住宅ローンとカーローンは併用できるのか?
住宅購入を検討している方の中には、「既にカーローンがあるけど住宅ローンは組めるのか」「同時に組むことはできるのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅ローンとカーローンの併用の可否、返済負担率の計算方法、審査への影響を、住宅金融支援機構や各金融機関の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 住宅ローンとカーローンは、返済負担率が基準内なら併用可能
- 返済負担率の理想は25%以下(2024年借入者の約77%が25%以下)
- 住宅ローンを先に組むのが推奨(カーローンは住宅ローン審査に影響)
- カーローンの延滞履歴は信用情報に記録され、審査に大きく影響
返済負担率の計算方法と審査基準
(1) 返済負担率とは(年収に対する年間返済額の割合)
返済負担率は、年収に対する年間のローン返済額の割合です。住宅ローンだけでなく、カーローンやクレジットカードの分割払いなど、すべてのローンの合計で計算されます。
計算式: 返済負担率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
計算例:
- 年収500万円
- 住宅ローン年間返済額: 100万円
- カーローン年間返済額: 36万円
- 返済負担率: (100万円 + 36万円) ÷ 500万円 × 100 = 27.2%
(2) 金融機関別の基準(20-35%が目安)
八十二銀行の解説によると、返済負担率の基準は金融機関により異なりますが、20-35%が目安とされています。
| 金融機関 | 返済負担率の基準 |
|---|---|
| 民間金融機関 | 20-35%が目安 |
| フラット35 | 年収400万円未満: 30%以下、年収400万円以上: 35%以下 |
(3) 理想的な返済負担率は25%以下
2023年10月〜2024年3月の住宅ローン借入者の約77%が返済負担率25%以下に抑えています。生活に余裕を持つためには、30%超えないよう計画することが推奨されます。
住宅ローンとカーローン、どちらを先に組むべきか
(1) 住宅ローン優先の理由(借入可能額への影響)
結論として、住宅ローンを先に組むのが正解です。
理由は以下の通りです。
- カーローンがあると、その返済額が返済負担率に加算される
- 住宅ローンの借入可能額が圧迫される
- 住宅購入の選択肢が狭まる可能性がある
具体例:
- 年収500万円、返済負担率30%の場合
- 借入可能額(カーローンなし): 約4,500万円
- 借入可能額(カーローン年36万円あり): 約3,600万円(900万円減少)
(2) 住宅ローン控除等の税制優遇
住宅ローンには住宅ローン控除などの税制優遇があります。カーローンにはこのような優遇がないため、住宅ローンを優先的に活用するのが合理的です。
併用時のメリット・デメリット
(1) メリット:同時に大きな買い物が可能
- 住宅と車を同時期に購入できる
- 同じ金融機関で組むと金利優遇を受けられる場合がある
- ライフステージに合わせた資産形成が可能
(2) デメリット:借入可能額の圧迫・返済負担増
- 住宅ローンの借入可能額が減少する
- 月々の返済負担が増加する
- 生活に余裕がなくなるリスク
- 審査が厳しくなる可能性
併用を成功させるための注意点と対策
(1) 返済負担率を25%以下に抑える
車の維持費や引越し費用等の追加コストも考慮し、返済負担率は30%以下、できれば25%以下に抑えることを目標にしてください。
(2) 延滞履歴は信用情報に記録される
カーローンの延滞は絶対に避けてください。
延滞・遅延は信用情報機関(CIC、JICC等)に記録され、住宅ローン審査で照会されます。延滞履歴があると、住宅ローン審査に通らない可能性が高まります。
(3) カーリースという代替手段
カーリースはローンではないため、返済負担率に含まれない場合があります(金融機関により異なる)。住宅ローンの借入可能額を優先したい場合は、カーリースも選択肢として検討してください。
まとめ:住宅ローンとカーローンの賢い組み方
住宅ローンとカーローンは、返済負担率が金融機関の基準(20-35%)を満たせば併用可能です。ただし、住宅ローンを先に組むのが推奨されます。
返済負担率は25%以下を目標にし、カーローンの延滞は絶対に避けてください。併用を検討する際は、複数の金融機関で事前審査を受け、借入可能額や条件を比較することが重要です。
返済計画は個別の収入・支出状況により異なるため、ファイナンシャルプランナーや金融機関への相談をおすすめします。


