日南市の不動産購入を検討する前に知っておくべきこと
宮崎県日南市で不動産購入を検討する際、「地方都市の不動産価格はどのくらいなのか」「移住後の生活環境はどうなのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、日南市の不動産価格相場、地域特性、生活環境、購入時の注意点を、日南市の公式情報や地元不動産会社のデータを元に解説します。
移住・Uターン・セカンドハウス購入を検討している方が、判断材料を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 日南市の土地価格は坪単価5.95万円〜8.08万円、都市部と比較して非常に安価
- 中古住宅は1,350万円程度から購入可能、賃貸は1K 3.75万円が目安
- 地元不動産会社25社が営業しており、空き家バンク制度も活用可能
- 人口減少エリアのため、資産価値の減少リスクや流動性の低下に注意が必要
(1) 日南市の不動産市場の特徴
日南市は宮崎県南部に位置する人口約5万人の地方都市です。都市部と比較して不動産価格が安価で、移住・Uターン希望者向けの支援制度が整っています。
日南市によると、市内には25の不動産会社が営業しており、地域密着型のサービスを提供しています。大手ポータルサイト（SUUMO、ニフティ不動産等）でも日南市の物件を検索できます。
地方都市特有の特徴として、物件の流通量が都市部より少なく、希望条件に合う物件が見つかるまで時間がかかる場合があります。
(2) 移住・Uターン・セカンドハウス購入の動向
2024年時点で、日南市は移住促進施策を積極的に展開しています。空き家バンク制度を通じて、移住希望者向けの物件情報が提供されています。
移住理由として以下が挙げられます。
- 低コストでの生活: 都市部と比較して住宅費・生活費が安価
- 自然環境: 海・山に囲まれた豊かな自然環境
- Uターン: 出身地に戻る選択肢
- セカンドハウス: 温暖な気候を活かした別荘需要
ただし、人口減少が進んでいるため、購入後の資産価値の減少リスクを考慮する必要があります。
日南市の不動産価格相場（土地・中古住宅・賃貸）
(1) 土地価格相場（坪単価5.95万円〜8.08万円）
日南市の土地価格は、都市部と比較して非常に安価です。地元不動産会社のデータによると、以下の価格帯が目安となります。
| エリア | 土地価格 | 坪単価 |
|---|---|---|
| 西弁分2丁目 | 550万円〜610万円 | 5.95万円/坪〜8.08万円/坪 |
（出典: 日南不動産）
東京23区の平均坪単価が200万円前後であることを考えると、日南市は約1/30程度の価格水準です。
(2) 中古住宅の価格帯（1,350万円〜）
中古住宅は以下の価格帯で購入可能です。
| 間取り | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 4LDK | 1,350万円 | 標準的な中古住宅 |
| 商業・事務所物件 | 1,380万円 | 用途に応じて選択可能 |
| 昭和40-50年代 | 118万円〜480万円 | リフォーム前提 |
（出典: F企画不動産）
都市部で3,000万円以上かかる4LDKの一戸建てが、日南市では半額以下で購入できます。ただし、築年数が古い物件はリフォーム費用を別途見込む必要があります。
(3) 賃貸物件の家賃相場（1K 3.75万円〜）
賃貸物件の家賃は以下が目安です。
| 間取り | 家賃 | エリア |
|---|---|---|
| 1K | 3.75万円 | 市内中心部 |
| 1LDK | 4.5万円 | 市内中心部 |
| 2K | 2.9万円 | 南郷町 |
（出典: 日南不動産 賃貸物件一覧）
2024年時点で、オートロック・インターネット対応などの設備が整った物件も増加しています。
(4) エリア別の価格傾向
日南市内で物件が多いエリアは以下のとおりです。
- 油津: 中心市街地、商業施設が集中
- 飫肥: 歴史的な城下町、観光地
- 南郷町: 郊外エリア、家賃が安価
エリアにより価格差がありますが、いずれも都市部と比較すると低価格帯です。
日南市の地域特性と生活環境
(1) 人口動態と産業構造
日南市の人口は減少傾向にあります。総務省の統計によると、2025年時点で約5万人、2040年には約3.5万人まで減少する見込みです。
主な産業は以下のとおりです。
- 農業: 日南茶、完熟マンゴー等
- 水産業: 漁業・水産加工
- 観光業: 飫肥城、サンメッセ日南等
人口減少は、不動産市場では「物件の流動性低下」「資産価値の減少」につながる可能性があります。
(2) 交通アクセス（宮崎市・都城市への距離）
日南市は宮崎市から南へ約50km、車で約1時間の距離です。
| 目的地 | 距離 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 宮崎市 | 約50km | 車で約1時間 |
| 都城市 | 約40km | 車で約50分 |
| 宮崎空港 | 約60km | 車で約1時間10分 |
公共交通機関はJR日南線が運行していますが、本数が限られるため、自家用車が生活必需品となります。
(3) 商業施設・医療・教育環境
商業施設:
- 地元スーパー（マルイチ、Aコープ等）
- コンビニ（ファミリーマート、ローソン等）
大型ショッピングモールはないため、大きな買い物は宮崎市まで足を運ぶ必要があります。
医療:
- 県立日南病院（総合病院）
- 地域のクリニック・診療所
教育:
- 小学校・中学校は市内各地に配置
- 高校は日南高校、日南振徳高校等
地方都市のため、都市部と比較すると選択肢は限られますが、基本的な生活インフラは整っています。
(4) 移住支援制度と空き家バンク
日南市の移住ポータルサイト「やさしい移住」では、空き家バンク制度を提供しています。
空き家バンクの仕組み:
- 空き家所有者が物件を登録
- 移住希望者が物件情報を閲覧
- 市がマッチングをサポート
この制度を活用することで、通常の不動産流通では見つからない物件に出会える可能性があります。
日南市で不動産を購入する流れと注意点
(1) 不動産会社の選び方（地元25社の活用）
日南市によると、市内には25の不動産会社が営業しています。主な会社は以下のとおりです。
- 日南不動産株式会社（戸高2-14-1、0987-23-0770）
- かとう宅建事務所（五田東10-6-14、0987-23-7377）
- 坂本不動産（中央通1-5-13、0987-23-8682）
地域密着型の不動産会社は、地元の物件情報に詳しく、移住後の生活相談にも対応してくれる場合があります。
(2) 物件の探し方（ポータルサイト・空き家バンク）
物件を探す方法は以下の3つです。
- 地元不動産会社: 直接訪問・電話で相談
- 大手ポータルサイト: SUUMO、ニフティ不動産等で検索
- 空き家バンク: 日南市の移住ポータルサイトで確認
複数の方法を組み合わせることで、希望に合う物件が見つかる可能性が高まります。
(3) 購入時の諸費用と税金
不動産購入時には、物件価格以外に以下の諸費用が発生します。
| 項目 | 目安額 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税 | 不動産会社に支払う |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3% | 軽減措置あり |
| 登記費用 | 5万円〜15万円 | 司法書士に依頼 |
| 火災保険 | 10万円〜30万円 | 10年一括払い |
諸費用は物件価格の5-10%が目安です。詳細は宅地建物取引士や税理士にご相談ください。
(4) 物件見学時のチェックポイント
地方都市の中古物件を見学する際は、以下をチェックしてください。
- 建物の状態: 雨漏り、シロアリ被害、基礎のひび割れ
- 周辺環境: スーパー・病院までの距離、公共交通機関の有無
- ライフライン: 上下水道、ガス、インターネット回線の整備状況
- 災害リスク: ハザードマップで浸水・土砂災害リスクを確認
特に築年数が古い物件は、リフォーム費用を事前に見積もることが重要です。
人口減少エリアでの購入リスクと対策
(1) 資産価値の減少リスク
人口減少が進むエリアでは、不動産の資産価値が減少する可能性があります。総務省の統計によると、日南市の人口は2040年に約3.5万人まで減少する見込みです。
資産価値の減少は、以下の影響をもたらします。
- 売却価格の低下: 購入時より低い価格でしか売れない可能性
- 需要の減少: 買い手が見つかりにくくなる
(2) 物件の流動性（売却のしやすさ）
地方都市の不動産は、都市部と比較して流動性（売却のしやすさ）が低い傾向にあります。
流動性が低い理由:
- 人口減少により買い手が限られる
- 不動産取引の件数が少ない
- 金融機関の融資条件が厳しい場合がある
将来的に売却する可能性がある場合は、この点を考慮して購入判断を行ってください。
(3) 地方都市特有の課題（交通・商業施設）
日南市では、以下の地方都市特有の課題があります。
- 交通手段の限定: 公共交通機関が限られ、自家用車が必須
- 商業施設の減少: 大型店舗が撤退するリスク
- 医療・介護: 高齢化により医療・介護サービスの需要が増加
移住後の生活をシミュレーションし、これらの課題を受け入れられるか検討してください。
(4) リスクを抑える購入戦略
人口減少エリアで不動産を購入する際は、以下の戦略が有効です。
- 購入目的を明確にする: 移住・Uターン・セカンドハウス等、目的に応じた判断
- 長期保有を前提とする: 売却前提ではなく、長期的に住む計画
- 低価格物件を選ぶ: 資産価値の減少リスクを最小化
- 空き家バンクを活用: 通常より安価な物件を見つける
投資目的での購入は、流動性の低さからリスクが高い点に注意してください。
まとめ：日南市での不動産購入判断のポイント
日南市の不動産は、土地が坪単価5.95万円〜8.08万円、中古住宅が1,350万円程度から購入可能で、都市部と比較して非常に安価です。移住支援制度・空き家バンクを活用することで、さらに低コストでの購入も可能です。
一方で、人口減少エリアのため、資産価値の減少リスクや物件の流動性の低下には注意が必要です。購入目的を明確にし、長期的な視点で判断することが重要です。
地元不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、ご自身のライフプランに合った物件を選びましょう。