東大阪市の土地市場|中小企業の集積地と大阪市ベッドタウン
「東大阪市で土地を買いたいけど、相場はいくら?」「どのエリアがおすすめ?」と悩む方は少なくありません。
この記事では、東大阪市の土地価格相場、エリア別の特性、購入時の注意点を、公示地価データや不動産取引情報を元に解説します。
東大阪市で土地を購入する際の判断材料を得られます。
この記事のポイント
- 東大阪市の土地価格相場は坪単価53万〜71万円、2024年取引価格は坪単価61.6万円で前年比+5.4%上昇
- 布施駅周辺が最高価格(27万6250円/m²)、枚岡駅が最低価格(9万9075円/m²)とエリアにより大きく異なる
- 中小企業の工場密度が日本一で住宅地と工業地が混在するため、用途地域の確認が重要
- 2029年に大阪モノレール開通予定で、鴻池新田駅・荒本駅・瓜生堂駅の3駅が新設される
(1) 東大阪市の特徴(工場密度日本一、人口494,000人)
東大阪市は大阪府中河内地域に位置する市で、人口約494,000人、面積61.78k㎡の地域です。大阪市のベッドタウンとして、大阪市に通勤・通学する人々が多く居住する近郊住宅地として発展してきました。
東大阪市の最大の特徴は、中小企業の工場密度が日本一である点です。特に製造業が盛んで、世界規模の技術を持つ中小企業が多数集積しています。この特性により、住宅地と工業地が混在する独特の景観が形成されています。
交通アクセスも優れており、近鉄奈良線・大阪線、JR学研都市線等により26駅へのアクセスが可能です。大阪市中心部へは15〜30分程度で移動でき、利便性の高さと比較的リーズナブルな物価が魅力となっています。
(2) 住宅地と工業地の混在状況
東大阪市は工場密度日本一であることから、住宅地と工業地が混在しています。同じ市内でも、エリアによって住環境が大きく異なる点が特徴です。
住宅地と工業地の混在による影響
- 用途地域による制限: 住居地域、商業地域、工業地域など、都市計画法で定められた用途地域により、建築可能な建物の種類や規模が制限される
- 周辺環境の差: 工業地域に近いエリアでは騒音や交通量が多い場合があり、閑静な住宅地を希望する場合は注意が必要
- 建ぺい率・容積率の違い: 用途地域により建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が異なる
土地購入前には、東大阪市役所で該当する土地の用途地域、建ぺい率、容積率を確認することが重要です。
東大阪市の土地価格相場|2025年公示地価と実際の取引価格
(1) 2025年公示地価(坪単価53万5050円、住宅地+0.62%)
公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点で公示する標準地の価格で、土地取引の指標として広く利用されています。2025年の東大阪市の公示地価データは以下の通りです。
2025年東大阪市の公示地価
| 用途 | 平均価格(円/m²) | 坪単価(万円) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 住宅地 | 15万8000円 | 約52万円 | +0.62% |
| 商業地 | 21万5000円 | 約71万円 | +1.66% |
| 工業地 | 12万3000円 | 約41万円 | +2.94% |
| 全用途平均 | 16万1852円 | 約53万円 | +0.97% |
2025年の公示地価は、住宅地・商業地・工業地の全用途で上昇傾向にあり、特に工業地の上昇率が高くなっています。これは東大阪市の製造業の活況を反映していると考えられます。
(出典: tochidai.info - 東大阪市の土地価格相場・公示地価)
(2) 実際の取引価格(坪単価61.6万円、2024年前年比+5.4%)
公示地価は標準地の価格ですが、実際の取引価格はそれとは異なります。2024年の東大阪市における実際の土地取引価格データは以下の通りです。
2024年東大阪市の取引価格相場
- 坪単価: 61.6万円/坪(2024年、前年比+5.4%上昇)
- 価格帯: 53万〜71万円/坪(SUUMO等のデータより)
実際の取引価格は、公示地価よりも高い傾向にあります。これは、公示地価が標準的な条件の土地を基準としているのに対し、実際の取引では立地条件や接道状況など個別の要因が価格に反映されるためです。
注意すべき点として、平均取引価格は前年から15.4%下降したというデータもあり、土地価格は時期により大きく変動します。購入を検討する際は、執筆時点(2025年)の情報であることを念頭に、最新の相場を不動産会社に確認することをおすすめします。
(出典: SUUMO - 東大阪市の土地価格相場情報)
エリア別の特性と人気エリア|布施・荒本・石切
東大阪市内でも、エリアにより土地価格や住環境は大きく異なります。主要な人気エリアの特性を紹介します。
(1) 布施駅周辺(近鉄百貨店直結、最高価格27万6250円/m²)
布施駅は近鉄奈良線・大阪線が乗り入れる東大阪市の中心駅で、駅直結の近鉄百貨店をはじめ商業施設が充実しています。東大阪市内で最も地価が高いエリアです。
布施駅周辺の特徴
- 地価: 27万6250円/m²(坪単価約91万円)と市内最高価格
- 利便性: 大阪難波まで約10分、大阪市中心部へのアクセス抜群
- 商業施設: 近鉄百貨店、商店街、飲食店が充実
- 住環境: 駅周辺は商業地、少し離れると住宅地
駅周辺は商業地域のため、賑やかな環境を好む方に適しています。静かな住環境を求める場合は、駅から少し離れた住宅地を検討すると良いでしょう。
(2) 荒本駅周辺(市役所・商業施設充実)
荒本駅周辺は、東大阪市役所が所在し、商業施設も充実しているエリアです。行政サービスへのアクセスが良く、利便性の高さが魅力です。
荒本駅周辺の特徴
- 行政施設: 東大阪市役所直近、各種手続きが便利
- 商業施設: ショッピングモール、スーパー、飲食店
- 交通: 近鉄けいはんな線で大阪市中心部へアクセス
- 将来性: 2029年に大阪モノレール荒本駅が開通予定で、さらなる利便性向上が期待される
荒本駅周辺は、行政サービスと商業施設の両方へのアクセスが良く、日常生活の利便性を重視する方におすすめです。
(3) 石切エリア(治安良好・教育レベル高い、最低価格9万9075円/m²)
石切エリアは東大阪市の東部に位置し、枚岡駅周辺を含む閑静な住宅地です。治安が良好で、教育レベルが高いことから、ファミリー層に人気があります。
石切エリアの特徴
- 地価: 9万9075円/m²(坪単価約33万円)と市内最低価格帯
- 治安: 犯罪認知件数が10年前から約45%まで減少、改善傾向
- 教育: 学校の評価が高く、子育て世帯に人気
- 自然: 生駒山系に近く、自然環境が豊か
石切エリアは、地価が比較的リーズナブルで、治安と教育環境を重視するファミリー層に適しています。一方、駅周辺と比べて商業施設は少なく、車での移動が便利です。
(出典: マドリーム - 東大阪市の住みやすさ&治安)
東大阪市の交通アクセスと将来計画|大阪モノレール2029年開通
(1) 現在の交通網(26駅アクセス可能、近鉄・JR)
東大阪市は交通アクセスが非常に優れており、近鉄奈良線・大阪線、JR学研都市線などにより26駅へのアクセスが可能です。
主要路線と駅
| 路線 | 主要駅 | アクセス先 |
|---|---|---|
| 近鉄奈良線 | 布施駅、河内小阪駅 | 大阪難波(約10分)、奈良方面 |
| 近鉄大阪線 | 長田駅、弥刀駅 | 大阪上本町(約15分)、名古屋方面 |
| JR学研都市線 | 鴻池新田駅 | 京橋(約15分)、学研都市方面 |
| 近鉄けいはんな線 | 荒本駅、吉田駅 | 生駒駅、学研奈良登美ヶ丘駅 |
大阪市中心部へは15〜30分程度でアクセスでき、大阪市のベッドタウンとして利便性が高い地域です。
(2) 大阪モノレール開通計画(鴻池新田・荒本・瓜生堂の3駅)
2029年には、大阪モノレールの延伸により、東大阪市内に新たに3駅が開通する予定です。
大阪モノレール開通予定駅
- 鴻池新田駅: JR学研都市線との乗り換え駅(利便性が大幅に向上)
- 荒本駅: 近鉄けいはんな線との乗り換え駅(市役所周辺のアクセス向上)
- 瓜生堂駅: 新設駅(周辺エリアの利便性向上)
大阪モノレールの開通により、大阪空港や万博記念公園へのアクセスが改善され、東大阪市の利便性がさらに高まります。この計画は、荒本駅周辺や鴻池新田駅周辺の土地価格にプラスの影響を与える可能性があります。
(出典: ドリームハウス - 利便性のいい街、東大阪)
土地購入の流れと注意点|用途地域・浸水リスクの確認
(1) 用途地域の確認(建ぺい率・容積率)
東大阪市で土地を購入する際、最も重要なのは用途地域の確認です。用途地域により、建築可能な建物の種類や規模が制限されます。
用途地域の主な種類
| 用途地域 | 建築可能な建物 | 建ぺい率 | 容積率 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅、小規模店舗 | 30-60% | 50-200% |
| 第一種住居地域 | 住宅、中規模店舗 | 50-80% | 100-500% |
| 商業地域 | 住宅、店舗、事務所等 | 80% | 200-1000% |
| 工業地域 | 工場、住宅(一部制限) | 50-60% | 100-400% |
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を示します。これらは用途地域により異なり、建築可能な建物の規模を決める重要な指標です。
東大阪市は工場密度日本一で住宅地と工業地が混在するため、購入前に東大阪市役所で該当する土地の用途地域、建ぺい率、容積率を必ず確認しましょう。
(2) 浸水リスクの確認(河川流域のハザードマップ)
東大阪市内には、第二寝屋川、恩智川、楠根川、寝屋川などの河川が流れており、河川流域のエリアでは浸水リスクがあります。
浸水リスクの確認方法
- ハザードマップ: 東大阪市が公開している洪水ハザードマップで、浸水想定区域を確認
- 過去の浸水実績: 過去に浸水被害があったエリアかどうかを自治体や不動産会社に確認
- 地盤の高さ: 周辺より低い土地は浸水リスクが高い可能性
浸水リスクのあるエリアでは、住宅の基礎を高くする、防水対策を施すなどの対応が必要になる場合があります。土地購入前に必ずハザードマップを確認し、浸水リスクを把握しておくことが重要です。
(出典: 注文住宅メーク - 大阪の下町!東大阪市の住みやすさについて紹介!)
(3) 建築条件付き分譲地の注意点
東大阪市内の分譲地の中には、建築条件付きの土地があります。建築条件付きとは、売主または売主が指定する建築会社で住宅を建築することが条件の土地です。
建築条件付き分譲地の注意点
- 建築会社の選択肢が限られる: 自由な建築会社選定ができない
- 設計の自由度: 建築会社が決まっているため、設計の自由度が制限される場合がある
- 価格: 土地と建物をセットで購入する形になるため、総額を確認が必要
建築条件付き分譲地は、電気・ガス・水道等のインフラが整備済みで区画整理された宅地であるため、すぐに建築を開始できる利点があります。一方、建築会社の選択肢が限られるため、自分で建築会社を選びたい場合は注意が必要です。
まとめ|東大阪市で土地を購入する際のポイント
東大阪市の土地価格相場は、2025年公示地価で坪単価約53万円、2024年の実際の取引価格は坪単価61.6万円で前年比+5.4%上昇しています。エリアにより布施駅周辺が最高価格、石切エリアが最低価格と大きく異なります。
人気エリアは、布施駅周辺(利便性重視)、荒本駅周辺(行政・商業施設充実)、石切エリア(治安・教育重視)です。2029年には大阪モノレールが開通予定で、さらなる利便性向上が期待されます。
土地購入時は、工場密度日本一で住宅地と工業地が混在するため用途地域の確認が必須です。河川流域は浸水リスクがあるのでハザードマップも確認しましょう。
複数の不動産会社に相談し、最新の相場と個別の土地情報を確認しながら、自分に合った土地を選びましょう。


