日立市の土地購入を検討する前に知るべきこと
茨城県日立市で土地購入を検討している方にとって、「価格相場はどのくらいか」「どのエリアが人気なのか」は重要な判断材料です。
この記事では、日立市の土地価格相場、人気エリアの特徴、土地選びの注意点を、国土交通省の不動産取引価格情報や茨城県の公式地価調査結果などの公的情報を元に解説します。
初めて土地を購入する方でも、必要な情報を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 日立市の土地価格相場は坪単価10.1万円~12.16万円が目安
- 駅別では日立駅周辺が最高価格帯、十王駅周辺が最低価格帯
- 2024~2025年の地価は微減傾向で、市場動向を注視すべき
- 土地購入は7ステップで約6ヶ月~1年が目安
- 建築条件付き土地の場合は事前に建築プランを検討
(1) 日立市の地域特性と魅力
日立市は茨城県北東部に位置し、人口約17万人の中核都市です。
JR常磐線が市内を通っており、大甕駅・日立多賀駅・日立駅・小木津駅・十王駅の5駅があります。東京都心までは特急ひたちで約90分、水戸市までは約30分でアクセス可能です。
太平洋に面した海岸線が美しく、自然環境と都市機能のバランスが取れた地域です。
(2) 企業城下町としての特徴と雇用環境
日立市は日立製作所の企業城下町として発展してきた歴史があります。
日立製作所をはじめとする製造業が地域経済の中心で、安定した雇用環境が整っています。企業関連の転勤や新規雇用に伴う土地・住宅需要も一定数見込まれるエリアです。
ただし、製造業の業績や企業の動向により地域経済が影響を受ける可能性もあるため、長期的な視点で検討することが重要です。
(3) 本記事で解説する内容
本記事では、以下の内容を順に解説します。
- 日立市の土地価格相場と最新動向(坪単価、駅別価格、市場動向)
- 人気エリアの特徴(日立駅周辺、日立多賀駅周辺、十王駅周辺等)
- 土地選びのポイント(用途地域、インフラ、建築条件等)
- 購入の流れと諸費用(7ステップ、仲介手数料、税金等)
日立市の土地価格相場と最新動向
(1) 日立市全体の平均価格(坪単価・平米単価)
日立市の土地価格相場は、データソースにより若干の差がありますが、おおむね以下の範囲です。
| データソース | 坪単価 | 平米単価 | 調査時期 |
|---|---|---|---|
| SUUMO | 10.1万円 | - | 2024年 |
| 土地代データ | 9.5万円 | 2.9万円 | 2024年 |
| 基準地価 | 12.16万円 | 3.7万円 | 2025年7月1日時点 |
相場の目安として、坪単価10.1万円~12.16万円を参考にすると良いでしょう。ただし、エリア・駅距離・立地条件により大きく変動するため、複数の物件を比較することが重要です。
(2) 駅別の価格相場(日立駅~十王駅)
日立市内の駅別で見ると、価格差が顕著です。
| 駅名 | 平米単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日立駅 | 4万8924円/m² | 市内最高価格帯、商業施設・公共施設が充実 |
| 日立多賀駅 | - | バランス型、住宅地として人気 |
| 大甕駅 | - | バランス型、駅周辺に商業施設 |
| 小木津駅 | - | 価格重視、自然環境が豊か |
| 十王駅 | 2万5777円/m² | 市内最低価格帯、価格重視の方向け |
(出典: 土地代データ)
日立駅と十王駅では、平米単価で約2倍の価格差があります。利便性と価格のバランスを考慮してエリアを選ぶことが重要です。
(3) 最近の価格推移と市場動向(2024~2025年)
日立市の土地価格は、データにより傾向が異なるため注意が必要です。
上昇傾向を示すデータ:
- 土地代データによると、2024年は坪単価9.5万円で前年比+5.6%上昇
微減傾向を示すデータ:
- 2025年基準地価は坪単価12.16万円で前年比-0.19%と微減
- 2024年の平均取引価格は767万円で前年比28.0%下降
(出典: 土地代データ、TOCHI-D.COM)
データソースやサンプル数により傾向が異なるため、最新の取引事例を国土交通省の不動産情報ライブラリで確認し、直近の市場動向を把握することを推奨します。
(4) 茨城県内の他市との比較
茨城県内では、守谷市・つくば市が高成長エリアです。
| 市名 | 平米単価 | 前年比 |
|---|---|---|
| 守谷市 | 13万6026円 | +9.47% |
| つくば市 | - | +4.47% |
| 茨城県平均 | 3万8288円 | +0.77% |
| 日立市 | 3万7000円前後 | -0.19%(基準地価) |
(出典: 土地代データ(茨城県))
守谷市やつくば市は東京都心へのアクセスが良く、地価上昇が顕著です。一方、日立市は県内平均程度の価格帯で、価格重視の方には魅力的な選択肢と言えます。
日立市の人気エリアと特徴
(1) 日立駅周辺エリア(最高価格帯・利便性重視)
日立駅は日立市の中心駅で、市内で最も価格が高いエリアです(平米単価4万8924円)。
メリット:
- 商業施設が充実(駅ビル、スーパー、飲食店等)
- 公共施設・医療機関が近い
- 東京都心へのアクセスが良い(特急ひたちで約90分)
デメリット:
- 市内で最も価格が高い
- 市街地のため、静かな住環境を求める方には向かない
利便性を最優先する方、駅近の土地を探している方におすすめです。
(2) 日立多賀駅・大甕駅周辺エリア(バランス型)
日立多賀駅・大甕駅周辺は、価格と利便性のバランスが取れたエリアです。
メリット:
- 日立駅ほど高価格ではなく、十王駅ほど不便ではない
- 駅周辺に商業施設があり、日常生活に便利
- 住宅地として落ち着いた環境
デメリット:
- 日立駅ほどの利便性はない
バランス重視の方、住宅地としての落ち着きを求める方におすすめです。
(3) 十王駅・小木津駅周辺エリア(価格重視)
十王駅周辺は市内で最も価格が低いエリアです(平米単価2万5777円)。
メリット:
- 市内で最も価格が安い
- 自然環境が豊かで、静かな住環境
- 広い土地を確保しやすい
デメリット:
- 駅周辺の商業施設が少ない
- 日立駅までの移動時間がかかる
価格重視の方、広い土地を求める方、自然環境を重視する方におすすめです。
(4) 各エリアの生活環境とアクセス
日立市内のエリア選びは、以下のポイントで判断すると良いでしょう。
| ポイント | 日立駅周辺 | 日立多賀・大甕駅周辺 | 十王・小木津駅周辺 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 高い | 中程度 | 安い |
| 利便性 | 高い | 中程度 | 低い |
| 商業施設 | 充実 | 中程度 | 少ない |
| 自然環境 | 市街地 | バランス | 豊か |
| おすすめ層 | 利便性重視 | バランス重視 | 価格・自然重視 |
土地選びのポイントと注意事項
(1) 用途地域と建築制限の確認
土地を購入する際は、用途地域の確認が必須です。用途地域とは、都市計画法で定められた13種類の地域区分で、建築できる建物の種類や規模が制限されます。
例えば、第一種低層住居専用地域では住宅中心の静かな環境が保たれますが、店舗の建築には制限があります。一方、商業地域では店舗やオフィスビルの建築が可能です。
日立市の都市計画課や国土交通省の都市計画情報で用途地域を確認してください。
(2) インフラ整備状況(上下水道・ガス等)
電気・ガス・水道のインフラが未整備の土地では、引き込み工事が必要です。
距離が長いほどコストが増大するため、契約前に以下を確認してください。
- 電気: 最寄りの電柱からの距離
- ガス: 都市ガスの配管状況(プロパンガスの場合は設置費用)
- 水道: 上水道・下水道の配管状況
インフラ未整備の土地は、引き込み工事費が高額になる可能性があるため、事前に電力会社・ガス会社・水道局に見積もりを依頼することを推奨します。
(3) 駅距離・学区・商業施設の確認
土地選びでは、以下の生活環境も重要な判断材料です。
- 駅距離: 徒歩10分以内が便利、徒歩20分以上は車が必須
- 学区: 子育て世帯は、通学予定の小中学校の学区を確認
- 商業施設: スーパー・ホームセンター・医療機関までの距離
現地を実際に訪れて、周辺環境を確認することを強く推奨します。
(4) 建築条件付き土地の留意点
建築条件付き土地とは、一定期間内(一般的に3ヶ月以上)に売主指定の建築業者と建築請負契約を締結する条件付きの土地です。
メリット:
- 土地価格が相場より安い場合がある
- 建築業者が決まっているため、スムーズに建築計画を進められる
デメリット:
- 建築業者を自由に選べない
- 期間内に建築契約を締結できなければ、契約解除となる
建築条件付き土地を検討する場合は、事前に建築プランを検討し、期間内に契約できる見通しを立てることが重要です。
(5) 現地確認の重要性
土地購入の最終判断は、必ず現地を訪れて行いましょう。
確認すべきポイント:
- 日当たり・風通し
- 周辺の騒音・臭い
- 道路の幅員・接道状況
- 隣地との境界線
- 地盤の状態(水はけ等)
- 近隣の建物の状況
現地確認せずに契約すると、後から「思っていたのと違った」というトラブルに繋がる可能性があります。
土地購入の流れと諸費用
(1) 土地購入の7ステップ(エリア決定~引き渡し)
土地購入の流れは、以下の7ステップで進みます。
| ステップ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 1. エリア・予算決定 | 購入エリアと予算を決定 | 1~2週間 |
| 2. 土地探し | 不動産ポータルサイト・地元不動産会社で物件検索 | 1~3ヶ月 |
| 3. 買付証明書提出 | 購入意思を示す書類を提出 | 1~2日 |
| 4. 住宅ローン事前審査 | 金融機関に事前審査を申し込み | 3~4日 |
| 5. 売買契約 | 重要事項説明を受け、契約締結 | 1~2週間 |
| 6. 住宅ローン本審査・金消契約 | 本審査を受け、金銭消費貸借契約を締結 | 1~2週間 |
| 7. 決済・所有権移転 | 代金支払い、登記手続き、引き渡し | 1~2ヶ月 |
(出典: リクルート)
全体で約6ヶ月~1年、契約から引き渡しまでは2~3ヶ月が目安です。
(2) 買付証明書と住宅ローン事前審査
購入したい土地が見つかったら、買付証明書を提出し、並行して住宅ローン事前審査を受けます。
買付証明書:
- 購入意思を売主や仲介業者に示す書類
- 希望価格・支払い条件を記載
- 法的拘束力はないが、売主との価格交渉の材料となる
住宅ローン事前審査:
- 金融機関が借入可能額を仮審査
- 3~4日で結果が出る
- 事前審査を通過していないと、契約できない場合がある
(3) 売買契約と重要事項説明
売買契約の前に、宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。
重要事項説明書には、以下の内容が記載されます。
- 用途地域・建ぺい率・容積率
- 道路の種類・幅員
- インフラの整備状況
- 法的制限(都市計画法、建築基準法等)
- 災害リスク(浸水想定区域等の指定の有無)
疑問点があれば、必ず宅地建物取引士に質問し、納得してから契約に進みましょう。
(4) 諸費用の詳細(仲介手数料・登記費用・税金等)
土地購入時には、土地価格以外に以下の諸費用がかかります。
| 項目 | 内容 | 目安額 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税(上限) | 数十万円 |
| 登記費用 | 所有権移転登記・抵当権設定登記 | 10~30万円 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 | 1~2万円 |
| 不動産取得税 | 土地の固定資産税評価額の3%(軽減措置あり) | 数十万円 |
| その他 | 地盤調査費、測量費等 | 数十万円 |
諸費用は土地価格の5~10%程度が目安です。事前に総額を把握し、資金計画を立てましょう。
まとめ:日立市での土地購入を成功させるために
(1) 複数の情報源で相場を確認する
土地の相場を正確に把握するには、以下のように複数のデータソースを組み合わせることが重要です。
- 公的データの確認(国土交通省の不動産情報ライブラリで取引価格を検索)
- 不動産ポータルサイトの確認(SUUMO等で現在の売り出し価格を比較)
- 地元不動産会社への相談(地域に詳しい業者に市場動向を確認)
(2) エリアの将来性と自分のライフスタイルを照合
土地購入は長期的な資産形成の一環です。
日立市の地価は2024~2025年にかけて微減傾向ですが、エリアや立地により動向は異なります。公的データを参考にしながら、以下の点を検討しましょう。
- 自分のライフスタイル: 利便性重視か、価格重視か、自然環境重視か
- エリアの将来性: 企業の動向、人口推移、開発計画等
- 資産価値: 将来的に売却する可能性も考慮
(3) 次のアクション:不動産会社相談・現地見学
土地の相場を調べた後は、以下のアクションを推奨します。
- 複数の不動産会社に問い合わせ、物件情報を収集
- 現地を実際に見て、周辺環境や接道状況を確認
- 宅地建物取引士に重要事項説明を受け、法的制限を確認
- 住宅ローン事前審査を受け、借入可能額を把握
信頼できる不動産会社や専門家と相談しながら、慎重に判断を進めてください。
