戸建てに地震保険は本当に必要か?
地震大国である日本では、戸建て住宅の地震保険加入が重要な検討事項となっています。2024年1月の能登半島地震では、12万棟の住宅が被害を受け、地震保険の必要性が再認識されました。戸建ての地震保険付帯率は72.8%に達しており、多くの住宅所有者が地震リスクに備えています。
この記事のポイント
- 戸建ての地震保険付帯率は72.8%(2024年時点)
- 地震保険は火災保険とセットで加入が必須、単独加入不可
- 補償範囲は火災保険の30〜50%まで、建物5,000万円・家財1,000万円が限度
- 免震建築物割引・耐震等級割引(等級3)で最大50%の保険料割引
- 公的支援は最大400万円にとどまり、再建築には不十分
(1) 2024年能登半島地震の被害状況
2024年1月の能登半島地震では、12万棟の住宅が被害を受け、多くの戸建て住宅が全壊・半壊の被害に遭いました。地震保険に加入していた世帯は、保険金を受け取ることで住宅の再建や修繕に充てることができました。
(出典: グランディハウス)
この地震を契機に、地震保険の重要性が再認識され、加入率が上昇しています。
(2) 戸建ての地震保険付帯率(72.8%)
2024年時点で、戸建ての地震保険付帯率は72.8%に達しています。これは、住宅所有者の約7割が地震リスクに備えていることを示しています。
全国平均の付帯率は69.7%であり、戸建てはマンション等の集合住宅よりも付帯率が高い傾向があります。
(出典: 価格.com保険)
(3) 地震保険の加入が推奨される人(住宅ローン残債が多い、貯蓄が少ない)
地震保険の加入が特に推奨されるのは、以下のような方です。
- 住宅ローン残債が多い人: 地震で建物が全壊しても、ローンの返済義務は残ります。地震保険に加入していれば、保険金で残債を返済できる可能性があります。
- 貯蓄が少ない人: 地震による被害を自己資金で賄えない場合、地震保険が経済的支えとなります。
- 地震リスクの高い地域に居住する人: 南海トラフ地震や首都直下地震のリスクが高い地域では、加入が強く推奨されます。
(出典: ほけんの窓口)
(4) 公的支援の限界(最大400万円)
地震による被災時には、被災者生活再建支援制度により公的支援が受けられますが、最大でも400万円にとどまります。
公的支援の内訳:
- 基礎支援金: 最大100万円(全壊の場合)
- 加算支援金: 最大300万円(住宅の再建・購入の場合)
戸建て住宅の再建には数千万円かかるため、公的支援だけでは不十分です。地震保険に加入することで、再建費用の一部を補うことができます。
(出典: ほけんの窓口)
地震保険の基本的な仕組み
地震保険は、地震や噴火、またはこれらによる津波によって被った建物や家財の損害を補償する保険です。政府と保険会社が共同で運営する公的性格の強い保険制度です。
(1) 地震保険は火災保険とセットで加入(単独加入不可)
地震保険は単独で加入することはできず、火災保険とセットでの加入が必須です。
理由: 地震保険は火災保険に付帯する形で提供されるため、まず火災保険に加入し、その上で地震保険を追加します。
すでに火災保険に加入している場合でも、契約期間の途中から地震保険を追加することが可能です。
(出典: 財務省)
(2) 補償範囲は火災保険の30〜50%まで
地震保険の補償金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。
例:
- 火災保険の保険金額が3,000万円の場合、地震保険の保険金額は900万円〜1,500万円の範囲で設定
この補償割合は、大規模地震時の支払い負担を考慮して設定されています。
(出典: 価格.com保険)
(3) 建物5,000万円、家財1,000万円が限度
地震保険の保険金額には限度額があります。
| 対象 | 限度額 |
|---|---|
| 建物 | 5,000万円 |
| 家財 | 1,000万円 |
建物と家財の両方に加入することで、より手厚い補償が受けられます。
(出典: 価格.com保険)
(4) 政府と保険会社の共同運営制度
地震保険は、政府と保険会社が共同で運営する公的性格の強い保険制度です。
仕組み:
- 保険会社が契約者から保険料を徴収
- 地震による損害が発生した場合、政府と保険会社が共同で保険金を支払う
この仕組みにより、大規模地震時でも安定した保険金の支払いが可能となっています。
(出典: 日本損害保険協会)
(5) どの保険会社でも補償内容・保険料は同じ
地震保険は政府と保険会社が共同運営しているため、どの保険会社で加入しても基本的な補償内容と保険料は同じです。
ただし、地震上乗せ特約など、保険会社によって付帯できる特約が異なる場合があるため、比較検討が必要です。
(出典: i保険)
戸建ての地震保険料と割引制度
地震保険の保険料は、所在地と建物構造によって決まります。また、複数の割引制度を活用することで、保険料を抑えることが可能です。
(1) 保険料は所在地と建物構造で決まる
地震保険の保険料は、以下の2つの要素で決まります。
- 所在地: 地震リスクの高い地域ほど保険料が高くなります
- 建物構造: 耐火性の高い建物(イ構造)ほど保険料が安くなります
具体的な保険料は、日本損害保険協会の保険料シミュレーターで試算できます。
(出典: 日本損害保険協会)
(2) イ構造(鉄筋コンクリート造)とロ構造(木造)の違い
建物構造は、以下の2つに分類されます。
| 構造 | 建物の種類 | 保険料 |
|---|---|---|
| イ構造 | 鉄筋コンクリート造、鉄骨造など耐火性の高い建物 | 安い |
| ロ構造 | 木造住宅など耐火性が低い建物 | 高い |
木造住宅(ロ構造)は、鉄筋コンクリート造(イ構造)よりも保険料が高く設定されています。
(出典: ソニー損保)
(3) 免震建築物割引・耐震等級割引(最大50%割引)
地震保険には、建物の耐震性能に応じた割引制度があります。
| 割引制度 | 内容 | 割引率 |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 免震建築物に適用 | 50% |
| 耐震等級割引(等級3) | 建物の耐震等級が3の場合 | 50% |
| 耐震等級割引(等級2) | 建物の耐震等級が2の場合 | 30% |
| 耐震等級割引(等級1) | 建物の耐震等級が1の場合 | 10% |
免震建築物割引または耐震等級割引の等級3を適用すれば、50%の保険料割引が受けられます。
(出典: ソニー損保)
(4) 長期契約(2〜5年)で保険料を抑える方法
地震保険は2〜5年の長期契約で一括払いすると、年払いよりも保険料が割安になります。
長期契約の係数(5年契約の例):
- 5年契約の保険料 = 年間保険料 × 4.7
年払いの場合は5年間で年間保険料×5となるため、一括払いの方が約6%割安です。
(出典: ソニー損保)
(5) 所得税最高5万円、住民税最高2.5万円の控除
地震保険に加入すると、所得税・住民税の控除が受けられます。
| 税金 | 控除額 |
|---|---|
| 所得税 | 最高5万円 |
| 住民税 | 最高2.5万円 |
控除を受けるには、年末調整または確定申告で地震保険料控除証明書を提出する必要があります。
(出典: 財務省)
地震保険の補償内容と上乗せ特約
地震保険の補償内容は、建物や家財の損害の程度に応じて、保険金額の一定割合が支払われます。補償を拡大したい場合は、地震上乗せ特約の付帯を検討してください。
(1) 地震保険の補償割合(30〜50%)の理由
地震保険の補償金額が火災保険の30〜50%に限定されている理由は、大規模地震時の支払い負担を考慮しているためです。
背景:
- 大規模地震が発生すると、同時に多数の建物が被害を受ける
- 保険会社だけでは全額を支払うことが困難
- 政府と保険会社が共同で運営することで、安定した支払いを実現
補償割合が限定されている分、保険料が抑えられています。
(出典: i保険)
(2) 全壊・大半損・小半損・一部損の認定基準
地震保険の保険金は、建物や家財の損害の程度に応じて支払われます。
| 損害の程度 | 認定基準 | 支払われる保険金 |
|---|---|---|
| 全損 | 主要構造部の損害額が建物の時価の50%以上 | 保険金額の100% |
| 大半損 | 主要構造部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満 | 保険金額の60% |
| 小半損 | 主要構造部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満 | 保険金額の30% |
| 一部損 | 主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満 | 保険金額の5% |
損害の程度は、保険会社の調査員が現地調査を行い判定します。
(出典: 財務省)
(3) 地震上乗せ特約で100%補償が可能
地震保険の補償を火災保険金額の100%まで拡大したい場合は、地震上乗せ特約の付帯を検討してください。
地震上乗せ特約とは:
- 地震保険の補償を火災保険金額の100%まで拡大する特約
- 保険会社により提供内容が異なる
この特約を付帯すると、全壊時に火災保険金額と同額の保険金を受け取ることができます。
(出典: i保険)
(4) 保険会社ごとの特約内容の違い
基本的な地震保険の補償内容・保険料は全保険会社で同じですが、地震上乗せ特約など付帯できる特約は保険会社により異なります。
比較のポイント:
- 地震上乗せ特約の有無
- 特約の保険料
- 補償範囲の詳細
i保険のサイトで各社の特約内容を比較できます。
(出典: i保険)
戸建て向け地震保険の選び方
地震保険を選ぶ際は、建物と家財の両方に加入することや、火災保険との組み合わせ、保険料シミュレーションの活用などがポイントとなります。
(1) 建物と家財の両方に加入するメリット
地震保険は、建物と家財の両方に加入することで、より手厚い補償が受けられます。
建物のみ加入の場合:
- 建物の損害は補償されるが、家財(家具、家電等)の損害は補償されない
建物と家財の両方に加入の場合:
- 建物と家財の両方の損害が補償される
- 全壊時に建物の保険金と家財の保険金を合わせて受け取れる
家財の被害も大きくなる可能性があるため、両方への加入を検討してください。
(2) 火災保険の選び方と地震保険の関係
地震保険は火災保険とセットで加入するため、まず火災保険を選ぶ必要があります。
火災保険の選び方のポイント:
- 補償範囲(火災、風災、水災等)
- 保険金額(再調達価額または時価)
- 保険料
- 地震上乗せ特約の有無
火災保険を選ぶ際に、地震上乗せ特約の有無を確認してください。
(3) 保険料シミュレーションの活用方法
地震保険の保険料は、日本損害保険協会の保険料シミュレーターで試算できます。
シミュレーションの手順:
- 日本損害保険協会のウェブサイトにアクセス
- 所在地、建物構造、保険金額を入力
- 年間保険料を確認
複数の条件で試算し、最適な保険金額を検討してください。
(出典: 日本損害保険協会)
(4) 複数の保険会社・代理店の比較方法
地震保険の基本的な補償内容・保険料は全保険会社で同じですが、火災保険の補償内容や地震上乗せ特約は保険会社により異なります。
比較のポイント:
- 火災保険の補償範囲
- 地震上乗せ特約の有無と保険料
- 保険会社の信頼性・評判
保険代理店や保険比較サイトを活用し、複数社を比較検討してください。
(5) ファイナンシャルプランナーへの相談
地震保険の加入判断や保険金額の設定に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。
相談できる内容:
- 地震保険の必要性の判断
- 適切な保険金額の設定
- 火災保険との組み合わせ
- 家計全体の保険見直し
専門家のアドバイスを受けることで、最適な保険選びが可能になります。
まとめ:地震保険の加入判断基準
戸建て住宅の地震保険は、地震リスクに備えるための重要な選択肢です。2024年時点で、戸建ての地震保険付帯率は72.8%に達しており、多くの住宅所有者が地震リスクに備えています。
地震保険は火災保険とセットで加入が必須で、補償範囲は火災保険の30〜50%まで、建物5,000万円・家財1,000万円が限度です。免震建築物割引・耐震等級割引(等級3)を適用すれば、最大50%の保険料割引が受けられます。
住宅ローン残債が多い方、貯蓄が少ない方、地震リスクの高い地域に居住する方は、特に加入が推奨されます。公的支援は最大400万円にとどまるため、再建費用の一部を地震保険で補うことが重要です。
地震保険の加入を検討する際は、日本損害保険協会の保険料シミュレーターで試算し、複数の保険会社・代理店を比較してください。詳細はファイナンシャルプランナーや保険代理店にご相談ください。


