住宅ローン仮審査とは|どこまで調べられるのか
住宅ローンの申込を検討している方にとって、「仮審査では何を調べられるのか」は気になるポイントでしょう。自分の収入や借入状況がどこまで調査されるのか、不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、住宅ローン仮審査で確認される項目、信用情報の照会範囲、審査通過のための対策を、金融機関や信用情報機関の公式情報をもとに解説します。
仮審査に備えて事前に準備しておくべきことを把握できるようになります。
この記事のポイント
- 仮審査では年収・勤務先・信用情報・他の借入状況・返済負担率などを確認される
- 個人信用情報は CIC・JICC・KSC の3機関から照会される
- 返済負担率は年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下が一般的な目安
- 異動情報(延滞・債務整理)は5〜10年間保存され、審査に影響する
- 審査基準は金融機関ごとに異なるため、専門家への相談も有効
仮審査で確認される6つの項目
住宅ローンの仮審査(事前審査)では、主に以下の6つの項目が確認されます。
年収と返済負担率
年収は住宅ローンの借入可能額を算出する基礎となります。審査では「返済負担率」、つまり年収に対する年間返済額の割合が重視されます。
| 年収 | 返済負担率の目安 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
返済負担率には、住宅ローン以外のローン(自動車ローン、カードローンなど)の返済額も含まれます。
勤務先と勤続年数
勤務先の安定性や勤続年数も審査の対象です。一般的に、勤続年数は1〜3年以上が望ましいとされています。ただし、金融機関によって基準は異なり、転職直後でも審査に通る場合があります。
個人信用情報(CIC・JICC・KSC)
個人信用情報とは、クレジットカードやローンの利用履歴・返済状況を記録したデータです。CIC(クレジット系)、JICC(消費者金融系)、KSC(銀行系)の3つの信用情報機関から照会されます。
他のローン・借入状況
自動車ローン、教育ローン、カードローンなど、他の借入状況も確認されます。使っていないカードローンやキャッシング枠も「借入可能額」として審査に影響する場合があるため、不要なカードは解約しておくことを推奨します。
完済時年齢
住宅ローンは長期の契約となるため、完済時の年齢も審査対象です。多くの金融機関では、完済時年齢80歳未満を上限としています。
物件の担保評価(簡易)
仮審査では物件の担保評価は簡易的に行われ、本審査でより詳細な評価が実施されます。
信用情報の照会範囲と確認される内容
信用情報は住宅ローン審査において重要な判断材料です。ここでは、信用情報に記録される内容と影響について解説します。
信用情報に記録される情報
信用情報には以下の内容が記録されています。
- クレジットカード・ローンの契約内容(契約日、利用限度額など)
- 返済状況(支払い遅延の有無、残高など)
- 新規申込の履歴
- 債務整理・自己破産の有無
異動情報(延滞・債務整理等)の影響
「異動」とは、61日以上または3ヶ月以上の支払い遅延があった場合に記録される情報です。いわゆる「ブラックリスト」とも呼ばれ、住宅ローン審査に大きく影響します。
異動情報がある場合、審査通過は困難になる可能性があります。
情報の保存期間と消えるタイミング
| 情報の種類 | 保存期間 |
|---|---|
| 支払い状況 | 契約終了から5年 |
| 延滞解消後 | 解消から5年 |
| 債務整理・自己破産 | 手続きから5〜10年(機関により異なる) |
保存期間を過ぎると情報は削除されますが、それまでは審査に影響する可能性があります。
仮審査に通過するための基準と対策
仮審査に備えて、事前にできる対策を紹介します。
返済負担率の目安(30〜35%以下)
住宅ローンを検討する際は、返済負担率が30〜35%以下に収まるよう借入額を調整しましょう。他のローンがある場合は、その返済額も含めて計算する必要があります。
不要なカードローン・キャッシング枠の整理
使っていないカードローンやクレジットカードのキャッシング枠は、「借入可能額」として審査に影響することがあります。住宅購入前に不要なカードは解約しておくことを推奨します。
事前に信用情報を開示請求する方法
自分の信用情報は、各信用情報機関に開示請求することで確認できます。CICではインターネット・郵送・窓口で開示請求が可能です。
ただし、開示請求の記録も残るため、住宅購入前に1回だけ確認するのが望ましいでしょう。
仮審査で注意すべきポイントとよくある失敗
申込内容に虚偽がある場合
年収や勤続年数などの申込内容に虚偽があると、審査に落ちるだけでなく、今後の借入にも影響する可能性があります。申込内容は正確に記入しましょう。
仮審査通過後の転職・退職
仮審査に通過しても、本審査までに転職・退職すると、本審査で落ちるリスクがあります。住宅購入が完了するまでは、勤務先の変更は避けることを推奨します。
スーパーホワイト(信用履歴なし)の影響
「スーパーホワイト」とは、信用情報に全く履歴がない状態を指します。クレジットカードやローンを一度も利用したことがない場合、返済能力の実績がないとして審査に不利になる場合があります。
まとめ:仮審査に備えて事前にできること
住宅ローンの仮審査では、年収・勤務先・信用情報・他の借入状況・返済負担率などが確認されます。審査基準は金融機関ごとに異なりますが、事前に以下の準備をしておくことで、スムーズに審査を進められる可能性が高まります。
- 返済負担率が30〜35%以下になるよう借入額を調整
- 不要なカードローン・キャッシング枠を解約
- 信用情報を開示請求して確認(1回のみ)
- 住宅購入完了まで転職・退職を控える
不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することも検討してみてください。


