戸建投資を始める前に知っておきたいこと
戸建投資に興味があるものの、「利回りはどのくらいなのか」「どんなリスクがあるのか」と不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、戸建投資の利回り相場、メリット・デメリット、物件選びのポイントを解説します。マンション投資との違いも含め、戸建投資の全体像を把握しましょう。
この記事のポイント
- 戸建投資の表面利回りは新築5〜6%、中古6〜8%が目安
- 実質利回りは諸経費を考慮すると表面利回りより2〜3%低くなる
- 賃貸物件の3.7%のみで競合が少ないが、物件選びが重要
- 新耐震基準・接道義務・賃貸需要の確認が成功のカギ
1. 戸建投資とは|基本概念と市場動向
(1) 戸建投資の仕組みと特徴
戸建投資とは、新築または中古の一戸建て住宅を購入し、賃貸で家賃収入を得る、または売却で利益を得る投資手法です。
マンション投資と比べて以下の特徴があります。
| 項目 | 戸建投資 | マンション投資 |
|---|---|---|
| 管理費 | 不要 | 修繕積立金・管理費が必要 |
| 初期費用 | 比較的少額から可能 | 区分所有でも高額になりやすい |
| 競合 | 少ない(賃貸物件の3.7%) | 多い |
| 融資 | 難しい場合がある | 比較的受けやすい |
(2) 2024年の市場動向と賃貸需要
2024年の一戸建て市場は、価格指数118.5%で前年比約2.2%増と比較的安定しています。マンション市場と比べて穏やかな動きです。
一方、一戸建て着工戸数は前年比3.4%減で3年連続減少しており、新築供給は減少傾向にあります。
戸建賃貸は全賃貸物件の3.7%のみで競合が少なく、ファミリー層、ペット飼育者、リモートワーク需要からの引き合いがあります。
2. 戸建投資のメリット・デメリット
(1) メリット|競合が少ない・高利回りの可能性
- 競合が少ない:賃貸物件の3.7%のみで、入居者募集で優位性がある
- 管理費不要:マンションのような修繕積立金・管理費が不要
- 高利回りの可能性:中古物件なら表面利回り6〜8%も可能
- 少額から始められる:地方の中古物件なら数百万円から投資可能
(2) デメリット|修繕費高額・空室リスク
- 修繕費が高額:屋根交換100万円、外壁補修など大規模修繕が発生する可能性
- 空室時は収入ゼロ:1戸のみの投資では分散効果がない
- 融資が難しい:特に築古物件や旧耐震基準物件は銀行の評価が低い
- 入居者募集に時間がかかる:ファミリー向けは引越しシーズンに偏りがち
3. 戸建投資の利回り相場と計算方法
(1) 表面利回りと実質利回りの違い
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
実質利回り = (年間家賃収入 − 諸経費) ÷ 物件価格 × 100
諸経費には、固定資産税、火災保険料、修繕費、管理費(委託する場合)などが含まれます。
実質利回りは表面利回りより2〜3%低くなるのが一般的です。
(2) 新築と中古の利回り比較
| 物件タイプ | 表面利回り目安 |
|---|---|
| 新築戸建て | 5〜6% |
| 中古戸建て | 6〜8% |
中古物件は購入価格が安いため利回りは高くなりますが、修繕費が発生するリスクも高まります。
4. 物件選びのポイントと注意点
(1) 新耐震基準と接道義務の確認
物件選びでは以下の2点が特に重要です。
新耐震基準(1981年6月以降)の物件を選ぶ
旧耐震基準(1981年5月以前)の物件は、融資が難しく、売却も困難になる傾向があります。耐震補強費用も高額になる可能性があります。
接道義務を満たす物件を選ぶ
建築基準法により、土地は幅4m以上の道路に2m以上接する必要があります。この条件を満たさない「再建築不可物件」は、一度取り壊すと再建築できず、出口戦略が限定されます。
(2) 賃貸需要のあるエリア選定
物件価格が安くても、賃貸需要がなければ長期空室となり、投資が停滞します。
購入前に以下を確認しましょう。
- 周辺の賃貸相場・競合物件の状況
- 人口動態(増加傾向か減少傾向か)
- 主要駅・商業施設へのアクセス
5. 戸建投資のリスク対策と失敗事例
(1) 再建築不可物件のリスク
再建築不可物件は価格が安いため魅力的に見えますが、以下のリスクがあります。
- 将来的な建て替えができない
- 売却が難しく、買い手が限定される
- 融資を受けられない金融機関が多い
購入前に必ず接道義務を確認してください。
(2) 出口戦略の重要性
戸建投資では、購入前に「出口戦略」を立てておくことが重要です。
- いつ頃売却するのか
- どのような状態(賃貸中か空室か)で売却するのか
- 売却が難しい場合の代替案は何か
特に築古物件は、賃貸経営が困難になる前に売却・解体等の方針を検討しておきましょう。
6. まとめ:戸建投資を始める前の確認事項
戸建投資の表面利回りは新築5〜6%、中古6〜8%が目安です。実質利回りは諸経費を考慮すると2〜3%低くなります。
成功のポイントは、新耐震基準(1981年6月以降)の物件を選ぶこと、接道義務を確認すること、賃貸需要のあるエリアを選定すること、出口戦略を事前に立てることです。
利回りや物件状態は個別に大きく異なります。具体的な投資判断については、不動産投資アドバイザーや宅地建物取引士、税理士などの専門家への相談を推奨します。
