戸建て住宅の防犯対策が必要な理由|侵入被害の実態とリスク
戸建て住宅を所有している、または購入を検討している方の多くは、「防犯対策はどこまで必要か」「どのセキュリティシステムを選ぶべきか」と悩んでいるのではないでしょうか。
この記事では、戸建て住宅の防犯リスク、セキュリティ対策の種類、費用相場、業者選びのポイントを、警察庁の侵入窃盗統計や国土交通省の防犯設計指針を元に解説します。
これから防犯対策を検討する方でも、実践的な選択肢を理解し、状況に応じた対策を選べるようになります。
この記事のポイント
- 侵入に5分以上かかると約7割の空き巣が諦めるため、複数の防犯対策を組み合わせることが重要
- 窓からの侵入が53.5%を占めるため、防犯フィルム・補助錠・面格子の設置が効果的
- ホームセキュリティはレンタルプランが約9割の選択肢で、初期費用3〜15万円で導入可能
- セコム・ALSOKの選択は自宅近くに事業所があるかが重要(駆けつけ時間に影響)
- 防犯カメラとホームセキュリティの併用が最も効果的(屋外監視+室内侵入検知)
住宅への侵入被害の発生件数
警察庁の統計によると、住宅への侵入被害は毎年1万件以上発生しており、そのうち戸建て住宅が大きな割合を占めています。マンションと比較すると、戸建ては侵入経路が多く、人目につきにくいため狙われやすい傾向があります。
戸建て住宅が狙われやすい理由
戸建て住宅が狙われやすい理由として、以下が挙げられます。
- 侵入経路が多い: 窓・玄関・勝手口・ベランダ・庭など複数の侵入経路がある
- 人目につきにくい: 住宅地では隣家との距離があり、昼間でも侵入を察知されにくい
- 在宅時間が読みやすい: 郵便物の蓄積、洗濯物の有無などで不在を判断されやすい
5分以上の侵入抵抗で約7割が諦める
侵入に5分以上かかると約7割の空き巣が諦めるというデータがあります。これは、複数の防犯対策を組み合わせて侵入時間を稼ぐことが、最も効果的な防犯対策であることを示しています。
戸建て住宅の防犯リスク|侵入手口と侵入経路の統計データ
具体的な侵入手口と侵入経路のデータを確認し、対策の優先順位を理解しましょう。
無締まり(鍵のかけ忘れ)が46.3%
警察庁の統計によると、侵入手口の46.3%は「無締まり」(鍵のかけ忘れ)です。設備投資以前に、施錠習慣が最重要です。
| 侵入手口 | 割合 |
|---|---|
| 無締まり | 46.3% |
| ガラス破り | 31.8% |
| その他 | 21.9% |
(出典: 警察庁)
窓からの侵入が53.5%を占める
侵入経路では、窓からの侵入が53.5%を占めます。玄関よりも窓の防犯対策が優先度が高いことがわかります。
| 侵入経路 | 割合 |
|---|---|
| 窓 | 53.5% |
| 玄関 | 18.9% |
| その他 | 27.6% |
(出典: 警察庁)
侵入に5分以上かかる対策が有効
国土交通省の防犯設計指針では、CP部品(Crime Prevention:侵入に5分以上かかる建物部品)の使用が推奨されています。窓にCP部品の防犯フィルム(350ミクロン以上・CPマーク付き)を貼ることで、侵入時間を大幅に延ばせます。
戸建てのセキュリティ対策の種類|物理的対策・ホームセキュリティ・防犯カメラ
防犯対策は、物理的対策、ホームセキュリティ、防犯カメラの3つに分類されます。
窓の防犯対策(防犯フィルム・補助錠・面格子)
窓は最も侵入されやすい箇所です。以下の対策が有効です。
| 対策 | 効果 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 防犯フィルム(350ミクロン以上・CPマーク付き) | ガラス破りに5分以上の抵抗 | 1窓あたり1〜3万円 |
| 補助錠(窓用) | 施錠箇所を増やし侵入時間を稼ぐ | 1,000〜3,000円/個 |
| 面格子 | 浴室・トイレ等の小窓に設置 | 1〜3万円/窓 |
防犯フィルムの耐用年数は約10年のため、定期的な貼り替えが必要です。
玄関の防犯対策(ディンプルキー・サムターン回し対策)
玄関の鍵は、ピッキングに強いディンプルキーへの交換が推奨されます。また、ドアの外側から内側のサムターン(つまみ)を回す「サムターン回し」対策も有効です。
外構の防犯対策(センサーライト・防犯砂利・フェンス)
外構の防犯対策として、以下が効果的です。
- センサーライト: 人感センサーで人の動きを検知し自動点灯。侵入者への心理的抑止効果がある
- 防犯砂利: 踏むと大きな音が出る砂利。窓下や庭に敷くことで侵入を察知しやすくする
- フェンス: 侵入しにくい高さ(1.5m以上)で、かつ見通しが良いデザインが推奨
ホームセキュリティシステムの仕組み
ホームセキュリティは、住宅に人感センサー・窓センサー等を設置し、24時間365日監視するサービスです。異常時には警備員が駆けつけます。
主要サービス:
防犯カメラとの違いと併用効果
防犯カメラは屋外・駐車場の監視に有効ですが、室内侵入検知にはホームセキュリティが必要です。併用が最も効果的で、カメラが抑止力、ホームセキュリティが即応性を担います。
ホームセキュリティシステムの選び方|セコム・ALSOK・その他の比較
ホームセキュリティを選ぶ際は、サービス内容・料金プラン・待機所の近さを確認しましょう。
セコムのサービス内容と料金プラン
セコムは契約件数約162万件で業界最大手です。レンタルプランが約9割の選択肢で、初期費用3〜15万円、月額5,000〜8,000円程度です。
ALSOKのサービス内容と料金プラン
ALSOKは契約件数約52万件で、セコムに次ぐ規模です。料金プランはセコムとほぼ同等で、レンタルプランが中心です。
待機所の近さが駆けつけ時間に影響
警備会社の駆けつけは法律上25分以内ですが、空き巣犯行時間は15分程度のため、待機所の近さが重要です。2025年時点でセコムの待機所は約2,500カ所、ALSOKは約2,300カ所に拡大しています。
契約前に自宅近くに待機所があるかを確認することを推奨します。
スマートホーム連携型セキュリティ(MANOMA等)
スマートホーム連携のホームセキュリティ(MANOMA等)やAI防犯カメラが普及し、リモート監視・通知機能が一般化しています。
レンタルプランと買取プランの違い
| プラン | 初期費用 | 月額料金 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| レンタルプラン | 3〜15万円 | 5,000〜8,000円 | 短期〜中期(5〜10年)で住み替え予定 |
| 買取プラン | 50〜100万円 | 3,000〜5,000円 | 長期(10年以上)で居住予定 |
防犯対策の費用と料金プラン|初期費用・月額料金・コストパフォーマンス
防犯対策の費用相場を確認し、予算に応じた選択肢を検討しましょう。
ホームセキュリティの初期費用(3〜15万円)と月額料金(5,000〜8,000円)
ホームセキュリティのレンタルプランは、初期費用3〜15万円、月額5,000〜8,000円が相場です。10年間の総費用は約90〜150万円となります。
防犯フィルム・補助錠などの物理的対策の費用
物理的対策の費用は以下の通りです。
| 対策 | 費用目安 |
|---|---|
| 防犯フィルム(1窓) | 1〜3万円 |
| 補助錠(1個) | 1,000〜3,000円 |
| センサーライト | 5,000〜2万円 |
| 防犯砂利(1袋20L) | 1,000〜3,000円 |
防犯カメラの設置費用
防犯カメラの設置費用は、1台あたり3〜10万円(工事費込み)です。録画機能付きの場合は追加費用が発生します。
新築時に組み込むと費用を抑えられる
住友林業の防犯対策記事によると、新築時に防犯対策を組み込むと、配線等がスムーズで費用を抑えられます。建築前からハウスメーカーに相談することを推奨します。
まとめ|状況別の防犯対策の選び方と優先順位
戸建て住宅の防犯対策は、施錠習慣が最重要です。その上で、窓の防犯フィルム・補助錠、センサーライト、ホームセキュリティを複数組み合わせることで、侵入時間を5分以上稼ぎ、約7割の空き巣を諦めさせることができます。
ホームセキュリティを選ぶ際は、自宅近くに待機所があるかを確認し、レンタルプランと買取プランを比較検討してください。新築時に防犯対策を組み込むことで、費用を抑えられる場合もあります。
防犯対策は100%の侵入防止を保証するものではありませんが、複数対策の組み合わせにより、リスクを大幅に低減できます。専門業者への相談を推奨します。
