フィリピン不動産投資が注目される理由と本記事の目的
フィリピンは人口1億人を超え、2024年のGDP成長率5.8%と、アジア有数の成長国として不動産投資家から注目されています。一方で、外国人の所有規制や、プレビルド物件のリスクなど、日本の不動産投資とは異なる特有の注意点があります。
この記事では、フィリピン不動産投資の基礎知識、メリット・リスク、購入手続きを解説します。海外不動産投資は高リスクのため、投資判断前に税理士・弁護士・海外不動産専門家への相談を強く推奨します(2025年時点の情報)。
この記事のポイント
- 外国人は土地所有不可、コンドミニアムは1棟あたり40%まで所有可能
- マニラ首都圏のコンドミニアム平均グロス賃貸利回りは約5.0%(2024年)
- プレビルド物件は建物未完成・デベロッパー倒産リスクに注意
- 2024年に空室率26%予測が報じられ、供給過剰リスクも存在
フィリピン不動産投資の基礎知識(市場・規制・用語)
(1) フィリピン経済の成長性(GDP成長率5.8%、人口1億人超)
フィリピンは、人口増加と経済成長が続く新興国です。
| 指標 | データ | 備考 |
|---|---|---|
| 人口 | 1億人超 | 2091年まで増加予測 |
| GDP成長率(2024年) | 5.8% | アジア有数 |
| GDP成長率(2025年予測) | 6.2% | 上昇見込み |
フィリピン経済開発庁(NEDA)は、2025年に上位中所得国入りの見通しを発表しています(2024年11月発表)。
(2) 外国人の不動産所有規制(土地所有不可、コンドミニアム40%制限)
フィリピンでは、外国人の不動産所有に制限があります。
| 種類 | 外国人の所有 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地 | ❌ 不可 | 土地の所有は認められていない |
| コンドミニアム | ⭕ 可能 | 1棟あたり外国人所有40%まで |
| 土地の賃借 | ⭕ 可能 | 定期借地権の取得可能 |
外国人投資家がフィリピン不動産に投資する場合、コンドミニアム(分譲マンション)が主な選択肢となります。
(3) プレビルド物件とは何か
フィリピン不動産投資で多いのが「プレビルド物件」への投資です。
プレビルド物件: 建設中の物件を完成前に購入する方式です。完成後に価格が上昇することを期待して購入するケースが多いですが、以下のリスクがあります。
- 建物が完成しないリスク
- デベロッパー(開発会社)が倒産するリスク
- 支払い済み資金が返金されないリスク
プレビルド物件への投資は、デベロッパーの資力と過去の実績を十分に確認する必要があります。
フィリピン不動産投資のメリットと期待できるリターン
(1) キャピタルゲイン(売却益)の可能性
キャピタルゲインは、物件を購入後に売却して得る売却益です。
期待される背景:
- 人口増加による需要拡大
- 経済成長による所得増加
- 2024年第2四半期の住宅用不動産価格は前年同期比2.7%上昇
ただし、為替変動や市場動向により、期待通りの売却益が得られない可能性もあります。
(2) インカムゲイン(賃貸利回り)の実態
インカムゲインは、物件を保有して得る家賃収入です。
| エリア | グロス賃貸利回り | 備考 |
|---|---|---|
| マニラ首都圏 | 約5.0% | 2024年時点 |
グロス賃貸利回りは経費控除前の利回りです。管理費、税金、修繕費等を差し引いたネット利回りはこれより低くなります。
(3) マニラ・マカティの価格水準と比較
フィリピンの不動産価格は、日本と比較して割安です。
価格比較(参考):
- マニラ・マカティの最高級コンドミニアム㎡単価:東京都心の約1/4
この価格差が外国人投資家にとっての魅力となっていますが、為替リスクや現地の市場動向を考慮した判断が必要です。
フィリピン不動産投資のリスクと注意点
(1) プレビルド物件の未完成・デベロッパー倒産リスク
プレビルド物件は、フィリピン不動産投資で最も注意すべきリスクの一つです。
過去のトラブル事例:
- 建物が完成しないまま放置
- デベロッパーが倒産し、支払い済み資金が返金されない
- 工期遅延により引き渡しが数年遅れる
対策:
- デベロッパーの財務状況と過去の完成実績を確認
- 大手・上場デベロッパーを選択
- 完成済み物件を選択するのも一つの方法
(2) 為替リスクとカントリーリスク
フィリピン不動産投資では、為替変動とカントリーリスクを考慮する必要があります。
為替リスク:
- フィリピンペソの変動により、円換算の収益が変動
- ペソ安になると、家賃収入や売却益の円換算額が減少
カントリーリスク:
- 政治的リスク(政策変更、規制強化)
- 過去の事例:2018年にドゥテルテ大統領がボラカイ島を半年間封鎖、3.6万人が職を失い経済損失約400億円
- 自然災害リスク(台風、地震、火山)
(3) 空室リスクと供給過剰問題
2024年にはYahoo!ニュースで空室率26%予測が報じられ、供給過剰が懸念されています。
供給過剰の影響:
- 賃料の値下げ圧力
- 空室期間の長期化
- 売却価格の下落
特にベイエリア等では在庫圧力が残存しており、物件選定時にはエリアの需給バランスを確認することが重要です。
(4) 詐欺リスクと悪質業者への対策
海外不動産投資では、詐欺リスクにも注意が必要です。
よくある詐欺の手口:
- 建設計画のない架空物件の購入を持ち掛ける
- 実在しない高利回りを謳う
- 契約書の内容が不明確
対策:
- 実際に現地を視察し、物件・デベロッパーを確認
- 弁護士・不動産コンサルタントなど専門家に相談
- 契約書は翻訳して内容を十分確認
フィリピン不動産の購入手続きと必要書類
(1) 現地視察と物件選定のポイント
物件購入前には、現地視察が重要です。
現地視察のチェックポイント:
- 治安(周辺の雰囲気、夜間の様子)
- 交通アクセス(最寄り駅、渋滞状況)
- 周辺施設(病院、大型ショッピングセンター)
- 物件の管理状態(共用部分のメンテナンス)
- 賃貸需要(周辺のオフィス、外国人駐在員の数)
高級物件は空き室になると長期化する可能性があるため、エリア内の需要・賃料相場を事前に調査してください。
(2) 登記手続きと引き渡しまでの流れ
フィリピンでの不動産購入は、日本とは手続きが異なります。
一般的な流れ:
- 物件選定・予約(予約金の支払い)
- 契約書締結(残金の支払い方法を決定)
- 残金支払い(分割払いまたは一括)
- 引き渡し(完成後)
- 登記手続き(所有権移転登記)
注意点:
- 登記手続きには数ヶ月かかることがある
- 引き渡し後も登記済証が届くまで時間を要する
- 必要書類(パスポート、契約書等)を事前に確認
まとめ:フィリピン不動産投資を成功させるためのポイント
フィリピン不動産投資は、経済成長と人口増加を背景に注目されていますが、日本国内の不動産投資とは異なるリスクがあります。
投資判断のチェックリスト:
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 所有規制 | 土地所有不可、コンドミニアム40%制限 |
| プレビルドリスク | デベロッパーの資力・実績を確認 |
| 為替リスク | フィリピンペソの変動を考慮 |
| カントリーリスク | 政治的リスク・自然災害リスク |
| 空室リスク | 供給過剰エリアを避ける |
| 詐欺リスク | 専門家への相談、現地視察 |
投資前の必須アクション:
- 税理士に税務上の影響を相談(日本での申告義務等)
- 弁護士に契約書の内容を確認
- 海外不動産専門家に市場動向・物件選定を相談
- 複数のデベロッパー・物件を比較
海外不動産投資は高リスクです。「確実に儲かる」「必ず値上がりする」といった断定的な情報には注意し、慎重な判断を行ってください。投資判断は自己責任となります。


