(1) 海外不動産にかかる税金(取得時・保有時・売却時)

海外不動産には、取得時・保有時・売却時の各段階で税金が課されます。

段階 税金の種類 課税地
取得時 不動産取得税、登録免許税 現地国
保有時 固定資産税(税率は国・地域により異なる) 現地国
売却時 譲渡所得税(長期20.315%、短期39.6%) 日本・現地国

(2) 確定申告と外国税額控除

日本の居住者は全世界所得に対し課税されるため、海外不動産からの収益も確定申告が必要です。

不動産所得: 海外不動産からの家賃収入は不動産所得として総合課税の対象となり、5%から最高45%の税率が適用されます。

譲渡所得: 不動産売却時の利益は譲渡所得として申告分離課税の対象となります。

  • 長期譲渡(所有期間5年超):20.315%
  • 短期譲渡(所有期間5年以下):39.6%

外国税額控除: 現地国で支払った税金を日本の税額から控除できる制度です。二重課税を避けるために活用できます。

(3) 2021年度以降の減価償却費の制限

2021年度以降の確定申告から、海外不動産の減価償却費計上を用いた赤字申告はできなくなりました(法人名義除く)。

かつては、海外不動産の減価償却費で損益通算して節税するスキームが利用されていましたが、現在は個人では使えません。節税目的の投資を考えている場合は注意が必要です。

(4) 購入の流れと必要書類

海外不動産の購入の流れは、日本国内と大まかには同じです。

主なステップ

  1. 投資先の国・地域を選定
  2. 物件の選定・現地視察
  3. 購入申込・売買契約
  4. 資金の送金(送金手数料1.0%程度)
  5. 登記・引渡し

必要書類

  • パスポート
  • 現地での納税者番号取得(国により異なる)
  • 売買契約書
  • 送金証明書

購入前に、現地の法制度・税制・購入規制を十分に確認しましょう。

(5) 日本人スタッフのいるエージェント活用法

言語の壁がある場合、日本人スタッフがいる不動産エージェントに依頼することで、現地のディベロッパー・不動産会社と交渉する仲介役をやってもらうことができます。

エージェント選びのポイント:

  • 現地の法制度・税制に精通しているか
  • 日本人スタッフのサポート体制が整っているか
  • 購入後の管理・賃貸運営もサポート可能か
  • 手数料が明確に提示されているか

複数のエージェントから情報を収集し、比較検討することをおすすめします。

まとめ:海外不動産投資を成功させるために

(1) リスク管理のポイント

海外不動産投資を成功させるためには、以下のリスク管理が重要です。

  • カントリーリスクの見極め:政治・経済の安定性、法制度の透明性を確認
  • 為替リスクの管理:為替ヘッジ手段の検討、長期保有によるリスク分散
  • 流動性リスクの認識:余裕資金での投資、売却に時間がかかる可能性を理解
  • 自己資金の確保:融資が困難なため、十分な自己資金を準備

(2) 専門家への相談の重要性

海外不動産投資は、税制・法規制が複雑です。投資前に以下の専門家への相談を推奨します。

  • 税理士:確定申告、外国税額控除、税制改正の影響
  • 弁護士:現地の法制度、契約内容の確認
  • 海外不動産専門家:投資先の選定、購入手続き、管理運営

信頼できる専門家のサポートを受けながら、無理のない投資計画を立てましょう。

海外不動産投資は、資産分散や高利回りといったメリットがある一方で、カントリーリスク、為替リスク、流動性リスク等のデメリットも存在します。2025年時点の税制・法規制を理解し、リスクを十分に認識した上で投資判断を行うことが重要です。

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よくある質問

Q1海外不動産は日本人でも購入できる?

A1国によって外国人の不動産購入規制があるため、事前確認が必要です。マレーシア・ベトナム・フィリピン等では条件付きで購入可能です。購入規制がない国であること、購入可能な物件の種類、最低購入価格の制限などを確認しましょう。専門家への相談を推奨します。

Q2海外不動産購入時の融資は受けられる?

A2日本の金融機関は海外不動産を融資対象としていないことが多く、現地金融機関の融資も物件価格の5~6割程度が限度です。自己資金での購入が基本となります。送金手数料(送金額の1.0%程度)もコスト計算に含める必要があります。

Q3海外不動産の収益に日本で税金はかかる?

A3日本の居住者は全世界所得に対し課税されるため、確定申告が必要です。不動産所得は総合課税(5~45%)、譲渡所得は分離課税(短期39.6%・長期20.315%)の対象となります。外国税額控除により現地で支払った税金を日本の税額から控除可能です。詳細は税理士への相談を推奨します。

Q4為替リスクはどの程度影響する?

A4円高になった場合、現地通貨での収益が目減りする可能性があります。為替変動により投資利回りが大きく変動するため、為替ヘッジ手段の検討や長期保有によるリスク分散が重要です。為替リスクを含めたトータルリターンを事前にシミュレーションしましょう。

Q52021年度以降の税制改正の影響は?

A52021年度以降、海外不動産の減価償却費を用いた赤字申告は個人では使えなくなりました(法人名義除く)。かつては減価償却費で損益通算して節税するスキームが利用されていましたが、現在は個人では使えません。節税目的の投資を考えている場合は注意が必要です。

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Room Match編集部

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