住宅ローン仮審査を勧められる理由とは
物件の内見や相談時に不動産業者から「住宅ローンの仮審査を受けてみませんか?」と勧められ、受けるべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産業者が仮審査を勧める理由、仮審査のメリット・デメリット、信用情報への影響、受けるべきか断るべきかの判断基準を解説します。SBI新生銀行の公式情報を元に、仮審査を勧められた際に適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 不動産業者が仮審査を勧める理由は、購入者の借入可能額を把握し取引をスムーズに進めるため
- 仮審査を受けると借入可能額が事前にわかり、予算に合った物件探しができる
- 信用情報への照会記録は6ヶ月間残るが、審査落ちの記録ではない
- 複数の金融機関に申し込む場合は3社程度が適切
- 物件が決まっていなくても仮審査は受けられる
仮審査の仕組みと本審査との違い
仮審査で確認される項目と審査期間
仮審査(事前審査)とは、住宅ローンの本審査の前に行われる簡易審査です。主に以下の項目が確認されます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 年収 | 安定した収入があるか |
| 勤続年数 | 同じ勤務先での継続性 |
| 信用情報 | 延滞履歴・他の借入状況 |
| 返済負担率 | 年収に対する返済額の割合 |
審査期間は通常3〜4営業日が目安です。オンラインでの申込みが一般的になり、来店不要で即日回答する金融機関も増えています。
仮審査通過後の本審査との関係
仮審査と本審査の違いは以下の通りです。
| 項目 | 仮審査 | 本審査 |
|---|---|---|
| 目的 | 借入可能額の確認 | 最終的な融資可否の決定 |
| 審査内容 | 年収・信用情報中心 | 物件担保評価・団信健康審査含む |
| 期間 | 3〜4営業日 | 1〜2週間程度 |
| 拘束力 | なし | 承認後は契約手続きへ |
仮審査に通過しても、本審査で否決される可能性があります。特に物件の担保評価が不足している場合や、団体信用生命保険(団信)の健康審査で問題が見つかった場合は、本審査で落ちることがあります。
仮審査を受けるメリット
借入可能額を事前に把握できる
仮審査を受ける最大のメリットは、自分がいくらまで借りられるかを事前に把握できることです。
- 予算に合った物件探しができる
- 「そもそも買えなかった」というリスクを排除できる
- 資金計画が立てやすくなる
物件が決まる前でも仮審査を受けることは可能です。多くの金融機関では物件未定の段階での仮審査を受け付けています。
人気物件で有利になる可能性
仮審査に通過していると、以下の点で有利になる場合があります。
- 人気物件で他の購入希望者と競合した際に優先される
- 売主側に「確実に買える購入者」と判断される
- 売買契約から決済までの期間を短縮できる
特に競争率の高い物件では、仮審査通過済みであることが購入の決め手になることもあります。
仮審査を受ける際の注意点とデメリット
信用情報への照会記録が残る影響
仮審査を受けると、信用情報機関(CIC・JICC・JBA)に照会記録が残ります。この記録は6ヶ月間保持されます。
重要なのは、照会記録は「審査落ち」の記録ではないということです。単に「この人が住宅ローンの審査を申し込んだ」という事実が記録されるだけです。
ただし、短期間に多数の金融機関に申し込むと、「他社で審査に落ちたのではないか」と推測されるリスクがあります。
複数申込する場合の適正件数
複数の金融機関に仮審査を申し込む場合の適正件数は3社程度です。
| 申込件数 | 評価 |
|---|---|
| 1〜2社 | 問題なし |
| 3社 | 適正範囲 |
| 4〜5社以上 | 多いと見なされる可能性 |
複数申込みにはリスク分散のメリットもあります。1社で否決されても他社で通過する可能性があるためです。ただし、同じ条件で複数社から否決されると、その後の審査にも影響する可能性があります。
信用情報に延滞履歴がないか心配な場合は、仮審査を申し込む前にCICやJICCで自分の信用情報を開示して確認することを推奨します。
仮審査を受けるべきか断るべきかの判断基準
物件購入の本気度で判断する
仮審査を受けるかどうかは、物件購入の本気度で判断しましょう。
仮審査を受けるべきケース
- 具体的に住宅購入を検討している
- 借入可能額を把握して予算を明確にしたい
- 気になる物件があり、購入に向けて動きたい
断っても問題ないケース
- まだ情報収集の段階で、購入は当分先
- 他に検討している金融機関がある
- 不動産業者の対応に不信感がある
断ったとしても物件購入に直接の影響はありません。ただし、購入意思が低いと判断され、業者の対応が変わる可能性はあります。
提携ローンと自分で選ぶ金融機関の違い
不動産業者経由の仮審査は、その業者と提携している金融機関に限られる場合があります。
| 項目 | 提携ローン | 自分で選ぶ |
|---|---|---|
| 金利 | 優遇される場合あり | 自分で比較検討 |
| 選択肢 | 限られる | 幅広く選べる |
| 手続き | 業者がサポート | 自分で進める |
購入意思があるなら、不動産業者経由だけでなく、自分で金融機関を選んで仮審査を申し込むことも選択肢です。金利や団信の内容を比較し、有利な条件のローンを選ぶことで総返済額を抑えられる可能性があります。
まとめ:仮審査を勧められたときの対応ポイント
不動産業者から仮審査を勧められた際は、購入の本気度と自分の状況に応じて判断しましょう。
仮審査を勧められたときのチェックリスト
- 購入意思の確認: 具体的に購入を検討しているか
- 信用情報の確認: 延滞履歴がないかCIC等で事前確認
- 申込件数の管理: 複数申込みは3社程度に留める
- 金融機関の比較: 提携ローンだけでなく他も検討
- 本審査との違いを理解: 仮審査通過は借入確約ではない
2024〜2025年は金利上昇局面にあり、早めの仮審査で金利を確定させたいと考える方も増えています。ただし、金利は申込時点ではなく融資実行時点で確定する金融機関が多い点に注意が必要です。
住宅ローンは長期にわたる返済となるため、ファイナンシャルプランナーに相談しながら、自分に最適な金融機関とローン商品を選択することを推奨します。


