土地の測量が必要になるケースとは
土地の売買や建築を検討する際、「測量は本当に必要なのか」「費用はどのくらいかかるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、土地測量の必要性、種類(現況測量・確定測量)、費用相場、依頼の流れを、国土交通省や土地家屋調査士会の情報を元に解説します。
土地所有者や購入を検討する方が、適切なタイミングで測量を実施し、境界トラブルを避けるための判断材料を提供します。
この記事のポイント
- 土地測量は売却時・建築時・相続時に必要で、境界確定のための確定測量が一般的
- 現況測量は10~20万円、確定測量は35~80万円が相場(官民査定は60~80万円)
- 測量期間は1ヶ月半~3ヶ月以上で、隣地所有者の立会いと合意が必要
- 土地家屋調査士に依頼し、複数社で見積もり比較することが重要
- 確定測量図は売買契約・建築確認・登記手続きで長期活用できる
土地売却時の境界確定
土地を売却する際、買主から「境界が確定した土地」を求められるケースが増えています。HOME4Uによると、2025年現在、都市部では買主側から実測面積による売買を要求されることが一般的です。
境界が確定していない土地は、将来的に隣地とのトラブルが発生するリスクがあるため、買主から敬遠されやすくなります。売却をスムーズに進めるためには、事前に確定測量を実施し、境界を明確にしておくことが推奨されます。
公簿売買(登記簿謄本の面積で売買)を選択すると、登記簿の面積と実測面積が異なる場合にトラブルになる可能性があります。例えば、登記簿上は300㎡でも実測では250㎡だった場合、買主から「50㎡分の返金」を求められるケースもあります。
新築・建替え時の建築確認
建物を新築・建替えする際、建築確認申請には正確な敷地面積と境界の明示が必要です。三井住友トラスト不動産によると、建築基準法に基づく確認申請では、敷地の境界が明確でないと申請が受理されません。
特に建ぺい率・容積率の計算には正確な敷地面積が必須です。境界が不明確なまま建築すると、隣地との境界争いに発展したり、建築確認が下りなかったりするリスクがあります。
建築前に確定測量を実施し、境界標を設置しておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。
相続・分筆時の正確な面積確定
土地を相続する際、複数の相続人で土地を分割(分筆)するケースでは、正確な面積確定が不可欠です。アガルートによると、分筆登記には確定測量図が必要で、境界が確定していない土地は登記できません。
相続税の物納を選択する場合も、確定測量図の提出が求められます。物納は国が土地を受け取るため、境界が明確でない土地は受理されません。
相続が発生する前に確定測量を実施しておくことで、相続人間のトラブルを避け、スムーズな相続手続きが可能になります。
測量の種類と費用相場
土地測量には大きく分けて「現況測量」と「確定測量」の2種類があります。それぞれ目的・費用・期間が異なるため、用途に応じて適切な測量を選択することが重要です。
現況測量(簡易測量):10~20万円
現況測量は、現在の土地の状況を測量する簡易的な測量です。アガルートによると、費用相場は10~20万円で、期間は2~3週間程度です。
現況測量では境界は確定せず、現状の土地の形状・面積を把握するための測量です。以下のような場面で利用されます。
- 土地のおおよその面積を知りたい場合
- 建築計画の概算検討に使用する場合
- 土地の現況を把握する場合
注意点:現況測量では境界が確定していないため、不動産売買には使用できません。隣地所有者の立会いや合意も不要ですが、法的な効力は持ちません。
確定測量(境界確定測量):35~80万円
確定測量は、隣地所有者の立会いと合意を得て、土地の境界を確定させる正式な測量です。HOME4Uによると、費用相場は以下の通りです。
| 測量の種類 | 費用相場 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 民有地のみの確定測量 | 35~45万円 | 1ヶ月半~2ヶ月 | 隣接が民有地のみの場合 |
| 官民査定を含む確定測量 | 60~80万円 | 2~3ヶ月以上 | 公道・河川等との境界確定が必要 |
(出典:そこに住むならbyスムナラ)
確定測量では、土地家屋調査士が現地調査を行い、隣地所有者全員の立会いのもと境界を確認し、「筆界確認書」を作成します。境界杭を設置し、確定測量図を作成するため、法的な効力を持ちます。
不動産売買・相続・分筆・物納など、法的な手続きが必要な場合は確定測量が必須です。
費用を左右する要因(土地面積・隣接地数・官民境界の有無)
測量費用は以下の要因により大きく変動します。
1. 土地の面積
- 面積が広いほど測量作業に時間がかかり、費用が増加します
- 100㎡未満の小規模な土地と、1,000㎡を超える大規模な土地では費用が2~3倍異なる場合があります
2. 隣接地の数
- 隣接する土地が多いほど、立会いの調整や境界確認の作業が増えます
- 角地や旗竿地など、隣接地が多い土地は費用が高くなる傾向があります
3. 官民境界の有無
- 公道・河川・水路など官有地と接している場合、役所との立会い調整が必要です
- 官民査定には時間がかかるため、費用が60~80万円に上昇します
4. 地域・地形
- 都市部より地方の方が費用が低い傾向があります
- 傾斜地や起伏のある土地は測量が難しく、費用が増加します
アガルートによると、測量費用は土地の状況により大きく異なるため、土地家屋調査士に現地を見てもらい、見積もりを取ることが重要です。
測量を依頼する流れと期間
確定測量を依頼する際の流れと、各段階でかかる期間を解説します。
土地家屋調査士への相談・見積もり
測量は土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士は、測量や不動産登記を行う国家資格者で、境界確定の専門家です。
依頼の流れ
- 相談・現地確認:土地家屋調査士が現地を確認し、土地の状況を把握します
- 見積もり提示:土地の面積、隣接地の数、官民境界の有無をもとに見積もりを提示
- 契約:見積もりに納得したら、測量契約を締結します
ポイント:複数の土地家屋調査士から見積もりを取り、費用・実績・対応を比較することが推奨されます。不動産会社経由でも紹介してもらえますが、自分で探す方が費用を抑えられる場合があります。
現地調査と隣接地所有者との立会い
契約後、土地家屋調査士が以下の調査を実施します。
1. 資料調査(1~2週間)
- 法務局で登記簿謄本・公図・地積測量図を取得
- 役所で道路台帳・下水道台帳を確認
- 過去の測量記録があれば収集
2. 現況測量(1~2週間)
- トータルステーション(測量機器)を使用し、現地の形状・面積を測量
- 既存の境界杭の位置を確認
- en-groupsによると、最近ではドローンや3Dスキャナーも活用されていますが、トータルステーションが最も正確です
3. 境界確認作業(1~2ヶ月)
- 隣地所有者全員に立会いを依頼(日程調整に時間がかかる場合があります)
- 官民境界がある場合は、役所(道路管理課・河川管理課等)との立会いを調整
- 立会い当日、境界の位置を確認し、合意を得ます
4. 筆界確認書の作成(1~2週間)
- 隣地所有者全員から署名・押印をもらい、筆界確認書を作成
- 境界杭を設置(コンクリート杭、金属プレート等)
アガルートによると、隣地所有者の理解と協力が得られないと、測量プロセスが長引き、費用もかさむ可能性があります。立会いを拒否されると、境界確定ができず、測量が進まないケースもあります。
測量図作成と境界標設置(期間:1~3ヶ月)
境界確認が完了したら、確定測量図を作成します。
確定測量図の内容
- 土地の形状・面積
- 境界標の位置(座標)
- 隣地との境界線
- 隣地所有者の署名・押印
確定測量図は、不動産売買契約の添付書類として使用されます。買主に引き渡す際、境界が明確であることを証明する重要な書類です。
トータル期間:そこに住むならbyスムナラによると、確定測量には1ヶ月半~3ヶ月以上の期間が必要です。官民査定が含まれる場合や、隣地所有者の協力が得られにくい場合は、3~4ヶ月以上かかることもあります。
測量業者の選び方と注意点
測量業者(土地家屋調査士)の選び方と、依頼時の注意点を解説します。
土地家屋調査士の資格確認
測量を依頼する際は、必ず土地家屋調査士の資格を確認してください。土地家屋調査士は国家資格で、不動産登記や測量の専門家です。
確認方法
- 日本土地家屋調査士会連合会のウェブサイトで、調査士の登録を確認できます
- 名刺や見積書に「土地家屋調査士」の記載があるか確認
- 調査士会の会員証を提示してもらう
無資格者による測量は法的な効力を持たず、後々トラブルになる可能性があります。必ず有資格者に依頼してください。
複数社での見積もり比較
測量費用は土地家屋調査士により異なるため、複数社で見積もりを取ることが推奨されます。
見積もり比較のポイント
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 費用 | 測量費用の総額(消費税込み) |
| 内訳 | 調査費・測量費・立会い費・図面作成費等の明細 |
| 期間 | 測量完了までの想定期間 |
| 実績 | 同様の土地の測量実績 |
| 対応 | 相談時の対応・説明の丁寧さ |
最低でも3社から見積もりを取り、費用だけでなく、実績や対応も含めて総合的に判断することが重要です。
注意点:極端に安い見積もりには注意が必要です。必要な手続きが省略されている可能性があります。
過去の実績と口コミの確認
土地家屋調査士の過去の実績と口コミを確認することで、信頼できる業者を選ぶことができます。
実績の確認方法
- 同様の土地(面積・形状・官民境界の有無)の測量経験があるか
- 地域での測量実績(地域の事情に詳しいか)
- トラブル対応の経験(隣地所有者との調整力)
口コミの確認方法
- 不動産会社に紹介してもらう場合、過去の取引実績を確認
- 知人・親族で測量を依頼したことがある人に聞く
- インターネットの口コミは参考程度にとどめる(匿名の情報は信頼性が低い)
地域密着型の土地家屋調査士は、地域の事情に詳しく、役所や隣地所有者との調整がスムーズに進む場合があります。
測量後の確定測量図の活用法
確定測量図は、測量完了後も長期にわたり活用できる重要な書類です。以下のような場面で使用されます。
売買契約時の重要書類として
不動産売買契約では、確定測量図が重要事項説明書の添付書類として使用されます。
売買契約での役割
- 土地の面積・境界を買主に明示
- 実測面積による売買契約の根拠
- 将来的な境界トラブルを防ぐ
不動産売却マップによると、確定測量図は3種類の測量図(確定測量図・現況測量図・地積測量図)の中で最も信頼性が高く、不動産売買では必須とされています。
確定測量図があることで、買主は安心して土地を購入でき、売却がスムーズに進みます。
建築確認申請の添付資料として
建物を新築・建替えする際、建築確認申請には確定測量図の添付が求められます。
建築確認での役割
- 敷地面積の証明
- 建ぺい率・容積率の計算根拠
- 境界からの離隔距離の確認
建築基準法では、隣地境界線から一定の距離を保つことが義務付けられています。確定測量図があることで、建築確認がスムーズに下ります。
登記手続き(分筆・合筆)での使用
土地を分割(分筆)したり、複数の土地を統合(合筆)したりする際、確定測量図が必要です。
登記手続きでの役割
- 分筆登記:土地を複数に分割する際、分割後の各土地の面積・境界を明示
- 合筆登記:複数の土地を1つに統合する際、統合後の土地の面積・境界を明示
分筆登記は、相続で土地を分割する場合や、土地の一部を売却する場合に必要です。確定測量図がないと、分筆登記ができません。
確定測量図は一度作成すれば、売買・建築・相続・登記など、さまざまな場面で長期にわたり活用できる重要な書類です。測量費用は高額ですが、将来的な投資として捉えることができます。
まとめ:土地測量を成功させるポイント
土地測量は、売却・建築・相続など、土地を扱う際に欠かせない手続きです。この記事の要点をまとめます。
測量の目的を明確にして適切な種類を選択
測量には「現況測量」と「確定測量」の2種類があります。
- 現況測量:土地のおおよその面積を知りたい場合(10~20万円、2~3週間)
- 確定測量:不動産売買・建築・相続など法的手続きが必要な場合(35~80万円、1ヶ月半~3ヶ月以上)
目的に応じて適切な測量を選択することで、無駄な費用を抑えることができます。
隣接地所有者との事前調整が円滑化のカギ
確定測量では、隣地所有者全員の立会いと合意が必要です。隣地所有者の理解と協力が得られないと、測量プロセスが長引き、費用もかさみます。
事前に隣地所有者に測量の目的を説明し、協力を依頼しておくことで、スムーズに測量を進めることができます。
確定測量図は売却・建築・相続で長期活用可能
確定測量図は、売買契約・建築確認申請・登記手続きなど、さまざまな場面で活用できる重要な書類です。一度作成すれば、長期にわたり使用できるため、将来的な投資として捉えることができます。
測量費用は高額ですが、境界トラブルを避け、スムーズな不動産取引を実現するためには必要な投資です。信頼できる土地家屋調査士に依頼し、適切な測量を実施しましょう。


