戸建てのセキュリティ対策を検討している方へ
戸建て住宅を購入・居住している方の多くが、「空き巣や侵入犯罪への対策は何をすべきか」「ホームセキュリティと防犯カメラのどちらを選ぶべきか」「費用はどれくらいかかるのか」といった疑問をお持ちです。
この記事では、戸建てのセキュリティ対策の必要性、対策の種類(ホームセキュリティ、防犯カメラ、補助錠、防犯フィルム等)、セコムとALSOKの比較、費用相場を、警察庁の犯罪統計や業界データを元に解説します。
初めてセキュリティ対策を導入する方でも、自宅に最適な対策を選択できるようになります。
この記事のポイント
- 戸建ては空き巣被害の約30%を占め、無施錠(46.3%)と窓ガラス破り(35.8%)が主な侵入手口
- 侵入に5分かかると約70%が諦め、10分で約90%が諦めるため、時間稼ぎの対策が効果的
- 窓は侵入口の53.5%を占めるため、補助錠・防犯フィルム・シャッターの設置が有効
- ホームセキュリティ(セコム・ALSOK)は月額5,000-8,000円程度で24時間監視・駆けつけサービスを提供
- 防犯カメラは玄関・裏口・駐車場・庭の4箇所への設置が基本で、自治体補助金で購入費の約1/2を補助する自治体もある
戸建てにセキュリティ対策が必要な理由
戸建ての侵入リスク(空き巣被害の約30%)
戸建て住宅は、集合住宅と比較して侵入リスクが高いとされています。ALSOKによると、戸建ては空き巣被害の約30%を占めています。
戸建てが狙われる理由:
- 侵入経路が多い: 窓、玄関、勝手口、裏口等、複数の侵入経路がある
- 人目につきにくい: 庭や裏口が死角になりやすく、侵入者が身を隠しやすい
- 留守を狙いやすい: 郵便物の蓄積、洗濯物の干しっぱなし等で留守が分かりやすい
- 財産が多い: 戸建ては現金・貴金属・高額家電等の財産が多いと認識されている
セコムの調査によると、戸建て住宅の年間侵入被害は1万件以上に上ります。
主な侵入手口(無施錠46.3%、ガラス破り35.8%)
政府広報オンラインによると、戸建て住宅への主な侵入手口は以下の通りです。
| 侵入手口 | 割合 |
|---|---|
| 無施錠 | 46.3% |
| ガラス破り | 35.8% |
| 鍵の開錠 | 5.5% |
| その他 | 12.4% |
評価:
- 無施錠が最多: 約半数が施錠忘れによる侵入のため、確実な施錠が最重要
- ガラス破りが次点: 窓からの侵入が多いため、窓の防犯対策が必要
- 侵入口は窓が53.5%: 住友林業の調査によると、窓が侵入口の過半数を占める
侵入抑止効果:
- 侵入に5分かかると約70%の侵入者が諦める
- 10分かかると約90%が諦める
時間稼ぎの対策(補助錠、防犯フィルム、シャッター等)が効果的です。
セキュリティ対策の種類と特徴
ホームセキュリティ(24時間監視・駆けつけ)
ホームセキュリティは、警備会社が提供する24時間監視・駆けつけサービスです。異常時に警備員が自宅に駆けつけます。
サービス内容:
- 24時間監視: 侵入センサー、火災センサー、非常ボタンを設置し、異常を検知
- 緊急対処員の駆けつけ: 異常時に警備員が自宅に駆けつけ、状況確認・警察通報
- 遠隔操作: スマートフォンでセキュリティシステムの遠隔操作が可能
メリット:
- プロの警備員が駆けつけるため、安心感が高い
- 火災・ガス漏れ等の異常も検知可能
- 高齢者の見守りサービスも提供
デメリット:
- 月額費用が継続的に発生
- 駆けつけ時間は10-30分程度(空き巣は15分程度で完了するため、侵入後対応)
防犯カメラ・ネットワークカメラ
防犯カメラは、侵入者を映像で記録・監視する機器です。ネットワークカメラはスマートフォンで遠隔確認が可能です。
種類:
- 屋外用防犯カメラ: 玄関・裏口・駐車場に設置し、侵入者を記録
- ネットワークカメラ(Wi-Fi対応): スマホでリアルタイム映像を確認
- ダミーカメラ: 侵入抑止効果を狙った偽物カメラ(記録機能なし)
メリット:
- 侵入者の顔・車のナンバーを記録し、証拠として活用
- 設置するだけで侵入抑止効果がある
- 月額費用が不要(買い切り型)
デメリット:
- 侵入を防ぐことはできない(記録のみ)
- プライバシー侵害に注意が必要(隣家・道路への向きに配慮)
- 電源・配線工事が必要(プロ設置が推奨)
補助錠・防犯フィルム・防犯ガラス
窓からの侵入を防ぐための対策です。
補助錠:
- 既存の鍵に加えて設置する追加の鍵
- ワンドア・ツーロック(玄関に2つの鍵)で侵入抑止効果
- 費用: 1,000-5,000円程度(DIY設置可能)
防犯フィルム:
- 窓ガラスに貼る透明フィルム
- ガラス破りに時間をかけさせる効果(5-10分)
- 費用: 5,000-20,000円/窓(DIY設置可能)
防犯ガラス:
- 割れにくい特殊ガラス(2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟む)
- 新築時・リフォーム時に導入
- 費用: 30,000-100,000円/窓
センサーライト・防犯砂利
センサーライトと防犯砂利は、侵入者を威嚇・音で知らせる対策です。
センサーライト:
- 人の動きを感知して自動点灯するライト
- 夜間の侵入抑止に効果的
- 費用: 3,000-10,000円(DIY設置可能)
防犯砂利:
- 踏むと大きな音(約70-80デシベル)が出る特殊な砂利
- 裏庭や死角に敷くことで侵入者を威嚇
- 費用: 1,000-3,000円/袋(DIY設置可能)
ホームセキュリティサービスの比較(セコム・ALSOK)
契約数と拠点数の違い
ホームセキュリティを検討する際、セコムとALSOKのどちらを選ぶべきかという質問が多く寄せられます。
| 項目 | セコム | ALSOK |
|---|---|---|
| 契約数(2025年3月時点) | 約162万件 | 約52万件 |
| 緊急発進拠点数 | 約2,500箇所 | 約2,400箇所 |
| 駆けつけ時間 | 平均約10-15分 | 平均約15-20分 |
(出典: 「セコム」と「アルソック」ホームセキュリティの比較)
評価:
- 契約数: セコムが業界最大手で約3倍の契約数
- 拠点数: セコムが約100箇所多く、地方在住の方にも対応しやすい
- 駆けつけ時間: セコムが若干短い傾向(拠点数の多さが影響)
料金プランの比較(レンタル・買取)
ホームセキュリティの料金プランは、レンタルプランと買取プランの2種類があります。
| プラン | セコム | ALSOK |
|---|---|---|
| レンタル(初期費用) | 84,680円 | 約60,000円〜 |
| レンタル(月額費用) | 8,470円 | 8,000円前後 |
| 買取(初期費用) | 474,760円 | 約400,000円〜 |
| 買取(月額費用) | 5,170円 | 5,000円前後 |
(出典: セコム公式サイト、ALSOK公式サイト)
評価:
- 初期費用: 全プランでALSOKが安い傾向
- 月額料金: 戸建てでほぼ同水準
- 契約期間: 両社とも5年契約、以降は1年毎更新
防犯カメラ・センサーライト等の設置ポイント
防犯カメラの最適設置場所(玄関・裏口・駐車場・庭)
防犯カメラの設置場所は、侵入経路を考慮して選定します。SwitchBotによると、以下の4箇所が基本設置場所です。
優先度順の設置場所:
- 玄関: 来訪者の顔を記録し、侵入者の特定に役立つ(最優先)
- 裏口・勝手口: 死角になりやすく侵入されやすいため、優先度高
- 駐車場: 車上荒らし・盗難の記録
- 庭: 侵入経路となりやすい場所に設置
設置時のポイント:
- カメラの向きは侵入経路を向ける(隣家・道路への向きに注意)
- 高さは2-3m程度(手が届かない高さ)
- 夜間撮影可能なカメラを選択(赤外線LED搭載)
プライバシー配慮と設置時の注意点
防犯カメラ設置時は、プライバシー侵害に注意が必要です。
注意点:
- 隣家への向きに配慮: 隣家の敷地や窓を映さないようにする
- 道路への向き: 公道を映す場合、通行人のプライバシーに配慮(顔が特定できる映像は慎重に扱う)
- 録画データの管理: 録画データは適切に管理し、第三者に漏洩しないよう注意
違法になる可能性:
- 隣家の窓を映し続ける→ プライバシー侵害
- 公道を映し、顔が特定できる映像を公開→ 肖像権侵害
設置前に専門業者に相談し、適切な向き・角度を確認することをおすすめします。
自治体補助金の活用
一部の自治体では、防犯カメラの設置に補助金を提供しています。
補助金の例:
- 購入費の約1/2を補助(上限10-30万円)
- 自治会・町内会での共同設置に対する補助
確認方法:
- 自治体のウェブサイトで「防犯カメラ 補助金」で検索
- 市役所の防犯担当課に問い合わせ
補助金を活用することで、導入費用を抑えることができます。
セキュリティ対策の費用と効果
ホームセキュリティの費用相場
ホームセキュリティの費用相場は以下の通りです。
| 項目 | レンタルプラン | 買取プラン |
|---|---|---|
| 初期費用 | 60,000-85,000円 | 400,000-475,000円 |
| 月額費用 | 8,000-8,500円 | 5,000-5,200円 |
| 5年間の総費用 | 約540,000-595,000円 | 約700,000-787,000円 |
| 10年間の総費用 | 約1,020,000-1,105,000円 | 約1,000,000-1,099,000円 |
評価:
- 5年程度の利用ならレンタルプランが経済的
- 10年以上の長期利用なら買取プランが経済的
DIY設置可能な対策の費用
DIYで設置可能な対策の費用は以下の通りです。
| 対策 | 費用 | 設置難易度 |
|---|---|---|
| 補助錠 | 1,000-5,000円/個 | 易 |
| 防犯フィルム | 5,000-20,000円/窓 | 中 |
| センサーライト | 3,000-10,000円/個 | 易 |
| 防犯砂利 | 1,000-3,000円/袋 | 易 |
| 防犯カメラ(Wi-Fi) | 10,000-30,000円/台 | 中 |
評価:
- 補助錠・センサーライト・防犯砂利はDIY設置が容易で低コスト
- 防犯フィルム・防犯カメラはDIY可能だが、専門業者に依頼した方が確実
まとめ:状況別のおすすめセキュリティ対策
戸建て住宅は空き巣被害の約30%を占め、無施錠(46.3%)と窓ガラス破り(35.8%)が主な侵入手口です。侵入に5分かかると約70%が諦め、10分で約90%が諦めるため、時間稼ぎの対策が効果的です。
状況別のおすすめ対策:
- 予算重視: 補助錠(1,000-5,000円)+ センサーライト(3,000-10,000円)+ 防犯砂利(1,000-3,000円)
- DIY設置希望: 防犯フィルム(5,000-20,000円/窓)+ ネットワークカメラ(10,000-30,000円/台)
- プロの安心感重視: ホームセキュリティ(月額8,000円前後)
- 長期利用: ホームセキュリティ買取プラン(初期費用400,000-475,000円、月額5,000円前後)
基本対策:
- 確実な施錠(無施錠46.3%を防ぐ)
- 窓の防犯対策(補助錠・防犯フィルム・シャッター)
- 防犯カメラ(玄関・裏口・駐車場・庭)
セキュリティ対策は、複数の対策を組み合わせることで効果が高まります。信頼できるセキュリティ会社や専門業者に相談しながら、自宅に最適な対策を選択しましょう。
詳細な料金やサービス内容は、セコム公式サイトまたはALSOK公式サイトでご確認ください。


