地域密着型不動産会社を選ぶメリットとは
不動産取引を検討する際、「地域密着型の不動産会社と大手不動産会社、どちらを選べばいいのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、地域密着型不動産会社の事業内容、サービスの特徴、取扱物件の種類、利用時のポイントを解説します。鹿児島県の事例(明和不動産、川商ハウス、三ツ矢ホーム等)も交えながら、初めての方でも自分に合った不動産会社を選べるようになります。
この記事のポイント
- 地域密着型不動産会社は特定エリアの市場動向や物件情報に精通し、地元ネットワークを活用できる
- 賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理のワンストップサービスを提供する会社も多い
- フランチャイズチェーン(アパマンショップ等)と独立系で、サービス内容・料金体系が異なる
- 宅建業免許番号、業界団体加盟、営業年数、取引実績を確認することが重要
- 複数の不動産会社を比較検討し、自分のニーズに合った会社を選ぶことを推奨
(1) 地域密着型と大手不動産会社の違い
地域密着型不動産会社と大手不動産会社の主な違いは、対応エリア・物件情報・地元ネットワークです。
| 項目 | 地域密着型 | 大手不動産会社 |
|---|---|---|
| 対応エリア | 特定地域に特化 | 全国展開 |
| 物件情報 | 地元の未公開物件・地主ネットワーク | 全国の豊富な物件情報 |
| 地元ネットワーク | 地域の市場動向に精通 | 全国的な情報収集力 |
| サービス | 柔軟な対応、地元特有のサービス | 標準化されたサービス |
自分のニーズ(エリア、物件種別、サービス内容)に合わせて選ぶことが重要です。
(2) この記事で解説する内容
この記事では、以下の項目を順に解説します。
- 地域密着型不動産会社の基礎知識(フランチャイズチェーンと独立系の違い)
- 主要な事業内容とサービスの特徴(賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理)
- 取扱物件の種類と対応エリアの確認方法
- 利用時のポイント(宅建業免許番号、実績、仲介手数料の確認)
地域密着型不動産会社の基礎知識
地域密着型不動産会社は、特定の地域に特化して営業する不動産会社です。
(1) 地域密着型不動産会社とは
地域密着型不動産会社とは、特定の都道府県や市区町村に特化して営業する不動産会社です。
特徴:
- 地元の市場動向に精通: 地域の賃料相場、人気エリア、開発計画等を熟知
- 地元ネットワークの活用: 地主・大家との直接的な関係で未公開物件を扱える
- 柔軟なサービス: 地元特有のニーズ(学生向け物件、農地転用等)に対応
一方で、対応エリアが限定的なため、複数の地域で物件を探す場合は大手不動産会社の方が効率的な場合もあります。
(2) フランチャイズチェーン加盟型と独立系の違い
地域密着型不動産会社は、フランチャイズチェーン加盟型と独立系に分かれます。
フランチャイズチェーン加盟型:
- 例: アパマンショップ、エイブル等のフランチャイズに加盟
- メリット: 全国ネットワークを活用でき、物件情報量が多い
- デメリット: フランチャイズ料が賃料や仲介手数料に転嫁される可能性
独立系:
- 例: 地域の老舗不動産会社
- メリット: 地域に根ざしたサービスを柔軟に提供できる
- デメリット: 全国的な情報収集力では劣る場合がある
(3) 鹿児島県の地域密着型不動産会社の事例
鹿児島県には、以下のような地域密着型不動産会社があります。
明和不動産(鹿児島):
- 本社: 熊本県熊本市(1981年創業)
- 鹿児島県内の店舗: 谷山駅前店、鹿児島大学前店の2店舗
- 特徴: アパマンショップフランチャイズ加盟、熊本・福岡・鹿児島で管理戸数No.1
- 取扱物件: 賃貸・売買・管理のワンストップサービス
川商ハウス(鹿児島):
- 本社: 鹿児島市
- 実績: 46年の運営実績
- 特徴: 賃貸・売買・月極駐車場等を総合的に扱う地元の老舗不動産会社
(出典: 川商ハウス)
三ツ矢ホーム(鹿児島):
- 本社: 鹿児島市
- 実績: 3,500件以上の取引実績
- 特徴: 新築・中古物件・土地を扱う地域密着型のサービス提供
(出典: 三ツ矢ホーム)
これらの会社は、鹿児島県内の市場動向や地元ネットワークを活用したサービスを提供しています。
主要な事業内容とサービスの特徴
地域密着型不動産会社は、賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理を中心に事業を展開しています。
(1) 賃貸仲介サービス
賃貸仲介サービスとは、賃貸物件を探している入居者と、物件を貸したいオーナーを仲介するサービスです。
主な業務:
- 物件の紹介・内見案内
- 賃貸借契約の手続き
- 入居後のサポート
仲介手数料:
- 家賃の1ヶ月分+消費税が上限(宅地建物取引業法で規定)
- 一部の不動産会社は仲介手数料を減額・無料にする場合もある
(2) 売買仲介サービス
売買仲介サービスとは、不動産を売りたい人と買いたい人を仲介するサービスです。
主な業務:
- 物件の査定・売却活動
- 購入希望者への物件紹介
- 売買契約の手続き
仲介手数料:
- 物件価格の3%+6万円+消費税が上限(宅地建物取引業法で規定)
- 例: 3,000万円の物件の場合、仲介手数料は最大105.6万円(税込)
(3) 賃貸管理・物件管理サービス
賃貸管理サービスとは、賃貸物件のオーナーに代わって、入居者の募集・賃料回収・建物の維持管理を行うサービスです。
主な業務:
- 入居者の募集・審査
- 賃料の回収・督促
- 建物の清掃・修繕
- トラブル対応(クレーム、退去時の原状回復等)
管理手数料:
- 賃料の3-10%程度(サービス内容により異なる)
管理戸数の意味:
- 管理戸数が多いほど、実績・ノウハウが豊富な傾向がある
- 明和不動産管理は熊本・福岡・鹿児島で管理戸数No.1と公表
(4) ワンストップサービスの提供
ワンストップサービスとは、賃貸・売買・管理を一つの会社で対応できるサービスです。
メリット:
- 賃貸と売買の両方を相談できる
- 賃貸から売買への移行がスムーズ
- 管理も依頼できるため、オーナーにとって便利
明和不動産、川商ハウス、MBC不動産等の地域密着型不動産会社は、ワンストップサービスを提供しています。
取扱物件の種類と対応エリアの確認
地域密着型不動産会社は、居住用物件、学生向け物件、事業用物件等を扱っています。
(1) 居住用物件(マンション・アパート・一戸建て)
居住用物件:
- マンション: ファミリー向け、単身者向け
- アパート: 単身者向け、学生向け
- 一戸建て: ファミリー向け、ペット可物件等
地域密着型不動産会社は、地元の未公開物件(大家との直接契約)を扱える場合があります。
(2) 学生向け物件
学生向け物件:
- 特徴: 大学・専門学校近く、家賃が抑えられている
- 例: 明和不動産の鹿児島大学前店は、学生向け物件に特化
学生向け物件は、入学シーズン(1-3月)に募集が集中するため、早めの情報収集が推奨されます。
(3) 事業用物件
事業用物件:
- 店舗: 飲食店、小売店等
- 事務所: オフィスビル、貸事務所等
- 倉庫: 物流倉庫、貸倉庫等
事業用物件は、立地・設備・契約条件が居住用物件と大きく異なるため、事業用物件に強い不動産会社を選ぶことが重要です。
(4) 対応エリアと店舗数の確認方法
対応エリアの確認:
- 不動産会社の公式サイトで「対応エリア」「店舗一覧」を確認
- 鹿児島県内で複数店舗を展開している会社は、広範囲に対応できる
例:
- 明和不動産: 鹿児島県内2店舗(谷山駅前店、鹿児島大学前店)
- MBC不動産: 鹿児島市内複数店舗(鹿児島中央駅西口店、谷山店等)
対応エリアが限定的な場合、希望エリアの物件を扱っているか事前に確認してください。
地域密着型不動産会社を利用する際のポイント
不動産会社を選ぶ際は、宅建業免許番号、実績、仲介手数料を確認することが重要です。
(1) 宅建業免許番号と業界団体加盟の確認
宅建業免許番号とは、国土交通大臣または都道府県知事が発行する不動産業の営業許可番号です。
確認方法:
- 不動産会社の公式サイト、店舗、広告に記載されている
- 免許番号の()内の数字は更新回数で、大きいほど営業年数が長い
- 例: 国土交通大臣(5) → 営業年数20年以上(5年ごとに更新)
業界団体加盟の確認:
- 鹿児島県宅地建物取引業協会(県内の約90%、約1,500社が加盟)
- 加盟企業は、協会の会員検索システムで確認可能
加盟していることは、一定の信頼性の目安となります。
(2) 実績(営業年数・取引件数・管理戸数)の確認
実績の確認項目:
| 項目 | 確認方法 | 目安 |
|---|---|---|
| 営業年数 | 公式サイト、会社案内 | 10年以上が望ましい |
| 取引件数 | 公式サイト、実績紹介 | 年間100件以上が目安 |
| 管理戸数 | 管理会社の場合 | 1,000戸以上が目安 |
鹿児島の事例:
- 川商ハウス: 46年の運営実績
- 三ツ矢ホーム: 3,500件以上の取引実績
- 明和不動産管理: 熊本・福岡・鹿児島で管理戸数No.1(具体的な戸数は公式サイトで確認)
(3) 仲介手数料と契約形態の理解
仲介手数料の上限:
- 賃貸: 家賃の1ヶ月分+消費税
- 売買: 物件価格の3%+6万円+消費税
注意点:
- 一部の不動産会社は仲介手数料を減額・無料にする場合があるが、その分サービス内容が制限される可能性
- 契約前に「仲介手数料」「敷金・礼金」「保証会社の利用」等の費用を明確に確認
(4) 複数社の比較検討が重要な理由
複数社を比較する理由:
- 物件情報は不動産会社により異なる(未公開物件、独占物件等)
- サービス内容・仲介手数料が異なる
- 担当者との相性も重要
比較のポイント:
- 同じ物件でも仲介手数料や初期費用が異なる場合がある
- 地域密着型(明和不動産、川商ハウス等)と大手(住友不動産販売、東急リバブル等)を両方検討
- 口コミ・評判は参考程度とし、客観的な事実(免許番号、実績等)を重視
まとめ:自分に合った不動産会社の選び方
地域密着型不動産会社は、特定エリアの市場動向や物件情報に精通し、地元ネットワークを活用したサービスを提供します。賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理のワンストップサービスを提供する会社も多く、柔軟な対応が期待できます。
一方で、対応エリアが限定的なため、複数の地域で物件を探す場合は大手不動産会社も検討してください。フランチャイズチェーン(アパマンショップ等)と独立系では、サービス内容・料金体系が異なるため、自分のニーズに合った会社を選ぶことが重要です。
宅建業免許番号、業界団体加盟、営業年数、取引実績を確認し、複数の不動産会社を比較検討することを推奨します。疑問点は宅地建物取引士に相談し、納得した上で契約を進めましょう。
