CICと住宅ローン審査の関係
住宅ローンの申請を検討する際、「過去のクレジットカード延滞が審査に影響するのでは」と不安を感じる方は少なくありません。住宅ローン審査では、金融機関が必ず信用情報機関(CIC・JICC・KSC)の記録をチェックします。
この記事では、CICの信用情報が住宅ローン審査にどのように影響するか、CICの公式情報を元に解説します。信用情報に不安がある方も、事前の対策方法を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローン審査ではCIC・JICC・KSCの3機関すべてがチェックされる
- 「異動」情報(61日以上の延滞等)があると審査通過は極めて困難
- 延滞記録は完済後5年間残る
- 開示請求はスマホで1,000円、審査への悪影響はない
- 2024年11月から信用スコア(200〜800点)の確認が可能に
CICとは|信用情報機関の基本
CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、クレジットカード会社や消費者金融業者が多く加盟する指定信用情報機関です。クレジットカードや各種ローンの契約内容・支払い状況が記録されています。
CIC・JICC・KSCの違い
日本には主に3つの信用情報機関があり、それぞれ加盟する金融機関が異なります。
| 機関名 | 主な加盟会社 |
|---|---|
| CIC | クレジットカード会社、信販会社 |
| JICC | 消費者金融業者 |
| KSC | 銀行、信用金庫 |
住宅ローン審査では、金融機関は3機関すべての信用情報をチェックするのが一般的です。どの機関にも問題がないことが審査通過の条件となります。
登録される情報の内容
CICに登録される主な情報は以下の通りです。
- 本人識別情報: 氏名、生年月日、住所、電話番号
- 契約内容: クレジットカード、ローンの契約日、限度額、返済期間
- 支払状況: 入金日、残高、延滞の有無
- 申込履歴: 新規申込の履歴(6ヶ月間保存)
これらの情報は、過去の支払い実績を示す客観的なデータとして、審査の重要な判断材料となります。
住宅ローン審査で見られる信用情報
金融機関は住宅ローン審査で信用情報を必ず確認します。特に仮審査の段階で信用情報が重視されます。
開示報告書の見方
CICの開示報告書では、「入金状況」欄に記号で支払い状況が表示されます。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| $ | 請求どおり(もしくは請求額以上)の入金があった |
| A | 請求どおりの入金がなかった(延滞) |
| − | 請求も入金もなかった |
| 異動 | 61日以上の延滞、代位弁済等が発生 |
「A」マークが数回ある場合、金融機関によっては審査に影響する可能性があります。「異動」が記録されている場合、住宅ローン審査は極めて困難です。
クレジット・ガイダンス(信用スコア)の活用
2024年11月28日から、CICは新サービス「クレジット・ガイダンス」の提供を開始しました。これにより、信用情報を200〜800点の3桁スコアで数値化して確認できるようになりました。
スコアが高いほど信用力が高いことを示し、住宅ローン審査の通過可能性を事前に把握する目安になります。ただし、金融機関の審査基準は各社で異なるため、スコアはあくまで参考値として捉えてください。
審査に影響する項目と記録期間
信用情報の中でも、住宅ローン審査に大きく影響する項目があります。
異動情報の影響
「異動」とは、以下のような事態が発生した場合に記録される情報です。
- 61日以上の延滞
- 代位弁済(保証会社が代わりに返済)
- 任意整理、自己破産
異動情報が記録されている状態は、俗に「ブラックリスト」と呼ばれます。この状態では、住宅ローン審査の通過は極めて困難です。
延滞記録の保存期間
信用情報の記録には保存期間があります。
| 情報の種類 | 保存期間 |
|---|---|
| 契約内容 | 契約終了後5年間 |
| 延滞・異動情報 | 完済後5年間 |
| 申込履歴 | 申込から6ヶ月間 |
延滞記録は完済後5年経過すると消えるため、住宅ローン申請を見送り、記録が消えるのを待つという選択肢もあります。
信用情報に問題がある場合の対策
信用情報に不安がある場合、事前に対策を取ることが重要です。
開示請求で事前確認
住宅ローン申請前に、CICで開示請求を行い、自身の信用情報を確認することを推奨します。
開示請求の方法
| 方法 | 手数料 | 特徴 |
|---|---|---|
| インターネット(スマホ・PC) | 1,000円 | 即時確認可能 |
| 郵送 | 1,500円 | 1週間〜10日程度 |
開示請求を行うこと自体は、住宅ローン審査に悪影響を与えません。事前に信用情報を確認し、問題があれば対策を検討しましょう。
複数の金融機関への申請戦略
「A」マーク(延滞)のみで「異動」まで行っていない場合、金融機関によっては審査に通る可能性があります。
注意点:
- 申込履歴は6ヶ月間記録に残る
- 短期間に複数の金融機関に申請すると「申込ブラック」状態になる可能性がある
- 審査落ちが続くと、さらに審査が厳しくなる傾向がある
複数の金融機関への申請を検討する場合は、1〜2社に絞って申請することを推奨します。信用情報に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンの専門家に相談することも有効です。
まとめ:住宅ローン申請前の信用情報確認
住宅ローン審査では、CIC・JICC・KSCの3機関の信用情報が必ずチェックされます。「異動」情報があると審査通過は極めて困難ですが、延滞記録は完済後5年で消えます。
住宅ローンの申請を検討している方は、まずCICの開示請求で自身の信用情報を確認してみてください。問題がなければ安心して申請に進め、問題があれば事前に対策を検討できます。
信用情報に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンの専門家に相談することをお勧めします。
