住宅ローン見直しガイド|借り換え・繰上返済・金利交渉のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/21

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なぜ住宅ローンの見直しが重要なのか|金利上昇時代の対応策

住宅ローンを返済中の方にとって、ローンの見直しは家計改善の大きなチャンスです。

この記事では、借り換え・繰上返済・金利交渉といった見直し方法のメリット・デメリット、効果的なタイミング、具体的な判断基準を、住宅金融支援機構全国銀行協会の公式情報を元に解説します。

ご自身の状況に合った見直し方法を選択できるようになります。

この記事のポイント

  • 2025年は政策金利上昇により、約6割が住宅ローン選択を見直している
  • 借り換えは「残高1,000万円以上・期間10年以上・金利差1%以上」が効果の目安
  • 繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型があり、目的に応じて選択する
  • 金利交渉や固定金利への切り替えも有効な見直し方法となる
  • 見直しには個別性が高いため、シミュレーションと専門家への相談が重要

(1) 2025年の金利動向(政策金利上昇・変動金利0.6〜0.7%台)

2025年1月に政策金利が0.5%へ上昇し、2026年末までに約1.1%への上昇が予測されています。

三菱UFJ銀行をはじめとする主要銀行は、短期プライムレート(銀行が優良企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)の引き上げを実施しました。

一方、住まいサーフィンの調査によると、変動金利は主要銀行の優遇金利が0.6〜0.7%台で据え置きが続いています。

(2) 金利上昇が返済額に与える影響

変動金利で借り入れている場合、金利上昇は返済額の増加に直結します。

たとえば、借入額3,000万円・返済期間35年・金利0.6%の場合、毎月の返済額は約7.9万円です。金利が1.0%に上昇すると、毎月の返済額は約8.5万円に増加し、月々6,000円、年間7.2万円の負担増となります。

35年間では約250万円の総返済額増加となる可能性があります。

(3) 約6割が住宅ローン選択に変化している

住まいサーフィンの調査によると、約6割が金利上昇を受けて住宅ローン選択に変化を起こしています。

具体的には、借入額の減額、返済期間の短縮、固定金利への見直し等が挙げられます。

住宅ローン見直しのタイミング|いつ見直すべきか

住宅ローンの見直しには最適なタイミングがあります。

(1) 金利差が生じたとき

現在の借入金利と市場金利に差が生じた場合、見直しを検討するタイミングです。

SBI新生銀行の解説によると、金利差1%以上が借り換え効果の目安とされています。

金利差0.5%程度では、借り換え諸費用(50万〜70万円程度)を考慮すると効果が薄い可能性があります。

(2) ライフステージの変化(収入減・教育費負担増等)

収入減少、教育費負担の増加、医療費の増加等、家計に変化が生じたときも見直しのタイミングです。

繰上返済の「返済額軽減型」を活用することで、毎月の返済額を減らし、家計負担を軽減できます。

(3) 返済期間の中盤(残り10年以上が目安)

返済期間が残り10年以上ある段階が、見直しの効果が出やすいタイミングです。

返済期間が短い場合、借り換え諸費用が削減利息を上回り、かえって損をする可能性があります。

借り換えのメリット・デメリット|効果の目安と諸費用

借り換えは、現在の住宅ローンを完済し、より有利な条件の新しい住宅ローンに乗り換える方法です。

(1) 借り換えの効果が出やすい条件(残高1,000万円以上・期間10年以上・金利差1%以上)

SBI新生銀行の解説によると、借り換え効果の目安は以下の3条件が揃うことです。

条件 目安
ローン残高 1,000万円以上
返済期間残り 10年以上
金利差 1%以上

この3条件が揃う場合、借り換え諸費用を上回る利息削減効果が期待できます。

(2) 借り換えのメリット(総返済額の削減・返済期間の短縮)

借り換えのメリットは以下の通りです。

  • 総返済額の削減: 金利が下がることで、利息負担が減少します
  • 返済期間の短縮: 同じ返済額で期間を短縮することも可能です
  • 固定金利への切り替え: 変動金利から固定金利へ切り替えることで、金利上昇リスクを回避できます

(3) 借り換えのデメリット(諸費用50万〜70万円・再審査・団信再加入)

借り換えには以下のデメリットがあります。

  • 諸費用: 借り換えには新規ローンと同様の諸費用(保証料、事務手数料、登記費用等)が50万〜70万円程度かかります
  • 再審査: 新規ローンと同様の審査があり、収入や健康状態によっては通らない場合があります
  • 団体信用生命保険(団信)の再加入: 健康状態によっては加入できない可能性があります

(4) シミュレーションで効果を検証する

借り換えを検討する際は、必ずシミュレーションで効果を検証しましょう。

多くの金融機関がWebサイトで無料のシミュレーションツールを提供しています。現在の借入残高、金利、返済期間を入力し、借り換え後の条件と比較することで、諸費用を含めた総合的な損益を確認できます。

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繰上返済の効果|期間短縮型vs返済額軽減型

繰上返済は、毎月の返済とは別に、ローン元金の一部または全部を前倒しで返済する方法です。

全国銀行協会の解説によると、繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2パターンがあります。

(1) 期間短縮型の特徴(返済額は変えず期間を短縮)

期間短縮型は、毎月の返済額は変えずに返済期間を短縮する方法です。

メリット:

  • 利息削減効果が大きい(返済期間が短くなるため、利息総額が減少)
  • 早期完済で老後の負担を軽減

デメリット:

  • 毎月の返済額は変わらないため、家計負担は軽減されない

(2) 返済額軽減型の特徴(期間は変えず返済額を削減)

返済額軽減型は、返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法です。

メリット:

  • 毎月の返済額が減少し、家計負担が軽減される
  • 収入減少時や教育費負担増加時に有効

デメリット:

  • 利息削減効果は期間短縮型より小さい

(3) どちらを選ぶべきか(ライフプラン別の選択基準)

以下の基準で選択しましょう。

状況 推奨
老後の負担を減らしたい 期間短縮型
家計の余裕を作りたい 返済額軽減型
教育費負担が増える見込み 返済額軽減型
収入が安定している 期間短縮型

(4) 繰上返済のタイミング

繰上返済は早期に実施するほど効果が高くなります。

ローン元金に対して利息が計算されるため、元金が多い時期(返済初期)に繰上返済することで、利息削減効果が最大化されます。

ただし、手元資金を全て繰上返済に回すと、急な出費に対応できなくなるため、生活予備費(生活費の3〜6ヶ月分)を確保した上で実施しましょう。

金利交渉と固定金利への切り替え|その他の見直し方法

借り換え・繰上返済以外にも、見直し方法があります。

(1) 現在の金融機関への金利交渉(他行の条件を活用)

複数の金融機関から見積もりを取り、他行の金利条件を交渉材料として活用することで、現在の金融機関が金利引き下げに応じる場合があります。

借り換えと異なり、諸費用がかからないため、成功すれば効率的な見直し方法となります。

ただし、必ず成功するわけではないため、複数の選択肢を検討しましょう。

(2) 変動金利から固定金利への切り替え

三井住友銀行の解説によると、金利上昇が見込まれる局面では、固定金利への切り替えで返済額を一定にし、見通しを立てやすくする方法があります。

メリット:

  • 金利上昇リスクを回避できる
  • 返済計画が立てやすくなる

デメリット:

  • 切り替え後は金利が下がっても恩恵を受けられない
  • 変動金利より金利が高い場合が多い

(3) 見直し方法の比較(借り換え・繰上返済・金利交渉)

各見直し方法の比較表は以下の通りです。

方法 効果 諸費用 リスク
借り換え 大(金利差が大きい場合) 50万〜70万円 再審査、団信再加入
繰上返済 中(元金減少による利息削減) 無料〜数千円 手元資金減少
金利交渉 小〜中(成功すれば効率的) 無料 成功保証なし
固定金利切替 中(金利上昇リスク回避) 金融機関による 金利低下の恩恵なし

(4) 専門家への相談の重要性

住宅ローンの見直しは個別性が高く、ご自身の状況(借入残高、金利、返済期間、今後のライフプラン)により最適な方法が異なります。

ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザー、金融機関の窓口に相談することで、総合的な判断が可能になります。

まとめ:住宅ローン見直しで家計を改善するために

住宅ローンの見直しは、借り換え・繰上返済・金利交渉・固定金利切替といった複数の方法があります。金利差、ローン残高、返済期間、ライフプランに応じて、最適な方法を選択することが重要です。

見直しには個別性が高いため、シミュレーションツールを活用し、複数の金融機関から見積もりを取ることをおすすめします。

ファイナンシャルプランナーや金融機関の窓口に相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1住宅ローンの借り換えでどのくらい得になりますか?

A1「ローン残高1,000万円以上、返済期間残り10年以上、金利差1%以上」の3条件が揃うと効果が出やすくなります。ただし、借り換え諸費用(50万〜70万円程度)を含めて総合的に比較する必要があります。多くの金融機関がWebサイトで無料のシミュレーションツールを提供しているため、現在の条件と借り換え後の条件を比較し、諸費用を含めた総合的な損益を確認しましょう。

Q2借り換えと繰上返済はどちらが有利ですか?

A2金利差が大きい場合(1%以上)は借り換え、金利差が小さい場合は繰上返済が有利なケースが多いです。借り換えには諸費用(50万〜70万円程度)がかかるため、効果の試算が必要です。状況により両方を組み合わせることも可能です。ファイナンシャルプランナーや金融機関の窓口に相談することで、総合的な判断ができます。

Q3繰上返済の「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いは何ですか?

A3期間短縮型は毎月の返済額は変えずに返済期間を短縮する方法で、利息削減効果が大きく、早期完済で老後の負担を軽減できます。返済額軽減型は返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法で、家計負担の軽減に有効です。老後の負担を減らしたい場合は期間短縮型、家計の余裕を作りたい場合や教育費負担が増える見込みの場合は返済額軽減型を選択しましょう。

Q4金利交渉は可能ですか?

A4複数の金融機関から見積もりを取り、他行の金利条件を交渉材料として活用することで、現在の金融機関が金利引き下げに応じる場合があります。借り換えと異なり、諸費用がかからないため、成功すれば効率的な見直し方法となります。ただし、必ず成功するわけではないため、複数の選択肢(借り換え、繰上返済等)を検討しましょう。

Q5変動金利から固定金利への切り替えタイミングはいつですか?

A5金利上昇が見込まれる局面では、固定金利への切り替えで返済額を一定にし、見通しを立てやすくする方法があります。ただし、切り替え後は金利が下がっても恩恵を受けられず、変動金利より金利が高い場合が多いため、総合的な判断が必要です。[住宅金融支援機構](https://www.flat35.com/lp/kinri/index.html)の公式サイトで最新情報を確認し、ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。

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