土地査定を無料で依頼できる理由と仕組み
「土地を売りたいけど、まずは査定額を知りたい」「無料で査定してもらえるの?」と疑問に思う土地所有者の方は少なくありません。
この記事では、土地査定を無料で依頼する方法、主要な一括査定サービスの比較、高額査定のコツ、注意点を、不動産業界の一般的な知見を元に解説します。
土地売却を検討する方が、適切な査定を受けられるようになります。
この記事のポイント
- 土地査定は基本的に無料(営業活動の一環、有料は裁判所提出用など特殊な場合のみ)
- 複数社(3~6社)に査定依頼すると相場を正確に把握でき、不動産会社の対応・サービス品質も比較できる
- 一括査定サービス(HOME4U、すまいValue等)を利用すると、1回の入力で複数社に依頼できる
- 査定価格は売出し価格の目安であり、実際の売却価格は買い手との交渉で決まる
(1) 無料査定は営業活動の一環(売却契約を見込んだサービス)
土地査定が基本的に無料で提供される理由は、不動産会社の営業活動の一環だからです。
無料査定の仕組み
- 不動産会社は査定後に売却契約(媒介契約)を見込んでいる
- 媒介契約を締結すると、売却成立時に仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)を得られる
- 査定は営業活動の最初のステップであり、無料で提供される
このため、複数の不動産会社に査定を依頼しても、費用は一切かかりません。
(2) 有料査定が必要なケース(裁判所提出用など特殊な場合のみ)
一方、有料査定が必要なケースもあります。これは、公的な価値証明が必要な場合です。
有料査定が必要なケース
- 裁判所への提出: 相続争いや離婚時の財産分与で土地の価値証明が必要な場合
- 税務申告: 相続税や贈与税の申告で不動産鑑定士の評価が求められる場合
- 融資審査: 金融機関が正式な評価を求める場合
有料査定は不動産鑑定士が行い、費用は20万円~40万円程度です。通常の売却を目的とした査定であれば、無料査定で十分です。
(3) 査定額と実際の売却価格の違い(買い手との交渉で変動)
重要なポイントとして、査定額と実際の売却価格は異なります。
査定額と売却価格の違い
| 項目 | 査定額 | 実際の売却価格 |
|---|---|---|
| 決定者 | 不動産会社 | 買い手との交渉 |
| 目的 | 売出し価格の設定目安 | 実際に取引される価格 |
| 変動要因 | 過去の取引事例、土地の条件 | 買い手の希望、交渉力、市況 |
査定額より低くなる可能性があるため、査定額=売却価格ではない点に注意してください。
(4) この記事で分かること(無料査定の方法・比較・高額査定のコツ)
この記事では、以下の内容を詳しく解説します。
- 土地査定の2つの方法(自分で調べる、不動産会社に依頼)
- 主要な無料一括査定サービスの比較と選び方
- 査定額を高くするためのコツと準備
- 査定依頼時の注意点とよくある失敗
土地査定の2つの方法:自分で調べる vs 不動産会社に依頼
(1) 自分で相場を調べる方法(公示地価・路線価・固定資産税評価額)
土地の相場は、公開されているデータを使って自分で調べることもできます。
自分で相場を調べる方法
- 公示地価: 国土交通省が毎年3月に公表する標準地の1月1日時点の価格(全国2万6,000箇所)
- 路線価(相続税路線価): 道路に面する土地の1㎡あたりの価格(公示地価の8割程度、国税庁が公表)
- 固定資産税評価額: 固定資産税の課税標準額(公示地価の7割程度)
これらのデータは、国土交通省の「土地総合情報システム」や国税庁の「路線価図」で確認できます。
(2) 固定資産税評価額から売却相場を計算(評価額÷0.7×1.1)
固定資産税評価額を使って、おおよその売却相場を計算できます。
固定資産税評価額からの計算方法
売却相場 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
計算例
固定資産税評価額が3,000万円の土地の場合:
売却相場 = 3,000万円 ÷ 0.7 × 1.1 = 約4,700万円
この計算により、おおよその売却相場を把握できます。ただし、個別の土地の条件(形状、接道状況等)により実際の価格は変動します。
(3) 路線価から売却相場を計算(路線価×面積÷0.8×1.1)
路線価からも、おおよその売却相場を計算できます。
路線価からの計算方法
売却相場 = 路線価 × 面積 ÷ 0.8 × 1.1
計算例
路線価が20万円/㎡、面積が150㎡の土地の場合:
売却相場 = 20万円 × 150㎡ ÷ 0.8 × 1.1 = 約4,100万円
路線価は公示地価の8割程度に設定されているため、0.8で割り戻し、さらに実勢価格が公示地価の1.1倍程度とされるため1.1を乗じます。
(4) 不動産会社に依頼する方法(机上査定と訪問査定)
不動産会社に査定を依頼する方法は、大きく2つに分かれます。
机上査定(簡易査定)
- 登記簿謄本や権利書などの情報のみで査定
- 現地調査なし
- 精度は低め(実際の売却時に価格が下がる可能性)
- オンライン査定は多くが机上査定
訪問査定
- 不動産会社が現地を訪問して詳細に査定
- 土地の形状、接道状況、日当たり、周辺環境等を確認
- 精度が高い
- 売却を本気で検討する場合に推奨
机上査定で概算を把握し、訪問査定で正確な査定額を知る、という使い分けが一般的です。
(5) 取引事例比較法(土地査定で一般的に利用される方法)
不動産会社が土地を査定する際、取引事例比較法が一般的に利用されます。
取引事例比較法とは
- 類似した過去の成約事例を基に査定額を算出する方法
- 同じエリア、同じような面積・形状の土地の取引価格を参考にする
- 個別の土地の条件(駅からの距離、接道状況、建ぺい率・容積率等)を考慮して調整
この方法により、市場の実勢価格を反映した査定額が算出されます。
主要な無料一括査定サービスの比較と選び方
(1) HOME4U(NTTデータグループ、大手~地域密着型)
HOME4Uは、NTTデータグループが運営する土地の無料一括査定サービスです。
HOME4Uの特徴
- 運営: NTTデータグループ(セキュリティ・信頼性が高い)
- 提携社数: 約2,100社(大手から地域密着型まで幅広い)
- 対応エリア: 全国
- 査定依頼数: 最大6社
- サービス開始: 2001年(日本初の不動産一括査定サービス)
HOME4Uは、大手から地域密着型まで幅広い不動産会社を網羅しており、地方の土地でも対応可能です。
(2) すまいValue(大手6社のみ、2024年度11万件以上の成約)
すまいValueは、大手不動産会社6社のみが参加する一括査定サービスです。
すまいValueの特徴
- 参加企業: 大手6社のみ(三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル、野村の仲介+、三菱地所の住まいリレー、小田急不動産)
- 2024年4月~2025年3月の成約数: 11万件以上
- 大手のブランド力とネットワーク
- 全国主要都市に対応
すまいValueは、大手不動産会社のブランド力を活かした高額査定や、広範囲の顧客ネットワークが強みです。
(3) LIFULL HOME'S(匿名査定可能)
LIFULL HOME'Sは、匿名で査定依頼できる一括査定サービスです。
LIFULL HOME'Sの特徴
- 運営: 株式会社LIFULL(東証プライム上場)
- 匿名査定可能: 個人情報を明かさずに査定額を知ることができる
- 提携社数: 約3,700社(業界最大級)
- 対応エリア: 全国
匿名査定は、「まだ売却を決めていないが、概算を知りたい」という方に適しています。
(4) SUUMO(リクルート運営、幅広い提携社数)
SUUMOは、リクルートが運営する一括査定サービスです。
SUUMOの特徴
- 運営: 株式会社リクルート
- 提携社数: 約2,000社
- 対応エリア: 全国
- SUUMO不動産売却との連携
SUUMOは、知名度が高く、初めて一括査定を利用する方でも安心して利用できます。
(5) 一括査定のメリット(1回の入力で複数社比較、営業時間外も利用可能)
一括査定サービスには、以下のようなメリットがあります。
一括査定のメリット
- 1回の情報入力で複数社に依頼: 個別に不動産会社を探して依頼する手間が省ける
- 営業時間外でも利用可能: 24時間いつでも申し込み可能
- 複数社の査定額を比較: 相場を正確に把握できる
- 不動産会社の対応・サービス品質を比較: 担当者の質、レスポンスの早さを確認できる
一括査定サービスを利用することで、効率的に複数社の査定を受けられます。
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土地の査定額を高くするためのコツと準備
(1) 複数社(3~6社)に査定依頼して相場を正確に把握
査定額を高くするための最も基本的なコツは、複数社に査定依頼することです。
複数社に依頼するメリット
- 相場を正確に把握: 1社だけでは、その査定額が高いのか低いのか判断できない
- 不動産会社を比較: 対応の丁寧さ、レスポンスの早さ、説明の分かりやすさを比較できる
- 交渉の材料: 他社の査定額を示すことで、価格交渉の材料になる
推奨は3~6社への査定依頼です。1社だけでは比較基準がなく、7社以上は情報過多で混乱する可能性があります。
(2) 境界線を確定する(測量費用35~80万円がかかるが、査定額が正確に)
境界線が確定していない土地は、正しい査定額が出せません。
境界線確定の重要性
- 正確な面積: 境界が不明確だと、実際の面積が分からない
- トラブル防止: 隣地との境界トラブルを未然に防ぐ
- 買い手の安心: 境界が確定していると、買い手が安心して購入できる
境界確定測量の費用は35~80万円程度かかりますが、売却価格が正確になり、トラブルを防げるため、投資する価値があります。
(3) 接道条件・建蔽率・容積率を整理
土地の査定額は、接道条件、建蔽率、容積率によって大きく変動します。
査定額を左右する要素
| 要素 | 内容 | 査定への影響 |
|---|---|---|
| 接道条件 | 道路に接している幅(2m以上が基準) | 接道が広いほど高額査定 |
| 建蔽率 | 敷地面積に対する建築面積の割合 | 建蔽率が高いほど高額査定 |
| 容積率 | 敷地面積に対する延べ床面積の割合 | 容積率が高いほど高額査定 |
| 用途地域 | 都市計画法で定められた土地の利用目的 | 商業地域は高額、工業地域は低額 |
これらの情報を整理し、査定依頼時に提供することで、正確な査定額を得られます。
(4) 土壌汚染・埋没文化財がある場合の影響(売却価格5~30%減)
土壌汚染や埋没文化財がある土地は、売却価格が下がる可能性があります。
マイナス要因の影響
- 土壌汚染: 工場跡地等で土壌汚染がある場合、浄化費用が必要になり、売却価格が5~30%程度下がる
- 埋没文化財: 遺跡等がある場合、発掘調査が必要になり、売却が遅延したり、価格が下がる
- 地盤の弱さ: 軟弱地盤の場合、地盤改良費用が必要になり、価格が下がる
これらの要因がある場合は、事前に不動産会社に伝え、正確な査定を受けることが重要です。
(5) 査定依頼時に準備する資料(登記簿謄本、測量図、固定資産税評価額等)
査定依頼時には、以下の資料を準備すると、正確な査定が受けられます。
準備する資料
- 登記簿謄本: 土地の所有者、面積、権利関係を確認
- 測量図: 正確な面積、境界を確認
- 固定資産税納税通知書: 固定資産税評価額を確認
- 建築確認済証: 建物がある場合、適法に建築されたことを確認
- 地図: 土地の位置、周辺環境を確認
これらの資料を準備することで、不動産会社がより正確に査定できます。
土地査定を依頼する際の注意点とよくある失敗
(1) 高すぎる査定額を提示する不動産会社に注意(囲い込みの可能性)
査定額が相場より明らかに高い不動産会社には注意が必要です。
囲い込みとは
- 他社へ仲介依頼させないために、高い査定額を提示する悪質な手法
- 媒介契約を締結した後、「この価格では売れない」と値下げを要求される
- 結果的に相場より低い価格で売却させられる可能性
囲い込みを避ける方法
- 複数社の査定額を比較し、相場を把握する
- 査定額の根拠を詳しく聞く
- 相場より明らかに高い場合は、理由を確認する
(2) オンライン査定(机上査定)の精度は低め(現地調査なしのため)
オンライン査定は便利ですが、精度は低めです。
オンライン査定の注意点
- 現地調査なし: 登記簿謄本等の情報のみで査定するため、実際の土地の状況を反映できない
- 実際の売却時に価格が下がる可能性: 訪問査定で正確な査定を受けた際、価格が下がることがある
- 概算を知る目的: オンライン査定は概算を知る目的で利用し、正確な査定は訪問査定で受ける
(3) 査定価格は売出し価格の目安(実際の売却価格は交渉で決まる)
査定価格は、あくまで売出し価格の設定目安です。
査定価格と売却価格の違い
- 査定価格: 不動産会社が「この価格なら売れる可能性が高い」と判断した価格
- 売却価格: 買い手との交渉で実際に決まる価格
査定額より低くなる可能性があることを念頭に、余裕を持った資金計画を立てましょう。
(4) 買取の相場は市場価格の60~80%程度
不動産会社による買取を選択する場合、相場は市場価格の60~80%程度です。
買取のメリット・デメリット
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格(100%) | 市場価格の60~80% |
| 売却期間 | 3~6ヶ月 | 数日~1ヶ月 |
| 仲介手数料 | あり | なし |
| 適している人 | 高く売りたい | 早く売りたい |
買取は、「早く現金化したい」「仲介手数料を払いたくない」という方に適しています。
(5) しつこい営業への対処法(明確に断る、匿名査定を利用)
一括査定を利用すると、複数の不動産会社から営業電話がかかってくる場合があります。
しつこい営業への対処法
- 明確に断る: 「他社と契約した」「売却を見送った」と明確に伝える
- 匿名査定を利用: LIFULL HOME'Sなど匿名査定可能なサービスを利用する
- 査定依頼数を絞る: 一度に依頼する不動産会社を3~4社に絞る
- 電話連絡を避ける: 「メール連絡希望」と伝える
まとめ:土地査定を成功させるポイント
土地査定は基本的に無料で依頼でき、複数社(3~6社)に査定依頼すると相場を正確に把握できます。一括査定サービス(HOME4U、すまいValue、LIFULL HOME'S、SUUMO等)を利用すると、1回の情報入力で複数社に依頼できます。
査定額を高くするためには、境界線の確定、接道条件・建蔽率・容積率の整理、準備資料の用意が重要です。一方、高すぎる査定額を提示する不動産会社には注意が必要で、囲い込みの可能性があります。
査定価格は売出し価格の設定目安であり、実際の売却価格は買い手との交渉で決まります。査定額=売却価格ではない点を理解し、余裕を持った資金計画を立てましょう。
複数社を比較し、信頼できる不動産会社を選ぶことで、満足のいく土地売却が実現できます。
