住宅ローン審査期間の実態:全体スケジュールと各段階の日数
「住宅ローンの審査にはどれくらいの期間がかかるのか」「物件の契約スケジュールに間に合うのか」と不安に感じている方は多いでしょう。
この記事では、住宅ローン審査の期間、事前審査と本審査の違い、審査に落ちる原因、スムーズに通すためのポイントを、金融機関の公式情報をもとに解説します。
住宅購入を検討している方が、審査準備を計画的に進められるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンの審査期間は、事前審査3〜4営業日、本審査1〜2週間、全体で1〜2ヶ月が目安
- 事前審査は自己申告ベースだが、本審査では正式書類と担保評価が必要で審査が厳格
- 審査に落ちる主な原因は、年収・返済負担率、勤続年数、信用情報、担保評価、健康状態
- 必要書類の事前準備、繁忙期回避、ネット銀行のAI審査活用で期間短縮が可能
- 審査期間中の転職や新規借入は審査落ちのリスクを高めるため要注意
(1) 全体スケジュール:申込から融資まで1〜2ヶ月
住宅ローンの全体スケジュールは、申込から融資実行まで約1〜2ヶ月を見込む必要があります。
全体の流れと期間:
| 段階 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 事前審査 | 3〜4営業日 | 融資可能性の簡易確認 |
| 本審査 | 1〜2週間 | 正式書類・担保評価による詳細審査 |
| 契約手続き | 1〜2週間 | 金銭消費貸借契約の締結 |
| 融資実行 | 契約後数日 | 融資金の振込 |
物件の購入スケジュールに間に合わせるため、余裕を持って1ヶ月半〜2ヶ月前から審査を開始することが推奨されます。
(出典: auじぶん銀行)
(2) 事前審査の期間(3〜4営業日)
事前審査(仮審査)は、融資が受けられそうかを確認する簡易的な審査です。
期間: 3〜4営業日(一部のネット銀行では即日回答も可能)
特徴:
- 自己申告のみで済むケースが多く、インターネット入力だけで申込可能
- 書類提出が不要な場合もある
- 申込者の収入や勤続年数、購入物件の情報から判断
事前審査はスピーディーに結果が出るため、物件の購入申込時に並行して進めることができます。
(出典: SBI新生銀行)
(3) 本審査の期間(1〜2週間)
本審査は、事前審査よりも詳しく審査される正式な審査です。
期間: 1〜2週間程度(5〜10営業日)
特徴:
- 源泉徴収票、売買契約書、登記簿謄本等の正式書類が必要
- 物件の担保評価が行われる
- 信用情報機関への照会が行われる
- 健康状態の確認(団体信用生命保険の加入審査)
本審査は事前審査よりも厳格なため、事前審査に通っても本審査で落ちる可能性があります。
(出典: SBI新生銀行)
(4) 契約・融資実行までの期間
本審査通過後は、金銭消費貸借契約(金消契約)の締結と融資実行が行われます。
契約手続き: 1〜2週間 融資実行: 契約後数日
金消契約では、借入金額、金利、返済期間等の契約内容を確認し、正式に契約を締結します。
契約手続きは平日・来店時のみ可能という制約がある金融機関もあるため、スケジュール調整が必要です。
事前審査と本審査の違い:内容・期間・必要書類
(1) 事前審査の内容と目的
事前審査の目的は、「融資が受けられそうか」を早期に確認することです。
審査内容:
- 年収と返済負担率の確認
- 勤続年数と雇用形態の確認
- 購入物件の概要確認
必要書類:
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 収入証明(源泉徴収票等)※インターネット申込では不要な場合も
- 物件概要書(チラシ等)
事前審査は自己申告ベースのため、申込者の入力内容に基づいて判断されます。
(出典: SBI新生銀行)
(2) 本審査の内容と目的
本審査の目的は、融資の可否を正式に決定することです。
審査内容:
- 正式書類による年収・勤続年数の確認
- 信用情報機関への照会(延滞履歴・他社借入の確認)
- 物件の担保評価
- 健康状態の確認(団体信用生命保険の加入審査)
本審査では、事前審査で確認できなかった詳細な情報を精査します。
(出典: 住信SBIネット銀行)
(3) 必要書類の違い
事前審査と本審査では、必要書類が大きく異なります。
| 書類 | 事前審査 | 本審査 |
|---|---|---|
| 本人確認書類 | ◯ | ◯ |
| 源泉徴収票・確定申告書 | △(不要な場合も) | ◯(必須) |
| 売買契約書 | × | ◯(必須) |
| 登記簿謄本 | × | ◯(必須) |
| 健康診断書 | × | △(求められる場合あり) |
本審査では多数の書類が必要になるため、事前に準備しておくと審査がスムーズに進みます。
(4) 事前審査に通っても本審査で落ちるケース
事前審査に通っても、本審査で落ちる可能性があります。
主な理由:
- 審査期間中の転職:勤続年数がリセットされ、審査基準を満たさなくなる
- 新規借入:他社借入が増え、返済負担率が基準を超える
- 担保評価の低下:物件の担保価値が想定より低く、融資額が減額される
- 信用情報の問題:本審査で詳しく照会した結果、延滞履歴が発覚
- 健康状態:団体信用生命保険に加入できない
事前審査通過後も、審査期間中は転職や新規借入を避けることが重要です。
(出典: SBI新生銀行)
住宅ローン審査に落ちる主な原因
(1) 年収と返済負担率
住宅ローン審査では、年収と返済負担率が重要な審査項目です。
返済負担率: 年収に対する年間返済額の割合。一般的に35〜45%以内が審査の目安
例:
- 年収500万円の場合:年間返済額は175万円〜225万円以内(月額14.5万円〜18.7万円)
返済負担率が基準を超えると、審査に落ちる可能性が高まります。
(2) 勤続年数と雇用形態
勤続年数と雇用形態も審査に影響します。
審査基準:
- 勤続年数:一般的に1年以上が目安(3年以上が望ましい)
- 雇用形態:正社員が有利、派遣社員・契約社員は審査が厳しくなる
- 自営業:確定申告書3期分の提出が求められ、収入の安定性を確認される
転職直後の場合は、審査が厳しくなる傾向があります。
(出典: はじめての住宅ローン)
(3) 信用情報(延滞履歴・他社借入)
信用情報は、住宅ローン審査で必ず確認される項目です。
審査に影響する信用情報:
- クレジットカードの延滞履歴:過去2年以内の延滞は審査に悪影響
- 他社借入:カードローン、自動車ローン等の残高が多いと返済負担率が上昇
- 債務整理の記録:過去5〜10年以内の債務整理は審査落ちの原因
信用情報は、CIC、JICC、KSCなどの信用情報機関で事前に確認できます。
(出典: はじめての住宅ローン)
(4) 物件の担保評価
住宅ローンの対象となる不動産の価値(担保評価)も審査項目です。
担保評価が低いケース:
- 築年数が古い物件
- 立地条件が悪い物件
- 再建築不可の物件
- 市場価格より高額な物件
担保評価が低いと、融資額が減額される場合や、審査に落ちる可能性があります。
(5) 健康状態・年齢
住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が条件となるケースが多いため、健康状態も審査項目です。
審査に影響する要因:
- 持病がある場合:団信に加入できない可能性
- 高齢の場合:完済時の年齢が基準(一般的に80歳未満)を超える
団信に加入できない場合、ワイド団信(引受条件緩和型)やフラット35(団信加入任意)を検討する必要があります。
審査をスムーズに通すための準備とポイント
(1) 必要書類を事前に準備する
本審査では多数の書類が必要になるため、事前に準備しておくと審査がスムーズに進みます。
主な必要書類:
- 源泉徴収票(直近1〜2年分)
- 売買契約書
- 登記簿謄本
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 健康保険証
- 印鑑証明書
自営業の場合は、確定申告書3期分が必要です。
(出典: モゲチェック)
(2) 審査期間中は転職や新規借入を避ける
審査期間中の転職や新規借入は、審査落ちのリスクを高めます。
避けるべき行動:
- 転職(勤続年数がリセットされる)
- カードローンの新規借入
- 自動車ローンの契約
- クレジットカードの新規発行(与信枠が増えるため)
審査通過後、融資実行まで現状を維持することが重要です。
(3) 信用情報を事前に確認する
住宅ローン審査の前に、自分の信用情報を確認しておくことが推奨されます。
信用情報の確認方法:
- CIC(シー・アイ・シー):クレジットカード情報
- JICC(日本信用情報機構):消費者金融・クレジット情報
- KSC(全国銀行個人信用情報センター):銀行ローン情報
各機関のウェブサイトから、1,000円程度で開示請求できます。
延滞履歴がある場合は、事前に解消しておくことが重要です。
(4) 複数の金融機関を比較検討する
複数の金融機関に事前審査を申し込むことで、審査期間の短縮と金利比較ができます。
メリット:
- 審査期間の短縮:並行して審査を進められる
- 金利比較:複数の金融機関の金利・条件を比較できる
- リスク分散:1社で落ちても他社で通る可能性
3〜5社程度に事前審査を申し込むことが推奨されます。
(出典: モゲチェック)
審査期間を短縮する方法と注意点
(1) 繁忙期(1〜3月)を避ける
1〜3月は住宅ローン申込の繁忙期で、審査が遅れやすい時期です。
繁忙期を避けるメリット:
- 審査期間が短縮される
- 金融機関の担当者が丁寧に対応してくれる
- 書類不備があっても迅速にフォローしてもらえる
可能であれば、繁忙期を避けて申し込むことが推奨されます。
(出典: モゲチェック)
(2) ネット銀行のAI審査を活用する
2025年現在、ネット銀行ではAI審査を導入しており、事前審査の期間を大幅に短縮できます。
ネット銀行のメリット:
- AI審査で事前審査が短縮(一部は即日回答)
- Web完結で書類提出が可能(来店不要)
- 金利が低い傾向
主なネット銀行:
- auじぶん銀行
- 住信SBIネット銀行
- PayPay銀行
- ソニー銀行
ネット銀行と対面型銀行の両方に申し込むことで、選択肢が広がります。
(3) 複数の金融機関に同時申込する
複数の金融機関に同時に事前審査を申し込むことで、審査期間を短縮できます。
メリット:
- 審査を並行して進められる
- 最短の金融機関を選択できる
- 金利や条件を比較できる
複数申込は信用情報に記録されますが、住宅ローンの場合は問題ありません(カードローンとは異なり、複数申込が不利になることはない)。
(4) 審査が長引く場合のサイン
審査が長引いている場合は、以下の可能性があります。
審査難航のサイン:
- 属性がギリギリ(年収、勤続年数、返済負担率等)
- 担保評価が低い
- 書類不備がある
- 繁忙期で審査が遅れている
審査が長引いている場合は、金融機関に状況を確認することが推奨されます。
まとめ:住宅ローン審査を計画的に進めるために
住宅ローンの審査期間は、事前審査3〜4営業日、本審査1〜2週間、全体で1〜2ヶ月が目安です。
物件の購入スケジュールに間に合わせるため、余裕を持って1ヶ月半〜2ヶ月前から審査を開始しましょう。
必要書類の事前準備、審査期間中の転職・新規借入回避、信用情報の確認、複数の金融機関への同時申込が、スムーズな審査通過のポイントです。
審査基準は金融機関により異なるため、複数の金融機関を比較検討し、不安がある場合はファイナンシャルプランナーや銀行の住宅ローンアドバイザーに相談しながら進めてください。
