外国人が土地を買える国はどこ?規制状況・手続き・注意点を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/31

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外国人の土地購入を検討する前に知っておくべきこと

海外不動産投資や移住を検討する際、「どの国なら外国人でも土地を買えるのか」「規制はあるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実は、外国人が自由に土地を購入できる国は、世界的に見て意外に少ないのが実情です。

この記事では、外国人の土地購入規制の概要、主要国の規制状況(国別比較)、購入可能な国と購入方法、注意点とリスクを、各国の不動産法規や最新の規制動向を元に解説します。

この記事のポイント

  • 日本は世界196カ国の中で外国人が土地を制限なく売買できるほぼ唯一の国
  • アメリカ・カナダ・フランスは完全所有権を認めるが、一部条件付きまたは規制強化中
  • 東南アジア諸国(フィリピン・タイ・カンボジア等)では外国人の土地所有を禁止
  • 2024年にカナダが住宅購入禁止、シンガポールは不動産価格の60%の税金を課す措置を導入
  • 各国の法律は頻繁に変更されるため、国際弁護士・税理士への相談が必須

(1) 外国人の土地購入が自由にできる国は意外に少ない

世界196カ国の中で、外国人が土地を制限なく購入できる国はごくわずかです。多くの国では、安全保障上の懸念や不動産価格高騰への対策として、外国人の土地所有を禁止または制限しています。

(2) 世界的に規制強化が進む背景(安全保障上の懸念)

近年、軍事施設周辺での外国資本による土地購入が情報収集や妨害活動に利用される可能性があるとして、各国で規制強化が進んでいます。2024年にはカナダが外国人の住宅購入を禁止し、シンガポールは不動産価格の60%の税金を課す措置を導入しました。

外国人の土地購入規制の概要と世界的な動向

(1) 外国人土地購入規制の3つの類型

外国人の土地購入規制は、大きく以下の3つに分類されます:

類型 内容 該当国の例
完全所有権を認める 外国人でも土地を永久に所有可能 アメリカ・カナダ(規制強化中)・フランス・日本
条件付きで認める 審査・許可・課税等の条件付きで所有可能 オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール
土地所有を禁止 外国人による土地所有を禁止、建物のみ可能な場合あり フィリピン・タイ・カンボジア・中国

(2) 完全所有権と土地使用権・長期リース権の違い

土地の権利には以下の種類があります:

  • 完全所有権(Full Ownership): 土地と建物の両方を永久に所有できる権利(アメリカ・カナダ・フランス・日本等)
  • 土地使用権(Land Use Right): 土地を一定期間(50年、99年等)使用できる権利(中国・ベトナム等)
  • 長期リース権(Leasehold): 土地を長期間(通常99年)賃借する権利(イギリス・シンガポール等)

(3) 2024-2025年の規制強化の動き(カナダ・シンガポール・日本)

日本経済新聞によると、2024年には以下の規制強化が行われました:

  • カナダ: 外国人の住宅購入を禁止、空き家に課税する「空室税」も導入
  • シンガポール: 住宅を購入する外国人に不動産価格の60%の税金を課す
  • 日本: 2024年3月に岸田首相が外国人の土地取得規制の検討を表明

(4) 軍事施設周辺での規制強化の傾向

アメリカでは2022年に「外国投資リスク審査現代法」の審査対象に不動産投資が追加され、軍事施設周辺の土地取引が厳格化されました。日本でも2022年9月に「重要土地等調査規制法」が施行され、防衛施設周辺などでは外資による土地購入の調査・規制が可能になっています。

主要国の外国人土地購入規制状況(国別比較)

(1) 完全所有権が認められる国(アメリカ・カナダ・フランス)

アメリカ: ビザなしでも購入可能ですが、州により規制があります。軍事施設周辺では審査が厳格化されています。

カナダ: 2024年に外国人の住宅購入を禁止する措置を導入しました。商業用不動産や農地は別途規制があります。

フランス: 完全所有権を認めますが、手続きが複雑で、公証人(ノテール)を通じた契約が必要です。

(2) 土地所有を禁止する国(フィリピン・タイ・カンボジア等)

フィリピン: 外国人による土地所有を完全に禁止しています。コンドミニアムは購入可能ですが、外資比率に制限があります(詳細は現地の国際弁護士にご確認ください)。

タイ: 外国人は土地を所有できず、コンドミニアムのみ購入可能です。外資比率は建物全体の49%以下に制限されています。

カンボジア: タイと同様、外国人は土地を所有できず、コンドミニアムのみ購入可能です。

(3) 条件付きで購入可能な国(オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール)

オーストラリア: 外国投資審査委員会(FIRB)の事前認可が必要で、新築物件のみ購入可能です。中古物件の購入は原則として認められていません。

ニュージーランド: 外国人は新築物件のみ購入可能で、中古物件の購入は原則として認められていません。

シンガポール: 外国人でも購入可能ですが、2024年から不動産価格の60%の税金が課されます。

(4) 土地使用権を認める国(中国・ベトナム)

中国: 外国人は土地を所有できず、土地使用権(通常50〜70年)のみ認められます。

ベトナム: 土地使用権の期間は50年間、1回限り延長可能で最大100年です。

(5) 日本の規制状況と重要土地等調査規制法(2022年施行)

不動産投資TOKYOリスタイルによると、日本は世界196カ国の中で外国人が土地を制限なく売買できるほぼ唯一の国です。

ただし、2022年9月施行の重要土地等調査規制法により、自衛隊基地・海上保安庁施設・原子力発電所から1km以内の「注視区域」では調査・規制が可能になりました。非居住者は取得から20日以内に財務大臣への報告義務があります。

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外国人が土地を購入可能な国と購入方法

(1) アメリカ:ビザなしでも購入可能、州により規制あり

アメリカは完全所有権が認められ、ビザなしでも購入可能です。ただし、州により規制があり、例えばフロリダ州では外国政府・外国法人による農地購入が制限されています。軍事施設周辺では審査が厳格化されています。

(2) カナダ:2024年に住宅購入禁止措置導入

2024年にカナダは外国人の住宅購入を禁止する措置を導入しました。商業用不動産や農地は別途規制があります。購入を検討する場合は、最新の規制状況を現地の国際弁護士に確認してください。

(3) フランス:完全所有権を認めるが手続きが複雑

フランスは完全所有権を認めますが、公証人(ノテール)を通じた契約が必要で、手続きが複雑です。購入価格の7〜10%程度の諸費用(公証人費用、登記費用等)がかかります。

(4) オーストラリア:外国投資審査委員会(FIRB)の事前認可が必要

外国投資審査委員会(FIRB)の事前認可が必要で、新築物件のみ購入可能です。中古物件の購入は原則として認められていません。審査には数週間かかります。

(5) タイ:土地は買えないがコンドミニアムは49%以下で購入可

外国人は土地を所有できず、コンドミニアムのみ購入可能です。外資比率は建物全体の49%以下に制限されています。長期リース(30年間、2回まで延長可能で最大90年)も選択肢の一つです。

(6) 日本:外国人でも制限なく購入可能、非居住者は20日以内に報告義務

日本は外国人でも制限なく購入可能です。非居住者は取得から20日以内に財務大臣への報告義務があります(外為法)。重要土地等調査規制法の注視区域では、土地の利用状況が調査される場合があります。

外国人の土地購入時の注意点とリスク

(1) 各国の法律は頻繁に変更されるため最新情報の確認が必須

各国の土地所有規制は頻繁に変更されます。購入前には、必ず現地の国際弁護士・税理士に最新の規制状況を確認してください。

(2) 長期リース権と完全所有権の違いによる権利喪失リスク

長期リース権(Leasehold)の場合、リース期間終了後に権利を失う可能性があります。完全所有権(Full Ownership)との違いを理解した上で購入してください。

(3) 安全保障上の理由による購入後の制限・没収リスク

軍事施設周辺では、購入後に利用制限や没収のリスクがあります。購入前に、安全保障上の規制がないか確認してください。

(4) 税制・維持費用・賃貸規制の事前確認

購入時の諸費用(仲介手数料・登記費用・税金等)、保有時の維持費用(固定資産税・管理費等)、賃貸時の規制(短期賃貸の可否等)を事前に確認してください。

(5) 国際弁護士・税理士への相談の重要性

海外不動産の購入には、各国の法律・税制・手続きの専門知識が必要です。国際弁護士・税理士に相談し、リスクを理解した上で判断してください。

まとめ:外国人の土地購入における次のアクション

外国人が土地を自由に購入できる国は、世界的に見て意外に少なく、アメリカ・カナダ・フランス・日本等に限られます。多くの国では、安全保障上の懸念や不動産価格高騰への対策として、外国人の土地所有を禁止または制限しています。

2024年にはカナダが住宅購入禁止、シンガポールは不動産価格の60%の税金を課す措置を導入し、規制強化の動きが加速しています。

海外不動産の購入を検討する場合は、完全所有権と長期リース権の違い、各国の最新規制状況、税制・維持費用を事前に確認し、国際弁護士・税理士に相談してください。詳細は専門家にご相談ください。

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よくある質問

Q1日本では外国人でも自由に土地を購入できるのですか?

A1日本は世界196カ国の中で外国人が土地を制限なく売買できるほぼ唯一の国です。ただし、2022年9月施行の「重要土地等調査規制法」により、自衛隊基地・海上保安庁施設・原子力発電所から1km以内の「注視区域」では調査・規制が可能になりました。非居住者は取得から20日以内に財務大臣への報告義務があります。

Q2アメリカやカナダでは外国人でも土地を自由に購入できますか?

A2アメリカは完全所有権が認められ、ビザなしでも購入可能です。ただし、州により規制があり、軍事施設周辺では厳格化されています。カナダは2024年に外国人の住宅購入を禁止する措置を導入しました。最新の規制状況を現地の国際弁護士に確認することを推奨します。

Q3東南アジア諸国で外国人が不動産投資する場合の制限は何ですか?

A3フィリピンは外国人による土地所有を完全に禁止しています。タイ・カンボジアでは外国人は土地を所有できず、コンドミニアムのみ購入可能ですが、外資比率は建物全体の49%以下に制限されています。ベトナムでは土地使用権の期間は50年間、1回限り延長可能で最大100年です。購入前に各国の規制を必ず確認してください。

Q4外国人の土地購入規制が強化されている理由は何ですか?

A4安全保障上の懸念が主な理由です。軍事施設周辺での外国資本による土地購入が情報収集や妨害活動に利用される可能性があるため、各国で規制強化が進んでいます。2024年にはカナダが住宅購入を禁止、シンガポールは不動産価格の60%の税金を課す措置を導入しました。規制は頻繁に変更されるため、最新情報の確認が必須です。

Q5完全所有権と長期リース権の違いは何ですか?

A5完全所有権(Full Ownership)は土地と建物の両方を永久に所有できる権利で、アメリカ・カナダ・フランス・日本等で認められます。長期リース権(Leasehold)は土地を長期間(通常99年)賃借する権利で、イギリス・シンガポール等で一般的です。リース期間終了後に権利を失う可能性があるため、購入前に権利の種類を必ず確認し、国際弁護士への相談を推奨します。

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