マンションの24時間換気システム完全ガイド|仕組み・メリット・メンテナンス法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/29

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マンションの24時間換気システムを正しく理解する

マンションに住んでいると、リビングや寝室の壁に小さな給気口があり、「これは何のため?」「止めてもいいの?」と疑問に思う方が多いのではないでしょうか。この給気口は、24時間換気システムの一部で、2003年以降の建築物には法律で設置が義務付けられています。

この記事では、24時間換気システムの仕組み、法的背景、メリット・デメリット、正しい使い方、メンテナンス方法を詳しく解説します。

24時間換気を正しく理解し、健康で快適な住環境を維持できるようになります。

この記事のポイント

  • 24時間換気システムは2003年の建築基準法改正でシックハウス対策として義務化された設備
  • 第3種換気(自然給気+機械排気)がマンションで最も一般的で低コスト
  • 止めるとシックハウス症候群のリスクが高まり、カビ・結露が発生しやすくなる
  • 電気代は月100〜700円程度と意外に安く、フィルター清掃で電気代・騒音を抑制できる

マンションの24時間換気システムとは

24時間換気システムがどのようなものか、基本を理解しましょう。

24時間換気システムの定義

24時間換気システムとは、居住空間の空気を室外と室内で入れ替え、家の中の空気を新鮮でキレイな状態に循環させる設備です。リビングや寝室の給気口から外気を取り入れ、浴室やトイレの換気扇で室内の空気を排出することで、2時間で室内全体の空気が入れ替わる仕組みです。

基本的な構成:

  • 給気口:外壁に面したリビングや寝室などの壁に設置され、室内に外気を取り入れる開口部
  • 排気口:浴室やトイレ、洗面所に設置され、室内の空気を室外へ排出する換気扇

2003年の建築基準法改正による義務化

24時間換気システムは、2003年7月の建築基準法改正により、すべての新築住宅に設置が義務化されました。この改正は、シックハウス症候群が社会問題化したことを受けて実施されました。

重要な注意点:

  • 2003年以降の建築物には24時間換気が義務化
  • それ以前の物件には設置されていない可能性がある

(出典:国土交通省「シックハウス対策のための規制導入 改正建築基準法」)

シックハウス症候群対策としての役割

シックハウス症候群とは、住居の空気中に含まれる化学物質(ホルムアルデヒド等)によって引き起こされる健康被害の総称です。建材や家具から発散されるホルムアルデヒドなどの化学物質が室内に滞留すると、目の痛み、頭痛、めまい、倦怠感などの症状が現れることがあります。

24時間換気システムは、これらの化学物質を室外に排出し、室内の空気質を改善することで、シックハウス症候群を予防します。

24時間換気システムの仕組みと法的背景

24時間換気システムには3つの種類があり、マンションでは主に第3種換気が採用されています。

第1種換気(給気・排気ともに機械)

給気・排気ともに機械で行う換気方式です。

特徴:

  • 最も確実に換気できる
  • 熱交換型であれば、冷暖房効率を維持できる
  • コストが高い(設置費用・電気代)

採用例:

  • 高級マンション
  • オフィスビル

第2種換気(給気が機械・排気が自然)

給気を機械、排気を自然排気で行う換気方式です。

特徴:

  • 室内気圧が高くなり、外部雑菌侵入を防ぐ
  • 結露が発生しやすい
  • 一般住宅ではあまり採用されない

採用例:

  • 病院の手術室
  • クリーンルーム

第3種換気(給気が自然・排気が機械)

給気を自然給気、排気を機械で行う換気方式です。マンションで最も一般的に採用されています。

特徴:

  • 低コスト(設置費用・電気代が安い)
  • シンプルな構造でメンテナンスが容易
  • 冬場は外気が直接入るため寒く感じることがある

採用例:

  • 一般的なマンション
  • 一戸建て住宅

換気回数の基準(1時間あたり0.5回以上)

建築基準法では、換気回数は1時間あたり0.5回以上と定められています。これは、2時間で室内全体の空気が1回入れ替わる計算です。

計算例(70㎡のマンション):

床面積70㎡ × 天井高2.5m = 室内体積175㎥
換気回数0.5回/時 → 1時間あたり87.5㎥の空気を入れ替える

マンションにおける空気の流れ

第3種換気の場合、以下のような空気の流れができます。

給気(外気の流入):

  • リビングや寝室の給気口から新鮮な外気を取り入れる

排気(室内空気の排出):

  • 浴室やトイレの換気扇で室内の汚れた空気を排出

空気の流れ:

リビング(給気口) → 廊下 → 浴室・トイレ(排気口)

この一方向の空気の流れにより、室内全体の空気が循環します。

24時間換気のメリット・デメリット

24時間換気のメリットとデメリットを理解し、上手に活用しましょう。

メリット:シックハウス症候群対策

24時間換気システムの最大のメリットは、シックハウス症候群の予防です。建材や家具から発散されるホルムアルデヒドなどの化学物質を室外に排出し、室内の空気質を改善します。

メリット:カビ・結露の抑制

室内の湿気を排出することで、カビや結露の発生を抑制します。特に冬場の浴室やトイレ、北側の部屋などは結露が発生しやすいため、24時間換気が重要です。

カビ・結露の予防効果:

  • 浴室のカビ発生を抑制
  • 窓の結露を軽減
  • 建物の劣化防止

メリット:アレルギー対策

花粉やハウスダスト、ペットの毛などのアレルゲンを室外に排出し、アレルギー症状の軽減に役立ちます。

デメリット:電気代(月100〜700円)

24時間換気システムを稼働させるための電気代がかかります。

電気代の目安:

換気方式 月額電気代 年間電気代
第3種換気(一般的) 100〜500円 1,200〜6,000円
第1種換気(熱交換型) 300〜700円 3,600〜8,400円

電気代は月100〜700円程度と意外に安く、フィルターが詰まると消費電力が上がるため、定期的な清掃で電気代を抑えることが重要です。

(参考:三菱地所ホームの調査データ)

デメリット:冬場の寒さ

第3種換気では、給気口から冷たい外気が直接入るため、冬場は寒く感じることがあります。

対策:

  • 給気口カバーを取り付ける
  • 一時的に給気口を少し閉める(開け忘れ注意)
  • 暖房器具の配置を工夫

デメリット:運転音・騒音

排気口の換気扇から運転音が発生します。フィルターが詰まると、騒音が新品時の1.2倍に増加します。

騒音対策:

  • 定期的なフィルター清掃
  • 換気扇の風量調整
  • 故障時は早めに修理

24時間換気の正しい使い方

24時間換気を正しく使うことで、健康で快適な住環境を維持できます。

基本は常時稼働させる

24時間換気システムは、基本的に常時稼働させることが前提です。止めてしまうと以下のリスクがあります。

止めた場合のリスク:

  • シックハウス症候群のリスクが高まる
  • 湿気が溜まり、カビ・結露が発生しやすくなる
  • 室内の空気質が悪化

冬の寒さ対策(給気口カバーの設置)

冬場の寒さ対策として、給気口カバーを設置する方法があります。

給気口カバーの効果:

  • 外気の流入を緩やかにする
  • 寒さを軽減しながら換気を継続
  • 風量調整機能付きのカバーもある

注意点:

  • 完全に閉めないこと
  • 定期的に清掃すること

(参考:Geo Plat「この冬試したい寒さ対策」)

台風・強風時の一時停止

台風や強風時には、一時的に換気システムを停止することが推奨されます。

理由:

  • 逆流や故障を防ぐ
  • 雨水の侵入を防ぐ

注意点:

  • 台風が過ぎたら必ず再稼働させる
  • 長時間停止しない

止めてはいけない理由

24時間換気を止めてはいけない理由を再確認しましょう。

主な理由:

  1. 法的義務:2003年以降の建築物は24時間換気が義務化
  2. 健康リスク:シックハウス症候群のリスクが高まる
  3. カビ・結露:湿気が溜まり、カビ・結露が発生しやすくなる
  4. コスト面:月100〜500円程度の電気代なので、止めるメリットは少ない

メンテナンス方法とトラブル対策

定期的なメンテナンスで、24時間換気を効率的に稼働させましょう。

フィルター清掃の頻度と方法

フィルターの清掃は、3〜6ヶ月に1回が目安です。1〜2年放置すると、騒音が1.2倍に増加し、消費電力も上がります。

清掃方法:

  1. 給気口のカバーを外す
  2. フィルターを取り出す
  3. 掃除機でホコリを吸い取る
  4. 水洗いして乾燥させる(可能な場合)
  5. フィルターをセットし、カバーを取り付ける

注意点:

  • フィルターが破損している場合は交換
  • 水洗い可能かどうかはメーカー説明書を確認

給気口の清掃

給気口の清掃も定期的に行いましょう。

清掃方法:

  1. カバーを外す
  2. 掃除機でホコリを吸い取る
  3. 濡れた布で拭く
  4. 乾燥させてからカバーを取り付ける

騒音が大きい場合の対処法

騒音が大きい場合は、以下の対処法を試しましょう。

対処法:

  1. フィルター清掃:詰まったフィルターを清掃
  2. 風量調整:換気扇の風量を調整
  3. 専門業者に相談:異常音がする場合は故障の可能性

故障時の対応(管理会社への連絡)

換気システムが故障した場合は、以下の手順で対応します。

対応手順:

  1. 管理会社・管理組合に連絡
  2. 専門業者に修理依頼(管理会社が手配)
  3. 修理までの間:窓を開けて換気

注意点:

  • 自分で分解・修理しない
  • 長時間放置しない

まとめ:24時間換気を快適に活用する

24時間換気システムを正しく理解し、快適な住環境を維持しましょう。

日常的な使い方のポイント

  • 基本は常時稼働させる
  • 冬場は給気口カバーで寒さ対策
  • 台風・強風時のみ一時停止
  • 止めてはいけない理由を理解する

メンテナンスのチェックリスト

  • フィルター清掃を3〜6ヶ月に1回実施
  • 給気口の清掃を定期的に実施
  • 騒音が大きい場合はフィルター清掃または専門業者に相談
  • 故障時は管理会社・管理組合に連絡

24時間換気システムは、シックハウス症候群対策、カビ・結露の抑制、アレルギー対策など、健康で快適な住環境を維持するために重要な設備です。電気代は月100〜700円程度と意外に安く、定期的なメンテナンスで効率的に稼働させることができます。

止めてしまうと健康リスクやカビ・結露のリスクが高まるため、基本は常時稼働させることが重要です。冬場の寒さ対策や台風・強風時の一時停止など、状況に応じた使い方を心がけましょう。

専門的な判断が必要な場合は、管理会社や専門業者への相談を推奨します。

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よくある質問

Q124時間換気を止めてもいいの?

A1基本的に止めてはいけません。止めるとシックハウス症候群のリスクが高まり、カビ・結露が発生しやすくなります。電気代も月100〜500円程度と安いため、止めるメリットは少ないです。台風や強風時のみ一時的に停止し、それ以外は常時稼働させることが重要です。

Q2電気代はいくらかかる?

A2月100〜700円程度、年間1,200〜8,400円程度です。第3種換気(一般的なマンション)の場合は月100〜500円程度と意外に安いです。フィルターが詰まると消費電力が上がるため、定期的な清掃で電気代を抑えることが重要です。1〜2年放置すると騒音が1.2倍に増加し、電気代も上がります。

Q3フィルター掃除の頻度は?

A33〜6ヶ月に1回が目安です。1〜2年放置すると騒音が新品時の1.2倍に増加し、消費電力も上がるため、定期的な清掃が必須です。掃除機でホコリを吸い取り、可能であれば水洗いして乾燥させます。フィルターが破損している場合は交換しましょう。

Q4冬に寒いけどどうすればいい?

A4給気口カバーを取り付けるか、一時的に給気口を少し閉める方法が有効です。給気口カバーは外気の流入を緩やかにし、寒さを軽減しながら換気を継続できます。ただし完全に閉めないこと、開け忘れによる換気不足に注意し、換気システム自体は止めないことが重要です。

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Room Match編集部

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