日本土地家屋調査士会連合会とは?土地家屋調査士の重要性
土地の境界確定や建物の登記が必要になった際、「土地家屋調査士とはどのような専門家なのか」「どこで探せばよいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、日本土地家屋調査士会連合会の役割、土地家屋調査士の業務内容、費用相場、探し方を、法務省の公式情報と業界団体の公式データを元に解説します。
土地家屋調査士は不動産の物理的状況を登記する専門家として、土地の売買・相続・建物新築時に欠かせない存在です。その役割と依頼方法を正確に理解することで、適切な専門家に依頼できるようになります。
この記事のポイント
- 日本土地家屋調査士会連合会は全国50の土地家屋調査士会で構成される特別民間法人
- 土地家屋調査士は不動産の物理的状況(大きさ・形等)を登記する国家資格者
- 境界確定測量の費用相場は40万円〜100万円、建物表題登記は7万円〜10万円が目安
- 各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから検索可能
- 複数の土地家屋調査士から相見積もりを取ることが重要
日本土地家屋調査士会連合会の概要と役割
(1) 組織概要(全国50の土地家屋調査士会で構成)
日本土地家屋調査士会連合会は、全国50の土地家屋調査士会で構成される特別民間法人です。
土地家屋調査士は各都道府県の土地家屋調査士会に所属し、その上位組織として日本土地家屋調査士会連合会が存在します。
全国で約1万7千人の土地家屋調査士が登録されており、不動産登記のうち「表示に関する登記」を担当する専門家として活動しています。
(2) 法的根拠(土地家屋調査士法第57条)
日本土地家屋調査士会連合会は、土地家屋調査士法第57条に基づいて設立された法人です。
土地家屋調査士法は、土地家屋調査士の業務の適正な運営と品質の向上を目的として制定されており、連合会は以下の役割を担っています。
- 土地家屋調査士の登録・管理
- 研修・教育活動の実施
- 業務の適正化・品質向上の推進
- 国民への情報提供・相談窓口の運営
(3) 所在地と連絡先
日本土地家屋調査士会連合会の所在地は以下の通りです。
- 所在地: 東京都千代田区神田三崎町1-2-10
- 公式サイト: https://www.chosashi.or.jp/
土地家屋調査士への相談や探し方については、各都道府県の土地家屋調査士会に問い合わせることが推奨されます。
(4) 2024年の動向(土地家屋調査士白書2024、狭隘道路問題への取り組み)
日本土地家屋調査士会連合会は、2024年7月に「土地家屋調査士白書2024」を発刊しました(第6版)。
この白書では、狭隘道路(幅員4m未満の道路)の解消に向けた土地家屋調査士の新しい取り組みが特集されています。
狭隘道路は火災時の避難や消防活動に支障をきたすため、建築基準法上の問題として長年の課題となっています。土地家屋調査士は、道路の実測や境界確定を通じて、この問題の解消に貢献しています。
2024年10月には狭隘道路解消シンポジウムの開催も予定されており、専門家として社会課題の解決に取り組んでいます。
土地家屋調査士の業務内容と費用相場
(1) 土地家屋調査士とは(不動産の物理的状況を登記する専門家)
法務省によると、土地家屋調査士は不動産の物理的状況を登記する専門家です。
不動産登記は大きく2つに分かれます。
| 登記の種類 | 内容 | 担当する専門家 |
|---|---|---|
| 表示に関する登記 | 不動産の物理的状況(大きさ・形・用途等) | 土地家屋調査士 |
| 権利に関する登記 | 所有権・抵当権等の権利関係 | 司法書士 |
土地家屋調査士は「表示に関する登記」を担当し、土地の分筆・合筆、建物の新築・増築・取り壊し等の際に登記申請を行います。
(2) 主な業務内容(境界確定測量、建物表題登記、筆界特定、ADR)
土地家屋調査士の主な業務内容は以下の通りです。
境界確定測量:
- 土地の境界を確定し、隣接地所有者と境界を確認する測量
- 土地の売買・分筆・相続時に必要
- 隣接地所有者全員の立ち会いと同意が必要
建物表題登記:
- 建物を新築した際、最初に行う登記
- 建物の所在・種類・構造・床面積等を登記
- 住宅ローンを組む際に必須
筆界特定の申請代理:
- 土地の境界が不明確な場合、筆界特定登記官に筆界の位置を特定してもらう制度
- 土地家屋調査士は申請代理を行える
ADR(裁判外紛争解決手続):
- 境界紛争を裁判を経ずに解決する手続き
- 認定土地家屋調査士は弁護士と共同でADRを実施可能
(3) 境界確定測量の費用相場(40万円〜100万円)
土地家屋調査士への依頼費用の情報によると、境界確定測量の費用相場は一般的な住宅敷地の場合、40万円〜100万円程度です。
費用には以下のものが含まれます。
- 資料調査費用(法務局・役所での資料収集)
- 測量費用(現地での測量作業)
- 境界確認費用(隣接地所有者への立ち会い依頼・確認書取得)
- 登記申請費用(地積測量図作成・登記申請)
(4) 建物表題登記の費用相場(7万円〜10万円)
建物表題登記の費用相場は、7万円〜10万円が目安です。
建物の規模や構造により費用は変動しますが、一般的な木造2階建て住宅であれば上記の範囲内に収まることが多いです。
(5) 費用が変動する要因(土地の面積、隣接地の数、境界点数等)
土地家屋調査士の費用は、以下の要因により大きく変動します。
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 土地の面積 | 広いほど測量作業が増え、費用が高くなる |
| 隣接地の数 | 隣接地が多いほど、境界確認の手間が増える |
| 境界点数 | 境界点が多いほど、測量作業が増える |
| 隣接道路の種別 | 公道・私道により手続きが異なる |
| 山林・農地等の地目 | 地目により難易度が変わる |
特に、隣接地が5つ以上ある場合や、山林・農地等の場合は費用が高額になる可能性があります。
土地家屋調査士の探し方と依頼方法
(1) 都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから検索
土地家屋調査士を探す方法として最も推奨されるのは、各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから検索することです。
例えば、東京土地家屋調査士会では、会員検索や相談窓口の案内があります。
各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトは、日本土地家屋調査士会連合会の公式サイトからリンクされています。
(2) 業務の流れ(資料調査、現地測量、境界確認、登記申請)
土地家屋調査士への依頼後、一般的に以下の流れで業務が進みます。
- 資料調査: 法務局・役所で公図・地積測量図・登記簿等を調査
- 現地測量: 測量機器を使用して境界点や建物を測量
- 境界確認: 隣接地所有者に立ち会いを依頼し、境界を確認
- 登記申請: 地積測量図や建物図面を作成し、法務局に登記申請
境界確定測量の場合、隣接地所有者全員の同意が必要なため、2ヶ月〜6ヶ月程度の期間がかかることが一般的です。
(3) 相談窓口の利用方法
各都道府県の土地家屋調査士会では、無料相談窓口を設けている場合があります。
- 電話相談
- 面談相談(予約制)
- メール相談
「土地の境界がわからない」「建物の登記が必要かどうかわからない」といった疑問がある場合、まず相談窓口を利用することで、適切なアドバイスを受けられます。
(4) 相見積もりの重要性
土地家屋調査士への依頼時は、複数の土地家屋調査士から相見積もりを取ることが推奨されます。
費用は案件により大きく変動するため、1社だけの見積もりでは適正かどうか判断できません。一般的には3社程度から見積もりを取ることで、費用相場を把握できます。
土地家屋調査士に依頼する際の注意点
(1) 金融機関・住宅メーカーの紹介は高額になる可能性あり
金融機関や住宅メーカーが紹介する土地家屋調査士は、費用が高額になる可能性があります。
紹介料が上乗せされている場合や、紹介先が限定されていることで競争原理が働かず、費用が割高になるケースがあります。
自分で各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから探すことで、より適正な費用で依頼できる可能性が高まります。
(2) 複数の土地家屋調査士から相見積もりを取る
前述の通り、複数の土地家屋調査士から相見積もりを取ることが重要です。
見積もりを比較する際は、以下の点を確認しましょう。
- 費用の内訳が明確か
- 作業範囲が明確か(どこまで含まれるか)
- 追加費用が発生する可能性はあるか
- 作業期間の目安はどれくらいか
- アフターサポートはあるか
(3) 費用の内訳を確認する
見積もりを受け取ったら、費用の内訳を確認することが重要です。
「測量費用一式」といった曖昧な表記ではなく、資料調査費・測量費・境界確認費・登記申請費等が明確に記載されているかを確認しましょう。
内訳が不明確な場合は、詳細を尋ねることで、適正な費用かどうかを判断できます。
(4) 最新情報は公式サイトで確認を
土地家屋調査士の報酬や制度は変更される可能性があるため、最新情報は日本土地家屋調査士会連合会の公式サイトまたは各都道府県の土地家屋調査士会の公式サイトで確認することを推奨します。
まとめ:土地家屋調査士を活用するために
日本土地家屋調査士会連合会は、全国50の土地家屋調査士会で構成される特別民間法人で、土地家屋調査士法第57条に基づいて設立されています。
土地家屋調査士は不動産の物理的状況を登記する国家資格者として、境界確定測量(40万円〜100万円)、建物表題登記(7万円〜10万円)等の業務を担当します。費用は土地の面積や隣接地の数により大きく変動するため、複数の土地家屋調査士から相見積もりを取ることが重要です。
各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから検索でき、金融機関等の紹介ではなく自分で探すことで、適正な費用で依頼できる可能性が高まります。
土地の売買・相続・建物新築時に土地家屋調査士への依頼が必要な方は、まず各都道府県の土地家屋調査士会の相談窓口を利用し、複数の見積もりを比較しながら検討を進めましょう。
