野村不動産マスターファンド投資法人(NMF)完全ガイド:株価・分配金・投資判断

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

野村不動産マスターファンド投資法人とJ-REITの基礎知識

不動産投資に関心があるものの、物件の管理や多額の資金が必要なことに不安を感じる方は少なくありません。J-REIT(不動産投資信託)は、こうした課題を解決する投資方法として注目されています。

この記事では、野村不動産マスターファンド投資法人(証券コード:3462)の特徴、株価・分配金の動向、J-REIT投資のメリット・リスク、税金・購入方法を解説します。投資判断の参考情報として活用してください。

この記事のポイント

  • J-REITは不動産を証券化し、証券取引所で売買できるため、不動産投資の流動性が高まる
  • 野村不動産マスターファンド投資法人は野村不動産がスポンサーで、オフィス・住宅・商業施設・物流施設に分散投資
  • 2025年11月時点で株価は166,300~167,900円、時価総額は約7,726億円
  • REITは収益の90%超を分配することで実質的に法人税がかからず、高い分配利回りが実現できる
  • 分配金は20.315%で課税されるが、NISA口座利用で非課税、損益通算も可能

(1) J-REITとは(不動産投資信託の仕組み)

J-REITとは、日本の不動産投資信託のことです。投資家から資金を集め、オフィスビル・マンション・商業施設などに投資し、賃料収入や売買益を分配します。

証券取引所に上場しているため、個別株と同様に証券会社を通じて売買でき、不動産投資の流動性の低さを克服しています。

(2) 投資法人の構造(運用会社・資産保管会社・事務受託会社への委託)

投資法人は、J-REITの運営主体です。法律により実質的な業務を直接実施できず、以下の機関に委託します。

委託先 役割
運用会社 投資対象不動産の選定、賃貸条件の決定、財務戦略の立案
資産保管会社 保有不動産などの資産管理(通常は信託銀行が担当)
事務受託会社 会計処理、投資主名簿の管理等の事務処理

(3) 投資証券と投資法人債(株式・社債に相当)

J-REITは、以下の証券を発行して資金調達します。

  • 投資証券: 株式会社の株式に相当し、証券取引所で売買される
  • 投資法人債: 株式会社の社債に相当し、資金調達手段の一つ

(4) 投資主総会(2年に1回以上開催、役員選任等)

投資法人は2年に1回以上「投資主総会」が開催され、役員の選任等について投資主が意思を示すことができます。株主総会ほど頻繁ではありませんが、ガバナンスの仕組みが整っています。

野村不動産マスターファンド投資法人の特徴と投資方針

野村不動産マスターファンド投資法人は、大手デベロッパーの野村不動産がスポンサーのJ-REITです。

(1) 証券コード3462、野村不動産がスポンサー

証券コード3462で東京証券取引所に上場しています。野村不動産のスポンサー力により、質の高い不動産への投資機会を確保しています。

(2) 投資対象(オフィス・住宅・商業施設・物流施設に分散)

投資対象は以下の通りです。

  • オフィスビル: 都心部の優良物件
  • 住宅: マンション等の居住用不動産
  • 商業施設: ショッピングセンター等
  • 物流施設: 物流センター等

複数の用途に分散投資することで、リスク分散を図っています。

(3) 3年間で8~9%の分配成長を目指す方針

質の高い資産への入れ替えとリーシング活動により、3年間で8~9%の分配成長を目指しています。ただし、これは目標であり、将来の分配を保証するものではありません。

(4) 格付け・サステナビリティ評価(2024年にJCRからAA格付け、Green 1(F)取得)

2024年にJCRから以下の評価を取得しています。

  • AA格付け: 信用力の高さを示す
  • Green 1(F): グリーンファイナンス評価で最高ランク

サステナビリティへの取り組みを強化しており、環境配慮型の不動産投資を推進しています。

株価・分配金の動向と投資評価

野村不動産マスターファンド投資法人の株価・分配金の動向を確認しましょう。

(1) 株価の推移(2025年11月時点で166,300~167,900円)

2025年11月時点で、以下の価格帯で取引されています。

  • 11月18日: 166,300円(前日比-1.54%)
  • 11月20日: 167,900円(+0.66%)

株価は不動産市場の変動、金利動向、空室率、運用実績により変動します。

(2) 時価総額(約7,726億円)

2025年11月時点で、時価総額は約7,726億円です。J-REITの中でも大規模な投資法人です。

(3) 分配金利回りの目安(投資評価指標)

REITは収益の90%超を分配するなどの条件を満たすことで、実質的に法人税がかからず、高い分配利回りが実現できます。

具体的な分配金利回りは、公式IRや証券会社のデータで確認してください。

(4) NAV倍率・PBR等の投資判断指標

投資判断では、以下の指標も参考にしましょう。

  • NAV倍率: 純資産価値に対する株価の倍率(1倍未満なら割安の可能性)
  • PBR: 純資産倍率(株式と同様に評価できる)

これらの指標は、証券会社のレポートや公式IRで確認できます。

J-REIT投資のメリット・デメリット

J-REIT投資には、メリットとデメリットがあります。

(1) メリット①:不動産投資の流動性向上(証券取引所で売買可能)

証券取引所に上場しているため、個別株と同様に証券会社を通じて売買できます。実物不動産と異なり、すぐに換金できる点が大きなメリットです。

(2) メリット②:高い分配利回り(収益の90%超を分配で法人税が実質的にかからない)

REITは収益の90%超を分配するなどの条件を満たすことで、実質的に法人税がかからず、投資家への高い分配が可能となっています。

(3) メリット③:少額から投資可能(株式と同様に購入)

株式と同様に、少額から投資可能です。実物不動産のように数千万円~数億円の資金は不要です。

(4) デメリット①:不動産市場の変動リスク

不動産市場の変動により、株価や分配金が変動する可能性があります。

(5) デメリット②:金利変動リスク、空室リスク

金利が上昇すると、REITの借入コストが増加し、分配金が減少する可能性があります。また、空室率が上昇すると、賃料収入が減少します。

(6) デメリット③:配当控除が適用されない(法人税がかからないため)

REITは配当控除の適用を受けられません。株式の配当は法人税と所得税の二重課税にあたるため配当控除がありますが、REITは法人税がかからないため控除がありません。

REITの税金・コスト・購入方法

REITの税金・コスト・購入方法を確認しましょう。

(1) 分配金の税率(20.315%:所得税15.315%+住民税5%、2037年まで復興特別所得税2.1%含む)

分配金は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)で課税されます。2037年12月31日までは復興特別所得税2.1%が含まれます。

(2) 配当控除の適用なし(法人税がかからないため二重課税の問題なし)

REITは法人税がかからないため、配当控除は適用されません。二重課税の問題が生じないため、控除の必要がありません。

(3) 損益通算・特定口座の利用(株式の損失と通算可能)

REITの分配金は配当控除の対象外ですが、損益通算が可能で特定口座の対象となります。株式の損失と通算して税負担を軽減できます。

(4) NISA口座での非課税メリット

NISA口座を利用してREITを購入することで、分配金や譲渡益が非課税となり、効果的な節税ができます。

(5) 売買手数料(証券会社経由で発生)

証券会社経由で取引する際に株式売買手数料が発生します。証券会社の料金体系により、取引ごとか定額料金かが異なります。

(6) 購入方法(証券会社で株式と同様に取引)

証券会社で株式と同様に購入できます。口座開設後、証券コード3462で検索し、購入注文を出します。

まとめ:野村不動産マスターファンド投資法人への投資判断のポイント

野村不動産マスターファンド投資法人は、野村不動産がスポンサーのJ-REITで、オフィス・住宅・商業施設・物流施設に分散投資しています。2025年11月時点で株価は166,300~167,900円、時価総額は約7,726億円です。

REITは収益の90%超を分配することで実質的に法人税がかからず、高い分配利回りが実現できます。証券取引所で売買できるため、実物不動産と比べて流動性が高い点もメリットです。

一方、不動産市場の変動リスク、金利変動リスク、空室リスクなどにより、分配金や価格が変動する可能性があります。配当控除は適用されませんが、損益通算が可能で、NISA口座利用で非課税となります。

投資判断のポイント:

  • 株価・分配金の動向(公式IR、証券会社のデータで確認)
  • NAV倍率・PBRなどの投資指標
  • 不動産市場の動向、金利動向
  • ポートフォリオの分散(オフィス・住宅・商業・物流のバランス)
  • 格付け・サステナビリティ評価
  • 税制(分配金の課税、NISA口座の活用)

投資判断は個別の財務状況やリスク許容度により異なります。証券会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、ご自身の判断で投資を検討してください。

よくある質問

Q1野村不動産マスターファンド投資法人の株価は今後どうなるのか?

A12025年11月時点で166,300~167,900円で取引され、時価総額は約7,726億円です。株価は不動産市場の変動、金利動向、空室率、運用実績により変動します。質の高い資産への入れ替えとリーシング活動により3年間で8~9%の分配成長を目指していますが、これは目標であり将来の株価は保証されません。投資判断は証券会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談を推奨します。

Q2REITの分配金利回りはどのくらいか?

A2REITは収益の90%超を分配するなどの条件を満たすことで実質的に法人税がかからず、高い分配利回りが実現できます。野村不動産マスターファンド投資法人の具体的な分配金利回りは、公式IRや証券会社のデータで確認する必要があります。分配金は20.315%の税率で課税されますが、NISA口座を利用すると分配金や譲渡益が非課税となり、効果的な節税ができます。

Q3REITと株式の配当はどう違うのか?

A3REITは配当控除の適用を受けられません。株式の配当は法人税と所得税の二重課税にあたるため配当控除がありますが、REITは法人税がかからないため控除がありません。ただし、損益通算が可能で特定口座の対象となります。株式の損失とREITの分配金を通算して税負担を軽減できる点は、REITの税制上のメリットです。

Q4REITはどこで購入できるのか?手数料はかかるのか?

A4証券取引所に上場しているため、個別株と同様に証券会社を通じて売買できます。証券会社経由で株式売買手数料が発生します。証券会社の料金体系により、取引ごとか定額料金かが異なります。NISA口座を利用すると分配金や譲渡益が非課税となり効果的な節税が可能です。証券コード3462で検索し、購入注文を出すことができます。

Q5野村不動産マスターファンド投資法人の主な投資リスクは何か?

A5不動産市場の変動リスク、金利変動リスク、空室リスクなどを受け、分配金や価格が変動する可能性があります。運用会社への委託報酬はREITが負担していますが、市場価格で決定されます。投資法人は2年に1回以上「投資主総会」が開催され、投資主が意思を示すことができます。投資判断は個別の財務状況やリスク許容度により異なるため、専門家への相談を推奨します。

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