カードローンが住宅ローン審査に与える影響とは
カードローンを利用中または利用経験がある方が住宅ローンを検討する際、「カードローンが住宅ローン審査に影響するのか」という疑問を持つことは多いでしょう。結論から言うと、カードローンの利用状況は住宅ローン審査に影響します。
この記事では、カードローンと住宅ローンの関係、審査で重視される3つのポイント、住宅ローン申込前に取るべき対策について詳しく解説します。
この記事のポイント
- カードローンを利用中でも住宅ローンの審査に通る可能性はあるが、返済負担率が25~35%以内であることが条件
- カードローンを完済しただけでは不十分で、解約まで行うことが推奨される(利用限度額が残ると潜在的借入と見なされる)
- 延滞記録は完済後5年間信用情報に残り、住宅ローン審査で大きなマイナス要因となる
- 完済証明書を取得して住宅ローン申込時に提出すると審査で有利になる
- 使っていないクレジットカードやカードローン契約は住宅ローン申込前に解約しておくと審査通過率が上がる
カードローンと住宅ローンの基本的な違い
まず、カードローンと住宅ローンの基本的な違いを理解しましょう。
(1) 金利・返済期間の違い
| 項目 | カードローン | 住宅ローン |
|---|---|---|
| 金利 | 1.5~15.0% | 0.5~1.0%(2024-2025年) |
| 返済期間 | 数ヶ月~10年程度 | 35~50年 |
| 借入限度額 | 10万円~800万円程度 | 数千万円~1億円超 |
| 担保 | 無担保 | 購入する住宅が担保 |
カードローンは高金利・短期返済、住宅ローンは低金利・長期返済という特徴があります。
(2) 審査基準と担保の有無
カードローン:
- 審査は比較的緩やか
- 無担保・無保証人で利用可能
- 収入証明書の提出が必要な場合がある
住宅ローン:
- 審査は厳格(返済負担率、勤続年数、年収等を総合的に評価)
- 購入する住宅を担保に設定
- 団体信用生命保険への加入が必須の場合が多い
(3) 総量規制の対象範囲
カードローン:
- 総量規制の対象(年収の3分の1が借入上限)
住宅ローン:
- 総量規制の対象外(年収の3分の1を超えても借入可能)
住宅ローンは総量規制の対象外ですが、金融機関独自の審査基準(返済負担率等)があります。
住宅ローン審査で重視される3つのポイント
三菱UFJ銀行によると、カードローンが住宅ローン審査に与える影響には3つのポイントがあります。
(1) 返済負担率(返済比率)とは
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合です。
計算式:
返済負担率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
年間返済額に含まれるもの:
- 住宅ローンの返済額
- カードローンの返済額
- 自動車ローンの返済額
- クレジットカードのリボ払い
- スマホの分割払い
一般財団法人 住宅金融普及協会によると、住宅ローン審査では返済負担率25~35%以下が目安です。国土交通省の調査では、92.0%の金融機関が審査で返済負担率を考慮しています。
例:
- 年収: 600万円
- カードローンの年間返済額: 24万円(月2万円×12ヶ月)
- 住宅ローンの希望年間返済額: 150万円
- 返済負担率: (24万円 + 150万円) ÷ 600万円 × 100 = 29%
この場合、返済負担率は29%で、基準内に収まっています。
(2) 延滞記録と信用情報への影響
カードローンで延滞(返済遅延)がある場合、信用情報機関(CIC、JICC、KSC等)に記録され、住宅ローン審査で大きなマイナス要因となります。
JCBによると、延滞記録は完済後5年間信用情報に残ります。延滞記録がある場合は、完済から5年経過後に住宅ローンに申し込むか、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等)に相談することを推奨します。
(3) 利用限度額の潜在的借入評価
カードローンを完済しても、解約しない限り利用限度額が残ります。住宅ローン審査では、実際に借りていなくても利用限度額を「潜在的な借入」として評価します。
例:
- カードローンの利用限度額: 100万円(現在の借入残高: 0円)
- 住宅ローン審査時: 100万円を借りる可能性があると見なされる
このため、使っていないカードローン契約は住宅ローン申込前に解約しておくことが推奨されます。
住宅ローン申込前に取るべき対策
住宅ローンの審査通過率を上げるために、以下の対策を取りましょう。
(1) カードローンの完済と解約の違い
京都銀行によると、カードローンの「完済」と「解約」は異なります。
完済:
- 借入金を全額返済した状態
- 契約は残り、利用限度額も存続する
解約:
- 契約自体を終了させる手続き
- 利用限度額もゼロになる
住宅ローン審査では、完済だけでは不十分で、解約まで行うことが推奨されます。
(2) 完済証明書の取得と提出
カードローンを完済した場合、金融機関から完済証明書を取得し、住宅ローン申込時に提出すると審査で有利になります。
完済証明書の取得方法:
- カードローン契約先の金融機関に連絡
- 完済証明書の発行を依頼
- 郵送またはオンラインで受け取り
完済証明書は、カードローンを確実に完済したことを証明する書類です。
(3) 使っていないクレジットカード・契約の整理
住宅ローン申込前に、以下の契約を整理しましょう。
- 使っていないクレジットカード: 解約する
- 使っていないカードローン契約: 解約する
- 自動車ローン: 可能であれば完済・解約する
- スマホの分割払い: 残債を一括返済する
これにより、返済負担率を下げることができます。
カードローン完済後の手続きと注意点
カードローンを完済した後は、以下の手続きを忘れずに行いましょう。
(1) 解約手続きの流れ
JCBによると、カードローンの解約手続きは以下の流れです。
- 完済を確認: カードローンの残高がゼロであることを確認
- 金融機関に連絡: 電話またはオンラインで解約の意思を伝える
- 解約書類の提出: 解約申込書を記入・提出
- カードの返却または破棄: カードを返却または自身で破棄
- 解約完了の確認: 解約完了通知を受け取る
解約手続きは数日~1週間程度で完了します。
(2) 信用情報の確認方法
住宅ローン申込前に、自分の信用情報を確認しましょう。信用情報機関(CIC、JICC、KSC等)で開示請求が可能です。
開示請求の方法:
- オンライン: 各信用情報機関のサイトから申請(手数料500円~1,000円)
- 郵送: 申請書を郵送(手数料1,000円程度)
- 窓口: 各信用情報機関の窓口で申請(手数料500円~1,000円)
延滞記録やカードローンの契約状況を確認し、住宅ローン申込前に対策を講じましょう。
(3) 延滞記録がある場合の待機期間
過去にカードローンで延滞がある場合、延滞記録は完済後5年間信用情報に残ります。この期間は住宅ローン審査で不利になるため、以下の対策を検討しましょう。
- 完済から5年経過後に申し込む: 延滞記録が消えるまで待つ
- 専門家に相談する: ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等に相談し、個別の状況に応じた対策を立てる
まとめ:カードローンと住宅ローンの両立可能性
カードローンを利用中でも、返済負担率が25~35%以内であれば住宅ローンの審査に通る可能性があります。ただし、カードローンの返済額も年間返済額に含まれるため、借入総額を抑えることが重要です。
カードローンを完済しただけでは不十分で、解約まで行うことが推奨されます。利用限度額が残ったままだと潜在的借入と見なされ、住宅ローンの融資額が減額される可能性があります。
延滞記録がある場合は完済後5年間信用情報に残るため、完済から5年経過後に申し込むか、専門家に相談することを推奨します。
住宅ローンは高額かつ長期の借入です。複数の金融機関に相談し、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等)のアドバイスを受けることをおすすめします。
