固定資産税評価証明書が必要な場面
不動産の相続登記や売買、住宅ローンの手続きを進める際、「固定資産税評価証明書をどこで・どう取得すればよいか」と迷う方は少なくありません。
この記事では、固定資産税評価証明書の取得方法(窓口・郵送・オンライン)、必要書類、手数料を、東京都主税局や主要自治体の公式情報を元に解説します。
初めて固定資産税評価証明書を取得する方でも、自分の状況に合った最適な申請方法を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税評価証明書は不動産登記の登録免許税算定、相続登記(2024年4月から義務化)、相続税・贈与税申告時に必要
- 窓口申請・郵送申請・オンライン申請の3つの方法があり、手数料は200~400円が一般的
- 郵送申請は処理に約1~2週間かかるため早めの準備が必要
- マイナンバーカードを使ったオンライン申請に対応する自治体が増加中
固定資産税評価証明書が必要な場面
(1) 不動産登記の登録免許税算定
AGビジネスサポートによると、固定資産税評価証明書は不動産登記の登録免許税算定に必要です。
登録免許税は、固定資産評価額を基準に計算されます。
- 所有権移転登記(売買): 固定資産評価額×2%
- 所有権移転登記(相続): 固定資産評価額×0.4%
- 抵当権設定登記: 債権金額×0.4%
登記申請時には固定資産税評価証明書の提出が必須です。
(2) 相続登記(2024年4月から義務化)
マネーフォワードによると、相続登記申請時に固定資産税評価証明書が必須です。
2024年4月から相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記する必要があります。
相続登記では、以下の書類が必要です。
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 固定資産税評価証明書
(3) 相続税・贈与税の申告
相続税・贈与税の申告時には、不動産の評価額を証明する必要があります。
固定資産税評価証明書は、税務署に提出する評価額の根拠資料となります。
(4) 訴訟の手数料算定
訴訟を提起する際、不動産を目的とする訴訟では、固定資産評価額を基準に手数料が計算されます。
(5) 住宅ローン・不動産担保ローンの審査
金融機関が住宅ローンや不動産担保ローンの審査を行う際、不動産の担保価値を確認するため固定資産税評価証明書の提出を求められることがあります。
固定資産税評価証明書と固定資産課税明細書の違い
(1) 記載内容は同じだが公的証明力が異なる
固定資産税評価証明書と固定資産課税明細書は、記載内容(評価額、地積、家屋の構造等)はほぼ同じですが、公的証明力が異なります。
| 項目 | 固定資産税評価証明書 | 固定資産課税明細書 |
|---|---|---|
| 公的証明力 | あり | なし |
| 入手方法 | 市区町村に申請 | 毎年4~6月に納税通知書に同封 |
| 手数料 | 200~400円 | 無料 |
| 登記申請での使用 | 可能 | 原則不可 |
登記申請や税申告では、原則として固定資産税評価証明書が必要です。
(2) 固定資産課税明細書で代用できる場合
用途によっては、固定資産課税明細書で代用できる場合があります。
代用可能な例:
- 金融機関の住宅ローン審査(金融機関により異なる)
- 一部の税務署への相続税・贈与税申告(税務署により異なる)
提出先に事前確認することで、時間とコストを節約できる可能性があります。
(3) 評価額と評価証明書の違い
- 評価額: 固定資産の金額そのもの
- 評価証明書: 評価額を証明する公的書類
評価額を確認するだけであれば、固定資産課税明細書で十分です。
取得方法①:窓口申請
(1) 東京23区の場合(都税事務所で取得)
東京都主税局によると、東京23区の不動産の場合、どの都税事務所でも取得可能です。
手順:
- 都税事務所の窓口に行く
- 固定資産証明申請書に記入
- 本人確認書類を提示
- 手数料を支払う(現金・クレジットカード・電子マネー)
(2) 東京23区以外の場合(市区町村役所で取得)
東京23区以外の不動産の場合、所在地の市区町村役所で取得します。
手順:
- 市区町村役所の税務課・資産税課に行く
- 固定資産証明申請書に記入
- 本人確認書類を提示
- 手数料を支払う
(3) 必要書類(申請書・本人確認書類)
必要書類:
- 固定資産証明申請書(窓口でもらうか、役所のウェブサイトでダウンロード)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
(4) 申請できる方(本人・同一世帯の親族・代理人)
申請できる方は以下の通りです。
- 固定資産の所有者本人
- 同一世帯の親族
- 代理人(委任状が必要)
(5) 代理人申請時の委任状(作成日から3ヶ月以内)
代理人が申請する場合、作成日から3ヶ月以内の委任状が必要です。
委任状に記載すべき内容:
- 委任者の住所・氏名・押印
- 代理人の住所・氏名
- 委任する内容(「固定資産税評価証明書の申請」)
- 作成日
委任状の形式は自治体により異なるため、事前に公式サイトで確認しましょう。
取得方法②:郵送申請
(1) 必要書類(申請書・本人確認書類・定額小為替・返信用封筒)
京都市によると、郵送申請には以下の書類が必要です。
- 固定資産証明申請書(自治体のウェブサイトからダウンロード)
- 本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 定額小為替(手数料分)
- 返信用封筒(切手を貼付し、返送先住所を記入)
(2) 処理期間(約1~2週間)
郵送申請は処理に約1~2週間かかります。
登記や税申告の期限がある場合は、余裕を持って早めに申請しましょう。
(3) 定額小為替での支払い方法
新座市によると、郵送申請の手数料は定額小為替で支払います。
定額小為替の購入方法:
- 郵便局の窓口で「定額小為替を購入したい」と伝える
- 手数料分の金額を指定(例:300円の場合は300円の定額小為替)
- 発行手数料(1枚200円)を支払う
定額小為替には何も記入せず、そのまま封筒に同封します。
(4) 早めの準備が必要な理由
郵送申請は時間がかかるため、以下の場合は早めに準備が必要です。
- 相続登記の期限(相続発生から3年以内)
- 不動産売買の決済日
- 税務署への申告期限
余裕を持って2週間前には申請しましょう。
取得方法③:オンライン申請(マイナンバーカード)
(1) 対応自治体(横浜市・八王子市・都城市等)
横浜市、都城市など、2024年時点で複数の自治体がマイナンバーカードを使ったオンライン申請に対応しています。
対応自治体は今後も拡大する見込みです。
(2) マイナンバーカードでの本人確認
オンライン申請では、マイナンバーカードの署名用電子証明書を使って本人確認が行われます。
セキュリティと利便性が両立しています。
(3) 署名用電子証明書(6桁以上のパスワード)
オンライン申請には、署名用電子証明書の6桁以上のパスワードが必要です。
パスワードを忘れた場合は、市区町村窓口での再設定が必要です。
(4) マイナポータル「ぴったりサービス」の利用
マイナポータルの「ぴったりサービス」機能を使って、自治体への申請がオンラインで可能です。
手順:
- マイナポータルにアクセス
- 「ぴったりサービス」を選択
- 自治体を選択
- 「固定資産税評価証明書」を選択
- 必要事項を入力
- マイナンバーカードで署名
- 手数料を支払う
(5) キャッシュレス決済(PayPay・d払い・クレジットカード等)
オンライン申請では、キャッシュレス決済が利用できます。
対応決済方法(自治体により異なる):
- PayPay
- d払い
- クレジットカード
- 銀行振込
(6) スマートフォンから24時間申請可能
オンライン申請は、スマートフォンから24時間いつでも申請可能です。
窓口の営業時間を気にする必要がなく、郵送のように時間がかからない点が大きなメリットです。
まとめ:状況別の最適な取得方法
固定資産税評価証明書は、不動産登記の登録免許税算定、相続登記(2024年4月から義務化)、相続税・贈与税申告時に必要な公的書類です。窓口申請・郵送申請・オンライン申請の3つの方法があり、手数料は一般的に200~400円です。
窓口申請は即日取得可能、郵送申請は処理に約1~2週間かかるため早めの準備が必要、オンライン申請はマイナンバーカードがあればスマートフォンから24時間申請可能です。急ぎの場合は窓口申請、遠方の場合は郵送申請、利便性重視の場合はオンライン申請がお勧めです。
取得方法は自治体により異なるため、必ず対象不動産の所在地の自治体公式サイトで確認しましょう。固定資産課税明細書で代用できる場合もあるため、提出先に事前確認することで時間とコストを節約できる可能性があります。
