住宅ローンと車ローンの返済がきつい時の対処法
住宅ローンと車ローンの併用で「月々の返済がきつい」「家計が回らない」と悩む方は少なくありません。特に育休中で収入が減少している場合、返済負担はさらに重くなります。
この記事では、住宅ローンと車ローンの返済負担を軽減する具体的な対処法を、七十七銀行やSBI新生銀行等の金融機関の情報を元に解説します。
返済負担率の計算方法、金融機関への相談手順、借り換えやリスケジュールの選択肢を理解し、家計を立て直すための第一歩を踏み出せるようになります。
この記事のポイント
- 返済負担率は年収の25%以下が理想的、上限は35%以下が一般的
- 車ローン年間60万円があると住宅ローン借入可能額が約1,245万円減少する
- 返済が厳しくなったら早めに金融機関に相談すれば、リスケジュール等の提案を受けられる
- 育休中は収入が減少(最初6ヶ月67%、その後50%)するため、返済計画の見直しが必要
- 延滞すると個人信用情報に記録され(ブラックリスト)、今後のローン審査に悪影響
1. 住宅ローンと車ローンの返済がきつくなる理由
住宅ローンと車ローンを併用すると、月々の返済額が家計を圧迫します。特に以下のケースで返済負担が重くなる傾向があります。
- 収入に対して返済負担率が高すぎる: 年収に対する返済額の割合が35%を超えると、生活費を圧迫します
- 収入減少: 育休・産休、転職、病気等で収入が減少した場合
- 予期せぬ支出: 教育費、医療費、住宅修繕費等が重なった場合
- 金利上昇: 変動金利型のローンで金利が上昇した場合
七十七銀行の公式サイトによると、返済負担率は年収の25%以下が理想的、上限は35%以下が一般的です。この基準を超えると、家計の柔軟性が失われ、返済が困難になる可能性があります。
2. 返済負担率の基準と計算方法
(1) 返済負担率とは(年収に対する年間返済額の割合)
返済負担率は、年収に対する年間の全ローン返済額の割合です。住宅ローン・車ローン・クレジットカードのキャッシング等、すべてのローン返済額を合計して計算します。
計算式:
返済負担率 = 年間のローン返済額合計 ÷ 年収 × 100
例(年収500万円の場合):
- 住宅ローン年間返済額: 120万円(月10万円)
- 車ローン年間返済額: 60万円(月5万円)
- 合計返済額: 180万円
- 返済負担率: 180万円 ÷ 500万円 × 100 = 36%
この例では返済負担率が36%と基準の35%を超えているため、家計に余裕がなく、返済が厳しい状況といえます。
(2) 金融機関の審査基準(25-35%以下が一般的)
七十七銀行の公式サイトによると、金融機関の審査基準は以下の通りです。
| 返済負担率 | 評価 | 説明 |
|---|---|---|
| 20-25%以下 | 理想的 | 家計に余裕あり、予期せぬ支出にも対応可能 |
| 25-30% | 適正範囲 | 一般的な基準、家計管理が必要 |
| 30-35% | 上限 | 生活費を圧迫しやすい、慎重な管理が必要 |
| 35%超 | 危険 | 返済困難のリスク高、審査に通らない可能性 |
(出典: 七十七銀行公式サイト)
フラット35の場合、年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下が基準です。
(3) 車ローンが住宅ローン借入可能額に与える影響(年間60万円で1,245万円減)
モゲチェックの記事によると、車ローン年間60万円(月5万円)があると、住宅ローン借入可能額が約1,245万円減少します。
これは、返済負担率の上限(35%)内で借りられる総額が、車ローンの分だけ減少するためです。車ローン完済後に住宅ローンを組むと、審査が通りやすく、借入可能額も増えます。
3. 返済がきつい時の具体的な対処法
(1) 金融機関への早期相談とリスケジュール
返済が困難になったら、延滞する前に金融機関に相談してください。住宅ローン比較.jpの記事によると、早めに相談すれば以下の対応を受けられる場合があります。
- 返済猶予(リスケジュール): 一定期間、利息のみの返済に変更
- 返済期間の延長: 月々の返済額を減額
- ボーナス返済の見直し: ボーナス返済を減額・停止
延滞してしまうと選択肢が限られるため、返済が困難になる前に相談することが重要です。
(2) 車ローン早期返済または借り換え
車ローンは住宅ローンより金利が高いため(3-5%程度)、早期返済することで利息負担を減らせます。
早期返済のメリット:
- 利息負担の軽減
- 返済負担率の改善(住宅ローン借り換え時に有利)
貯蓄に余裕がある場合は、車ローンから優先的に返済を検討してください。また、他の金融機関でより低金利のカーローンに借り換えることも選択肢です。
(3) 住宅ローン借り換えの検討
現在の住宅ローンより低金利のローンに借り換えることで、月々の返済額を減らせる場合があります。
借り換えのメリット:
- 金利差により総返済額が減少
- 月々の返済額が減少し、家計の余裕が生まれる
借り換えの注意点:
- 手数料(事務手数料、登記費用等)が数十万円かかる
- 審査が必要(返済負担率が基準を満たすことが条件)
借り換えシミュレーションを活用し、手数料を含めた総返済額を比較してください。
(4) 家計の見直しと支出削減
返済負担を軽減するため、家計全体を見直すことも重要です。
見直しポイント:
- 固定費の削減: 通信費、保険料、サブスクリプションの見直し
- 変動費の削減: 食費、娯楽費、交際費の節約
- 車の維持費: 車検、保険、駐車場代等の見直し(車の売却も選択肢)
ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することで、家計全体を考慮した返済計画を立てられます。
4. 育休中の収入減少への対応策
(1) 育休中の収入減少の実態(最初6ヶ月67%、その後50%)
育児休業中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されますが、通常の給与より減少します。
| 期間 | 給付金の割合 |
|---|---|
| 育休開始~6ヶ月 | 休業開始時賃金の67% |
| 6ヶ月超~ | 休業開始時賃金の50% |
(出典: 厚生労働省)
例えば、月給30万円の場合、最初の6ヶ月は月20.1万円、その後は月15万円となり、収入が大幅に減少します。
(2) 金融機関の支援制度と返済猶予
SBI新生銀行の記事によると、育休中の収入減少で返済が困難になった場合、金融機関に相談することで以下の支援を受けられる場合があります。
- 返済猶予: 一定期間、返済額を減額または利息のみの返済に変更
- 返済期間の延長: 復職後の返済負担を軽減
育休期間が明確であれば、復職後に通常の返済に戻る計画を提示することで、金融機関の理解を得やすくなります。
(3) 復職後の返済計画見直し
育休から復職後は、収入が元に戻るため、返済計画を再度見直すことができます。
復職後の対応:
- 猶予していた返済を再開
- 収入増加分で繰り上げ返済を検討
- 家計全体のバランスを再確認
育休中は一時的な収入減少と割り切り、復職後に返済負担を正常化させる計画を立ててください。
5. 延滞のリスクと注意点
(1) 個人信用情報への記録(ブラックリスト)
ローンの返済を延滞すると、個人信用情報機関(CIC、JICC等)に延滞記録が登録されます。一般的に、2-3ヶ月以上の延滞で「ブラックリスト」に記録され、以下の影響があります。
- 新規ローンの審査に通らない
- クレジットカードの発行・更新ができない
- 延滞記録は5-7年間残る
(2) 延滞がもたらす将来のローン審査への影響
一度延滞記録が登録されると、5-7年間は新規ローンの審査に通りにくくなります。住宅の買い替え、車の買い替え、教育ローン等、将来のライフプランに大きな影響を与えます。
(3) 早めの相談が重要な理由
住宅ローン比較.jpの記事によると、延滞する前に金融機関に相談すれば、返済猶予やリスケジュール等の対応を受けられる可能性があります。
延滞してからでは選択肢が限られ、最悪の場合、住宅を手放す(競売)リスクもあります。返済が困難になる前に、必ず金融機関に相談してください。
6. まとめ:状況別の返済負担軽減策
住宅ローンと車ローンの併用で返済がきつくなった場合、返済負担率が年収の35%を超えていないか確認してください。理想は25%以下です。
返済が困難になったら、延滞する前に金融機関に相談し、返済猶予やリスケジュールの提案を受けることが重要です。育休中の収入減少期間は、金融機関の支援制度を活用し、復職後の返済計画を立ててください。
車ローンの早期返済、住宅ローンの借り換え、家計の見直し等、複数の選択肢を検討し、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。
