土地売却時の司法書士の役割
土地売却を検討する際、「司法書士に相談すべきか」「どのタイミングで依頼すべきか」と悩む方が多いでしょう。司法書士は登記の専門家であり、土地売却では重要な役割を果たします。
本記事の要点
- 司法書士の主な役割は所有権移転登記と抵当権抹消登記の手続き
- 土地売却時の費用は平均約3万円前後、相談料は30分5,000円程度
- 売買契約締結後、決済前に依頼するのが一般的
- 相続登記が済んでいない場合は事前に相談が必要
所有権移転登記の手続き
所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったときに行う登記です。土地売却では、売主から買主へ所有権が移転するため、必ず必要な手続きです。
司法書士は、売買契約締結後に以下の業務を行います:
- 登記に必要な書類の準備(売渡証書、印鑑証明書等)
- 法務局への登記申請
- 登記完了後の書類の引き渡し
所有権移転登記は法律上、買主が行う義務がありますが、実務では司法書士に依頼するのが一般的です。
抵当権抹消登記の手続き
抵当権抹消登記とは、住宅ローンを完済した後に抵当権を抹消する登記です。土地に住宅ローンの抵当権が設定されている場合、売却前に抹消する必要があります。
抵当権抹消登記は、売主が司法書士に依頼し、以下の流れで進めます:
- 金融機関から抵当権抹消書類を受領
- 司法書士が法務局に抵当権抹消登記を申請
- 登記完了後、抵当権が抹消された登記簿謄本を確認
決済日の同席と安全な取引のサポート
決済日とは、売買代金の支払いと不動産の引き渡しを行う日です。司法書士は決済日に同席し、以下の業務を行います:
- 売主・買主の本人確認
- 必要書類の確認(売渡証書、印鑑証明書、登記済証等)
- 代金の支払い確認
- 所有権移転登記の同時実施
司法書士が同席することで、「代金を支払ったのに所有権が移転していない」「所有権が移転したのに代金が支払われない」といったトラブルを防げます。
司法書士に依頼すべき業務内容
相続登記(相続により取得した土地の名義変更)
相続登記とは、相続により不動産の所有権が移転した場合に行う登記です。相続した土地を売却する場合、まず相続登記を行い、売主の名義に変更する必要があります。
相続登記が済んでいない場合、以下の流れで進めます:
- 司法書士に相談し、相続登記に必要な書類を準備(戸籍謄本、遺産分割協議書等)
- 相続登記の申請
- 登記完了後、売主の名義に変更された登記簿謄本を確認
- 売却手続きを開始
相続登記は時間がかかる場合があるため、早めに相談することを推奨します。
住所氏名変更登記(登記上の住所・氏名が異なる場合)
住所氏名変更登記とは、登記上の住所・氏名と現在の住所・氏名が異なる場合に行う登記です。引っ越しや結婚により住所・氏名が変わった場合、売却前に変更登記が必要です。
住所氏名変更登記は、売主が司法書士に依頼し、以下の書類を準備します:
- 住民票(住所変更の場合)
- 戸籍謄本(氏名変更の場合)
住所氏名変更登記の費用は、売主が負担します。
抵当権抹消登記(住宅ローン完済後)
前述の通り、住宅ローンを完済した後は抵当権抹消登記が必要です。抵当権が残ったままでは、買主が住宅ローンを組めないため、売却できません。
抵当権抹消登記の費用は、以下の通りです:
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産1件あたり1,000円(土地のみなら1,000円) |
| 司法書士報酬 | 1〜2万円程度 |
| 合計 | 1.1〜2.1万円程度 |
境界トラブルの相談(土地家屋調査士との連携)
土地の境界が不明確な場合、売却前に境界確定が必要です。境界確定は土地家屋調査士の専門分野ですが、司法書士が土地家屋調査士を紹介してくれる場合があります。
境界トラブルが発生した場合、以下の流れで進めます:
- 司法書士に相談し、土地家屋調査士を紹介してもらう
- 土地家屋調査士が境界確定測量を実施(隣地所有者の立会いが必要)
- 境界確定後、売却手続きを開始
司法書士への依頼費用と相場
土地売却時の平均費用(約3万円前後)
土地売却時の司法書士への依頼費用は、平均約3万円前後です。内訳は以下の通りです:
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 所有権移転登記(買主負担) | 2〜5万円程度 |
| 抵当権抹消登記(売主負担) | 1〜2万円程度 |
| 住所氏名変更登記(売主負担) | 1〜2万円程度 |
売主が負担する費用は、抵当権抹消登記と住所氏名変更登記(必要な場合)で、合計2〜4万円程度です。
相談料(30分5,000円程度)
司法書士への相談料は、30分5,000円程度が相場です。初回相談無料の司法書士もいますので、複数の司法書士に相談してみることを推奨します。
都道府県別の報酬金額の違い
司法書士の報酬は、都道府県により異なります。日本司法書士会連合会のサイトでは、都道府県ごとの平均報酬金額が掲載されています(2024年時点)。
ご自身の地域の報酬相場を確認したい場合は、日本司法書士会連合会のサイトをご覧ください。
司法書士に相談するタイミング
売買契約締結後、決済前
土地売却時の司法書士への依頼タイミングは、売買契約締結後、決済前が一般的です。
土地売却の流れ
- 不動産会社に査定を依頼
- 売買契約締結
- 司法書士に依頼(← このタイミング)
- 決済日(司法書士が同席)
- 所有権移転登記の完了
不動産会社が司法書士を紹介してくれる場合が多いため、不動産会社に相談してみましょう。
相続登記が済んでいない場合(売却前)
相続した土地を売却する場合、売却前に相続登記を行う必要があります。相続登記が済んでいない場合、売買契約を締結できません。
相続登記には時間がかかる場合があるため、売却を検討し始めた時点で司法書士に相談することを推奨します。
抵当権抹消が必要な場合(住宅ローン完済後)
住宅ローンを完済した後、抵当権抹消登記を行っていない場合、売却前に抵当権抹消登記が必要です。
抵当権抹消登記は、住宅ローン完済後すぐに行うのが理想ですが、忘れている方も多いです。売却を検討し始めた時点で、登記簿謄本を確認し、抵当権が残っている場合は司法書士に相談しましょう。
他士業(宅建士・税理士・土地家屋調査士)との違い
土地売却では、司法書士以外にも複数の専門家が関わります。それぞれの役割を理解し、適切な相談先を選びましょう。
宅建士:不動産取引の専門家(重要事項説明)
**宅地建物取引士(宅建士)**は、不動産取引の専門家です。主な役割は以下の通りです:
- 不動産の査定・売却活動
- 重要事項説明(法律上、宅建士のみが行える)
- 売買契約書の作成・締結
土地売却を検討し始めた時点で、まず宅建士(不動産会社)に相談します。
税理士:譲渡所得税の計算・申告
税理士は、税金の専門家です。土地売却で利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税の申告が必要です。
税理士への相談が必要なケース:
- 譲渡所得税の計算が複雑な場合(取得費不明、複数の特例適用等)
- 3,000万円特別控除の適用可否を確認したい場合
- 確定申告の代行を依頼したい場合
土地家屋調査士:境界確定・測量
土地家屋調査士は、土地の境界確定・測量の専門家です。主な役割は以下の通りです:
- 境界確定測量(隣地所有者の立会いが必要)
- 土地の分筆・合筆登記
- 建物の表題登記
土地の境界が不明確な場合、売却前に土地家屋調査士に依頼し、境界確定測量を行います。
司法書士:登記の専門家
司法書士は、登記の専門家です。主な役割は以下の通りです:
- 所有権移転登記
- 抵当権抹消登記
- 相続登記
- 住所氏名変更登記
土地売却では、司法書士への依頼が必須ではありませんが、登記手続きの正確性が重要なため、依頼が推奨されます。
まとめ:適切な相談先の選び方
土地売却では、複数の専門家が関わります。それぞれの役割を理解し、適切なタイミングで相談しましょう。
土地売却の相談先まとめ
| 相談内容 | 相談先 | タイミング |
|---|---|---|
| 土地の査定・売却活動 | 宅建士(不動産会社) | 売却検討開始時 |
| 相続登記 | 司法書士 | 売却前(相続登記が済んでいない場合) |
| 所有権移転登記・抵当権抹消登記 | 司法書士 | 売買契約締結後、決済前 |
| 譲渡所得税の計算・申告 | 税理士 | 売却後、確定申告時期 |
| 境界確定・測量 | 土地家屋調査士 | 売却前(境界が不明確な場合) |
次のアクション
- 売却を検討し始めた時点で、宅建士(不動産会社)に査定を依頼
- 相続登記が済んでいない場合、司法書士に相談して名義変更
- 売買契約締結後、司法書士に所有権移転登記・抵当権抹消登記を依頼(不動産会社が紹介してくれる場合が多い)
- 売却後、税理士に相談して譲渡所得税の申告を行う
- 境界が不明確な場合、土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を実施
土地売却は複雑な手続きが多いため、専門家に相談しながら進めることを推奨します。


