マンション浴室リフォームで実現する快適な住まい
マンションの浴室リフォームを検討する際、「費用はいくらかかるのか」「工事期間中はどうするのか」「管理組合への届出は必要なのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、マンション浴室リフォームの費用相場、工事の流れ、マンション特有の注意点、補助金制度の活用方法を、国土交通省の公式情報やメーカーデータを元に解説します。
築15~20年を迎えたマンションオーナーの方でも、必要な手続きや費用を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- マンション浴室リフォームの費用相場は80~100万円が中心価格帯(グレード選択で50~110万円に調整可能)
- ユニットバス交換の工事期間は3~4日(在来浴室からの交換は4~7日)
- 管理規約の確認と管理組合への事前申請が必須(違反すると工事停止リスク)
- 配管位置や梁・柱の関係でサイズアップに制約あり(他住戸と配管共有のため)
- 子育てエコホーム支援事業など補助金制度を活用すれば最大20万円の補助が受けられる場合がある
1. マンション浴室リフォームとは|種類と検討のタイミング
(1) マンション浴室リフォームの種類
マンションの浴室リフォームは、既存浴室の状態と希望する仕上がりによって、以下の3種類に分類されます。
| 種類 | 内容 | 費用相場 | 工期 |
|---|---|---|---|
| ユニットバス交換 | ユニットバスからユニットバスへの交換 | 80~120万円 | 3~4日 |
| 在来浴室から交換 | タイル張りなどの在来浴室からユニットバスへ | 100~200万円 | 4~7日 |
| 浴槽のみ交換 | 浴槽・水栓・鏡などの部分交換 | 10~50万円 | 1日 |
(2) ユニットバスと在来浴室の違い
ユニットバスは、浴槽・壁・床・天井が一体成型されたシステムバスです。防水性が高く、工期が短いため、マンションリフォームでは主流となっています。マンションでは1216(1.2m×1.6m)、1317(1.3m×1.7m)、1418(1.4m×1.8m)などのサイズが一般的です。
在来浴室は、タイル張りなど従来工法で作られた浴室です。ユニットバスに比べて解体に時間がかかり、リフォーム費用も高めになる傾向があります。
(3) リフォーム検討のタイミング
マンション浴室のリフォームは、築15~20年が一つの目安です。以下のような症状が見られる場合は、リフォームを検討するタイミングと言えます。
- タイルのひび割れ・目地の劣化
- カビ・水垢が落ちにくい
- 浴槽の変色・傷
- 給湯器の故障・追い焚き機能の不調
- 断熱性の低下(冬場に寒い)
(4) マンションと戸建ての違い
マンションの浴室リフォームは、戸建てと比べて以下の制約があります。
- 配管が他住戸と共有: 排水管の位置変更が困難
- 構造上の制約: 梁や柱の位置により、サイズアップが難しい場合がある
- 管理規約の遵守: 工事可能時間・曜日が指定されている
- 防水仕様: マンション用は防水性能が高く、戸建てより5~10万円高め
2. マンション浴室リフォームの費用相場|施工内容別・グレード別
(1) 施工内容別の費用相場
マンション浴室リフォームの費用は、施工内容によって大きく異なります。
| 施工内容 | 費用相場 | 工期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 浴槽のみ交換 | 10~50万円 | 1日 | 浴槽・水栓・鏡などの部分交換 |
| ユニットバス交換 | 80~120万円 | 3~4日 | ユニットバスからユニットバスへ |
| 在来浴室から交換 | 100~200万円 | 4~7日 | 解体時間が長く、費用も高め |
中心価格帯は80~100万円です。ユニットバスからユニットバスへの交換であれば、3~4日で完了し、費用も抑えられます。
(2) グレード別の相場
ユニットバスのグレードによっても費用は変わります。
| グレード | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| ローグレード | 50~70万円 | 基本機能のみ、コストパフォーマンス重視 |
| ミドルグレード | 60~80万円 | 断熱性能・節水機能など標準装備 |
| ハイグレード | 90~110万円 | ジェットバス・浴室暖房乾燥機など上位機能 |
(出典: TOTO株式会社)
グレード選択により、予算に合わせた費用調整が可能です。
(3) マンションは戸建てより5~10万円高め
マンション用ユニットバスは、戸建て用と比べて5~10万円高めです。これは、マンション特有の防水仕様(二重天井・防水パンなど)が必要なためです。
(4) 費用内訳
マンション浴室リフォームの費用は、以下の項目で構成されます。
- 解体費用: 既存浴室の解体・撤去(10~20万円)
- 仮設費用: 養生・廃材処理(5~10万円)
- 配管工事: 給排水管の接続(5~15万円)
- 電気工事: 照明・換気扇の配線(3~10万円)
- 設備費用: ユニットバス本体(30~80万円)
- 組立費用: ユニットバスの組立・設置(10~20万円)
(出典: リフォームガイド)
(5) マンション特有のサイズ制約
マンションの浴室サイズは0.75坪が一般的です。ユニットバスのサイズ表記では、以下のような規格があります。
| サイズ表記 | 実寸(mm) | 広さ |
|---|---|---|
| 1216 | 1,200×1,600 | 約1.92㎡ |
| 1317 | 1,300×1,700 | 約2.21㎡ |
| 1418 | 1,400×1,800 | 約2.52㎡ |
マンションでは梁や柱の位置によって、サイズアップが難しい場合があります。専門業者に現地調査を依頼し、可能なサイズを確認することが重要です。
3. マンション浴室リフォームの流れと工事期間
(1) 工事期間の目安
マンション浴室リフォームの工事期間は、施工内容によって異なります。
- ユニットバス→ユニットバス: 3~4日
- 在来浴室→ユニットバス: 4~7日
- 浴槽のみ交換: 1日
(出典: TOTO株式会社)
(2) 工事の流れ
マンション浴室リフォームの一般的な流れは以下の通りです。
- 近隣挨拶(1日目午前): 両隣・上下3部屋・管理人室
- 既存浴室の解体(1日目午後~2日目): 既存ユニットバス・配管撤去
- 配管・電気工事(2日目~3日目): 給排水管・電気配線の接続
- ユニットバス組立(3日目~4日目): 床・壁・天井・浴槽の組立
- 仕上げ・確認(4日目午後): 動作確認・清掃
(3) 工事期間中の入浴
工事期間中は、3~7日間は入浴不可となります。以下の対応が必要です。
- 銭湯・スーパー銭湯の利用
- 親族・友人宅での入浴
- ジム・フィットネスクラブのシャワー室利用
- 近隣ホテルの宿泊
事前に入浴先を確保しておくと、工事期間中のストレスを軽減できます。
(4) 近隣への挨拶のタイミング
マンションリフォームでは、騒音や搬入で近隣に迷惑をかける可能性があるため、両隣・上下各3部屋・管理人室への挨拶が推奨されます(出典: 土屋ホームトピア)。
挨拶のタイミングは、工事開始の1週間前~前日が適切です。工事期間・騒音が発生する時間帯を伝えることで、トラブルを防げます。
4. マンション特有の注意点|管理規約・配管制約・近隣挨拶
(1) 管理規約の確認と管理組合への事前申請(必須)
マンションの浴室リフォームでは、専有部分のリフォームであっても管理規約の確認と管理組合への事前申請が必須です(出典: 国土交通省)。
管理規約では、以下の事項が定められている場合が多いです。
- 工事可能時間(例: 平日9時~18時)
- 工事可能曜日(例: 土日祝日は禁止)
- 届出方法・提出書類(工事届・設計図書など)
- 工事業者の資格・保険加入要件
(2) 工事可能時間・曜日の制限
マンションでは、騒音防止のため、工事可能時間・曜日が制限されています。管理規約を確認し、業者に伝えておくことが重要です。
(3) 配管位置変更の制約
マンションの排水管は他住戸と共有しているため、位置変更が困難です。浴室の位置を大幅に変えることはできないと考えておきましょう。
(4) 梁や柱の位置によるサイズアップの制限
マンションでは、梁や柱の位置によって、浴室のサイズアップが制限される場合があります。現地調査で構造を確認し、可能なサイズを専門業者に相談してください。
(5) エレベーターがない場合の搬入費用増加
エレベーターがない、または途中の階にしか止まらないマンションでは、ユニットバスの搬入費用が割高になります(出典: リショップナビ)。
(6) 排水管の定期メンテナンスタイミングの確認
古いマンションでは、排水管の定期メンテナンス(高圧洗浄など)が実施される場合があります。リフォーム後すぐにメンテナンスが予定されていると、再度取り壊す事態になる可能性があります。管理組合にメンテナンス予定を確認しておきましょう。
(7) 管理規約違反のリスク
管理規約を無視してリフォームを進めると、管理組合から工事停止や原状回復を求められるリスクがあります(出典: 土屋ホームトピア)。必ず事前に管理組合へ申請し、承認を得てから工事を開始してください。
5. 補助金制度と費用を抑えるポイント|業者選びの基準
(1) 子育てエコホーム支援事業(2024年度受付終了、2025年度制度へ移行)
国土交通省の「子育てエコホーム支援事業」では、高効率給湯器(エコキュート・エネファーム・ハイブリッド給湯器など)を導入することで、最大20万円の補助が受けられる場合があります。
2024年度の申請受付は終了しており、2025年度は新たな制度に移行する予定です。最新情報は国土交通省の公式サイトで確認してください。
(2) バリアフリー化の補助金
浴室のバリアフリー化(手すり設置・段差解消など)を行う場合、自治体独自の補助金制度が利用できる場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
(3) 費用を抑える方法
マンション浴室リフォームの費用を抑えるには、以下の方法が有効です。
- グレードを選択: ローグレード(50~70万円)を選べば費用を抑えられる
- 複数社見積もり: 3社以上の見積もりを取り、比較検討する
- オプション機能の見直し: ジェットバス・浴室暖房乾燥機など、必要性を検討
- 補助金の活用: 高効率給湯器導入で最大20万円の補助
(出典: リフォームガイド)
(4) メーカー別ユニットバス比較
主要メーカー(LIXIL、TOTO、Panasonic)のマンション用ユニットバスには、それぞれ特徴があります。
| メーカー | 特徴 | 代表製品 |
|---|---|---|
| LIXIL | デザイン性・カラーバリエーション豊富 | リデア |
| TOTO | 節水・清掃性に優れる | サザナ |
| Panasonic | 保温性・省エネ性能が高い | オフローラ |
(出典: 水まわりリフォーム館)
(5) 業者選びのポイント
マンション浴室リフォームの業者選びでは、以下の点を確認してください。
- マンションリフォーム実績: マンション特有の制約を理解しているか
- 見積もりの透明性: 費用内訳が明確か(解体・配管・設備など)
- アフター保証: 工事後の不具合対応・保証期間はあるか
- 管理組合への対応: 届出書類の作成サポートがあるか
複数社から見積もりを取り、価格だけでなく、対応の丁寧さや実績も比較検討しましょう。
6. まとめ|状況別のおすすめと次のアクション
マンション浴室リフォームの費用相場は、80~100万円が中心価格帯です。ユニットバスからユニットバスへの交換であれば3~4日で完了し、グレード選択で50~110万円に費用調整が可能です。
マンション特有の制約として、管理規約の確認と管理組合への事前申請が必須です。配管位置や梁・柱の関係でサイズアップに制約があり、他住戸と配管を共有しているため位置変更は困難です。
子育てエコホーム支援事業など補助金制度を活用すれば、最大20万円の補助が受けられる場合があります。複数社から見積もりを取り、マンションリフォーム実績のある業者を選びましょう。
次のアクション
- マンションの管理規約を確認する
- 管理組合に事前相談を行う
- 複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する
- 補助金制度の利用可能性を自治体窓口で確認する
信頼できるリフォーム業者や宅地建物取引士に相談しながら、無理のない計画を立てましょう。
