マンションで安い光回線の選び方とは
マンションでインターネット回線を契約する際、「どの光回線が安いのか」「光回線導入済みマンションのメリットは何か」「速度は遅くならないのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、マンション向け光回線の料金比較、光回線導入済みマンションのメリット・デメリット、配線方式と速度の関係、契約時の注意点を、主要通信事業者の公式料金表や通信品質調査データを元に解説します。
初めて光回線を契約する方でも、自分に合った光回線を見極められるようになります。
この記事のポイント
- マンション向け光回線は戸建てタイプより月額500~1,500円安い。集合住宅プランを選ぶことでコスト削減可能
- 光回線導入済みマンションなら工事不要(無派遣工事)で開通が早く、初期費用を削減できる
- スマホとのセット割を活用することで、ドコモならドコモ光、auならauひかり、ソフトバンクならソフトバンク光で割引が受けられる
- 2年間の実質総額で比較すると、NURO光が実質月額1,396円、GMOとくとくBB光が3,773円など(2025年11月時点)
- 配線方式により速度が大きく異なる:光配線方式(最大1~10Gbps)、LAN方式(最大100Mbps~1Gbps)、VDSL方式(最大100Mbps)
マンション向け光回線の種類と料金比較(2025年最新)
戸建てタイプとマンションタイプの違い(月額500~1,500円の差)
光回線には、戸建て向けの「戸建てタイプ」と、マンション・アパート向けの「マンションタイプ(集合住宅プラン)」があります。
| タイプ | 対象 | 月額料金(目安) | 配線方法 |
|---|---|---|---|
| 戸建てタイプ | 一戸建て住宅 | 5,000~6,500円 | 直接光ファイバーを引き込む |
| マンションタイプ | マンション・アパート | 3,500~5,000円 | 共用部まで光回線を引き、各部屋で分配 |
価格差の理由:
- マンションタイプは共用部まで光回線を引き、各部屋で分配するため、1戸あたりのコストが低い
- 戸建てタイプは個別に光ファイバーを引き込むため、コストが高い
注: 戸数の少ない(4~6戸)集合住宅では「マンファミ」として戸建てタイプを契約する場合があります。
主要プロバイダーの料金比較(NURO光、GMOとくとくBB光、BIGLOBE光等)
2025年11月時点の主要プロバイダーのマンション向け月額料金は以下の通りです。
| プロバイダー | 月額料金 | 回線種別 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| NURO光 | 2,090~2,750円 | 独自回線 | 高速(最大2Gbps)、対応物件に限る |
| GMOとくとくBB光 | 3,773円 | 光コラボ | 格安SIM利用者におすすめ |
| BIGLOBE光 | 4,378円 | 光コラボ | auスマホとのセット割あり |
| ドコモ光 | 4,400円 | 光コラボ | ドコモスマホとのセット割あり |
| ソフトバンク光 | 4,180円 | 光コラボ | ソフトバンクスマホとのセット割あり |
| enひかり | 3,520円 | 光コラボ | 2025年8月から工事費無料化 |
(注: 料金は2025年11月時点の標準プランです。最新情報は各プロバイダー公式サイトでご確認ください)
2年実質月額で比較(キャッシュバックを含む)
キャッシュバックを含めた2年間の実質月額で比較すると、以下のようになります。
| プロバイダー | 2年実質月額 | 内訳 |
|---|---|---|
| NURO光 | 1,396円 | キャッシュバック151,300円相当を含む |
| GMOとくとくBB光 | 3,773円 | キャッシュバック5,000円程度を含む |
| enひかり | 3,520円 | 工事費無料(2025年8月~) |
重要: キャッシュバックには受取条件(オプション加入必須、受取手続き期限等)があるため、詳細を必ず確認してください。
スマホセット割の活用方法
スマホと光回線を同じ会社で契約すると、スマホ料金が割引されます。
| スマホキャリア | おすすめ光回線 | 割引額(月額) |
|---|---|---|
| ドコモ | ドコモ光 | 最大1,100円/台 |
| au | auひかり、BIGLOBE光 | 最大1,100円/台 |
| ソフトバンク | ソフトバンク光、NURO光 | 最大1,100円/台 |
| 格安SIM | GMOとくとくBB光、enひかり | セット割なし(光回線の安さで勝負) |
注: 家族全員のスマホ料金が割引される場合もあるため、家族構成により最適な光回線が異なります。
光回線導入済みマンションのメリット・デメリット
メリット:工事不要または簡易工事で開通、初期費用削減、安定・高速通信
光回線導入済みマンションの主なメリットは以下の通りです。
メリット1: 工事不要または簡易工事で開通
- 光コンセントが部屋に設置済みなら、無派遣工事(工事業者の訪問なし)で開通可能
- 自分で機器(ONUやルーター)を接続するだけで利用開始
- 開通までの期間が短い(数日~1週間程度)
メリット2: 初期費用削減
- 工事費が削減または不要(無派遣工事の場合、2,200円程度)
- 新規工事(光ファイバーの引き込み)の場合、工事費は15,000~40,000円かかる
メリット3: 安定・高速通信
- 光ファイバーによる安定・高速通信が可能
- プロバイダーは自分で選べる(導入済み回線を活用)
デメリット:プロバイダー選択の制限、共用回線による速度低下の可能性
デメリット1: 共用回線による速度低下の可能性
- マンションタイプは共用部まで光回線を引き、各部屋で分配するため、同時利用者が多いと速度が低下する可能性がある
- 特にピーク時間帯(20~24時)は混雑しやすい
デメリット2: プロバイダー選択の制限(インターネット無料マンションの場合)
- 「インターネット無料」マンションでは、プロバイダー・プランが指定されており、自分で選べない
- 速度・品質が低い場合でも、変更できない
光コンセントの確認方法
光回線導入済みマンションかどうかは、部屋に「光コンセント」があるかで確認できます。
光コンセントの種類:
- 一体型: 電源コンセントと一体になったタイプ
- 分離型: 独立した差込口として設置されているタイプ
確認方法:
- 部屋の壁面に「光」または「光コンセント」と記載された差込口がある
- 不動産会社または大家に「光回線導入済みか」を確認する
インターネット無料マンションの注意点(速度が遅い、セキュリティリスク等)
「インターネット無料」マンションは一見魅力的ですが、以下の注意点があります。
注意点1: 速度が遅い
- 32戸で共用回線を分配すると、1戸あたり31Mbps程度になる場合がある
- リモートワーク、オンラインゲーム、動画視聴には不向きな場合がある
注意点2: プロバイダー・プラン選択不可
- 速度・品質が低くても、自分でプロバイダーを変更できない
注意点3: 実は家賃・共益費に含まれている可能性
- 「無料」ではなく、家賃・共益費に上乗せされている場合がある
注意点4: セキュリティリスク
- 共用回線のため、セキュリティ対策が不十分な場合がある
- VPN利用等の自己防衛が必要
安い光回線の選び方:料金 vs 速度のバランス
2025年おすすめの安い光回線(NURO光:実質月額1,396円、enひかり、GMOとくとくBB光等)
2025年11月時点でおすすめの安い光回線は以下の通りです。
1位: NURO光
- 2年実質月額: 1,396円(キャッシュバック151,300円相当を含む)
- 最大速度: 2Gbps(独自回線)
- 注意: 対応マンションに限る。NURO光設備が導入されている物件のみ
2位: enひかり
- 月額料金: 3,520円
- 特徴: 2025年8月から工事費無料化。初期費用を抑えやすい
- 回線種別: 光コラボ
3位: GMOとくとくBB光
- 月額料金: 3,773円
- 特徴: 格安SIM利用者におすすめ。スマホセット割がなくても安い
- 回線種別: 光コラボ
光コラボ vs 独自回線の比較
| 種別 | 内容 | 代表例 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 光コラボ | NTTのフレッツ光回線を借りて提供 | ドコモ光、ソフトバンク光、BIGLOBE光 | 対応エリアが広い、選択肢が多い | 混雑時に速度が低下しやすい |
| 独自回線 | 自社で敷設した光回線 | NURO光、auひかり | 高速、混雑しにくい | 対応エリアが限られる |
キャッシュバックの受取条件と期限
キャッシュバックには以下の条件があるため、注意してください。
よくある条件:
- オプション加入必須(ひかりTV、電話サービス等)
- 受取手続きが必要(契約から6ヶ月後にメールで案内等)
- 受取期限がある(案内メールから30日以内等)
- 一定期間の継続利用が必要(24ヶ月以内に解約すると返金義務等)
重要: キャッシュバックの受取を忘れると、実質月額が大幅に上がります。必ず受取手続きの期限をカレンダーに登録してください。
格安SIM利用者におすすめの光回線
格安SIM(楽天モバイル、ahamo、povo、LINEMO等)を利用している場合、スマホセット割がないため、光回線の月額料金が安いプロバイダーを選ぶことが重要です。
おすすめ:
- GMOとくとくBB光: 月額3,773円
- enひかり: 月額3,520円
- BB.excite光: 月額3,850円(2025年10月全面リニューアル、IPv6 IPoE対応)
配線方式(光配線・VDSL・LAN)と速度の関係
光配線方式:最大1~10Gbps(最速)
光配線方式は、共用部から各部屋まで光ファイバーで配線する方式です。
特徴:
- 最大速度: 1~10Gbps
- 最も高速な配線方式
- 新築マンションや築浅物件に多い
VDSL方式:最大100Mbps(電話線利用で遅い)
VDSL方式は、共用部から各部屋まで電話線(メタルケーブル)で配線する方式です。
特徴:
- 最大速度: 100Mbps
- 電話線を利用するため、速度が制限される
- 築古マンションに多い
注意: リモートワーク、オンラインゲーム、4K動画視聴等には不向きな場合があります。
LAN方式:最大100Mbps~1Gbps(中間)
LAN方式は、共用部から各部屋までLANケーブルで配線する方式です。
特徴:
- 最大速度: 100Mbps~1Gbps
- 光配線方式とVDSL方式の中間
- 一部のマンションで採用
配線方式の確認方法と変更可能性
確認方法:
- 不動産会社または大家に確認する
- プロバイダーに問い合わせる(住所を伝えると配線方式を教えてくれる)
- 光コンセントの有無で推測(光コンセントがあれば光配線方式の可能性が高い)
変更可能性:
- VDSL方式から光配線方式への変更は、マンション全体の工事が必要なため、個人では難しい
- 管理組合に働きかけて、マンション全体で光配線方式への切り替えを検討することは可能
契約時の注意点とインターネット無料マンションの落とし穴
大家・管理会社への許可が必須(賃貸の場合)
賃貸マンションで新規に光回線を引く場合、大家・管理会社の許可が必須です。
理由:
- 光ファイバーの引き込み工事で、壁に穴を開ける可能性がある
- 無断で工事を行うと、契約違反となり、退去時に原状回復費用を請求される可能性がある
確認事項:
- 工事内容(壁に穴を開けるか、既存の配管を利用するか)
- 退去時の原状回復義務(光ファイバーを撤去するか、残すか)
インターネット無料マンションの速度・品質に注意
「インターネット無料」マンションは、以下の点に注意してください。
速度が遅い理由:
- 1本の回線を複数戸で共用するため、同時利用者が多いと速度が低下する
- 例: 1Gbpsの回線を32戸で共用すると、1戸あたり31Mbps程度
品質の懸念:
- プロバイダーの選択肢がないため、速度・品質が低くても改善できない
- セキュリティ対策が不十分な場合がある
プロバイダー・プラン選択不可の制約
「インターネット無料」マンションでは、プロバイダー・プランが指定されており、自分で選べません。
影響:
- 速度が遅くても、他のプロバイダーに変更できない
- オプションサービス(固定IPアドレス、セキュリティソフト等)が利用できない場合がある
実は家賃・共益費に含まれている可能性
「インターネット無料」と謳っていても、実は家賃・共益費に上乗せされている場合があります。
確認方法:
- 同じエリアの類似物件と家賃を比較する
- 家賃が相場より月3,000~5,000円高い場合、インターネット料金が含まれている可能性がある
リモートワーク・オンラインゲームには不向きな場合も
「インターネット無料」マンションの回線速度は、リモートワーク、オンラインゲーム、4K動画視聴等には不向きな場合があります。
用途別の推奨速度:
- メール・Webブラウジング: 1~10Mbps
- 動画視聴(HD画質): 5~25Mbps
- リモートワーク(ビデオ会議): 10~30Mbps
- オンラインゲーム: 30~100Mbps以上
- 4K動画視聴: 25~50Mbps以上
重要: 用途に応じて、必要な速度を確認してください。
まとめ:あなたに合った光回線を選ぶために
料金だけでなく速度・サポートも考慮
光回線を選ぶ際は、料金だけでなく、速度・サポート体制も考慮してください。
比較項目:
- 月額料金(2年実質月額で比較)
- 最大速度(配線方式により異なる)
- サポート体制(電話サポート、チャットサポート等)
- キャッシュバックの受取条件
スマホセット割で実質コストを削減
スマホと光回線を同じ会社で契約することで、スマホ料金が月額最大1,100円割引されます。
家族全員のスマホ料金が割引される場合:
- 家族4人でドコモを利用している場合、ドコモ光を契約すると、月額最大4,400円(1,100円×4人)割引
- 光回線の月額料金(4,400円)がスマホセット割でほぼ相殺される
配線方式を確認して速度を見極める
マンションの配線方式により、最大速度が大きく異なります。
| 配線方式 | 最大速度 | 推奨用途 |
|---|---|---|
| 光配線方式 | 1~10Gbps | すべての用途に対応 |
| LAN方式 | 100Mbps~1Gbps | リモートワーク、動画視聴等に対応 |
| VDSL方式 | 100Mbps | メール・Webブラウジング等に適する |
重要: VDSL方式のマンションで高速通信が必要な場合、光配線方式への変更をマンション全体で検討するか、他の通信手段(ホームルーター、モバイルWi-Fi等)を検討してください。
マンションで光回線を契約する際は、料金、速度、配線方式を総合的に判断し、自分の用途に合った光回線を選びましょう。
