住宅ローンの在籍確認とは
住宅ローンを申し込む際、「在籍確認の電話がいつ来るのか」「職場にバレないか」と不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローンの在籍確認の目的、タイミング、電話の内容、対処法を解説します。三井住友銀行の審査の流れや金融機関の実務情報を元にまとめています。
初めて住宅ローンを申し込む方でも、在籍確認に適切に対応し、スムーズに審査を進められるようになります。
この記事のポイント
- 在籍確認は本審査の最終段階で行われ、申込みから1週間〜10日程度が一般的
- 電話は個人名でかかることが多く、周囲に住宅ローン審査中であることが知られにくい
- 本人不在でも同僚が対応すれば在籍確認が完了することが多い
- 給与振込口座がある場合や書類(社員証・給与明細)で代替確認できる場合もある
- 在籍確認ができないと融資実行が遅れる可能性があるため、事前準備が重要
在籍確認の目的と必要性
(1) 在籍確認が行われる理由
在籍確認は、住宅ローン審査において、申込者が申告した勤務先に実際に在籍しているか確認する手続きです。
在籍確認が行われる理由は以下の通りです。
- 虚偽申告の防止: 勤務先や勤続年数の虚偽申告を防ぐ
- 返済能力の確認: 安定した収入源があることを確認
- 信用情報との整合性: 申込書類と信用情報の内容が一致するか確認
住宅ローンは長期間の債務のため、返済能力の確認が重視されます。
(2) 住宅ローン審査の流れの中での位置づけ
住宅ローン審査は、通常以下の流れで進みます。
| ステップ | 内容 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 仮審査(事前審査) | 信用情報・年収の書類確認 | 数日〜1週間 |
| 本審査 | 物件情報・詳細な収入証明を元に審査 | 1〜2週間 |
| 在籍確認 | 勤務先への電話確認(本審査の最終段階) | 本審査申込みから1週間以内 |
| 契約 | 金銭消費貸借契約の締結 | 本審査承認後 |
| 融資実行 | ローン実行・物件引き渡し | 契約後 |
在籍確認は本審査の最終段階で行われることが多く、これが完了すれば審査結果が出ます。
(参考: 三井住友銀行「住宅ローン審査の流れ」)
在籍確認のタイミングと電話の内容
(1) 在籍確認が行われるタイミング(本審査申込みから1週間以内)
在籍確認は、本審査申込みから1週間〜10日程度で行われることが一般的です。金融機関や審査状況により異なるため、タイミングが気になる場合は金融機関に確認することを推奨します。
(参考: SBIエステートファイナンス)
(2) 電話の内容(在籍確認のみで1分未満)
在籍確認の電話は、在籍の確認のみで1分もかからないことがほとんどです。
電話内容の例:
金融機関担当者: 「〇〇(個人名)と申しますが、△△さんはいらっしゃいますか?」
同僚: 「席を外しております」
金融機関担当者: 「承知しました。ありがとうございました」
本人が電話に出る必要はなく、同僚が「席を外している」「外出中」と回答した時点で在籍確認が完了することが多いです。
一部の金融機関では、勤続年数・業務内容を確認する場合もありますが、基本的には在籍の確認のみです。
(参考: アットホーム)
(3) 個人名でかかる場合が多い
在籍確認の電話は、金融機関名ではなく個人名でかかってくることが多いです。これにより、周囲に住宅ローン審査中であることが知られにくくなっています。
ただし、勤務先が「個人名の電話は取り次がない」という方針の場合は、事前に金融機関に相談し、金融機関名での電話を依頼することも可能です。
在籍確認への対処法(事前準備・不在時の対応)
(1) 職場への事前連絡の必要性
在籍確認をスムーズに進めるため、以下の事前連絡を推奨します。
- 受付・総務への連絡: 「個人名で電話がかかってくる可能性があるので、取り次いでほしい」と伝える
- 上司への報告: 住宅ローン申込中であることを伝え、電話が来る可能性を共有
個人情報保護の観点から個人名の電話を取り次がない企業が増えているため、事前連絡が重要です。
(2) 本人不在でも完了するケース
在籍確認は、本人が電話に出る必要はありません。同僚が「席を外している」「外出中」と回答した時点で、在籍していることが確認されます。
完了するケースの例:
- 「△△は外出中です」
- 「△△は会議中です」
- 「△△は本日お休みです」
いずれも在籍していることが確認できるため、在籍確認完了となります。
(3) テレワーク・在宅勤務中の対応
テレワーク・在宅勤務中の場合、以下の対応を検討してください。
- 出社日に合わせて電話を依頼: 金融機関に出社日を伝え、その日に電話をかけてもらう
- 書類での代替確認: 社員証・給与明細・雇用証明書で在籍確認を代替
コロナ禍以降、テレワーク対応として書類での代替確認を認める金融機関が増加しています。
(参考: ゼロシステムズ)
(4) プライバシー保護の工夫
住宅ローン審査中であることを職場に知られたくない場合、以下の工夫が可能です。
- 個人名での電話を依頼: 金融機関名ではなく個人名でかけてもらう(通常はこの対応)
- 時間帯を指定: 周囲の人が少ない時間帯(昼休み等)に電話をかけてもらう
金融機関は在籍確認時にプライバシーに配慮しているため、基本的には周囲に知られにくい方法で対応しています。
在籍確認ができない場合の代替手段と注意点
(1) 書類での代替確認(社員証・給与明細・雇用証明書)
在籍確認の電話ができない場合、以下の書類で代替確認できる場合があります。
- 社員証: 勤務先名・氏名が記載されている
- 給与明細: 直近3ヶ月分(勤務先名・支給額が確認できる)
- 雇用証明書: 勤務先に発行を依頼する在籍証明書類
テレワーク対応として、これらの書類での在籍確認を認める金融機関が増えています。
(参考: まるっとローン)
(2) 給与振込口座がある場合の省略可能性
給与振込口座を申込先の金融機関に持っている場合、在籍確認が省略されることがあります。給与振込の取引履歴で在籍が確認できるためです。
ネット銀行を中心に、給与振込口座の取引履歴確認で電話在籍確認を省略するケースも見られます。
(3) 個人情報保護に厳しい企業への対応
勤務先が個人情報保護に厳しく、個人名の電話を取り次がない場合は、以下の対応を検討してください。
- 事前に金融機関に相談: 金融機関名での電話を依頼
- 書類での代替確認: 社員証・給与明細・雇用証明書を提出
- 人事部への協力依頼: 在籍確認の電話を人事部に取り次いでもらう
事前に金融機関に状況を説明し、柔軟な対応を依頼することが重要です。
(4) 転職直後・試用期間中のケース
転職直後や試用期間中は、在籍確認が厳しくなる可能性があります。
- 試用期間中: 勤続年数が短いため、源泉徴収票や雇用契約書の提出を求められることがある
- 転職直後: 前職の在籍確認や退職証明書の提出を求められる場合もある
住宅ローン審査では勤続年数が重視されるため、転職直後は審査に影響する可能性があることを理解しておくことが重要です。
(5) 在籍確認ができないと審査が遅れるリスク
在籍確認ができないと、本審査が進まず、融資実行日が遅れる可能性があります。
- 物件引き渡しの遅延: 融資実行が遅れると、物件引き渡しも遅れる
- 審査への悪影響: 在籍確認ができない状況が続くと、審査に悪影響を与える可能性がある
在籍確認は審査の重要プロセスのため、事前準備を怠らないことが重要です。
まとめ:スムーズに審査を進めるためのポイント
住宅ローンの在籍確認は、本審査の最終段階で行われ、申込みから1週間〜10日程度が一般的です。電話は個人名でかかることが多く、周囲に住宅ローン審査中であることが知られにくくなっています。
本人不在でも同僚が対応すれば完了することが多く、給与振込口座がある場合や書類(社員証・給与明細)で代替確認できる場合もあります。
ただし、在籍確認ができないと融資実行が遅れる可能性があるため、以下の事前準備を推奨します。
- 受付・総務への事前連絡(個人名の電話を取り次いでもらう)
- テレワーク中は出社日に合わせて電話を依頼、または書類での代替確認を相談
- 勤務先が個人情報保護に厳しい場合は、事前に金融機関に相談
複数の金融機関に事前審査を申し込み、在籍確認の方法についても確認しておくことで、スムーズに審査を進められます。


