地域密着型不動産会社を選ぶ重要性と全体像
不動産の売却・購入を検討する際、どの不動産会社に依頼するかは成功の鍵を握ります。大手不動産会社と地域密着型不動産会社では、それぞれ異なる強みがあります。
この記事では、地域密着型不動産会社の特徴、大手との違い、良い不動産会社を見極めるポイントをベストエクスネットや国土交通省の情報を元に解説します。
状況に応じた不動産会社の選び方を理解し、自分に合った業者を見つけられるようになります。
この記事のポイント
- REINS(レインズ)で全不動産会社が同じ物件情報にアクセス可能
- 地域密着型は個別対応の丁寧さと地域情報が強み、大手は広告力と全国ネットワークが強み
- 免許更新回数((2)以上)は5年以上の営業実績の証明
- 手数料の透明性確認と誇大広告への警戒が重要
- 専任媒介契約と一般媒介契約で複数社依頼の可否が異なる
(1) 不動産会社の種類(大手・地域密着型・フランチャイズ)
不動産会社は大きく以下の3種類に分類されます。
- 大手不動産会社: 全国規模で展開する大手チェーン(三井不動産リアルティ、住友不動産販売等)
- 地域密着型不動産会社: 特定地域に特化した地元業者
- フランチャイズ: 大手ブランドを使用しながら地元業者が運営(センチュリー21、ピタットハウス等)
それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った業者を選ぶことが重要です。
(2) REINS(レインズ)で全社が同じ物件情報にアクセス可能な仕組み
ナカジツによると、REINS(レインズ)という全国共通のデータベースにより、全不動産会社が同じ物件情報にアクセス可能です。
REINS(不動産流通標準情報システム)は、全国の不動産会社が物件情報を共有するデータベースです。専任媒介契約や専属専任媒介契約で売却を依頼された物件は、REINSへの登録が義務付けられています。
そのため、どの不動産会社に依頼しても、基本的には同じ物件情報にアクセスできます。ただし、自社管理物件や未公開物件は各社独自に持っているため、複数社への相談が推奨されます。
地域密着型不動産会社の特徴と強み
地域密着型不動産会社は、特定地域に特化したサービスを提供します。地元ネットワーク、地域情報、個別対応の丁寧さが主な強みです。
(1) 地元ネットワークと地域情報の豊富さ
地域密着型不動産会社は、長年その地域で営業しており、地元のネットワークと地域情報が豊富です。
例えば、地元の学校区、商業施設、治安、将来の開発計画等、地域特有の情報を提供できます。地元の売主・買主との直接的なつながりもあり、未公開物件の情報を得られる場合があります。
(2) 個別対応の丁寧さと柔軟な対応
スマイティによると、地域密着型不動産会社は個別対応が丁寧で、柔軟な対応が期待できます。
大手と比べて顧客数が少ないため、一人ひとりの顧客に時間をかけたサービスを提供できます。売主・買主の個別事情に応じた提案や、契約条件の柔軟な調整も期待できます。
(3) 仲介と管理の両方を手掛ける場合の物件情報の豊富さ
ベストエクスネットによると、仲介と管理の両方を手掛ける不動産会社は物件情報が豊富です。
賃貸管理を行っている不動産会社は、オーナーとの直接的なつながりがあり、売却物件の情報を早期に入手できる場合があります。賃貸中の物件を売却する際も、管理会社が仲介を担当することでスムーズな取引が期待できます。
(4) 地域特性に精通したアドバイス
地域密着型不動産会社は、地域特性に精通したアドバイスを提供できます。
例えば、特定地域の不動産価格の推移、売れやすい時期、売却時の適正価格等、地域特有の市場動向を踏まえた提案ができます。地元の建設業者や金融機関との連携もあり、リフォームや住宅ローンの相談もしやすい環境です。
大手不動産会社との違い:それぞれのメリット・デメリット
大手不動産会社と地域密着型不動産会社には、それぞれメリット・デメリットがあります。状況に応じて選択することが重要です。
(1) 大手のメリット(広告力・信頼性・全国ネットワーク)
大手不動産会社のメリットは以下の通りです。
- 広告力: 大規模な広告予算により、多くの買主候補にアプローチ可能
- 信頼性: ブランド力があり、安心感がある
- 全国ネットワーク: 転勤等で遠方から物件を探す買主にもアプローチ可能
- サポート体制: 法務・税務等の専門部門があり、複雑な取引にも対応可能
広範囲に物件を探したい場合や、大規模な広告展開を期待する場合は大手が適しています。
(2) 大手のデメリット(個別対応の難しさ・手数料の高さ)
大手不動産会社のデメリットは以下の通りです。
- 個別対応の難しさ: 顧客数が多く、一人ひとりへの対応が薄くなる可能性
- 手数料: 仲介手数料の値引き交渉が難しい場合がある
- 意思決定の遅さ: 本部との調整が必要で、柔軟な対応が難しい場合がある
個別事情に応じた柔軟な対応を求める場合は、大手よりも地域密着型が適しています。
(3) 地域密着型のメリット(個別対応・地域情報)
地域密着型不動産会社のメリットは以下の通りです。
- 個別対応: 一人ひとりの顧客に時間をかけた丁寧なサービス
- 地域情報: 地元ネットワークと地域特有の情報
- 柔軟な対応: 契約条件の調整等、個別事情に応じた提案
- 手数料の交渉: 仲介手数料の値引き交渉がしやすい場合がある
特定地域で柔軟な対応を求める場合は、地域密着型が適しています。
(4) 地域密着型のデメリット(広告力・ブランド力の弱さ)
地域密着型不動産会社のデメリットは以下の通りです。
- 広告力: 大手と比べて広告予算が限られる
- ブランド力: 知名度が低く、安心感に欠ける場合がある
- ネットワーク: 特定地域に限定され、広範囲の物件探しには不向き
広範囲に物件を探したい場合や、大規模な広告展開を期待する場合は、大手が適しています。
良い不動産会社を見極める7つのチェックポイント
ベストエクスネットが提案する、良い不動産会社を見極める7つのチェックポイントを紹介します。
(1) 営業時間の長さ(夜7時以降まで営業)
営業時間が長い(夜7時以降まで営業)店舗を選ぶと、仕事帰りでも相談できて便利です。
営業時間が短い業者は、顧客サービスよりも業務効率を優先している可能性があります。柔軟な対応を期待する場合は、営業時間の長い業者が適しています。
(2) PC画面の共有(市場の全物件を紹介しているか)
物件検索時にパソコン画面を見せてくれる不動産会社は、市場にある物件をすべて紹介してくれる可能性が高いです。
一部の業者は、自社の利益が高い物件のみを紹介する「囲い込み」を行います。PC画面を共有し、REINS等のデータベースを一緒に見せてくれる業者は、透明性が高いと判断できます。
(3) 免許更新回数((2)以上で5年以上の営業実績)
不動産会社の免許番号の括弧内の数字が(2)以上なら、5年以上営業している証拠で、実績と信頼性の目安になります。
宅地建物取引業の免許は5年ごとに更新されます。免許番号が「東京都知事(3) 第〇〇号」の場合、3回目の更新(10年以上営業)を意味します。長期間営業している業者は、信頼性が高いと判断できます。
(4) 店舗の立地(駅前1階は集客力と信頼性の指標)
駅前の1階に店舗がある不動産会社は集客力があり、2階以上の「空中店舗」よりも信頼性が高い傾向にあります。
駅前1階の店舗は賃料が高いため、経営が安定している業者でないと維持できません。集客力と信頼性の指標として、店舗の立地を確認することが推奨されます。
(5) 口コミ・評判(Google Map、エキテン等)
Google Mapやエキテン等のレビューサイトで、実際の利用者の声を確認することが重要です。
口コミは変動するため、執筆時点(2025年)の情報を確認し、最新の評判を把握してください。極端に悪い評価が多い業者は避け、具体的な体験談が記載されている口コミを参考にすることが推奨されます。
(6) 業界団体への加盟(日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会等)
GMOサインによると、業界団体への加盟が信頼性の指標とされています。
日本不動産協会や全国宅地建物取引業協会連合会等の業界団体に加盟している業者は、一定の基準を満たしており、コンプライアンス意識が高いと判断できます。
(7) コミュニケーションの明確さ(定期的な連絡・進捗報告)
コミュニケーションが明確で、定期的な連絡・進捗報告がある業者を選ぶことが重要です。
連絡が不明確で、進捗報告がない業者は、依頼者の不安を引き起こす原因となります。売却・購入の進捗状況を定期的に報告し、質問に迅速に回答してくれる業者を選んでください。
不動産会社選びの注意点とリスク回避
不動産会社選びでは、以下の注意点とリスク回避のポイントを押さえることが重要です。
(1) 手数料・費用の透明性確認(契約前に明確な内訳を確認)
GMOサインによると、手数料・費用の透明性確認が最優先とされています。
仲介手数料の上限は法律で定められています。
- 賃貸: 家賃1ヶ月分+消費税が上限
- 売買: 物件価格の3%+6万円+消費税が上限(物件価格400万円超の場合)
契約前に手数料の明確な内訳を確認し、上限を超える請求や、不明瞭な費用がないか確認してください。
(2) 誇大広告への警戒(「日本一」等は宅建業法違反の可能性)
「日本一」「最高」などのNo.1を意味する誇大広告を使う業者は、宅地建物取引業法違反の可能性があるため注意が必要です。
宅建業法では、誇大広告の禁止が規定されています。根拠のない「業界No.1」「必ず高値で売れる」等の表現を使う業者は、コンプライアンス意識が低いと判断できます。
(3) 囲い込みの回避(極端に物件紹介数が少ない業者に注意)
極端に物件紹介数が少ない業者は、「囲い込み」(自社で抱え込む行為)をしている可能性があります。
囲い込みとは、不動産会社が物件情報を自社で抱え込み、他社に紹介しない行為です。売主・買主双方の利益を損なうため、複数社に相談し、物件紹介数を比較することが推奨されます。
(4) 専任媒介契約と一般媒介契約の違い(複数社依頼の可否)
媒介契約には以下の3種類があります。
| 契約種類 | 複数社依頼 | REINS登録 | 契約期間 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 不可 | 義務(5日以内) | 最長3ヶ月 |
| 専任媒介 | 不可 | 義務(7日以内) | 最長3ヶ月 |
| 一般媒介 | 可 | 任意 | 制限なし |
専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、契約期間中(最長3ヶ月)の変更が難しいですが、一般媒介契約なら複数社への依頼や変更が可能です。契約内容を事前に確認してください。
まとめ:状況に応じた不動産会社の選び方
地域密着型不動産会社は、個別対応の丁寧さと地域情報が強みです。大手不動産会社は、広告力と全国ネットワークが強みです。REINS(レインズ)により全社が同じ物件情報にアクセス可能なため、どの業者に依頼するかは、サービス内容と自分の状況に応じて判断することが重要です。
良い不動産会社を見極めるポイントは、営業時間、PC画面の共有、免許更新回数、店舗の立地、口コミ、業界団体への加盟、コミュニケーションの明確さの7つです。手数料の透明性確認と誇大広告への警戒も重要です。
専任媒介契約と一般媒介契約で複数社依頼の可否が異なるため、契約内容を事前に確認してください。複数の不動産会社に相談し、自分に合った業者を見つけましょう。
