土地一筆とは|不動産登記の基本単位
土地の売買や相続を検討する際、「一筆」という用語を目にして、「どういう意味か」「地番との違いは何か」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、土地一筆の定義(登記上の土地の個数を表す単位)、分筆・合筆の違い、手続きの流れ、費用相場(登録免許税1,000円/筆、調査士報酬10-80万円)を、法務局・国土交通省の公式情報を元に解説します。
初めて土地の権利関係を学ぶ方でも、一筆の基本概念を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 一筆(いっぴつ)は登記上の土地の個数を表す単位、1個の土地=一筆
- 1筆ごとに地番が付され、登記簿も1筆ごとに1用紙を備える(一筆一用紙主義)
- 分筆(ぶんぴつ)=1筆を複数に分割、合筆(がっぴつ/ごうひつ)=複数を1筆に統合
- 地番と住居表示は異なる、地番=土地に付く番号、住居表示=建物に付く番号
- 分筆・合筆の費用は登録免許税1,000円/筆+調査士報酬10-80万円程度
(1) 一筆の定義:登記上の土地の個数を表す単位
一筆(いっぴつ)は、登記上の土地の個数を表す単位です。1個の土地=一筆で、土地は1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)と数えます。
不動産登記において、土地は一筆単位で管理されます。
(2) 一筆一用紙主義(一不動産一用紙の原則)
登記簿は1筆の土地ごとに1用紙を備える原則(一筆一用紙主義、一不動産一用紙の原則)があります。これにより、各土地の権利関係が明確に記録されます。
(3) 1筆ごとに地番が付される仕組み
1筆の土地には1個の地番が付されます。地番は土地を特定するための番号で、登記簿で土地を識別する際に使用します。
(4) 1筆の土地には1個の所有権が成立するのが普通
1筆の土地には1個の所有権が成立するのが普通ですが、一筆の土地でも共有・分割所有することが可能です。
一筆の数え方と地番の関係
土地の数え方と地番の関係を理解することは、不動産取引の基本です。
(1) 土地は1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)と数える
土地は1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)と数えます。この数え方は不動産登記に由来します。
(2) 「筆」という単位の由来(太閤検地説、地租改正説)
「筆」という単位の由来には諸説があり、以下の説が有力です。
- 太閤検地説: 豊臣秀吉の太閤検地で、土地情報を一筆で書いた説
- 地租改正説: 明治時代の地租改正で導入された説
(3) 地番とは:土地1筆ごとに付される番号
地番(ちばん)は、土地1筆ごとに登記所が付する番号です。主に不動産登記で使用され、土地を特定するための識別番号となります。
(4) 地番と住居表示の違い(地番=土地、住居表示=建物)
地番と住居表示は以下のように異なります。
| 項目 | 地番 | 住居表示 |
|---|---|---|
| 対象 | 土地 | 建物 |
| 用途 | 不動産登記で使用 | 郵便配達等で使用 |
| 付け方 | 土地1筆ごとに付される | 建物に付される |
地番と住居表示は必ずしも一致しません。土地取引時は地番で特定する必要があります。
(5) 区画と筆の違い(1区画が複数筆から成る場合もある)
区画と筆は必ずしも一致しません。1区画が複数筆から成る場合もあります。土地購入時には、登記簿で筆数を確認してください。
分筆(ぶんぴつ)とは|1筆を複数に分割
分筆は、1筆の土地を複数に分割する登記手続きです。
(1) 分筆の定義:1筆の土地を登記上で2筆以上に分割
分筆(ぶんぴつ)は、1筆の土地を登記上で2筆以上に分割することです。分割後、新しい地番が付されます。
(2) 分筆が必要なケース(土地の一部売買、相続、共有解消等)
分筆が必要な主なケースは以下の通りです。
- 土地の一部売買: 土地の一部を売却する場合
- 相続: 複数の相続人で土地を分割する場合
- 共有解消: 共有状態を解消し、各自の所有地を明確にする場合
(3) 分筆後の地番の付け方
分筆後は、元の地番に枝番を付けて新しい地番が設定されます。例えば、123番の土地を分筆すると、123-1番、123-2番となります。
(4) 分筆のメリット・デメリット
メリット:
- 土地の一部のみを売買・相続できる
- 権利関係が明確になる
デメリット:
- 費用がかかる(10-80万円程度)
- 境界確定に時間がかかる
合筆(がっぴつ/ごうひつ)とは|複数を1筆に統合
合筆は、隣接する複数の土地を1筆に統合する登記手続きです。
(1) 合筆の定義:隣接する複数の土地を1筆に統合
合筆(がっぴつ/ごうひつ)は、隣接する複数の土地を1筆の土地に法的に統合することです。
(2) 合筆のメリット(管理簡素化、固定資産税納付効率化)
合筆のメリットは以下の通りです。
- 管理簡素化: 複数の土地を一括管理できる
- 固定資産税納付効率化: 納付書が1枚になり、手続きが簡素化
- 登記簿の整理: 登記簿が1用紙になり、権利関係が把握しやすい
(3) 合筆できない土地(不動産登記法第41条の制限)
不動産登記法第41条により、以下の土地は合筆できません。
- (1) 隣接していない土地: 離れた場所にある土地は合筆不可
- (2) 地目が異なる土地: 宅地と田、宅地と山林等は合筆不可
- (3) 所有者が異なる土地: 所有者が異なる土地は合筆不可
- (4) 抵当権等の権利が一方のみにある土地: 権利設定が異なる土地は合筆不可
合筆前に法的要件を確認することが重要です。
(4) 合筆後の地番(最小の番号を残す)
合筆後の地番は、合筆前の土地のうち最小の番号を残します。例えば、123番と124番を合筆すると、地番は123番になります。
(5) 分合筆登記(分筆と合筆を一回で実施)
分筆と合筆は一回の申請でまとめて実施可能です(分合筆登記)。複数の土地を整理する場合に効率的です。
分筆・合筆の手続きと費用
分筆・合筆の手続きは専門的なため、土地家屋調査士への依頼が一般的です。
(1) 土地家屋調査士への依頼が一般的
分筆・合筆登記は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。測量・境界確定・登記申請を一括で対応してもらえます。
(2) 分筆登記の流れ(境界確定→測量→登記申請)
分筆登記の流れは以下の通りです。
- 境界確定: 隣地所有者と立会い、境界を確定
- 測量: 土地家屋調査士が測量を実施
- 登記申請: 法務局に分筆登記を申請
(3) 合筆登記の流れ(隣接確認→地目確認→登記申請)
合筆登記の流れは以下の通りです。
- 隣接確認: 土地が隣接しているか確認
- 地目確認: 地目が同一か確認
- 登記申請: 法務局に合筆登記を申請
(4) 費用の目安(登録免許税1,000円/筆、調査士報酬10-80万円)
分筆・合筆の費用は以下の通りです。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 1,000円/筆 |
| 土地家屋調査士報酬 | 10-80万円程度(境界確定済みで約10万円、未確定で30-80万円) |
境界確定の有無により費用が大きく異なります。
(5) 境界確定の重要性と注意点(隣地所有者との立会い・合意)
境界確定には、隣地所有者との立会い・合意が必要です。時間・費用がかかるため、事前に見積もりを取ることを推奨します。
まとめ:一筆の理解と活用方法
一筆は登記上の土地の個数を表す単位で、1筆ごとに地番が付され、登記簿も1筆ごとに1用紙を備えます(一筆一用紙主義)。
分筆(1筆を複数に分割)は土地の一部売買・相続時に、合筆(複数を1筆に統合)は管理簡素化・固定資産税納付効率化のために実施します。費用は登録免許税1,000円/筆+調査士報酬10-80万円程度です。
土地の売買・相続を検討する際は、登記簿謄本を取得して筆数・地番を確認し、土地家屋調査士などの専門家に相談しながら、適切な手続きを進めましょう。


