土地評価額とは?調べ方と固定資産税の計算方法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/27

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土地評価額とは:不動産取引・税金計算の基準となる価格

土地評価額の定義:公的機関が公表する指標となる価格

土地評価額とは、公的機関が公表する「指標となる土地の価格」です。不動産取引の参考価格や、固定資産税・相続税などの税金計算の基準として使用されます。

土地の価格は市場で変動しますが、税金を計算するには公平な基準が必要です。そのため、国土交通省や国税庁、都道府県などの公的機関が、毎年決まった時期に評価額を公表しています。

土地評価額が必要な場面:税金計算・売買の参考・相続

土地評価額は、主に以下の場面で必要になります。

  • 固定資産税の計算: 毎年納める固定資産税は、固定資産税評価額を基準に算出
  • 相続税・贈与税の計算: 相続や贈与で土地を取得した際、路線価(相続税評価額)を基準に税額を算出
  • 不動産売買の参考価格: 実勢価格や公示地価を参考に、適正な売買価格を判断
  • 不動産鑑定の基礎資料: 不動産鑑定士が鑑定評価を行う際の基礎データ

土地は「一物四価」(または「一物五価」)と呼ばれ、1つの土地に対して4〜5種類の評価額が存在します。目的に応じて、使用すべき評価額が異なる点に注意が必要です。

土地評価額は「一物四価」:4種類の評価額とその違い

この記事のポイント

  • 土地評価額は「一物四価」と呼ばれ、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額の4種類が存在
  • 固定資産税評価額は公示地価の70%程度、路線価は公示地価の80%程度が目安
  • 目的によって使用すべき評価額が異なる(固定資産税→固定資産税評価額、相続税→路線価、売却価格の参考→公示地価・実勢価格)
  • 評価額は公的サイト(全国地価マップ、国土交通省「不動産情報ライブラリ」)で無料閲覧可能
  • 専門的な計算が必要な場合は、不動産鑑定士・税理士への相談を推奨

公示地価:国土交通省が毎年1月1日時点で公表

公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点で公表する土地の標準価格です。毎年3月に公表され、全国約26,000地点の標準地の1㎡あたりの価格が示されます。

公示地価は、一般の土地取引の指標となるほか、公共事業用地の取得価格の基準にも使用されます。他の評価額の基準となる「基準価格」としての役割も果たしています。

基準地価:都道府県が毎年7月1日時点で公表

基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点で公表する土地の標準価格です。毎年9月に公表され、全国約21,000地点の基準地の1㎡あたりの価格が示されます。

公示地価は都市計画区域内が対象ですが、基準地価は都市計画区域外も含まれるため、より広い地域の価格を把握できます。公示地価と基準地価を組み合わせることで、年2回(1月・7月)の地価動向を確認できます。

相続税評価額(路線価):公示地価の80%程度、相続税・贈与税の基準

相続税評価額(路線価)は、国税庁が毎年1月1日時点で評価し、7月に公表する土地の価格です。相続税・贈与税を計算する際の基準として使用されます。

路線価は、公示地価の80%程度が目安とされています。路線(道路)に面した土地の1㎡あたりの価格が千円単位で表示されます。

路線価は、国税庁の公式サイトで確認できます。令和6年(2024年)分の路線価は、7月に公表されました。

固定資産税評価額:公示地価の70%程度、固定資産税の基準

固定資産税評価額は、市町村(東京23区は都)が決定する土地の価格です。3年ごとに評価替えが行われ、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税などの税金計算の基準となります。

固定資産税評価額は、公示地価の70%程度が目安です。毎年4〜6月に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。

実勢価格:実際の取引で成立した価格

実勢価格は、実際の不動産取引で成立した価格です。市場の需要と供給により決まるため、公的な評価額とは異なる場合があります。

実勢価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で実際の取引価格を確認できます。売却を検討する際は、実勢価格を参考にすることが重要です。

土地評価額の調べ方:公的サイトと必要書類

全国地価マップで4種類の評価額を無料閲覧

全国地価マップは、一般財団法人資産評価システム研究センターが提供する無料サイトです。以下の4種類の公的土地評価情報を地図上で閲覧できます。

評価額の種類 公表機関 基準日 公表時期
固定資産税路線価 市町村 1月1日 4〜6月(納税通知書)
相続税路線価 国税庁 1月1日 7月
地価公示価格 国土交通省 1月1日 3月
都道府県地価調査価格 都道府県 7月1日 9月

全国地価マップは、住所または地図から該当する土地を検索できます。4種類の評価額を一度に確認できるため、土地の価格を把握する際に便利です。

国土交通省「不動産情報ライブラリ」で実勢価格を確認

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際に取引された不動産の価格(実勢価格)を確認できます。

検索方法は以下の通りです。

  1. 「不動産取引価格情報検索」を選択
  2. 都道府県・市区町村・地区を指定
  3. 取引時期・土地の種類を選択
  4. 検索ボタンをクリック

実勢価格は市場動向により変動するため、売却を検討する際は、複数の取引事例を参考にすることが推奨されます。

固定資産税納税通知書で固定資産税評価額を確認

固定資産税評価額は、毎年4〜6月に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。納税通知書には、「価格」または「評価額」として記載されています。

納税通知書を紛失した場合は、市町村(東京23区は都税事務所)で「固定資産評価証明書」を取得することで確認できます。

固定資産税の計算方法と相続税・贈与税への活用

固定資産税の計算式:固定資産税評価額×標準税率1.4%

固定資産税は、以下の計算式で算出されます。

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 標準税率1.4%

標準税率は1.4%ですが、市町村により異なる場合があります。また、住宅用地の場合、以下の軽減措置が適用されます。

住宅用地の区分 軽減措置
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 評価額を1/6に軽減
一般住宅用地(200㎡超の部分) 評価額を1/3に軽減

路線価方式の計算式:路線価×奥行価格補正率×土地面積

路線価方式は、路線価が設定されている地域で使用される計算方法です。国税庁の公式サイトによると、以下の計算式で算出されます。

相続税評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 土地面積

路線価は千円単位で表示されるため、実際の金額に換算する際は1,000倍します。奥行価格補正率は、土地の奥行距離に応じて適用される補正率です。

倍率方式の計算式:固定資産税評価額×倍率

倍率方式は、路線価が設定されていない地域で使用される計算方法です。以下の計算式で算出されます。

相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

倍率は、国税庁の「評価倍率表」に地域ごとに定められています。

計算例:具体的な数値での実例

例1:固定資産税の計算(小規模住宅用地)

  • 固定資産税評価額:1,800万円
  • 土地面積:150㎡(小規模住宅用地に該当)
  • 軽減措置:評価額を1/6に軽減

固定資産税 = 1,800万円 × 1/6 × 1.4% = 42,000円

例2:路線価方式による相続税評価額の計算

  • 路線価:300千円(= 30万円/㎡)
  • 奥行価格補正率:1.00(標準的な奥行)
  • 土地面積:200㎡

相続税評価額 = 30万円 × 1.00 × 200㎡ = 6,000万円

土地評価額を活用する際の注意点とリスク

評価額の種類によって金額が異なる

1つの土地に対して複数の評価額が存在するため、目的に応じて正しい評価額を使用する必要があります。

目的 使用すべき評価額
固定資産税の計算 固定資産税評価額
相続税・贈与税の計算 路線価(相続税評価額)
売却価格の参考 公示地価・実勢価格
不動産鑑定 不動産鑑定価格

実勢価格は市場動向により変動

実勢価格は、市場の需要と供給により変動します。公示地価や路線価は過去の時点(1月1日または7月1日)の評価額であるため、最新の市場動向とは乖離する場合があります。

売却を検討する際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、最新の実勢価格を確認することが推奨されます。

土地の形状・接道状況による補正率の適用

路線価方式で評価額を計算する際、土地の形状や接道状況により、以下の補正率を適用する必要があります。

  • 奥行価格補正率: 土地の奥行距離に応じて適用
  • 側方路線影響加算率: 角地など、側方に道路が接している場合に適用
  • 二方路線影響加算率: 2つの道路に接している場合に適用
  • 不整形地補正率: 土地の形状が不整形な場合に適用

これらの補正率は、国税庁の「財産評価基準書」に詳細が記載されています。専門的な計算が必要な場合は、税理士への相談を推奨します。

専門家(不動産鑑定士・税理士)への相談を推奨

土地評価額の計算は、基本的な方法であれば自分で行うことも可能ですが、以下の場合は専門家への相談を推奨します。

  • 相続税・贈与税の申告: 税理士に相談し、適切な評価額を算出
  • 土地の形状が複雑: 不動産鑑定士に依頼し、正確な評価額を算出
  • 売却価格の判断: 複数の不動産会社に査定を依頼し、適正価格を確認

まとめ:目的に応じた土地評価額の使い分け

土地評価額は「一物四価」と呼ばれ、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額の4種類が存在します。目的によって使用すべき評価額が異なるため、以下のように使い分けることが重要です。

  • 相続税・贈与税の計算: 路線価(公示地価の80%程度)
  • 固定資産税の計算: 固定資産税評価額(公示地価の70%程度)
  • 売却価格の参考: 公示地価・実勢価格

評価額は、全国地価マップや国土交通省「不動産情報ライブラリ」で無料閲覧できます。ただし、土地の形状や接道状況により補正率を適用する必要があるため、専門的な計算が必要な場合は、不動産鑑定士や税理士への相談を推奨します。

最新の情報は毎年更新されるため、税金の計算や不動産取引を行う際は、最新の評価額を確認しましょう。

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よくある質問

Q1土地評価額とは何ですか?

A1土地評価額とは、公的機関が公表する指標となる土地の価格です。税金計算や不動産取引の基準として使用されます。公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額など、目的によって4〜5種類の評価額が存在します(一物四価)。それぞれの評価額は、公表機関、基準日、目的が異なります。

Q2土地評価額はどこで調べられますか?

A2「全国地価マップ」で固定資産税路線価、相続税路線価、地価公示価格、都道府県地価調査価格の4種類を無料で閲覧できます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では実勢価格も確認可能です。固定資産税評価額は、毎年4〜6月に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。

Q3固定資産税評価額と路線価の違いは何ですか?

A3固定資産税評価額は固定資産税の計算基準で公示地価の70%程度、路線価は相続税・贈与税の計算基準で公示地価の80%程度です。目的が異なるため、固定資産税は固定資産税評価額、相続税は路線価を使用します。公表時期も異なり、固定資産税評価額は3年ごとの評価替え、路線価は毎年7月に公表されます。

Q4路線価方式と倍率方式の違いは何ですか?

A4路線価方式は「路線価×奥行価格補正率×土地面積」で計算、倍率方式は「固定資産税評価額×倍率」で計算します。路線価が設定されている地域では路線価方式、路線価が設定されていない地域では倍率方式を使用します。倍率は国税庁の「評価倍率表」に地域ごとに定められています。

Q5土地の評価額を自分で計算できますか?

A5路線価方式・倍率方式の基本的な計算は可能ですが、土地の形状・接道状況により奥行価格補正率や側方路線影響加算率等の補正が必要です。専門的な計算が必要な場合は、不動産鑑定士や税理士への相談を推奨します。特に相続税・贈与税の申告では、正確な評価額が求められるため、税理士への相談が推奨されます。

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Room Match編集部

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