住宅ローンの在籍確認とは
住宅ローンの審査を受ける際、「在籍確認はいつ行われるのか」「勤務先にどんな電話がかかるのか」「不在の場合はどうなるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローンの在籍確認のタイミング、電話の内容、スムーズに進めるための対策を、住宅金融支援機構や金融機関の公式情報を元に解説します。
初めて住宅ローンを申し込む方でも、在籍確認の流れを正確に把握し、安心して審査を受けられるようになります。
この記事のポイント
- 在籍確認は本審査の最終段階で行われ、本申し込みから1〜2週間後の平日営業時間内に電話がかかる
- 金融機関名ではなく個人名で電話がかかるため、周囲に審査のことを知られにくい
- 本人不在でも「席を外しています」の回答で在籍確認が完了するケースが多い
- 事前に職場に「金融機関から電話がある」と伝えておくとスムーズに進む
- 給与振込口座がある場合や書類での代替確認に対応する金融機関も増加
(1) 在籍確認の目的(勤務先の実在性・申告内容の確認)
在籍確認とは、金融機関が住宅ローンの審査において、申込者が申告した勤務先に実際に在籍しているかを確認する手続きです。
その目的は以下の2点です。
- 勤務先の実在性確認: 申告された勤務先が実在し、申込者がそこで働いていることを確認
- 申告内容の正確性確認: 勤務先の名称・所在地・雇用形態等が申告内容と一致するかを確認
虚偽の申告を防ぎ、融資のリスクを低減するために、多くの金融機関で実施されています。
(2) 在籍確認の方法(電話・書類・健康保険)
在籍確認の方法は、金融機関により異なりますが、主に以下の3つです。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 電話確認 | 勤務先に個人名で電話をかけ、本人の在籍を確認 |
| 書類確認 | 健康保険証・給与明細・在籍証明書で確認 |
| 給与振込口座 | 給与振込口座がある場合、省略されることも |
最も一般的なのは電話確認ですが、近年は書類での代替確認に対応する金融機関も増えています。
(3) 在籍確認が実施される審査段階
在籍確認は、住宅ローンの審査プロセスの中で以下のタイミングで行われます。
- 仮審査(事前審査): 年収や借入状況などを簡易的に確認(在籍確認は基本的に行われない)
- 本審査: 物件評価や収入確認を詳細に行う正式な審査
- 在籍確認: 本審査の最終段階で実施(本申し込みから1〜2週間後が目安)
仮審査の段階では基本的に在籍確認は行われず、本審査の最終段階で実施されることが一般的です。
在籍確認が行われるタイミング
(1) 本審査の最終段階(本申し込みから1〜2週間後)
在籍確認は、住宅ローンの本審査の最終段階で行われます。
本申し込みを行ってから約1〜2週間後が目安ですが、金融機関や審査状況により前後することがあります。審査が順調に進んでいる証拠でもあるため、過度に心配する必要はありません。
(2) 平日営業時間内(9:00-17:00頃)
在籍確認の電話は、勤務先の営業時間内にかかります。一般的には平日の9:00〜17:00頃が多く、土日祝日や夜間にかかることはほとんどありません。
テレワークや外出が多い場合は、事前に職場に通知しておくことで、スムーズに対応できます。
(3) 仮審査(事前審査)との違い
仮審査と本審査の違いを整理すると、以下の通りです。
| 項目 | 仮審査(事前審査) | 本審査 |
|---|---|---|
| 目的 | 借入可能額の目安確認 | 正式な融資可否の判断 |
| 審査内容 | 年収・借入状況等の簡易確認 | 物件評価・収入確認等の詳細審査 |
| 在籍確認 | 基本的に行われない | 最終段階で実施 |
| 所要期間 | 数日〜1週間 | 1〜2週間 |
仮審査を通過した後、本審査に進む段階で在籍確認が行われる流れです。
在籍確認の電話内容と流れ
(1) 電話のかけ方(個人名で電話、金融機関名は使わない)
在籍確認の電話は、プライバシー保護の観点から、金融機関名ではなく個人名でかかってきます。
例えば、「〇〇銀行の△△です」とは名乗らず、「△△と申します」と個人名のみを名乗ります。これにより、周囲に住宅ローン審査のことを知られにくくなります。
(2) 電話で聞かれる内容(本人確認のみ、簡単なやり取り)
在籍確認の電話で聞かれる内容は非常にシンプルです。
電話の流れ(例):
- 「△△と申しますが、〇〇さんはいらっしゃいますか?」
- 本人が対応: 「はい、私です」
- 「在籍を確認させていただきました。ありがとうございました」
住宅ローンの詳細や個人情報について詳しく聞かれることはなく、在籍の事実を確認するだけで完了します。
(3) 本人不在時の対応(「席を外しています」で完了するケースも)
本人が不在の場合でも、以下の回答で在籍確認が完了するケースが多いです。
- 「〇〇は席を外しています」
- 「〇〇は本日外出中です」
- 「〇〇は休暇を取っています」
これらの回答により、勤務先に在籍していることが確認できるため、再度電話がかかることは基本的にありません。
(4) プライバシー保護の配慮
在籍確認では、プライバシー保護のため以下の配慮がなされます。
- 個人名での電話: 金融機関名や「住宅ローン」という言葉は使わない
- 最小限の情報確認: 在籍の事実のみを確認し、詳細な質問はしない
- 本人不在でも完了: 本人が直接対応しなくても在籍確認が完了する
これにより、周囲に住宅ローン審査のことを知られるリスクを最小限に抑えています。
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在籍確認なしで住宅ローンを組めるケース
(1) 給与振込口座がある場合(省略されることも)
同じ金融機関で給与振込口座を持っている場合、在籍確認が省略されることがあります。
給与振込の実績により、勤務先への在籍が確認できるためです。ただし、省略の可否は金融機関の判断によるため、事前に確認することを推奨します。
(2) 書類での代替確認(健康保険証・給与明細・在籍証明書)
近年、電話ではなく書類での在籍確認に対応する金融機関が増えています。
| 書類 | 確認内容 |
|---|---|
| 健康保険証 | 資格取得年月日で入社日を確認 |
| 給与明細 | 勤務先名・支給実績を確認 |
| 在籍証明書 | 勤務先が発行する在職証明 |
| 源泉徴収票 | 年間の給与収入と勤務先を確認 |
これらの書類を提出することで、電話での在籍確認を省略できる場合があります。
(3) 金融機関により対応が異なる
在籍確認の方法や省略の可否は、金融機関により対応が異なります。
書類での代替確認を希望する場合は、事前に金融機関に相談し、どの書類が必要か、どのような手続きが必要かを確認してください。
在籍確認をスムーズに進めるための対策
(1) 事前に職場に通知する(「金融機関から電話がある」と伝える)
在籍確認を確実に完了させるため、事前に職場に通知しておくことが最も効果的です。
「金融機関から個人名で電話があるかもしれません」と伝えておけば、受電担当者がスムーズに対応できます。
(2) 人事部・総務部への事前連絡(個人名の電話を取り次がない企業対策)
個人情報保護の観点から、個人名の電話を取り次がない企業が増えています。
このような場合、人事部や総務部に事前に連絡し、「金融機関から在籍確認の電話がある」と伝えておくことで、確実に対応してもらえます。
(3) テレワーク・外出が多い場合の対応
テレワークや外出が多い場合、以下の対応を推奨します。
- 事前に職場に通知: 受電担当者に「〇〇は在籍しています」と回答してもらう
- 在籍証明書の準備: 勤務先に在籍証明書を発行してもらい、書類での代替確認を依頼
- 金融機関に相談: 在籍確認の方法や時間帯を事前に調整できるか相談
在籍確認ができないと審査が進まない・否決される可能性があるため、早めの準備が重要です。
(4) 派遣社員・契約社員の場合の注意点
派遣社員の場合、在籍確認は派遣元(派遣会社)に対して行われます。
勤務先(派遣先)ではなく、派遣元の会社名・連絡先を正確に申告してください。派遣元に事前に「金融機関から電話がある」と伝えておくと、スムーズに進みます。
契約社員の場合も、雇用契約を結んでいる会社に在籍確認が行われます。
(5) 転職直後の場合の確認方法
転職直後で勤続年数が短い場合、在籍確認に加えて以下の書類提出を求められることがあります。
- 雇用契約書: 雇用形態・入社日を証明
- 健康保険証: 資格取得年月日で入社日を確認
- 給与明細: 直近の給与支給実績を確認
転職直後の場合は、事前に金融機関に相談し、必要な書類を確認しておくことを推奨します。
まとめ:住宅ローンの在籍確認に備えるポイント
住宅ローンの在籍確認は、本審査の最終段階で行われる重要な手続きです。本申し込みから1〜2週間後の平日営業時間内に、勤務先に個人名で電話がかかります。
電話の内容は「〇〇さんはいらっしゃいますか?」という簡単な確認のみで、本人不在でも「席を外しています」の回答で完了するケースが多いです。プライバシー保護のため、金融機関名や「住宅ローン」という言葉は使われません。
事前に職場に「金融機関から電話がある」と伝えておくことで、スムーズに進めることができます。特に、個人名の電話を取り次がない企業の場合は、人事部や総務部への事前連絡が重要です。
給与振込口座がある場合や書類での代替確認(健康保険証・給与明細・在籍証明書)に対応する金融機関も増えているため、電話での在籍確認が難しい場合は、事前に金融機関に相談してください。
在籍確認は審査の一環であり、確実に完了させることが住宅ローン承認への重要なステップです。不安な点がある場合は、金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談しながら、安心して審査を進めましょう。
